シャーレの決戦兵器   作:わんぱくフォックスですまない

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第37話 えっ奥さんじゃないです?

やっはろー、ミカさんに圧縮されて絞め落とされた紙耐久フォックスだよ。

マジで中身が飛び出るかと思った。あんなのゴリラと変わらないじゃんね☆

さて、現在はシャーレにて帰還後、溜まっていた仕事と各所へと無事の連絡をしているところ。

 

 

やはり先生ですら10日以上も連絡が取れなかったというのは問題であったらしく、各所で捜索が行われていたそうだ。各所、と言っても積極的に行動してくれたのは、アビドスや、ミレニアム、ゲヘナなどの一部関係を持った場所だけだが。

 

ミカさんの再度襲撃を恐れた私は、置手紙だけ残して装備を回収してボロボロのままシャーレに戻ると待ち構えていた先生と、たまたま常駐していたネルパイ、ホシノさん、ヒナさんの各校の特記戦力に絞られるという災難が待ち構えていた。

 

 

「まったくいい度胸だよなぁ……約束すっぽかして行方をくらませる、なんてのはよぉ。」

 

「ほんとだよね~。おじさんがふらふらと出て行ってしまった時は、あれだけの戦争起こしてまで救出しに来てくれたというのに、逆の事やられるとはね~?」

 

「友人としても、仕事としてもいなくなられるのは困るわ。今時期は緩衝材としても期待しているし、風紀委員や素行不良者にも睨みを利かせてもらわないと。調子に乗るものが出てくるわ。主に行政官とか、アコとかが。」

 

”あ、あはは、連絡取れない状態で危ないことしてたのは確かに問題あるけど、みんな程々にね……?”

 

 

 

皆、にこやかに優しい表情で話しているがまるで目が笑っていない。何なら神秘を纏った圧まで感じるほどだ。どこかの社長みたいに白目むきそう。だって怖いんだもの。

 

 

「まぁまぁ皆さん落ち着いて。ここは紅茶でも飲んで一旦気持ちを整理しましょう。」

 

「あ゛ぁ゛?てめぇ、人にこれだけ迷惑かけておいて、茶ぁしばいて濁そうってかぁ?」

 

「これぞお茶を濁す。」

 

「そうかそうか……ぶっ殺されてぇならそう言えよなぁ……!?」

 

 

しまった。適当なギャグで場が白けるかと思ったらボルテージが上がってしまった。

何も口を出さないがネルパイだけでなく、ホシノさんやヒナさんの目元に影が落ちた。どうやってんのそれ、こわ。

先生は先生で、しっかり怒られなさいというスタンス。ここからはいれる保険はないんですか!?

 

 

「も、申し訳ないです……どうしても敵を逃がすわけにいかず、頭に血が上ってしまって……。」

 

 

私はセイアさんやミネさんと考えたカバーストーリーを言い訳にする。あくまでもトリニティでの説明と同じで嘘とばれないように、生存がバレない様にするための嘘だった。

恐らくだがこのメンバーに本当のことを言っても問題はないと思う。無関係であるはずだし、信用もあるからだ。なんなら協力を要請したら助けてくれそうでもある。

 

 

だが、これは人の命がかかった問題なのだ。下手は打てないと思いとどまる。

 

 

「一旦その話を信じるとしてさ~、おじさん的には途中でも連絡は欲しかったなって思うんだよね~。特にアビドスの皆にとっては前科あるわけだし~。セリカちゃん随分動揺してたよ~?」

 

「それは……申し訳ないですほんと……でもスマホが壊れてしまいまして……。」

 

 

これに関しては本当だ。手持ちの連絡機器はすべて起動しなかったのだ。もっと言えば部屋に置いていたバッテリー類もダウンしていて、装備類が全部だめになってしまったのだ。

唯一免れた主装備はその重量故にセイアさんの部屋に運び込まれておらず、難を逃れた。

本来あの特殊爆弾には生物―――とりわけヘイローのある生徒に強い影響を出すが、無機物に対してはさして作用しない。

 

だがあの時の爆弾は虎の子なのか、それとも改良型なのか分からないが、無機物にもそれなりの被害を出し、あまつさえEMP爆弾のような作用もあった。

そのせいなのかは分からないが、襲撃時に警報システムも鳴らなかったという。もしこれが虎の子ではなく、改良型だとすれば早めに根を絶たなければならない。

 

