シャーレの決戦兵器   作:わんぱくフォックスですまない

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プロローグ
第1話 えっ、ここどこ?


眠っていたような、ぼやけていた意識が覚醒する――

 

意識が覚醒していくと同時周りではカシャカシャと何かが動き回るような音がする。まだ眠たい意識に鞭打って起き上がり、なぜ固く冷たい床で寝ているんだと寝ぼけた頭で回りを確認すると――

 

――銃のような武器を沢山こちらに向けた機械たちに囲まれていた

 

「えっあっ…え?」

 

 

 

混乱しながらも意識が覚醒してゆく。しかしあまりにも現実離れした光景に夢をまだ見ているんだともう一度寝る(現実逃避する)が生憎と現実さんは非情な性格だったらしい。

パンッと乾いた音が一つなる。お腹を撃たれた、そう理解するのに時間はそうかからなかった。

 

 

「い゛い゛っ゛た゛ぁ゛っ゛!!??」

 

 

間抜けそうな高い声があたりに響き渡る。同時に頭がさえ理解する、身の危険を。

痛みを感じると並行して恐怖と疑問が頭を埋め尽くし恥も外聞もなくのたうち回った。

しばらくのたうち回っているとカシャカシャガシャガシャと近づいてくる気配がする。

思わず顔を向けるが何か理解できないような、不思議がっているようなそんな気配?感情?をのぞかせていた。

 

 

「機械のくせに何そのなんだこいつみたいな雰囲気出して何なんだよぅ…痛い…死んじゃう…ううぅ…ん?」

 

 

―――血が出ていない。痣には確実になるだろうが先ほど撃たれたのはBB弾とかそういった類の所謂”おもちゃ”ではなく明らかに実弾だった。本物の銃なんて触ったことはないけどなんとなくの感覚でわかる。――本物だ――と。

しかしそうなるとお腹に当たったにもかかわらず痛いで済んでいる(・・・・・・・・)ということが混乱を加速させるが今はそれどころではない、とも思い直す。

逃げなければ殺されるかもしれない。今は訳ワカメと言わんばかりに固まって(フリーズして)いるがいつまた撃たれるかわかったものではない。

 

 

 

今は逃げなきゃ――そう思い立ち上がろうとするその時――

 

『おや、どうしましたか?何か不備でもありましたか?』

 

耳元で知らない男の声が聞こえた。

 

 

 

「えっ…だれ…どこ…!?」

耳元でささやくような声に驚きあたりを見回すもいるのは銃を構え固まっているロボットとドローンのみ。まさかこの機械がしゃべっているのかと思いジッと見つめる…

 

 

『これはこれは。そのような寂しいことをおっしゃらないでください。私ですよ、今はあなたの耳に装着されているはずの通信機から語りかけています。』

 

耳?触ってみると確かにそこにはイヤホンのような小さな機械がはまっていた。

どうやら寝起きドッキリでパニックになっていたため、気が付かなかったようだけどそれでも状況がわからない。

 

 

「あなたは…誰ですか…?ここは…どこ、ですか?」

 

何処の誰かもわからないが、言葉をしゃべるだけ目の前のロボットたちより幾分ましかと思い声をかけてみる。だが帰ってきた言葉はさらに混乱を生むものだった。なぜなら――

 

 

『おや…これは…今回の任務を忘れてしまった、そうおっしゃるのですね?』

 

質問に答えてはもらえなかった。それと同時何か失望されたような期待外れだったとでもいうような声色だ。少し寂しい気持ちだ…。

 

 

「ごめん…なさい…私、病院で寝ていたはずなんですけど、ここがどこかわからなくて」

 

理由はわからないが落胆させたのであろう男に謝る。記憶が正しければ私は病院のベットで誰かと話していた気がする。少なくともこんな生き物の気配すらしない工場のような、SFに出てきそうな空間にいた記憶も着た覚えもない。

拉致られた?なぜ?自分で言うのもなんだけど、こんな無価値な治療にお金だけかかる家族からすれば金食い虫である私を拉致して、得するような人でもいるのだろうか?そう少し気持ちを落ち込ませていると。

 

 

『なんと。まさか…いや…こんなことが。しかし…ふむ。』

 

唯一の会話相手は相変わらず会話のキャッチボールをしてくれない。一人、思考の渦に沈み何かを一生懸命考えているが目の前のロボットたちにそんなことは関係ないようだった。

 

 

「えっ、ちょちょ、ちょっとまって!!私何もしない!お願い攻撃しないで!?」

 

そう必死に命乞いをするが、ロボットは耳などないと言わんばかりに銃を乱射してきた。

慌てて逃げるも背中や足に何発も当たってしまう。だが、止まったら死ぬ――その再びこみあげてきた恐怖心が私の体を突き動かした。

幸い頭に当たることはなく通路の角を曲がり一時ばかりに平和を得ることに成功した。

 

 

 

「はぁっ!はぁっ!痛い!痛い!あぁ!もう、なんで!どうせベットの上でそう長くない時間たてばっ!誰も手を汚さなくたって、すぐにあの世に行くのにっ!わざわざ手を下さなくなって…!どうせ…!どうせ…!!」

 

私が何をしたのだろうか。神様は私に何か恨みでもあるのだろうか。

己の境遇や現在の状況に泣きわめき、現状をどうするか足の傷を見ながらまとまらない思考を何とかまとめ上げていると、現状何かを知っていそうな大人(悪魔)が話しかけてくる。

 

『ふむ。これは想定外でしたがせっかくの奇跡の産物、ここで捨てるのは少々もったいない。』

『貴女、()()()()()()()()、そう解釈しても構いませんか?』

 

 

「あたり…まえです…!!終わるにしたって!終わり方ってものが…あります!」

 

 

大人(悪魔)の声にようやく会話のキャッチボールができた、とどうでもいい思考を頭の隅に置きながら絶叫して答える。

私の人生は確かに残り少ないものだった。だが悔いてはいなかったし人生の終わり方も考え受け入れていたつもりだった。だがこんな終わり方…誰にも看取られず誰にも知られず寂しくどこの地とも知れない場所で終わるのは…絶対に嫌だ!

