IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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IS学園入学から続いたこの章は今回で終わりになります。次から違う章という感じですね。

もうすぐでナタルがでてくると思うとwktkが止まりませぬなぁ、げっへっへ


80話

 

目が覚めたら保健室だった。しばらくここで寝泊まりしてたから見覚えがある。

 

なんでここで寝てるんだっけ……あぁ〜、よく覚えてないかもしれない。

えっと……確か、ラウラと試合してて……そうだ、VTシステム。断片的だけど思い出した。ラウラをVTシステムから助け出して、そのまま気を失ったんだった。

 

体痛いなぁ……胴体だけだけど。血を吐いたから口の中少し鉄臭いし。

 

とりあえず義手をつけて体だけ起こす。

 

 

「いててて……」

 

 

起き上がるのにも体が……ボロボロだなぁ。

 

 

「う……ぅん……」

 

 

隣のベッドから声が聞こえる。

僕以外に誰か……ラウラかな?

 

義足をつけて立ち上がって少しカーテンをめくり隣のベッドを見てみると、そこには目を覚ましたばかりのラウラがいた。

 

 

「あ、ラウラ」

 

「ん……将冴か?」

 

「うん。気分はどう?」

 

「いいとは言えないな……。正直、何があったかも殆ど覚えていない」

 

「そっか……気を失っていたのか。えっとね」

 

 

僕はアリーナであったことを説明してあげた。

 

僕も記憶が曖昧だから、自分の中で確認しながらだけど。

 

 

「そんなことが……」

 

「その後のことはわからない。僕もさっき目を覚ましたばかりだから」

 

「そうか。……将冴、助けてくれてありがとう」

 

「いいんだよ。僕の個人的な感情もあったし」

 

「それでも、助けてくれたのは変わらない。それに……」

 

 

なにやら口ごもるラウラ。

 

 

「将冴が助けてくれたのは、なんとなく覚えているんだ……。不思議だな。ずっと意識がなかったはずなのに」

 

 

確かに、助けたときラウラは気を失っていたはず……。

 

そのまま一夏に頼んだ覚えがある。

 

 

「私のために将冴が怒ってくれた。戦ってくれた。なんだかあったかいような……そんな感じがしたんだ」

 

「ラウラ……」

 

「……変な話をした。わ、私はもう少し寝る。将冴も休め。無茶したんだろう?」

 

「うん、そうする。おやすみ、ラウラ」

 

 

ラウラの頭をポンポンと撫でて、僕が寝ていたベッドに戻ろうと思ったけど、目が冴えてしまったし、口の中をすすぎたい。喉も渇いたし。

 

少し外に出るかな。

車椅子を出して座り、義足を拡張領域に戻した。

 

 

「うっ……結構、背筋とか痛いなぁ……」

 

 

車椅子の車輪を腕で回すのはかなり体が痛むから、思考制御で動かそう。

 

保健室の扉を開けると、目の前に人がいた。そこにいたのは……

 

 

「あ、クラリッサ……」

 

「将冴……将冴!」

 

 

ガバッと抱きつかれた。む、胸が……

 

 

「よかった……無事でよかった……」

 

 

無事とは言いがたいかもしれないほど体ががガタガタだけど……とりあえず、苦しい……。

 

 

「く、クラリッサ、ちょっと苦しい……」

 

「あ、す、すまない!」

 

 

すぐにクラリッサが離れる。

ああ、何度目だろう。抱きつかれて窒息しそうになるの……。

 

 

「もう大丈夫なのか?」

 

「一応。少し喉乾いたのと、口の中鉄臭いから、お水欲しくて」

 

「そうだ、将冴吐血したのだろう!?私が水を持ってくるから、ベッドで……」

 

「大丈夫だよ。これくらいは……」

 

「とてもそうは見えなかった。アリーナで倒れたお前の口の周りが血だらけだった時は心臓が止まりかけたぞ……」

 

 

