シャーレの決戦兵器   作:わんぱくフォックスですまない

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第34話 えっ混乱?

sideナギサ

 

「おはようございます、みなさん。本日は緊急の招集にも拘らず、集まってもらいありがとうございます。」

 

朝。本来ならば気持ちよく朝食と紅茶に舌鼓をうち、今日の予定を考えながら優雅に過ごす。

毎日のルーティンのそれが深夜にたたき起こされ、朝のささやかな楽しみがなくなってしまった。

普段なら小言の一つでも言いたいところだが、今日に限ればそれどころではない。

何故ならばここ、トリニティ総合学園のトップ、ティーパーティーホストの百合園セイアが殺害されてしまった可能性が高く、行方が分かっていないからだ。

 

また、前日に同じ寝室にいたはずの妹、百合園サエカの行方も分からず、ホストだけでなく第三者委員会であるシャーレにも迷惑をかけてしまっていた。

本来であればこのような大事の対処はホストであり、友人でもある百合園セイアの仕事なのだが、その本人が襲撃されて行方不明ともなれば、次期ホストであるフィリウス分派のナギサが矢面に立たされるのも仕方のない事であった。

 

「あの……ナギサさん、大丈夫ですか?顔色が…その。」

()()()()()()()()()()()()、酷い顔色ですが休息はちゃんと取られていますか?」

 

こんな朝早くにトリニティの重役を集めてお話をしようというのだから、何もないはずがないだろう。それにもかかわらず、なんとわざとらしい気遣いだろうか。ナギサはその言葉に違和感と多少のイラつきを覚えるが、今は無視して話を進めることにした。

 

 

「……大丈夫です、お気になさらず。それと救護騎士団のミネさんは連絡が取れず、代理として同救護騎士団の2年、鷲見セリナさんに来ていただきました。」

 

「あ…えっと団長が来れず、すいません!このような場所は慣れませんが、代理としてしっかり頑張りますのでよろしくお願いします!」

 

オドオドしながらもやる気を見せるセリナ。普段通りであれば団長であるミネが来ない時点で、救護騎士団は欠席という扱いになるのだが、今日は説明に専門家の意見が欲しく無理を言って手の空いていたセリナに出席してもらっていた。

 

「それで、ある程度の結論は出たのですか?私たち正義実現委員会は今回召集された理由は知っていますが、念のため1から説明を求めてもよろしいでしょうか?」

 

「ああ、はい。深夜だというのに対応ありがとうございました、ツルギさん。他正義実現委員会の方にも感謝を。」

「では説明させていただきますね。昨夜未明、第一ティーパーティ寮においてホストである百合園セイアさんの私室で爆発が発生。それにより部屋は半壊、部屋の主であるセイアさんの行方が分からなくなりました。同時に、事件当時同室で同じく就寝中であったとみられる連邦生徒会直下、連邦捜査部シャーレの補佐官百合園サエカさんの行方もセイアさん同様分からなくなりました。」

「なお、現場には争った跡や荒らされた形跡がない上、血痕があったことからテロ行為の襲撃があったと判断し、二人の行方を捜索中です。……問題はここからですが専門家の方が話に信憑性が出るでしょうからセリナさん、お願いできますか。」

 

うそだ。私は信憑性とかそんな話より、ここから先を自分の口から言いたくなかっただけだ。

言ってしまえば、それを事実として自身が受け入れてしまいそうで。私は怖かっただけだ。

その説明を口八丁で後輩にさせようとする自分が恥ずかしく、情けない。

それと同時、怒りや悲しみ、プレッシャーといった様々な感情が私の中で渦巻く。

有り体に言ってしまえば現実に耐えられず押しつぶされそうだった。

だがこのようなことはミカさんに任せることもできず、逃げたいと思いながらも気丈に振舞うしかなかった。

 

 

「はい。では血痕について現場を調べた結論から言いますね……。」

「……非常に言いづらいのですが……残念なことに現場の痕を鑑みて、恐らく生存している可能性はかなり低いと思われます……。」

 

その悲しそうな表情にナギサは罪悪感を覚える。彼女もこんなことは言いたくないのだ。

それにいくら救護騎士団所属とはいえ、生き死にの現場までは経験したことがなかった。

故にその表情からは怯えと心細さ、嘘であってほしいという想いが見えていた。

そしてその重大な報告に事情を知らないメンバーが浮足立つ。

 

 

「なっ……それは確かですか!?」

 