 

 

『では、そうですね。あなたが助かるかもしれない方法がありますが…どうしますか?』

 

「そんな方法…あるの!?いやだ…私はまだ生きていたい…!お願いします!助けてください!私は――」

 

『まぁそう焦らずに。大声を出してしまっては先ほどの者たちに気取られてしまいます。』

『それにあくまでも助かるかもしれない(………)、です。まぁ多分大丈夫とは思いますが、ノーリスクというわけにはいきません。それはご理解いただきたい。』

 

「――!!まぁ…そうですよね…この際…何でもいいです…教えてください。」

 

 

 

もともとないも同然の命だ。銃で撃たれて多少の出血で済んでいるのもおかしな話ではあるが、あれも撃たれ続ければいずれ死に至るだろうというのは直感でわかる。

なればこそ、現状右も左もわからないが、藁にも縋る気持ちで現状意思疎通可能そうな怪しい男にすがるのも仕方ないのだ。だってわからないのだから。

 

 

『ではそうですね。私が道をナビゲートします。多少撃たれて痛い思いはするかもしれませんがそこはこう…根性で耐えるか避けてください。でないと本当に死んでしまいますからね。』

 

なんかわかりやすい…ふんわりとした身も蓋もないようなことを言い出したけど――

 

「それしかない…なら仕方…ない…従う…から教えてください。」

 

『では。まず一つ目に貴女の肩にかかっている銃があるかと思います。撃ったことは?』

 

「ありま…せん…」

 

『わかりました。といってもそれは銃弾が出るものではないので照準もおおざっぱで大丈夫です。使い方はグリップにトリガーが二つあると思います。上のトリガーは人差し指で発射用のトリガーです。次に下のトリガー、これはチャージ用のトリガーで中指で使うことをお勧めします。」

 

 

 

言われてまじまじと銃?を眺めるとそこには説明どおりのトリガーが二つあり実にSFチックな見た目をしていた。

 

『30秒ほどチャージしたら通路から飛び出してできるだけ敵の中心を狙って発射用の上トリガーを引いてください。その際かなりの反動があると思いますが、打ち切るまでできるだけ耐えてください。』

 

 

言われた通り中指でトリガーを引いてみる。ゔぉーんという大きな機械音とともに稼働を開始したようだった。

その音を聞いてか通路のロボットたちの足が速くなるような音が聞こえる。見つかってしまったようだ。

 

 

「見つかった…!?やば…間に合うかな…こ、こわい…!」

 

『大丈夫です、落ち着いてください。あちらがこちらに到着するよりチャージのほうが早い。落ち着いてチャージしてしっかりとねらって撃てば大丈夫です。』

 

 

今はその言葉を信じるしかないと思い、カタカタと震えながらも腰を抜かさないように必死に耐える。そうこうしているうちに男がカウントダウンをしてくれる。

 

『――6、5、4、3、2、1、今です。』

 

「う、うわぁぁ!しにさらせぇぇ!!!」

 

 

 

半ばやけくそで飛び出て叫ぶ。ロボットたちは10メートルくらいの距離まで来ていた。

意外と近くて驚いた上にこちらは素人。あちらの方が構えてから撃つまでが圧倒的に早い。

撃たれる痛みこらえながら慎重に通路の真ん中に向け――トリガーを引いた。

 

何が飛び出るのかと思った次の瞬間

 

 

ドガァァァアアアアン!!

 

 

轟音と共に閃光…真っ白だった。

 

 

「うわぁぁぁ!!なんか出た!!眩しい!重い!!」

 

何とか反動を抑え、後ろに吹っ飛んでいかないようこらえて閃光と轟音が収まると凄まじい煙と余熱が残っていた。

 

 

「今のは…ビーム…?ってアッツい!!!」

 

 

思わず熱くなった銃から手を放す。あれだけの熱量を生み出したのだから当然と言えば当然だけど先に言ってくれてもよかったんじゃないか?と文句を言おうとしたが踏みとどまった私を誰か褒めてほしい。

 

 

『お見事です。付近の動的存在の消滅を確認。敵影確認できず。直近の危険を回避しました。』

 

銃を放り投げた後へたり込む。何あのとんでも兵器。なんで私こんなの持ってるの。私を拉致った人は何させたかったの。まるで分らない。

混乱するだけしていたところ声がかかる。

 

 

 

『腰を抜かしているところ申し訳ないのですが次に移りましょう。おそらく今の音を聞きつけ何かしらは接近を開始していると思います。移動しましょう。』

 

えぇ。まぁそうか、そうですよね!なんてやけくそに身を任せ立ち上がり銃を持ち上げる。

 

「それで…次はどこに…向かえばいいですか?」

 

『そうですね。そのまままっすぐ進んで突き当りを右に向かえば昇降機があると思います。それで下に向かってください。…そう不安がらないでください。道中のナビゲートはもちろんのこと、敵性存在の位置も教えますので。』

 

「…わかり…ました。とりあえず進み…ますね。」

 

 

そう言って指示された道を何の疑いもなく進んだ。

 

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