IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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前回でこの章終わらせると書きましたが、シャルルの問題は同じ章じゃないとダメじゃん、と気付きましたので今回で本当にこの章ラストです。

今回は一応R18の続きですが、読んでいなくても大丈夫です。大浴場でなんやかんやあって、将冴君がのぼせてしまったことだけ、おさえておいてください。


81話

 

大浴場でのことがあった次の日。

さすがに僕も疲れていたのか、起きたら12時を回っていた。

 

今日は土曜日でよかった。確実に遅刻していたよ……。

 

でも、この時間まで寝てるとか……生活リズムが崩れそう。というより、クラリッサが起こしてくれてそうなものだけれど……。

 

クラリッサのベッドを見てみるけどもぬけの殻。はて、どこに行ったんだろう?とりあえず、義足をつけて……。

 

 

「あれ?」

 

 

机の上に紙が……なんか書いてある。

 

 

『将冴へ

緊急の職員会議が開かれることになったので、今日は留守にする。

将冴はゆっくり休んでくれ。

クラリッサ』

 

 

ふむ……職員会議か。まぁ、十中八九、昨日のことだろうね。

なんだろ……何か忘れているような……。

 

その時、僕の携帯が着信音を鳴らした。

電話か。相手は……束さん?

 

 

「もしもし?束さ『しょーくん、スペシネフ動かしたって本当!?』

 

 

耳がキーンとする。突然の大声量に僕もびっくりした。

 

 

「ああ、うん。なんか動いたみたいです。原因はわかんないけど……」

 

『ふーん……わかったよ。今度直接メンテナンスした時に調べてみるねぇ』

 

「お願いします。で、電話はスペシネフのことだけですか?」

 

『いや、まだあるよ。前に頼まれていた件について』

 

 

そうだ、VTシステムの件ですっかり忘れていたけど、束さんにデュノア社のことを頼んでいたんだった……。

 

 

『結果からいえば、全て上手くいったよ〜。会社の不正、社長夫人の横領、政府との繋がり……ぜーんぶ公開しちゃった。で、会社が弱まったところで、MARZ名義で全て吸収。これによって、MARZは名前だけの会社じゃなくなったわけだね』

 

「すいません、MARZの立場とか面倒なことに……」

 

『ううん、全然構わないよ。定期的お金が入るようになったしね〜。はした金だけど』

 

「はは……」

 

 

ISシェア3位の会社吸収して、そこから入るお金がはした金か……。

 

 

『そうそう。今後、外部と繋がりができることになるから、くーちゃんにリリン・プラジナーっていう偽名で外部取引をやってもらうことになったからね。MARZのことも、今後は束さんが関わっているってこと以外は話していいからね』

 

「はい、わかりました。何から何まですいません。あ、シャルルのことはどうなりました?」

 

『ああ、男装して学園に入った子?もう男装する必要はないかなぁ。元凶の社長夫人は、横領の容疑で捕まることになるし、会社の基本的なことは、社長に任せるつもりだし。あ、フランス政府は脅しておいたから、代表候補生云々のことはなにも言ってこないよ、安心してね』

 

 

どうやって脅したのかは聞かないでおこう……。

 

 

「それでは、シャルルはこのまま学園にいても……」

 

『問題なしだよ。ふふ、束さんにしては気が利いてるでしょ?今度会った時に、目一杯甘えさせてねー!』

 

「やることによりますが、できる限り答えます」

 

『やったー!しょーくん愛してる〜。それじゃ、束さんはちょっとやることあるから、そろそろ切るね。まったね〜!』

 

「はい。ありがとうございました」

 

 

通話が切れる。

束さんに何もかも頼ってしまったけど、どうにかなってよかった。

 

さて、シャルルに伝えに行こうかな。

いい時間だし、お昼も食べようかな。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

車椅子で一夏とシャルルの部屋まで来た僕は、とりあえずノックする。すると、ゆっくりと扉が開き、一夏が出てきた。

 

 

「おはよう一夏。あ、もうこんにちは、かな」

 

「そうだな。あ、とりあえず部屋の外でいいか?シャルルが電話してるんだ」

 

