「うーん、やっぱり心配。お姉ちゃん、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫の意味を確認……状態が悪くなく問題が発生していない状況の事と推定、肯定します。」
「いやいや、肯定できないって!こんな口調じゃおかしいの絶対バレるって!!」
うーん、残当。会話できるのはいいが会話の仕方が完全に「機械」のそれだ。
会話できるだけマシかもしれないが、なまじ見た目が生徒そのものなので違和感が大きい。
機械……AIか?もし学習機能があるのなら人を模倣し、上手く会話するようにできないだろうか?
でも、どうやって教えようか?普通の子供ならある程度は親を見て、勝手に学習するものだが今回そんな時間はないし、そもそも素直に言うことを聞くのだろうかという疑問もある。
廃墟で起動?した時には「敵対意思」という言葉を使った。つまりは「敵意」を見せることがあり、直接の害を出す可能性があるということ。個人的にはリスクが過ぎる。
姉妹の言い合いは一旦様子見をするということで落ち着き、正式に生徒として偽装するための手段を考えることになった。
「服はこれで良しっと。あとは武器と、学生証かな?学生証の方は私がなんとかしてみるから、その間に話し方を教えてあげて!」
「や、やれるだけやってみるね……。」
「まかせた!じゃあ行ってくるね!」
そう言い残し、言うが早いか部室を駆け出していくモモイさん。残された私たちはというと、アリスさんをジッと見つめてこれといった妙案もなく、時間ばかり経過する何とも言えない空間だけができた。
覚え始めれば早いのだろうけど、その「きっかけ」をどうするかが問題なんだよなぁ多分。
「うーん、話し方って言っても…どうやって覚えるんだろ。普通は動画を見たり、周りの言葉を真似していくうちに勝手に覚える、って感じだと思うけど……子供用の教育プログラムで何とかならないかな?」
「正体不明の物体を発見。確認を開始します。」
私たちの悩みをよそに、好奇心の赴くまま次々と色んなものを手に取り目を通していくアリスさん。その中であるパッケージのソフトを手に取る。
すると閃きがあったのかミドリさんがそのパッケージの正体を明かす。
「あっそれは。うーん、でも案外いいのかも?」
「クソゲーランキングで一位になっちゃったけど、アリスちゃんがどう思うか分からないし、何か進展があるかもしれないからやってみる?私たちの作った「テイルズ・サガ・クロニクル」」
なるほど、ゲームプレイかぁ。ミドリさんも考えたな。
RPGの都合上会話パートがあるし、そこで学習させるというのは案外理にかなっているのかもしれない。私も個人的に興味がある。
「……状況と意図の把握はできかねます。ですが内容の確認のため、アリスはゲームをします。」
「私も興味があります。ゲームというものを見てみたいです。」
「ほんと!?ちょっと待ってて!すぐできるようにセッティングするから!」
嬉しそうにミドリさんはゲーム機のセットを開始する。へぇ、ゲーム機って手でもってゲームするものだけじゃないんだ。てっきりゲームといえばPS〇やD〇、少し古いものだとゲーム〇ーイとか。あとは先生がやっているらしいスマホでのゲームとかもあったね。ディスプレイにつなげるタイプは初めて見た。……なんだかワクワクするね。
「よし、準備完了!」
「……アリス、ゲームを開始します。」
「タイトルからもわかる通り、このゲームは童話テイストで王道なファンタジーRPGなの。」
「もちろん王道といっても、色々な要素を混ぜて、新しすぎでもなく、古すぎにもならない私たちなりの新しい展開にしてみたんだ。」
【コスモス世紀2354年、人類は劫火の炎に包まれた……】
【チュートリアルを開始します。】
【まずはBボタンを押して、目の前の装備を装着してください。】
「アリスはボタンを押します。」
ドカン!