「はい。これは夜の間に実際にあったことです。何も知らずスヤスヤと寝ていたサクラコさんには、少々刺激が強かったですかね?」

 

ワザとらしく驚くサクラコに対し、ナギサは嫌味をぶつける。あの謎が多いシスターフッドの長なのだ。何も情報がないとは思えない。むしろ1枚噛んでいたとしても不思議ではないが確証がないのでそれもまた無視する。

ナギサはサクラコから小言の一つでも帰ってくるかと思っていたが、その言葉はなく、代わりに今の今まで静かだった別の場所から声が発せられた。

 

 

「……報告は聞いていたけどさ、ナギちゃん。ウソ、だよね?セイアちゃんが襲撃された、なんて。私そんな話信じれないよ…ドッキリなんだよね!?」

 

それはミカだった。感情がオーバーフローを起こし、ついに耐えられなくなって騒ぎ立てるその姿はナギサよりも危ない様子を見せていた。

 

「いいえ、ドッキリなどではありません、ミカさん。むしろドッキリであればどれほど良かったでしょうか……。」

 

「じゃ、じゃあセリナちゃん!だっけ?どうしてそう思ったのか説明してくれる……?もしかして勘違いかもしれないからさ。」

 

一縷の望みにかけてセリナへと理由を求める。だが返ってきた説明は、現実逃避など許さないとばかりに非常で冷酷なものだった。

 

 

「……分かりました。ですが気分が悪くなるかもしれませんのでその場合はストップをかけてください。」

「理由はいくつかありますが、まず現場に残された血痕。明らかに致命傷である夥しい量が壁や天井、床に付着していました。その出血量から即死―――まではいかないにしても生存は絶望的である、と判断しました。」

 

これにはぎゃあぎゃあと騒ぐミカも黙ってしまう。現実を受け止められないような様子でストンと椅子に座り直してしまう。だがセリナはそのまま報告を続け、さらに生存が絶望的であると説明するのだった。

 

「次に寝室のいたるところに骨片や内臓と思われるもの、毛髪などが発見され、そしてそれは外まで散乱していました。仮に部屋の中で攻撃を受けたとして、それだけのダメージを受けながら3階より落下したことを考えると、生存の可能性は限りなく低いのでは、と思いました。」

 

「さらに――「いや、ストップもういいよ……。」……わかりました。」

 

「なんで……そんな…これは何かの間違い…。」

 

ミカはブツブツと曇った表情でつぶやき続ける。少しでも早く対応したいところではあれどナギサもまた限界が近く、言葉をかけられないでいた。

その場を重く冷たい空気が支配する。無理もない。ここキヴォトスにおいては怪我こそすれど死亡という概念はほとんどなく、またこの場に集まっているのは各グループトップの重役といえ、まだ年派のいかない少女たちなのだから。

そしてこの状況下でも冷静になれる人間は少なく、ミカはおろかナギサも怪しい。完全に指揮系統が麻痺し、停滞していた。

だが少ないなれど、冷静に行動と発言ができる人物は一定いるもので、常に荒事対処に身を置いていた剣先ツルギは動揺こそあれど、比較的冷静に物事を考える事が出来ていた。

 

 

「……報告なのですが、事件当時、爆発音の前後で第一ティーパーティ寮付近での、複数の不審な人物の目撃情報が上がっています。目撃は建物の外からで、建物内に2、建物の外に1の計3人です。」

「……3か所ではなく3名とした根拠ですが、目撃時刻と目撃箇所、そして暗くてよく分からないとしても背丈が違いすぎます。建物の中と外に高身長、長髪が2名、建物内に低身長、長髪が1名です。現在重要参考人として3名の捜索に当たっています。」

 

ツルギは少しでも場に希望を持たせるために持っている情報を共有する。極めて理知的に説明する彼女はここに居るメンバーには珍しく感じ、情報の内容も相まってインパクトを与えたのだった。

だがその情報とインパクトのおかげもあって場に少し活気が戻る。

 

 

「ちょっと待って3人?それに高身長?それって確かなの?」

 

「はい。実際に目撃箇所から再現してハスミより小さく、イチカよりも大きいということが分かっています。おそらく170弱ほどかと。」

 

ミカはその話を聞いて考えこむ。普段ほど冷静であれば誰かしらその姿に疑問を抱くかもしれないが、ここに居る少女たちにそれほどの余裕が現在なかった。

 

「3名……ということは複数犯、グループで連携していた可能性がありますね。状況としては実行犯1、逃げられた際の後詰が1、外での回収班が1でしょうか。嫌に計画的ですね。」