「電話?」

 

「ああ、母親らしい。なんか、デュノア社がいろいろ大変なことになったみたいで……あ」

 

 

一夏はそこで何かに気がついた。

 

 

「もしかして、お前がやったのか?」

 

「僕は束さんになんとかできないか頼んだだけだよ」

 

「あぁ……」

 

 

納得したような顔をする一夏。

ふむ、デュノア夫人が電話しているなら、僕もいろいろ言いたいことがあるな。

 

 

「ちょっと失礼するよ」

 

「お、おい、将冴?」

 

 

一夏を押し退け、部屋に入る。

 

シャルルはベッドに腰掛けて、電話をしている。僕に気がつき、困ったような苦笑いを浮かべた。

 

 

「シャルル、電話かして」

 

「え、将冴?」

 

「大丈夫。任せて」

 

「う、うん……」

 

 

シャルルから電話を受け取り、耳に当てた。

 

 

『あんたでしょ!?会社や私のことを世間に公表したのは!!おかげで会社はMARZとかいう会社に吸収されて、何もかもめちゃくちゃよ!ちょっと、聞いてるの!?これだから愛人の子は……』

 

 

イラッときた。

 

 

「どうもはじめまして、デュノア夫人。MARZの所属のテストパイロットをしています、柳川将冴と言います」

 

『はぁ?柳川って……二人しかいない男性操縦者の……あなた、MARZ所属だったの?じゃあ、あなたが私の会社を!」

 

「私の会社、ねぇ……」

 

 

全く、こういう人は大っ嫌いだ。

 

 

「お言葉ですが、名義上デュノア社の社長はアラン・デュノアとなっています。あなたはアランさんの奥さんというだけですよね?」

 

『あの人は何もできない人ですもの。あの会社は私が動かしていたの。だから、私の会社よ!』

 

「その結果が横領に不正取引ですか。随分といいご身分ですね」

 

『子供のあなたに何がわかるのよ!だいたい、男が会社のトップなんてやってる方がおかしいのよ!』

 

「あなたの考え方は知りませんが、男をそんなに見下していても、何にもいいことがありませんよ?」

 

『バカにしてる!?いいわ、全力であなたと、あなたの会社を潰してあげるわ!』

 

「あなたは今後そんなことはできませんよ」

 

『なんですって?』

 

「あなたがこれから行くのは刑務所です。もみ消すことはもう無理ですよ。世界中にあなたの横領や不正の情報が流れています。もう警察が来てるんじゃないんですか?」

 

『何を……』

 

「ではもう切りますね。あなたは、会社にはは関係ないですし、シャルルとも関係ありません。刑務所の中で、お元気に」

 

『ちょ、まちな』

 

 

デュノア夫人の声を遮る形で通話を切り、シャルルに携帯を返す。

 

 

「あー、すっきりした。電話、貸してくれてありがとうね。シャルル」

 

「それはいいんだけど……今の話は全部……」

 

「うん、本当のこと。シャルルは女の子としてIS学園で過ごしても大丈夫だよ。専用機もそのまま。あ、でもお父さんとは話しておいたほうがいいかもね。一応、お父さんも被害者だし」

 

「ありがとう、将冴……僕、なんてお礼言えば……」

 

「その気持ちだけで十分だよ。夫人でストレス発散したし。いやぁ、いい気味だね」

 

 

やっと全ての問題が片付いた。すっきりした。

 

 

「じゃあ、僕はお昼食べに行ってくるね。またね」

 

 

一夏とシャルルをそのまま置いて、僕は食堂に向かった。

 

 

「ねぇ、一夏……将冴って、かなり怖い?」

 

「あいつを怒らせないほうがいいぞ……下手したら千冬姉と同じくらい怖いから……」




シャルルの問題がこれで片付いた……ってことでいいのかな。


一番面倒ですよね。チートキャラの束さんがいなかったらどうなっていたか……。


さて、次から章が変わりまして臨海学校編。

……そこまで長くやるつもりはないですが、ナタルが登場ということで楽しみです。

ではまた
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