私とアリスさんはそろって首をかしげる。アリスさんは画面の操作指示に倣って、Bボタンを押しただけだ。もしかして壊れてしまったのだろうか?もしそうなら居た堪れない。
すると時間差で【GAME OVER】の文字が。その文字を認識した私たちは理解ができずフリーズしてしまう。
「あはははは!予想できる展開ほどつまらないものは無いよね!そこは指示通りのBボタンじゃなくて本当はAボタンを押さないといけないの!」
私とアリスさんがいつまでも情報が完結しない謎の領域の餌食になっていると、モモイさんがいつの間にか帰ってきていたらしく、実に楽しそうな顔で解説をする。
????ネタバラシをされても理解が追い付かない。これがゲームか。未知を楽しむのがゲームの醍醐味ということだね?私は
「あれ、お姉ちゃん?学生証を作りに行ったんじゃなかったの?」
「行ったけど時間が遅すぎて誰もいなかった!だからまた明日かな。」
「再開します。現在、口頭では説明不可能な感情が発生しています。」
私はいまだ再起動ができていない中、アリスさんは辛うじて復帰できたらしく、再挑戦を開始する。ぶっちゃけ私も現在の感情を理解できていないが、強いて言うなら「困惑」と「興味」だろうか。
【武器を装備しました】
「お、いいね。確かそのまま進むと確か―――」
【エンカウントが発生しました!】
【野生のプニプニが現れた!】
「次はAボタンを押してみて!」
「理解。必殺技を確認。行きます、秘剣!ツバメg」
【ッダーン!】
【攻撃が命中、即死しました。】
【GAME OVER】
??????しまった。このゲーム?は遊戯するためのものでなく高等な罠だ。
始めてしまったが最後、一生情報が完結せずに次の理解不能が襲い掛かる永久機関だ!
いやしかし、ド素人もド素人の私がレベル不足なだけかもしれない。自分の能力不足を棚に上げて脳が理解を拒むなどあってはならない!もしかしたら世のゲーマーなる人たちはこれを処理できるだけの脳の回転速度があるかもしれないし、諦めるのはまだ早い!きっとこれがゲームなのだ!
私は
「思考停止。電算処理が追いつきません。リブートを開始……成功しました。次は敵の射程範囲を把握しながら戦闘を開始します。」
「そうそれ!それなんだよ!諦めずに試行錯誤して解決策を見つける!これこそゲームの醍醐味だよね!!」
そうなのか。なら私の成長はおそらく間違っていない。まさか趣味の範囲のものであると思っていたのに、諦めない大切さを説かれることになるとは。これが俗にいう脳トレゲームというやつなんだな。私は
私は致命的なエラーに気が付かないまま、最初の綻びによってさらにバグをため込んでいく。
そしてそれはアリスさんも同じだったようで、二人してエラーを重ねなにも理解できないままTSCをクリアしたのだった。
「エラー発生…エラー発生…リブートを開始します……失敗。プロセスの再開を確認できません。」
「ブートループが止まりません。あ、あ、こ、ろ、し、て‥‥‥‥。」
「すごい!こんなに早くクリアできるなんて!才能あるよ!」
「それもそうだけど、なんかゲームが進めば進むほど、アリスちゃんの話し方が多彩になってきてない?」
「勇者よ、汝が求めるのならば私はそれに同意しよう。」
「くぁwせdrftgyふじこ」
「うーん確かに。アリスは成長したような気がするけど、サエカにはちょっと早かったかな?」
「早かったとかじゃなくてSANチェックに失敗してない?大丈夫かな……。」
「ところでその…聞きづらいんだけど、私たちのゲーム。どうだったかな?よかったら感想が聞きたいなって。」
「面白さ、明確に存在。物語を進めれば進めるほど、別の世界にいるような、夢を見ているようなそんな気分に。」
「そんな夢に……もう一度……。」
感想を言葉にしながら感情がオーバーフローを起こしたのか、その目元から光るものが溢れる。
その現象も理解できずにアリスさんは止まってしまう。初めて溢れた感情をかみしめる様に、大事な記憶の宝物としてしまっておけるように、静かに。
そこでロッカーの一つがひとりでに開くのを私は目撃し、その怪奇現象に再起動を果たす。
しかしポルターガイストなどの現象ではなく、開いたロッカーから一人の少女が姿を現した。
いつから隠れていたんだ!?まるで気配に気が付かなかった…。