 

ナギサは状況を整理するためにその3人の各々目標を言葉にしていく。だが情報があまりにも少なく、内部の犯行なのか外部からの攻撃なのかまるで分らない。

そしてナギサはある考えに辿り着く。

それはこれで終わりなのかどうか、それともこれは序章で既に次の犠牲を生み出すべく、犯人は行動しているのではないかと。

 

無理もない。内部犯にせよ外部犯にせよ、第一ティーパーティー寮の警備は厚く、またその巡回ルートや構成は極秘で毎日変わるのだ。その警備を易々と突破し、尚且つあのシャーレの決戦兵器などと言われるサエカすら突破したのだ。生半端な相手ではない。

そんな相手がホストであるセイアを狙ったのだ。であれば次は?順当にいけばナギサかミカである。いくらミカでもサエカを突破できる戦力で寝込みを襲われれば似たような結果になるだろう。

 

ナギサであればなおさらだ。セイアと同じく抵抗すらできず成すがまま葬られるだろう。

その考えに至り、背筋に冷たい汗が流れる。殺される、そう思ってしまった時にはナギサは人を信じることが難しくなってしまっていた。

 

 

「……正義実現委員会は引き続き犯人の捜索、および巡回警備を強化してください。救護騎士団は万が一に備えて、夜間対応可能人数を増やしてください。シスターフッドは()()()()()()()()()()()()()という情報を流してください。」

 

ナギサは今できる事、消極的な対処ではあるが各グループに指示を飛ばす。だがその中でサクラコだけは不思議そうに疑問を呈す。

 

「正式な発表はしない、ということですか?ナギサさん。」

 

「はい。ホストが襲撃され安否も所在も不明。生存は絶望的なんて一般生徒に知られればパニックになります。他学園にも知られる訳にはいきません。ですがセイアさんの部屋が爆発したのは隠しようのない事実として知られることでしょう。ですから安否、所在共に不明なのではなく入院中ということでひとまずパニックを避けます。幸いサエカさんの事を知っている生徒は少なく、こちらも先生にだけ情報を共有し、隠蔽します。」

「その隠蔽工作……もとい情報を隠すことはシスターフッドの得意とするところでしょう。うまく悟られずに情報を流してください。」

 

「いろいろ言いたいことはありますが分かりました。協力しましょう。」

 

こうして朝の緊急会議は終わり、各々が席を立ちその場を後にする。ナギサもまた重い空気を纏ったままひとまずは自分の責任を果たすべく、部屋を後にしようとした。

だがミカはその場に座ったまま立ち上がることはおろか動こうとしなかった。

 

「……ミカさん?大丈夫ですか?辛いならこのまま今日はお休みいただいても……。」

 

「違うのナギちゃん……辛いのは辛いけどそうじゃないの。まさかこんなことになるなんて……。いや、うん。私も私の為すべきことをするよ。その責任を取らなきゃね。心配かけてごめんね、私は大丈夫だから。」

 

そう言ってスクっと椅子から立ち上がり、決意に染まった顔で部屋を後にしていった。振り返ることもなく。ナギサはその幼馴染の背中が寂しく、二度と手の届かない場所に行ってしまうのではないかと錯覚させられたのだった。

 

 


 

 

sideセイア

 

あれから何時間たっただろうか。

私は気が付くとボロボロの姿で薄暗い部屋で目を覚ました。見覚えのない天井。それに普段ではまずありえないボサボサで薄汚れた髪の毛。何より背中や腹部の鈍痛。

私はおぼろな意識のまま立ち上がりその部屋を徘徊する。そして隣の部屋で人の気配を感じ、無警戒にその扉を開けた。

 

「ッ………!?」

 

その白い部屋にいたのは私もよく知る人物、救護騎士団団長の蒼森ミネだった。

私に気が付くこともなく、一心不乱に何かの作業を手術着だろうか?普段の装いと違う格好でその背中を見せていた。

だがそんな彼女が何をしているのか、私はすぐ理解し、思い出すことになってしまったのだった。

 

「あっ、いやだ、サエカ!」

 

「セイア様!?くっ、目が覚めたのですね!ですが今は手が離せません!申し訳ないのですが戻って待ってもらえないでしょうか!」

 

振り返ることもなくミネは声量を落として訴える。だが錯乱したセイアにその言葉は通じず、そのまま覚束ない足取りで譫言を吐きながら寄ってくる。

 

「くっ…仕方ありません!恨み言は後で聞きます。救護!!!」

 

ドゴォッ!