 

 

「それだけボロボロなら仕方ないのかもしれない。けど心配したのは本当よ。今後できるだけ無い様に気を付けてくれたら今はいいわ。」

 

「まぁ~、無事だったからいいけどさ~。私も委員長ちゃんもダブルオーちゃんも心配して捜索に走り回ったから、あんまり年寄りに心配かけちゃだめだよ~?」

 

「なっ、心配なんてしてねぇ!ただ約束ぶっちされたのが気に食わなくてなぁ!」

 

”まぁまぁ、そこまでにしよう。サエカ、今後は一人で危ないことはしない。君が強いことを知っていても、ビナーの時みたいに一人ではどうにもならないことがあるかもしれない。そこで君に何かあれば悲しむ人はいるんだ。無理しちゃだめだよ。”

 

「ごめんなさい……。」

 

 

 

こうして先生のしめもあり、3人は一旦留飲を下げる事が出来た。

だがこれで終わりではなく、せっかく各校の役職持ちが揃っているのだから、と事の次第を共有する。

 

 

 

「ホストが……ね。確かにサエカの言う通り寝込みを襲われれば脅威。しかもあのトリニティの警備をすり抜けてきたとなれば相当な手練れ。警戒しておくに越したことはないわね。」

 

「んなもんは気配とかそうゆうのでなんとなくわかんだろ?ぶっ潰せばはえぇ。それにトリニティのホストっていったって、戦闘力は皆無だったはずだ。ただこそこそ隠れるのが得意な相手だったって線もあるだろ。」

 

「うへ…確かにいくら寝こみでも気配で気づきそうだけど、その辺の有象無象でないことは確かでしょー?それに前サエカちゃんに使われた爆弾。おそらく私たちでも致命傷になる。委員長ちゃんの言う通り警戒はしておいた方がいいかもね。」

 

 

ネル以外は今回の事を大きく脅威とみなす。もっとも自分自身は大丈夫でも、周囲の生徒が危ないという程度の認識であり、ネル同様自分自身は大丈夫という絶対的な自信はあるようだが。

 

 

 

「最悪なのはここ、シャーレを襲撃しに来た場合です。私は武器が強いのであって、私自身は戦闘勘や経験などありません。私は最悪なんとかなるかもしれませんが先生が守れなくなる場合。これだけは避けねばなりません。早めに犯人を特定したいところですが……。」

 

「そうだな……確かにサエカは攻撃力こそ目を見張るものがあるが、耐久力と戦闘センスがまるでなっちゃいねぇ。だからと言ってあたし等が常駐するわけにもいかねぇ。……業腹だがリオに話を付けた方がいいかもな。」

 

「なら風紀委員は夜の巡回の一部を常駐させておくわ。発見さえできればサエカの攻撃力で撃退できるはず。」

 

「ごめんだけどアビドスは人数が少なすぎて、手伝えることがほとんどないかなー。まぁ、夜の巡回にできるだけD.U地域に近いところを回るようにするから、ヤバいと思ったら連絡して。救援に来るからさ。」

 

 

”みんな無理しちゃだめだからね?私のような大人のために、まだ学生である君達生徒の時間、それも睡眠時間を削るなんてことは私が良しとしないよ。守られるだけの立場の人間が何を言うんだって話ではあるけど、これは先生としての矜持だから。”

 

 

こう言われては私たちは強く出ることもできず、元々夜の巡回がある風紀委員をD.U寄りに巡回して、シャーレビルはミレニアム製のドローンと私が警護する形となった。

 

 

 

 

こうして一旦解散となった訳だが、暇な時間などなく、先生一人では処理しきれなかった分を回す。失った分の装備はエンジニア部が作ってくれるが、リンさんから渡される仕事はやらねば永遠にたまる一方なのだ。

 

 

”あぁ~、何か甘いものでも食べたくなってきたなー?サエカはどうかなー?”

