朝起きたら、将冴のベッドがもぬけの殻だった。今日は休日だから、まだ将冴は寝ている時間のはずだ。早く行く用事でもあったのだろうか……?
食堂が開いてる時間だ。多分朝食を食べに行ったのだろうか……。
急い支度をして、食堂へ向かう。すでに何人かの生徒が食事を取っていた。その中に、食器を下げる将冴の姿を見つけた。
「将冴!」
将冴の名前を呼ぶが、こちらをチラッと見ただけでそのまま食器を下げ、食堂から出て行こうとする。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、将冴。今日何かあったのか?あんまり早いから、起きてすぐに驚い……」
「もう話しかけないでくれるかな、クラリッサ」
「……え?」
今なんて……
将冴はそれだけ言って、車椅子を動かし始める。
「待ってくれ!どういうことだ、話しかけないでなんて……」
「そのまんまの意味だよ……」
「どうしてか聞いているんだ!私、何かしてしまったのか!?怒っているなら謝るから……」
「僕ね、好きな人ができたんだ」
「え?」
「その人と付き合うには、クラリッサと今後一切関わらないことが条件なんだ」
「そ、そんな……」
「わかったらどっかいってよ。僕はこれからデートなんだ」
将冴行ってしまう……好きな人?将冴に、そんな……。
「クラリッサ」
後ろから声をかけられる。振り返ると、そこには織斑先生がいた。
「お、織斑先生……」
「昨日頼んでおいた書類はできたか?」
「え……あれは来週までと……」
「バカ者が!あれは今日の午前中までだ!」
「そんな!?確かに来週と!」
「口答えするな。生徒指導室で片付けてこい。終わるまで出てくるな!」
「わ、分かりました……」
ーーーーーー
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「はぁ……」
生徒指導室に閉じ込められ、山のような書類を片付けていく。急げば、ギリギリ午前中で終わるだろうが……
「はぁ……」
ため息が止まらない。将冴に好きな人……はは、そうだ、将冴が私を選ばなかった。ただそれだけのことではないか……。
そうなる可能性だって、十分にありえたじゃないか……。
でも……それでも……
「やだ……やだよ……将冴……」
書類が涙で濡れる。
でも、涙が止まらないんだ。
「うっ……」
その時、生徒指導室の扉が開かれて、織斑先生と山田先生が入ってくる。
私は急いで涙を拭い、立ち上がった。
「すいません。書類はまだ……」
「ああ、いい。それをそのままにしてついてこい」
「え、でも……」
「ハルフォーフ先生、ついてきてください」
「……わかり、ました」
2人についていくことにする。
行き先はどこなんだろう。この先は……食堂の方だ。
「あの、私、何かしましたか?」
「いいから黙ってついてこい」
「は、はい!」
今は従うしかない……。
食堂の扉の前まで来ると、織斑先生と山田先生が立ち止まった。
「クラリッサ。開けろ」
扉を指差し指示する織斑先生。
山田先生、微笑を浮かべながら、扉を開けるように促した。
「分かりました……」
ゆっくりと扉を開ける。
その瞬間……
パッーン!
『クラリッサ先生、誕生日おめでとう!』
「え……え?」
これは一体……
「すまないな、クラリッサ」
「織斑先生?」
「生徒達が、お前の誕生日パーティーをしたいと言ってな。急遽開くことになったんだ」
「も、もしかして、さっきの書類は……」
「ああ、今日の午前中というのは嘘だ」
「そんな……」
本当に焦った……
「それともう一つ」
カラカラと、車椅子を動かして近づいてきたのは、将冴だった。
「将冴……」
「ごめん、朝に言った僕に話しかけないでっていうのはは嘘なんだ。クラスのみんなに言われて……」
「じゃあ、好きな人っていうのは……」
「ああ、ごめん。それは本当」
「そ、そうなのか……」
目頭が熱くなってきた……。
「クラリッサ、ちょっと失礼するよ」
「え?」
将冴が私の左手を掴み、ポケットから何かを取り出して、それを私の薬指にはめた。
「誕生日おめでとう。僕の好きな人」
「これ……」
綺麗な指輪が、薬指に……
「これで許してくれるかな……?」
「……だめだ」
まだ足りない……
「私を幸せにしてくれないと、許さない」
「うん……必ず幸せにするよ」
「将冴……」
そのまま将冴の唇を奪い、周りの人達が歓声をあげた。
タイトル、前書き、本文。
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エイプリルフールだったので突発的に。
やっつけ仕事なので、大目にみてください。