 

突如振り返ったミネに強烈な無寸勁を貰う。その容赦のない攻撃はセイアを部屋から押し出し、元居た場所へと戻させる。

そしてその下手人は血まみれの恰好で手袋を外しながら近づいてきた。

 

「ぐぁ…!げほっごほっ!な、何をするんだ!ミネ、お前も私の妹を奪うというのか!それともサエカをこんな状態にしたのは貴様なのか!?答えろ!!」

 

私は血反吐を吐きながら怒りの顔で此方を見下ろすミネに食ってかかる。もしもミネが私の宝物を奪おうとしているのならば、私は自分の命すら天秤にかけて妹を守る。たとえ彼我の戦力差が絶望的であっても、妹を諦める理由にはならないからだ。

だが、帰ってきた言葉は犯行の理由でもなんでもなく、私を現実に戻すには十分な言葉だった。

 

「奪う?私はいつ如何なる時も人命を守る救護騎士団の団長です。私はサエカさんの命を繋げるべく救護していました。寧ろその命を奪おうとしているのは他でもないセイア様です。」

「ご理解いただけたのであれば()()()()()()ください。こうして問答している時間すら惜しいのです。それにそのような不潔な格好で手術室に入ってくるなど言語道断。本当に助けたいのであれば黙っていてください!」

 

そう言うと扉を閉めて戻っていく。これにより私は今何をしようとしていたか、今必死に妹を助けようとしている恩人に何を吐いたかを思い知った。

ああ、君はブレないな。私も目が覚めたよ。そう思い私にもできることをするのだった。

 

 

 

「すまない、手間をかけたね。」

 

私は先ほどたたき出されたのにもかかわらず、その聖域に足を踏み入れる。

案の定ミネは振り返らず、出て行けと態度で示すが私もこの数十分何もせずに待っていたわけではない。

 

「……先ほど理由は述べたはずです。大切な妹様を殺したいのですか?出て行ってください。」

 

「いいや、逆だ。私はサエカを諦める気持ちなんて一ミリもないとも。」

 

「ならば―――」

 

「不潔だと言われたのでシャワーを浴びてきた。清潔になるため勝手ではあったが手術着にも着替えて手袋もしてきた。装備に不備はないはずだ。昔、サエカが行方不明になった際に取った杵柄だが医療の知識はある。手伝わせてくれ。」

 

そう言ってサエカを挟んでミネの正面に立つ。ミネは手を止めず、チラリとだけこちらを見ると私の行動に対して何も言わずただ一言。

 

「……失敗は許されませんよ。都度指示は出すので補助してください。」

 

「ああ。分かっているとも。指示してくれ。…………それとさっきはすまなかった。」

 

「構いません。あとで聞きます。今は無駄口を挟まず手元に集中してください。そこ、押さえて。」

 

こうして正気を取り戻した私はミネの指示に従って、サポートに回り長い長い戦いが始まり、終わったのは日付が変わった後だった。

 

 

 

「―――終了。お疲れさまでした。補助感謝します。」

 

「ああ。こちらこそ感謝するよ。ありがとう。ゆっくり休んでくれ。」

 

「いいえ、サエカさんは今も予断を許さない状況です。万が一に備え私が見ていた方が良いでしょう。それに後回しになってしまいましたがセイア様も怪我をされている様子。()()しますのでお休みになってください。」

 

「い、いや、私は大丈夫だ。それに君が救護というとなぜか私の背中に冷たいものが走る。私の怪我は痣と君に殴られた程度のものしかない。湿布だけもらえれば十分だとも。」

「それに……こんな状況で休むことなんてできない。今休んでしまったら気が狂ってしまいそうなんだ。頼む、サエカの近くにいさせてくれ。」

 

「……わかりました。では椅子を用意しましょう。それと念のため交代で少しづつ休息をとりましょう。いざというとき対処できる体力が残っていなければ、それこそ本末転倒ですから。」

 

「ああ。繰り返しになるが本当にありがとう。ミネ、君は命の恩人だ。サエカだけでなく私も含めて。」

 

「それもサエカさんが起きてから聞きましょう。本当に救えたか、果たしてこのまま目が覚めることがあるのか分かりませんから。」

 

軽食でも、と言って私たちの恩人は部屋を後にする。残されたのは意識のない様々な機械につながれたサエカと恐らくまだ顔がひどいだろう私。

時間ができたことと少し気持ちに余裕ができたことで、今回の事を考える事が出来た。

なぜサエカが襲われた?まず出てくる疑問はそこだった。

 