 

「いえ、私は特に。休んでいても仕事は終わりませんよ。それにこれは私の落ち度なので、先生は休憩してもよいと思います。」

 

”そんなぁ~。おいしいものは一人で食べるんじゃなくて、複数人で食べる者なんだよ~。”

 

 

 

これである。3人が帰っていざ仕事、となっているのに事あるごとに休憩のお誘いをするのだ。

私に無理させないよう気を使っているのは分かるが、そんな先生に流されていては終わるものも終わらないと、後ろ髪を引かれる気持ちになりながらも、仕事を続行する。

 

 

”ひぃん……サエカが冷たいよ~……オジサン寂しいよ~……。”

 

「誰の真似ですか全く……。」

 

”サエカがそう言うのならしょうがない……いつの間にか届けられていた黒服のロールケーキ……一人で食べちゃうもんねーだ!”

 

 

いまなんと?

 

 

”確か冷蔵庫に……「またれよ。」”

 

「なんで黒服の差し入れがあるんですか!」

 

”いや私も分からないけど、いつの間にか冷蔵庫に手紙付きで入ってるんだよね。割と定期的に来るよ。前回のはサエカが居なかったから、当番の子たちと食べちゃったけど。”

 

 

前も思ったけど、このセキュリティガッチガチのシャーレに片手間で侵入する技術力は他に生かせなかったんだろうか。そんでもって勝手に冷蔵庫開けていくなど道徳はどうなっている……ん?

 

 

「待ってください。手紙ってさっき言いましたよね。内容はどんな?」

 

”……前回までは世辞とゲマトリア勧誘のものだったけど、今回のは退院祝いとだけ。”

 

 

 

黒服は私が致命傷を負って身を隠していたことを知っている?どうやって?

いや、確か病室でサエカが爆弾はゲマトリアが関係しているようなことを言っていたし、犯人とつながっているのかもしれない。

これは……()()()()をするべきかもしれないね。

 

 

 

ロールケーキはとんでもなく美味でした。

 

 

 


 

 

 

「これはこれは。お久しぶりですね。お会いできて大変嬉しく存じます。」

 

「ご無沙汰してますー。けどお話しする前に一言良いですか?」

 

「どうぞ。あ、こちら良い茶葉が入ったので一部どうぞ。アッサムです。サエカさん好みのロールケーキときっと合うかと思いまして。ミルクを足してミルクティーとして味わうものですが、ストレートでコクを楽しむのも乙ですよ。」

 

「そうゆうところですよ!」

 

 

 

場所はD.Uとアビドス自治区の中間位置ほどのビル。ここも謎の結界があるのか、入ることはおろか、近づくことすら躊躇するような謎の嫌悪感を感じた。

そこでやたらめったら贈り物をしてくる元パトロンの黒服に会いに来ていた。

理由は単純。情報収集のためだ。現状サエカ本人と敵対しておらず、キヴォトスにおける暗い情報をぺらぺらと口にするからだ。

勿論、黒服も善意でそのようなことはしない。彼には彼なりの利益があるのだろうが、出し渋った場合には取引としても対応してくれる。

だがサエカとしては、貰うだけ貰っており、何も返す事が出来ていないことから、正直気味が悪いとすら思っていたため文句を先に口にする。

 

 

 

「はて。おいしいものを可憐な少女と共にその幸せを共有する。これに何かおかしなことでもありますでしょうか?」

 

「何か犯罪的な香りがするんですよ……一方的に貰うだけだと何か座りが悪いんです。」

 

「ああ。それは配慮が足りませんでしたね、失礼しました。ですがサエカさん。私は何も善意だけでこのようなことはしていません。私はあくまでも”悪い大人”ですから。貰うものはしっかりいただいておりますとも。なので気にしないでください。」

 

「はいそうですか、というと思います?その説明。対価が何なのか分からないと余計怖いんですけど。」

 

 

そう言うとどうやってなのか分からないが、アッサムティーを口にして、クックックとその口?を歪める。そんなにおかしなことでも私は言っただろうか?それとも紅茶うますぎてニヤけたとか?……流石にないか。

 

 

 

「……前にも言いましたがあなたは「ワイルドカード」なのです。いざというときに不仲であればカードとして効力を発揮しません。いわばこれは信頼関係の構築の一環であり、またサエカさんとはデータ収集の観点からも良き関係を維持したいと考えています。……この返答では不満でしょうか?」

 

「……むぅ。」

 

 