ああ……そりゃ驚くか……。

 

 

「ごほん!」

 

 

突然咳払いする声が。

その声の方をみると、不機嫌そうな千冬さんがいた。

 

 

「ち、千冬さん……」

 

「織斑先生だ」

 

「いつから……」

 

「最初からだ」

 

 

全然気がつかなかった……。

 

 

「クラリッサ、ラウラから事情聴取を頼む」

 

「し、しかし……」

 

「クラリッサ」

 

「わ、わかりました!」

 

 

クラリッサは保健室に入って、ラウラが寝ているベッドに向かっていった。

 

 

「あ、ラウラ寝ているかも……」

 

「お前とクラリッサがそこで騒がしく話していたから起きているだろう。将冴、お前は指導室まで来てもらうぞ」

 

「わかりました……」

 

 

織斑先生、なんだか少し怖いんだけど……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

指導室まで連れてこられた。

ここには僕と織斑先生の2人だけだ。

 

 

「水を飲みたいんだったな。これを飲め」

 

 

織斑先生がペッドボトルの水を渡してくれた。これはありがたい。口をすすぎたかったけど……いいや、そのまま飲んでしまおう。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

水を一口飲む。

 

少しマシになったかな。

 

 

「さて、将冴」

 

「は、はい……」

 

 

明らかに怒っている織斑先生の声に、自然と背筋が伸びる。

 

 

「何故あんな無茶をした?」

 

「何故、と聞かれると返答に困ってしまうんですが……」

 

 

あの時は、怒りに身を任せていたというのが適切な例えかな。

 

 

「体が勝手に動いてしまったっていうのは理由になりませんかね……」

 

「なると思っているのか?」

 

「すいません……」

 

 

織斑先生は、はぁ、とため息ついた。

 

そりゃ呆れ果てるよね。でもこう答える以外にいい言葉が見つからないんだ。

 

 

「まぁ、今日のお前の様子は少し変だったからな……それでいい」

 

「え……いいんですか?」

 

 

まさかOKが出るとは思わなかった。

 

 

「だが……」

 

 

織斑先生が立ち上がり僕の隣まで来て、頭を撫で始めた。

 

これはいったい……

 

 

「無人機襲撃の時も行ったが、無茶をするな」

 

「すいません……」

 

「だが……よくやったな。ラウラを助けてくれてありがとう」

 

「いえ……僕も無我夢中でしたから……」

 

 

織斑先生が優しく褒めてくれる。滅多にないことなので、なんとも言えない気持ちになった。

 

 

「だが、相応の罰は受けてもらうぞ」

 

「それはもちろん。なんでも甘んじて受けます」

 

 

その時、織斑先生がものすごくいい顔をした。あんな顔、ほとんど見たことないんだけど……怖いんだけど……。

 

 

「ならば、奉仕活動をしてもらおうか」

 

「へ?」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「……事情聴取はこれで終わりです。お疲れ様でした、ラウラ隊長」

 

 

私……ラウラの事情聴取が終わり、クラリッサが調書のようなものに書き込みを終えた。

 

まぁ、話せることは、将冴に負けそうになった時に聞こえた声のことだけだが……。

 

将冴に助けられた時のことは……あまり関係ないと判断したので話さなかった。

 

あの、あったかい感じ……さっき将冴に頭を撫でられた時も……

 

 

「……ラウラ隊長?どうしたのですか、頭に手を当てて」

 

「え?あ、いや、なんでもない……」

 

「そうですか……?」

 

 

そうだ、今現在将冴に好意を寄せているクラリッサならわかるかもしれない。

 

 

「クラリッサ、聞きたいことがあるんだが」

 

「はい?なんでしょう」

 

「そのだな……」

 

 

将冴に対して、なんだか不思議な感じになることを話した。

 

すると、クラリッサはなにやらショックを受けたような顔をした。

 

 

「ら、ラウラ隊長……それは、もしかして将冴のことが異性として好きとかそういう……」

 

「いや、それはない」

 

 

いくら私でも、部下が好意を寄せている者にそんな感情は抱かない。そういうものではないのだ。

 

 

「では、どういう……」

 

「なんだろうな……一緒にいると安心するというか……気兼ねなく頼れるような大きな存在……というか……」

 

「なるほど……そういうことですか」

 

 

クラリッサが納得したような顔をする。今のでわかるのか?

