シャーレの決戦兵器   作:わんぱくフォックスですまない

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主人公ちゃんは魂と体の乖離が激しく上手く喋れません。話数が進むごとに魂の定着が進み、流ちょうに話せるようになっていきます。
具体的にはアビドス編後半から。


第2話 えっ、待ってうそでしょ?

だー!もうなに!どんだけわらわら出てくるの!?ゴ〇ブリなのかな!?進めば進むほどわらわらわらわらと!処理に慣れてきたとはいえ、どんだけ私を逃がしたくない(これ以上近づけさせたくない)の!?

被弾は減ったけど残弾(残弾の概念があるか不明だが)がわからないしなくなったらどうしようって不安がすごいんだけど!!

 

 

 

「あのっ…!目的地まであと…どのくらい…ですか!?」

 

 

たまらず通信機越しに何故か愉快そうな大人(悪魔)に尋ねる。

 

 

『クックックッ…そう焦らずとももうすぐですよ。直線距離にして後…200メートルくらいでしょうか。そこに鎮座しているであろう物体を破壊すれば晴れて脱出できるはずです。もうしばらくの辛抱です、頑張ってください。期待していますよ。』

 

 

 

鎮座している物体って…出口の扉かな…なんか堅そうなイメージの湧く言い方するのが少々気になるけど今更だ。まだ死にたくないから信じて進むしかない。

頑張って進むものの如何せん多すぎる。角に隠れてチャージして飛び出してぶっ放すを繰り返すにしても、敵の出てくるスピードと私のチャージ時間がだんだん拮抗し始めてジリ貧になりつつある。

 

 

「このまま…じゃ…ジリ貧に…なります…何かいい、手段…ありませんか…?」

 

 

状況打破のため意見を聞いてみると、意外にも策があったようで特に悩むそぶりもなく口にしてきた。

 

 

『ふむ。そうですね。確かにこのままだと進まないのも事実。切り札を切らねばならないようですね。貴女にもわかりやすく伝えるのなら必殺技を撃ちましょうか。』

 

「必殺…ですか…?なに…かすごい必殺持って…いるんですか?」

 

 

 

この見知らぬ(悪魔)は何かすごい力でも持っているのだろうか?持っていたのなら早く使ってほしい。このままではいずれ押し返されちゃうから。

 

『いえ、使うのは貴女です。私は力のない学者のようなもの、戦闘力なんて皆無ですから。』

 

「えっ…私…?私何も…できない…ですよ?」

 

 

 

何を言っているのだろうか。昨日まで病院のベットで寝ていた人間に何ができようか。

せいぜいが深夜の病院で起こる怪奇現象や、入院しているジジババの珍百景を語る程度しかできない。匍匐前進しながら看護師の目を盗み、脱走しようとするのは流石に笑った。

 

 

『大丈夫です。あなたの身体にはその力があります。究極の神秘の具現ともいえる力が。』

 

「しん…ぴ?宗教…ですか?」

 

『ククッ…いいですねこの純粋な魂。再現性があればよいのですが。おっと失礼しました。神秘、そうです。貴女のその身体には神秘という力がある。それを使います。もっとも最後の目的地でも使いますがね、クックック。』

 

 

なんだかよくわからないけど秘められた力?が今の私にはあるらしい。どこの異世界転生ものだろうか。私は間違って殺してしまいましたー、なんてDOGEZAする女神さまになんて会っていないぞ。こんな余命数か月の身体では命を燃やせ―、みたいなことも…ってうん…?そういえば髪の毛があるね。私の記憶では末期だったために、そんな女の命ともいえるものは当の昔に無くなっていたというのに今はある…あるぇ?