一応納得に足る理由である。そのワイルドカードを使わねばならない時というのがどのような状況で、何を期待されているのかまるで分らないが、どうやら黒服にとってはそれなりに重要な事らしく、そのおかげでよい関係?ともいえる奇妙な状態でいる。

 

 

「まぁ、いいですけど……あ、おいしい。」

 

 

一応は納得して出された紅茶を冷めさせるのも悪いかと思い口にする。

ご丁寧にミルクと分けられており、一緒に出されたフルーツケーキがまた相乗効果でよい味を出していた。

ぶっちゃけ普段の行いを見ていると、同じ大人でも先生と黒服とでは、出来る大人の具合が天と地ほど違うが、何故か先生以上に好きになれないのだった。あれだ、いい人止まりってやつ。

 

 

 

 

「それは何よりです。それで、本日は何か御用があったのでしょう?よければどうぞ、お話しください。」

 

「あぁそうでした、そうでした。なんで私が床に臥していたことを知っていたのですか?タイミングの良い「退院祝い」というのはそうゆうことですよね?」

 

「クックック……。」

 

 

いやクックックでなくて。

 

 

「簡単なことです。貴女のバイタルに異常があったからですよ。貴女に死なれると困るので、位置や心拍などをある程度モニターしています。……………誤解のないよう申し上げると常時ではありません。異常が見られた場合のみ危険信号として表示されます。」

 

 

こいつ……あからさまなストーカー行為を口にしておいて反感を貰うとか考えなかったのだろうか?

サエカの話では黒服は関与していないらしいけど、ホントのところはどうなんだろう。

 

 

 

「……ゲマトリアの爆弾を使った襲撃にあったんですよ。」

 

「ほう……それは災難でしたね。あれは確かゴルコンダの作品だったはず……名前は確かヘイロー破壊爆弾。まさか彼も自身が手塩にかけて作った作品と、私たちの切り札が衝突するだなんて思いもしなかったでしょう。」

「使用を促したのはベアトリーチェでしょうか。彼女には困ったものですね。サエカさんは不完全なれど、失ってはならない存在だというのに。()()をどうにかする術でもあるのでしょうか……。」

 

 

ブツブツと黒服は一人の世界に籠る。だが流石に聞き捨てならない単語が多すぎる。

肝心なことはサエカは教えてくれない。だが目の前の悪だくみが好きな大人はどうだろうか。

 

 

 

「今回そのヘイロー破壊爆弾?が使われた意図とか知ってます?」

 

「いえ、残念ながら。私たちは志……というより目指すものは同じであっても過程や思考は全くの別物です。ですから彼女が何を思ってそのような蛮行に及んでいるのか、皆目見当がつきません。」

「それはおそらく爆弾の製作者であるゴルコンダも同じでしょう。彼らの間で何かしらの取引があったことは確かでしょうが、彼は極端に荒事が好きな性格ではありません。ですので真相を知るのはベアトリーチェ、彼女一人となるでしょう。」

 

「そうでしたか……。」

 

 

 

結局はサエカが敵意を見せる、ババアとか呼んでいる人物がすべての元凶というわけだ。

ゲマトリアの仲間だから何か知っていないかと一縷の望みにかけたものだったけど、流石に黒服と言えど知らないことは知らないんだね。

 

 

 

「ちなみにその黒幕の居場所を知っていたりは?」

 

「もちろん知っていますが、これは教えるわけにはいきません。むやみに人命が失われる様な事は避けたいと思っていますし、私たちゲマトリアは基本的に相互不干渉です。サエカさん。貴女は現在私の管理下、ということになっています。可能な限り干渉は避けたいのですよ。貴女のためにも、私の為にも、()()()()()()。」

 

「そっか、それなら仕方ないね。無理を言うつもりはないので大丈夫です。」

「ですが気になります。何故私をそこまで大事にするのですか?そこまでカードとして強力なのですか?私を使って何をするつもりなのですか?」

 

 

 

ずっと気になっていることを折角だからと聞いてみる。とはいってもまともな返答には正直なところ期待はしていないけど、聞ければ儲けもの、という考えだった。

だが以外にも黒服はすんなりと答えてくれた。

 

 