シャーレに恨みを持つ者の犯行?いや、あり得ない話ではないがNOだ。

あの時私の部屋にサエカがいることを知っているのはナギサくらいだ。多少警備の者も見たかもしれないが数時間程度で用意ができるとは思えない。

ではナギサが?これもNOだ。

態々寝室に送って体力を回復させてから襲う理由がない。それにサエカの戦闘力を知っているからこそ尚のこと無理だと知っているだろう。

ではミカが?これもNOだ。理由がない上にそもそもVIPルームに泊まっていると説明されている筈。サエカの居場所が分からないうえに、万一彼女ならわざわざこんな回りくどい襲い方はできない。殴った方が早いからだ。

 

では外部の人間か?これも恐らくNOだ。ホストである私がいた第1ティーパーティー寮。第1から第3まであるうち一番警備が厚く、また不規則故に外部犯が警備に見つからずこれを突破するのは不可能だ。

では内部の人間か?………YESだ。だが警備の情報を知っていて、尚且つサエカの戦闘力を歯牙にもかけない人物。一人当てはまりそうな人物がいるな。正義実現委員会の委員長、剣先ツルギが。

だが彼女がこんなことをやるか?……NOだ。戦闘狂な部分があるゆえに狂人な様子を普段見せているが彼女はひどく理性的で理知的だ。戦ってみたいとかは言う可能性はあるだろうが、夜中に寝込みを襲うような人物では決してない。

 

いや、そもそも前提が間違っているかもしれない。

犯人はサエカではなくホストである私を狙った可能性。YESだ。大いにYESだ。

実行犯は夜中寝静まったタイミングで何らかの方法で部屋に侵入。たまたまサエカが気が付き、やむなく攻撃した。辻褄は合う。だが―――。

()()()()()()()()()()()()()()()()()攻撃した可能性。大なりだ。可能性は大なり、だ。

 

私とサエカは身長と色彩が違うだけだ。昔は同じ金髪だったが……今はいい。時刻は深夜。薄暗い中で金髪と白髪の違いがすぐつくだろうか?身長も10センチちょっとくらいしか変わらない。それなりの身長の者であれば微々たる差で、直接私と会ったことがなければ勘違いしても仕方のない要素だ。

私はこれにより自問自答に答えを出してしまう。できればそうであってほしくなかった最悪の結論が。そしてこの結論により、もう一つの長年の疑問にも一つの結論が出てきた。

 

”拉致はサエカではなく私、セイアと間違われたのではないだろうか”というあまりにも救われない結論。

あまりに残酷だった。それゆえ私は意識のないサエカから離れた位置で吐いてしまう。

全部―――全部、私のせいじゃないか。どうしてサエカばかりがこんな目に、ではない。

私がいたから、サエカがこんな目にあったんだ。私が、わたしが、ワタシガ。

憎い、憎い。私が。自分自身が。許せない。

憎い 憎い 憎い 憎い 憎い 憎い 憎い 憎い 憎い 憎い 憎い 憎い 憎い 憎い 憎い

 

ゆるせない

 

私は唐突に胸の奥が冷たくなる。それと同時、何かに()()()()、そう感じた。

だがそれが何か理解する前に「そっちはダメだよ、お姉ちゃん」そんな声が聞こえ私の胸の冷たさに熱が戻る。そして私の意識は何かに引っ張られるように急速に遠くなるのだった。

 




サエカちゃんは生きています。くそギリギリですが。
そしてシスターフォックスは真理に気が付いてしまいます。
ババア「お前のような勘のいいフォックスは嫌いだよ」
2匹の狐の世話を不眠不休でする救護さんは死にそうです。

ちなみにミカはアズサに聞き取り調査に行きましたが、アズサはサオリがやった事を知らないのでどちらも絶賛混乱中です。
律儀にバニタス戦士は予言の大天使に会いに行く旨を報告していたので、これ幸いと紅ショウガの指示でサオリが襲撃を実行しました。
なのでアズサの現在の扱いは原作同様です。万一アズサが実行犯だった場合、ミカに八つ裂きにされる可能性がありました。



※私事ですが引っ越しと就活で投稿頻度が若干落ちています。ただの出来の悪い趣味ですが楽しみにしてくれている方がいれば申し訳ありません。それでもエタらず頑張って進めたい来たいと思いますので温かい目で応援してくださると幸いです。
それと高評価と感想とてもうれしいです!励みになります、いつもありがとうございます!
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