「あ、ありがとう……。面白いって、言ってくれて。もう一度って言ってくれて。」
「わ、私はそんな言葉を……聞きたかった。だから、あ、ありがとう。」
「アリスは初めてだよね!この人がゲーム開発部の部長、ユズだよ!」
「よろしくね、アリスちゃん。」
「よろしく…?理解しました。ユズが仲間になりました!パンパカパーン!」
「よ、よかったら他にも、面白いゲーム……あるから……ど、どうかな?」
「はいはーい!!私もおすすめのゲームがあるよ!!」
「お姉ちゃんのおすすめは初心者には難易度が高いよ!ここは簡単なものから―――」
「いやいや最初は―――」
ゲーム開発部の3人で次に何をやるかで争う。ただそこには剣呑さは一切なく、純粋にオススメしたい、楽しさを知ってほしいといった笑顔のものだった。先ほどのゲームは理解するのが難しかったが、彼女たちがここまでアリスさんにオススメしているのを見ると、私の理解力が足りなかっただけで彼女たちをここまで熱狂させる理由を知りたいと、その輪に混ざりたいと思ってしまえる。
結局アリスさんはオススメされたものを片っ端からプレイしていくという沼りをみせ、時に初心者同士、私と対戦したりして夜が更けていくのだった。
「ん……えっ、もう朝!?しまった寝落ちしちゃった!!」
「気が付いたか。無事で何よりだ、必滅者よ。」
おっと、ミドリさんが起きたようだ。ん……?朝じゃん。ちゅんちゅんいってるじゃん。まじ?集中しすぎて時間を忘れてたよ。これが俗にいう「朝チュン」か?
っていうか気が付いたらモモイさんも先生もいないし、私職務放棄して遊び惚けてただけじゃん、やっべぇ。しかもなんかアリスさんの喋り方が変な方向に進化してるし。やらかしたかこれ?
そこで丁度よくモモイさんが部室に入ってくる。手には学生証が。
「おはよう皆!はい、アリスにプレゼントだよ!」
「……?アリスは謎のカードを手に入れました!」
「おっ、話し方がだいぶ洗練されてきたね。これは学生証だよ。これはミレニアムの生徒っていう証明書で正式に私達の仲間ってことだよ!」
「仲間……パンパカパーン!アリスが仲間としてパーティに参加しました!」
「お姉ちゃんにしては随分手際いいね……一応聞くけどそれ、どこで手に入れたの?」
「ヴェリタスにハッキ―――頼んで。」
”正式な書類の方は私の方で作らせてもらったから、後からになるけどちゃんとした生徒として登録もされているから安心してね。”
うぉ!?どっから湧いて出やがったこの妖怪!?まるで気配がしなかった。というか一晩シャワーも着替えもしてないから匂い大丈夫かな……。
私とミドリさん、ユズさんは同じことを思ったようで、自分の服の匂いをスンスンと嗅ぐのだった。
「さて、学生証も話し方も大体何とかなったし、次は武器だね!アリス!せっかくだから案内してあげるよ!」
「ここ、キヴォトスの生徒はみんな自分に合った武器を持っているの。だからアリスも武器を持たないとね!そこで丁度いい所があるんだ!」
ミレニアムで武器の調達できる場所は沢山ある。だが、さほど金銭的に余裕のありそうな状態に見えないモモイさんにとって、いい場所とはいったい?
いや、なんとなくわかるかもしれない。金銭的な目的の為ではなく、「ただ楽しいから」というだけの理由で、様々な武器を作り出しているロマン信者を私は良く知っている。まさか……。
「やぁ、久しぶりだね。新しいお友達に囲まれて青春を謳歌しているようで何よりだ。先生も先日の指揮には驚かされたよ。」
「それで、モモイから話は聞いているよ。新しいお友達により良い武器を。ということだったね。そこで私達エンジニア部を最初に訪れるのは良い判断だと思うよ。」
やはりエンジニア部だったかぁ。ミレニアムの誇るマイスターでロマンを追い求める者。
私の装備を整備し魔改造する部活の長である白石ウタハさんだ。
腕前も人柄もどこをとっても非のない人物ではあるのだが、遊びに来てちょっと目を離すと、私の装備に何かしら追加されているのは切実にやめてほしい所。なんだ、余剰エネルギーで稼働する冷蔵庫って。
「そちらの方に私たちの作った作品が置いてある。そこにある物だったらどれを持って行っても構わないよ。」
それを聞いてアリスさんではなく、モモイさんのテンションが上がる。早速といわんばかりにあれやこれやと持ち出して試していて実に楽しそうだった。あれ、これアリスさんの武器探しだよね?