「クックック……そうですね、現状のあなたは「色彩」に対する唯一の対抗手段、と言ったところでしょうか。簡単に言えば迫りくる核弾頭に対し、同じ規模の核弾頭で相殺を狙うためのものです。」

「大本は私たちゲマトリアで提唱した理論だったのです。ですがそれは机上の空論。理論上の話で実現は不可能でした。ですがそれを道徳や人道、()()()を無視して大枠だけ作り上げた人物がいます。それが彼女、ベアトリーチェです。人工的に神秘を詰め込み、神格を上げ、継ぎ接ぎだらけの神を作り上げる。大きな犠牲を出しながら一応は形となりました。これが「人工天使計画」です。」

 

 

 

つまりはサエカは、その色彩とやらを何とかするために犠牲になったと?

それが嫌で私を生贄にして引っ込んだって事かな?でも私が死ねば彼女も諸共に死ぬはず。わざわざ不自由を選ぶ理由がない。私ならきっと、どうせ死ぬならと元凶を巻き込んで盛大に爆発するだろう。サエカにとって何か別の思惑があるんだろうか?難しい話は分からんね。

 

 

「ですがそこで計画は頓挫します。他ならぬサエカさんが”器”として耐えられなかったのです。日々、膨れ上がっていく神秘。とても一人分の魂で受け止められるものではありませんでした。そこで彼女は何をどうしたのか。方法は分かりませんが貴方を()()()。結果としては良い器が出来ました。サエカさんには感謝しかありません。」

 

「余計混乱する話になってきました……。」

 

「クックック……、今は分からなくてもよいかと。私としましては貴女と良好な関係維持のためにこうして話していますが、目を付けられないか内心ビクビクしている所でして。」

 

 

 

この大人が恐れるということはそれ相応の危ない話だったのだろう。聞かれると不都合なのはサエカだろうか?それとも()()()()だろうか?謎の解明ができればと思ったけど、余計こんがらがることになってしまった。訳が分からないよ。

 

そこで先生から通信が入る。いっけね、休憩がてらご飯食べてくるって言って出てきたんだった。

 

 

『もしもし、サエカ?それなりに時間たったけど大丈夫?先生寂しいなって……。』

 

「ああ、すいません。久々の外だったものではしゃいでしまいました。今帰りますね。何か欲しいものとかありますか?帰りに寄れる範囲であれば買って帰りますよ。」

 

『久々にサエカの手料理が食べたいなぁ……。』

 

 

黒服が分かりずらい顔のパーツをうまく動かしてニヤニヤしている。きっしょ。

 

 

「はいはい、わかりました。何か作りますね……では今から帰りますのでいい子にして待っていてくださいね。」

 

『わぁい、やったぁ!何もないと思うけど気を付けて帰ってくるんだよ!』

 

 

そう言って通信は切れる。私の目の前に座る大人は空気を読んで一言もしゃべらなかったが、ニヤニヤとした表情は崩す様子もない。……意外とこの大人は愉快な人間なのではないだろうか?

 

 

「ククク…クックック……いやぁ、良いものを見させていただきました。先生にもあのような面があるとは。ククッ……では私は間男と誤解されてはかないませんし、若い奥さんを人目のつかない場所まで送り届けてあげるとしましょう。」

 

「ばっ!?だ、誰が奥さんですか!?ご飯を作ってあげてるだけです!!」

 

「ですが同じ屋根の下で寝泊まりし、3食面倒を見、仕事のサポートをする。立派な奥様でありませんか。良妻賢母というやつです。胸を張ると良いですよ。」

 

「誰の胸がないって!?私はまだ13歳!まだまだこれからです!!そ、それに先生にはもっと良い人がきっと……ああやっぱり駄目です!!そんなの許せません!」

 

「クックック……こうして見るとあなたはやはり面白い。年相応の少女にしか見えません。先生を狙う少女たちはきっと多いでしょう。頑張ってくださいね、微力ながら応援していますよ。」

 

 

 

こうして私はあたふたしながらも黒服によりシャーレビルの近くに放り出されたのだった。

 

 

シャーレに戻った私はまともに先生の顔を見る事が出来なかった。ご飯は若干失敗した。




黒服は現状に対して思い違いしている箇所が結構あります。
中のサエカちゃん的には「おしい、おしい」と笑っているため、現状まだ目を付けられていません。
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