 

 

「えっ…本当に転生…?した…?」

 

『情報が不確かなうえにデータが少なすぎますので確定はできませんが、貴女はもしかしたらここではない、何処か別のところから来たかもしれませんね。』

 

 

うそん。いや、まぁそうですよね。いくら私が世間知らずで外の世界を知らなかったとしても、銃弾に撃たれて多少の出血で済んでいる人間がどこにいるって話。そうなってくると…

 

 

 

「ココハドーコ、ワタシハダーレ?」

 

『ククッ貴女は意外と愉快な人のようだ。ええ。もちろん。貴女の名前もここがどこかも私は知っています。知りたいですか?』

 

 

名前も知っている…?何者なんでしょう気味が悪いですね。ストーカーの類でしょうか?こうやって通信していますが実は興奮している変態なのかもしれない、そう思うと寒気がする。

いや、異世界転生で一番最初に言葉を交わしてチュートリアル的な説明を受けているということは神様(悪い大人)かな?どちらにせよ今はすがるしかないんですけど。

 

 

 

『何かあらぬ疑いがかけられた様な気がしますが今はいいでしょう。ではまず場所から。』

『ここは忘れられた神々の都、神秘が集う街”キヴォトス”貴女はそこで生を受けた』

 

 

えっ神々?ここ神様がいるってこと?神話の時代かな…神様のいる世界線なのに手元にある銃といい、眼前のロボット群といい雰囲気も何もない真逆のSF世界といわれた方がしっくりくる気がするけど…。

 

 

『そして貴女、この場合はその肉体の名前。貴女の天使の名前はわかりませんがその肉体が生まれたときについた名前はわかります。』

『貴女の名前は”百合園 サエカ”さんです。良ければ今後もその名前を使ってくださるとうれしいですね。』

 

「百合園…サエカ…苗字は違…うけど名前…は一緒…なんだね。」

「折角だ…し…その苗字…有難く…使わせて…もらいます。」

 

 

これは偶然だろうか?私の名前も同じだった。特に理由もないし偽名を語るよりもいいからそのまま名乗ろう。

 

 

 

『おや、そんな偶然もあるんですね。いや、だからこそ…?いえ。今はそんなことを考えている場合ではありませんでしたね、話を戻しましょう。』

『先ほどの必殺の話ですが、貴女の場合その神秘の大多数は”眼”に宿っています。こちらは本命の切り札ですので、最後の目標物を破壊するときまで、今は眼を開かないでください。』

 

 

眼を開かないでください?何を言っているのだろう、今もこうして私は周りを見れている。目を閉じていたら真っ暗で何も見えないだろうに、いきなり何を言い出すのだろう。

まるで私の目に何かついて―――何かアイマスクみたいな目隠しのような物で覆われてる。

えっ待って怖い、確かに目は閉じてた。なんで見れているの?

 

 

『…そのアイマスクは貴女の神秘を抑制すると同時に、視界を電気信号としてあなたの脳内に直接送るものです。興味本位で外すのはあまりオススメしません。』

 

 

謎の技術に戸惑っているととんでもない爆弾発言をされた。脳内に!?私の頭の中に何か入ってる!?爆弾とかも入っているのだろうか…余計なところでテンパるようになってしまった。

 

 

『話を戻します。最終奥義たる貴女の開眼は最後にして、今は小出しにできる必殺技…といってもその銃の強化に神秘のエネルギーを使います。』

『その銃の名前は”プチカタストロフ”…ああ、いえ。私が名を与えたわけではありません。これは貴女がつけた名前ですのであしからず。』

『先ほどからやっているチャージに力を注ぎこむようなイメージで充填してみてください。私には神秘がありませんので教えることはできませんが、貴女はそうおっしゃっていました。』

 

何かいろいろ気になることが多いけど、今は目の前のロボット群をどうにかするのが先…なんとなく集中して気を流し込むようなイメージだろうか?まずは集中して…アッできそう。

 

 

 

『そのまま5秒ほどのチャージで放ってみてください。うまくいっていればそれが必殺技になるかもしれません。』

 

 

溜めて溜めて…えっ5秒くらいでいいの!?30秒さっきと同じようにためるつもりだったから驚いた。そんなもんでいいのかぁ…じゃあ撃っちゃお☆

ボールを相手のゴールにシュゥゥゥーッ!!超!エキサイティン!!