 

 

「隊長。おそらく隊長は将冴のことを兄弟のように思っているのではないでしょうか」

 

「兄弟?」

 

「はい。異性として好きなわけではないけど、頼れる存在。それは家族……特に兄弟なんかは、そういうものだと思われます」

 

「そうなのか……」

 

「はい」

 

 

兄弟……か……。

 

と、その時保健室の扉が開かれる音がした。

 

 

「クラリッサ。ラウラの聴取は終わったか?」

 

 

入ってきたのは織斑先生だ。将冴の聴取をしているとクラリッサが言っていたが……。

 

 

「はい、もう終わりました」

 

「そうか。ラウラ」

 

「は、はい!」

 

「お前のISだが、損傷が激しいが予備パーツでなんとかなるようだ」

 

「え……ISはドイツに返すのでは……」

 

 

私の知らないところで組み込まれていたとはいえ、これは国際問題だ。ISと一緒に私もドイツに戻ると思っていたのだが……。

 

 

「ドイツ軍から、そのままIS学園において欲しいと言われたのだ。VTシステムを組み込んだのは軍の意向ではなく、何者かによるスパイ行為ということらしくてな。犯人が捕まるまで、ISは日本にあったほうが安心だということだ」

 

「そうですか……」

 

 

まだ、この学校に入れるのだな……。

 

 

「疲れているところに無理をさせてすまんな。もう休め」

 

「はい。そうさせていただきます」

 

「クラリッサ。ちょっとこい」

 

「はい」

 

 

織斑先生とクラリッサが保健室から出て行き、私はベッドに横になる。

 

 

「兄弟……か」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

織斑先生から罰だと言われ、なぜか指導室で待機させられた。

 

織斑先生は人を呼びに行くと言って、少し出て行き、しばらくすると戻ってきた。

 

なぜかクラリッサと山田先生を連れて……

 

 

「えっと……これはいったい……」

 

「実はな、今日は男子に大浴場を使わせるように調整していてな」

 

「大浴場を?」

 

 

そういえば、大浴場があるって言っていたな……。この体になってから、足を伸ばしてお風呂に入ることが少なくなったから、別に気にしていなかったんだけど……。

 

 

「しかし、一夏は今命令違反の罰として反省文を書かせていてな。デュノアに監督させているんだが、今日中に終わるものではない」

 

 

そういえば、一夏突っ込んでたな……VTシステムに。それの罰か。で、それが大浴場のことと何の関係が……。

 

 

「今日大浴場を使うのはお前だけだ」

 

「はぁ……」

 

「あとは、わかるな?」

 

 

織斑先生の悪巧みをしている顔。この顔は……ドイツにいた時に一度見たぞ。確かあれは、クラリッサも巻き込んで……。

 

 

「一緒に……大浴場?」

 

「わかってるではないか。行くぞ」

 

「いや、ちょ!?」

 

「今更恥ずかしがるな。最近までずっと一緒にシャワーを浴びていたではないか」

 

「クラリッサ、それは言わないでよ!」

 

「わ、私とも入りましたもんね!?」

 

「山田先生も言わないでください!」




満足←

お風呂の模様はR18の方にあげます。それにともない、明日は本編ではなく、R18の方を更新します。明日は本編お休みです。

直接的な性的描写が……あるかどうかわかりませんが、結構きわどいところまで書くかもしれないので。

シャルルの問題なんかは閑話ということで明後日書くつもりです。あと、裏で動いている人たちとかも書こうと思います。
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