「やぁ、君がモモイたちの新しいお友達のアリスって子かな…?見た感じ、銃器の扱いに慣れていなさそうだし、初心者向けの拳銃…。これなんてオススメだよ。」
そう言っておくから拳銃を持ってきたのは同じくエンジニア部の猫塚ヒビキさんだ。
その手に握られている拳銃はいたって普通のものに見えるが、侮ることなかれ。ここはミレニアムのびっくり箱が集まる場所。拳銃の形をした手榴弾とか言われても驚かないぞ。
「拳銃?見た感じ普通の拳銃に見えるけどもしかして何かついてる?」
「ふふ、この拳銃はね…、キヴォトス初の機能、「Bluetooth」が付いているんだ。おまけに電子決済も可能でね…。これ一つで戦闘もできて、音楽も聴けて…お財布にもなっちゃう…。」
「こ、これで支払するの…?コンビニのレジでいきなりこれ出したら、びっくりしちゃうよ!」
ううん、予想の斜め上だった。まるで戦闘に関係ない機能だったわ。まぁ、予想の範疇のものを作るだけならマイスターなんて名乗れない。愛すべき馬鹿とはこうゆう人たちの事を言うのだろう。基本的に魔の手が自分に伸びなければ、実に愉快な人たちなのだから憎めない。
しかしオススメを受けたアリスさんはその拳銃に興味を示さず、別のものに目を奪われていた。
「ふっふっふ。お客さん、お目が高いですね!コレの説明が必要ですか?それならこのエンジニア部マイスター、豊見コトリにお任せを!」
「コトリちゃん久しぶり。この大砲?武器?は何かな?アリスちゃんすごい興味津々だけど…。」
「良い質問ですね!これはですね、エンジニア部の下半期の予算、凡そ70%ほどかけて制作された、私たちエンジニア部の意地!サエカの”プチカタストロフ”を私達なりに再現した兵器……その名も宇宙戦艦搭載用レールガン「光の剣:スーパー・ノヴァV2」です!」
「う、宇宙戦艦!?とんでもないものを作ってるんだね……!?」
「はい!これはその名の通り、地上だけではなく宇宙空間の真空状態や、水中などの過酷な環境下でも一切のエネルギー損失なく撃ち出すことのできる兵器です!ただ、本体である宇宙戦艦の方は予算不足で作れず……主砲だけ出来上がってしまいました。」
「計画段階で大体の製作費用とかわかることじゃん!どうして頑張っちゃったのさ!?」
「愚門だね、モモイ。ビーム砲はロマンだからだよ。」
「このロマンが分からないなんて、これだからモモイは。」
”そのロマン分かる”
エンジニア部の3人が揃って、うんうんと頷いている。ロマンを否定する気はないけど、明らかにアホすぎである。でもそのロマンの果てに生まれる、副次的な結果が意外と馬鹿にできないんだよなぁ。あと先生は黙っててください。
「馬鹿だ!頭良いのに馬鹿の集団がいる!!」
馬鹿と天才は紙一重って言うんだよモモイさん‥‥。いや間違いなく天才の部類何だろうけども。
「それにコトリがさっき言ったように、これは私たちの意地の固まりでもあるんだ。原動力にロマンがあったことは否定しないが、私たちにとって理解不能なテクノロジーをまざまざと見せつけられて、はいそうですかとは引き下がれなくてね。」
「完全な再現をするには動力そのものがどうしても作れなくて、代わりの苦肉の策として別のアプローチとして作ってみたんだ。」
ほえー、そうなんだ。以前面白いものを作っているようなことを言っていたけど、もしかしてこれの事かな?おそらくキヴォトスの技術者として最高峰の3人が再現できない技術が使われているって実は黒服さん、相当メカニックに強かったりするのかな?今度会ったら聞いてみよ。
「詳しく説明するとですね!サエカのプチカタストロフは電力を動力部に流し、そこで莫大なエネルギーに増幅させてから、圧縮と集束を繰り返してエネルギーに指向性を持たせ、一点から高エネルギーを発射するものなのですが、その増幅させる機関が永久機関のようなものでして、自壊しないように都度停止させる必要のある、現代においての到達点ともいえる技術が使われています!」
「その永久機関がどうしても再現できず、圧縮と集束を繰り返す装置も作れなくはないのですが、それもコンパクトにできずで詰まりに詰まったのです。ですがこの手のロマン砲を作れないのは、エンジニア部のマイスターとして沽券にかかわるということで、別の方法……つまり粒子砲が作れないので電子砲を作って同じ威力を出そう、ということで出来たのが初代スーパーノヴァです!」
「しかしただのレールガンでは、苦肉の策として生まれたプチカタストロフの劣化模造品になります。なので私たちはそこにさらなる改造をし、出力を上げながら、プチカタストロフの弱点でもある継続使用もとい、長時間の戦闘に耐えられるエネルギー効率を実現しました!」
「具体的には、サエカが装備できるだけの最大バッテリー量ではマックスチャージで凡そ15発が限度なのに対し、このスーパー・ノヴァV2は一度の充電で100発の発射が可能となっています!」
はぇー、そうなんだ。って言うかやっぱり説明が長いよぉ。
それに15発が限度っていうけど実際持ち歩いてる普段のバッテリー量だと半分程度の8発前後しか撃てないから相当な差別化ができている。
そしてこの説明を聞いたアリスさんの目はさらに輝く。もしやこの子もロマン信者か?