 

 

轟音―――先ほどは赤っぽい色だったものが今度は紫っぽい色のビームが出る。

 

 

結果から言えば連射がある程度きいて威力も両立できるってことらしい。あとなんだろう、ちょっと疲れる…

 

 

 

『お見事です。一発で成功するとは。流石ですねそれをうまく使って進みましょう。もちろん使い過ぎは控えてくださいね。』

 

 

確かにこれは疲れるから乱発は控えたいところ。うまく使って押し返そう。

そうこうしながら進み―――

 

 

『あれが最終目標の物体です。名をケセド。パスは”権力を通じて動作する慈悲”あれを破壊…するのは難しいでしょうから戦闘不能、及び沈黙させることができれば撤退できます。そのためにはまずは―――』

 

 

先手必勝神秘砲(勝手に命名)発射ァ!オルァ!ワルイゴハイネガー!!

 

 

ドガァァァアアアアン!!

 

 

凄まじい轟音と共に発射されてビーム砲は寸分違わず球体の中心に命中…ビューティフォー。

これで終わり、なんて楽観的になっていたところ。

 

 

『まだです。目標物の活動は停止していません、以前健在です。』

 

 

えっそんなことある?あれ食らって故障どころか傷一つないの?やだ、相手の装甲硬すぎ…?

 

 

『ふむ…この装甲、とても外側から突破しえるものではありませんね。かの砂漠の大蛇ビナーよりもよほど硬い外骨格。この牙城を崩すための手段はいくつか考えられますが、如何せん貴女は持久戦が苦手な戦闘スタイル。ここはやり当初予定していた方法で崩してしまいましょう。』

 

 

オアァァー!今ので怒ったかのように四方八方からわらわらとロボットの大群がカサカサと!!

私のそばに近寄るなああーーーッ!!

やばいやばい!このままじゃ袋叩きの集団リンチ(精一杯の可愛い表現)されてしまう!!

 

 

「な、なんでもいい…ので!は、はやく…方法を!おし…えてください!」

 

 

『そうですね。このまま貴重な()()()を失うわけにはいきませんから手短に。』

『簡単です。―――アイマスクを取って敵を見てくださいそれで―――』

 

 

ああ、そういえばさっき目に神秘がーとか、究極必殺ーみたいなこと言ってましたっけ。

それがわかれば早い、おーぷんざぷらーいす!

私は視界を確保するため最後まで聞く前にその視界を妨げるものを外す。外してしまった。

今思えば、最後まで聞くべきだったと後悔することになるとはこの時の私は考えていなかった。

 

 

 

 

―――視界が真っ赤に染まったあと私の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

立ち入り禁止区域での戦闘音が聞こえるというので来てみたら…あら?

 

誰か倒れています!FOX小隊の皆さん!要救助者です!

 

あなたは…いったい…

 

 

 

誰かの叫び声によって意識が少しだけ浮上したがうまく聞き取れない。そして疲れた。

もう少しだけ休んでいてもバチは当たらない。そう思い浮上しかけた意識をもう一度沈ませた。

 

 

 


 

 

 

それから1か月後。私を見つけて世話を焼いてくれた連邦生徒会長は失踪した。

 

 

 

「あの、リンさん。カイチョー、最近、みません、けど私はだ、れの指示で仕事、をすれば、よいの、でしょうか?」

 

 

私は連邦生徒会長(カイチョー)に保護され神秘の何たるかを学びつつ、仕事の手伝いをして生活費を稼いでいたのだが肝心の保護者(連邦生徒会長)が最近行方不明なため掃除などの雑務しかできていないのだ。