「ひ、光の剣……カッコいいです。」
あ、
これもよい差別化なのかもしれないね。
「これ……欲しいです。」
「うーん、そう思ってくれるのは嬉しいんだけど…。」
「それはちょっとできない相談です!」
「なんで!?ここにある物ならいいって言ったじゃん!」
確かに彼女たちはそう言ったのは私も聞いていた。そして人柄的にも嘘を言う人たちでないのは良く知っている。ならば持って行かれると不都合、というよりかはそもそも「使えない」、というのが正しいだろうか?
「も、もしかしてお金!?うう、エンジニア部の7割ってどのくらいなんだろ…!?」
「私の装着レベルが足りていない、ということでしょうか!装備可能なレベルを教えてください!」
「いやもっと現実的な問題があってね。お金もまぁある程度同意するところだけど、この銃……というより兵器は個人で使用するには、あまりにも大きくて重すぎるんだ。」
「初代は140kgほどの重さで、それだけでも個人使用は論外だったのですが、改造してV2になった結果、基本重量だけで190kg、反動は300kgを超えます!」
まじかぁ。基本重量だけでプチカタストロフより少し重い。私のフィジカルで動きが鈍重になるのなら照準はおろか、持ち上げる事すらできないだろう。
「そうゆう理由でね。戦艦の主砲で砲塔に取り付けることが前提な手前、これを個人で使用可能なのはおそらくサエカだけなんだ。もし、使えるのなら使い道がないのであげたいところなのだけど……。」
「汝、その言葉に偽りはないと誓えるか?」
「もちろん嘘は言っていないが……まさかあれを持ち上げるというのかい?あれはクレーンでなければ―――」
「アリスは選ばれた勇者!選定の剣を引き抜き、その資格を得ます!ふん!」
その言葉と場と共にあり得ない光景が目に映る。いや、多分普段私が周りに見られてる光景なんだろうけども、およそ200キロ弱の鉄の塊をその小さい体躯で持ち上げていたのだった。
「うそ‥‥信じられない‥‥。」
「えっと、ボタンは……これがBボタンでしょうか?」
アリスさんが何かを押し、銃口らしき場所に光が集う。まずい!!
私は咄嗟に銃口を蹴り上げ上へとそらし、蹴った反動で先生へと飛びつく。
するとその名に恥じぬ破壊の力が天井を貫き、大きな穴をあけるが怪我人は出ず、事なきを得る。
「ア、アリス!?むやみにボタンを押したらダメだよ!?」
「サエカちゃんが咄嗟に逸らさなかったら、どうなっていたんだろう……。」
「ご、ごめんなさい……!」
「これは驚きだ……。これを使えるのはサエカだけだと思っていたけど……世の中広いものだね。宣言通りスーパーノヴァはアリス、君にあげるよ。ただし条件として、定期的にデータを取らせてくれ。それと危ない事には使わないって約束してくれ。」
「あ、ありがとうございます!」
「良かったねアリス!なんだかすごいものを貰っちゃった!」
こうしてアリスの武器は私と同じ、とんでも兵器になってしまったのだった。