お役御免で生活費が危なくなってもまぁ…行く当てはあるので大丈夫だけどなんというか肩身が狭い思いをしそうで今はまだ避けたいところ。

なのでできれば連邦生徒会からお仕事をもらいたいけど、私に仕事を振る人間がいないため宙ぶらりんな状態なのだ。

 

たまにサボるのは確かに気分がいいし、できればくっちゃねして生きていたいという自堕落さは確かにある。あるのだが皆くそ忙しくて死にそうな顔(特にリンさん)している中で堂々と暇ですという顔はできないのだ。だって日本人だもの。あの殺人鬼のような目線が怖いんですもの(本音)。

 

 

「そうですね。正直猫の手も借りたい状況で手伝ってほしい仕事は山のようにあるのですが、連邦生徒会長が残していった置手紙の中に今後についての記載がありましたのでそちらの業務についていただく形になると思います。」

 

「ひぇ…左遷でしょうか…?書類仕事でも掃、除でも戦闘、でも何でもし、ますのでどうか、ブラックマー、ケットとゲヘ、ナとトリ、ニティだけはご、勘弁を!」

 

「左遷なんてしません――といいたいところですがどうなのでしょうか…異動になる、というのはあっていますが…というかブラックマーケットや治安の悪いゲヘナはともかく、トリニティもですか…早く顔を見せに行かないとさらに会いづらくなると思いますよ。」

 

 

 

そうなのだ。どうやら私、百合園サエカには姉がいるらしいのだ。らしい、というのは私はこの体の過去を知らない。連邦生徒会長(カイチョー)曰く凡そ3年前くらいに私は行方不明になっていたらしい。

それにひどく動揺した百合園セイアという姉が、持てる手段をすべて使い捜索していたというのだ。だがなかなか見つからず、目撃証言も集まらずで捜索は難航、本人の体の弱さの影響もあって余計に体調を崩し自分で捜索することもかなわず、ひどく落ち込んでいたのだとか。

 

 

無事に日の当たるところに帰って来たのだから元気な姿を見せに帰りなよ、なんてふつうは思うだろう。私だって第三者ならそう言う。

だが私には前述した通り姉の記憶なんて一ミリもない。

そんな状態でどんなツラして会いに行けばよいというのだ。オマエノキオクネェカラ!なんて知った日にはそれこそどうにかなってしまうのではないかなんて思うのも仕方ないだろうと思う。

それに…私は元の体の子がどういう子だったのかよく知らない。見方によれば私がこの子を奪ってしまったとも言えるのだから。

それはきっと残酷な上にとても寂しいことで、心配してくれている人たちに失礼だから。

 

 

 

「それ、はまた今度、に。そんなこと、よりもやっぱり、異動は、ある、んですね…」

 

「そんなことって…はぁ。まぁトリニティ総合学園のティーパーティから要求が凄まじいくらいで、後でひどい目に合うのは貴女なので私からはこれ以上は何も。それと異動先ですが”連邦捜査部シャーレ”というところに移ってもらいます。そこで連邦生徒会長が直々にスカウトした先生がいらっしゃるのでその補佐をするように、とのことでした。」

 

「ひどいめ、にあうんで、すか…やだ、なぁ。それと先生?ってどん、な人、なんですか?」

 

「わかりません。どのような方なのか一切情報がなく…まったく、会長の思い付きには困ったものです―――とにかくあと数日後にはいらっしゃるので荷物の移動などの準備をお願いします。」

 

 

 

具体的にどんな仕事をするかも決まっていないらしいがそうせよというからにはそのようにしますか。

そして数日後予定通り件の先生が来たのだった。




ティーパーティはサエカが保護されたが返さない姿勢であると知って、少々苛烈なくらいの抗議文を結構な頻度で送り付けています。連邦生徒会長はいまだ不安定なため彼女の体調面や精神面を考え落ち着くまで待ちましょうと返しているが、失踪してしまったため対応はリンちゃんになっている
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