シャーレの決戦兵器   作:わんぱくフォックスですまない

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サエカちゃんは連邦生徒会内では、大きな武器を振り回してガオーって頑張ってる子供が小枝を振り回すかのような、なんかかわいい子として見られています。


第4話 えっ、役立たず?

できるだけ平常心を保ちながら凄まじく後輪がつぶれたスクーターを安全運転、速度制限を守りかっ飛ばす。*1私は今風になっているのだ。うぉー!

 

なんて少しふざけながらも責任逃れのための口実づくり――もとい仕事をする。

スクーターについている小さな通信装置を起動し、コール。もちろん相手は――

 

『はい、此方は連邦生徒会主席行政官七神リンです。このくそ忙しいときにS:04を使用しているあなたは誰ですか?…まぁ予想はつきますが。』

 

 

 

そう、おそらく状況を指示している上司リンさんである。

そしてキャパシティが限界間近の時によくみられる剣呑さもある少々棘のある状態だ。あかーん!*2

この状態のリンさん相手に対応を間違えると殺される。主に仕事に忙殺されるという意味で。

 

 

「私、です。百合園サエカ、です。予定時間に先生、顔合わ、せ。できなかった、ので探しまし、た。モモカさんが、シャーレ、ビル前で戦闘中、教えてくれ、ました。なの、で急行中、でしたが、作戦参加、前に現場で指示、出してるリンさんにこうして、連絡しました。」

 

 

リンさんの中にあるモモカさんの株を上げておきながら、戦闘中の増援による混乱防止のために上司にほうれん草して自分の株も上げることを忘れない。

 

 

 

『ああ、ごめんなさい。サエカに連絡を忘れていました。少し冷静さを欠いていたかもしれません。ん…?あなた単独でこちらに向かっているんですか?一人では危険では?』

 

 

 

んん?心配されてる?まぁ確かにそうか…よく考えれば継続戦闘ができない木偶の坊が不良が跋扈する戦闘地域に一人で向かっている…見つかれば足の遅いスクーターでは集団リンチされてもおかしくない。先生との顔合わせ前にそれはどうなのかという話だ。

普段ならまずしないであろうリスクを冒す。だがそれ以前に責任が怖いのだ。(守護)らねば。

 

 

「だいじょうぶ、です。充電も、100%、予備バッテリー、も沢山ありま、す。先生に怪我させま、せん。ので先生、の場所教えて、ください。」

 

『…わかりました。ナビにマップを送信します。そこで先生と合流して彼の指揮に入ってください。」

 

 

 

指揮?先生が?そんなことできるんだ、すげー。

あっ、ちっさいナビに敵味方が大雑把に表示されてる。先生の位置は―っと。どれどれ~?

……ん??最前線にいない?これ。うそでしょ何考えてんの?馬鹿なの死ぬの?

これはいよいよもって私に責任という名の剣が振り下ろされているところかもしれない。

とにもかくにもこのままじゃまずい。味方が4人ほど一緒にいるようだが誰だかわからない以上楽観視はできない。

これは法定速度とか守ってる場合じゃない。フルスロットルだオラー!ぶっ飛ばすぜベイベー!

 

道すがら今回の騒ぎを起こしているであろう不良にアサシンキルボーナス*3や亜空間タックル*4に大和魂*5を見せつつようやく先生と合流することができた。

 

 

 

 

「おそく、なりました!連邦、生徒会より先生、の護衛兼お手伝い、としてきました、百合園サエカ、です!」

 

”こんにちは!私はシャーレの顧問になった先生だよ!よろしくね!うーん、こんなかわいい子が来てくれるなんて私は幸せ者だね!”

 

 

 

互いに挨拶を済ませ状況を共有する。

どうやら矯正局を脱走した7囚人の狐坂ワカモさんが不良を扇動して暴れておりそれに対応するために少し離れた前線で4人の生徒が戦ってくれている、ということらしい。

尚、ワカモさん本人はすでにどこかに消えており、現在はあくまでシャーレに向かうための道を作るためだけの少し控えめな残党制圧になっているらしい。ほぼ終わりじゃんね。

 

 

「ふぅ、あらかたやっつけたかしらね。あら…?」

 

 

戦闘が終わり周囲を警戒しながら4人の生徒が戻ってくる。

うち一人は顔見知りだ。少しだけ安堵する。

 

 

「誰かと思えばサエカじゃない。エンジニア部の部室であった時以来かしら?」

 

 

そう、早瀬ユウカさんだ。ミレニアムのエンジニア部で武器の調整をしてもらっているときに知り合ったのだ。あの時優しくしてもらったことはよく覚えており恩人の一人でもある。ウタハさんは複雑な顔をしていたが、この人は善意のお節介焼のいい人だと私の内なるフォックス魂がつげている。

 

 

「おひさし、ぶりです、ユウカさん。連邦生徒会見習いよりシャーレのお手伝い、として配属、となりました。今後とも、よろしくお、ねがいします。」

 

「シャーレに?つまりシャーレに来ればまた会えるってことね!ふふっ、いいこと聞いちゃった!」

 

「―――サエカ―――さん?あっ、私はトリニティ総合学園正義実現委員会所属羽川ハスミと申します。あの、よければフルネームをお聞きしても?」

 

 

 

おっと。ユウカさんが喜んでる姿を見るのが楽しくて周りのことを忘れいていたがトリニティ…ここでなの?しかし答えないのは不自然なので答えておく。

 

 

「サエカ―――”百合園”サエカ、です。私の名前、がどう、しましたか?」

 

「百合園…やはり…いえ、失礼しました、なんでもありません。」

 

 

絶対ティーパーティー絡みじゃん…まだ心の整理と覚悟が決まっていないのだ、もう少し待ってほしい。

 

その後銃に書かれている文字がなぜか少しだけ気になる生徒の守月スズミさんと、ゲヘナ学園所属の火宮チナツさんとも軽くあいさつを交わした。

彼女たちにはビルの出入り口付近を守ってもらい到着したリンさんとともにシャーレに足を踏み入る。

途中リンさんはビルに安置さえれている”あるもの”の回収に向かうために別行動をとり先生と二人だけの状態で目的の地下へ案内する。

男性と二人きり、なんて少し甘酸っぱい妄想を、なんて考えは起きなかった。

なぜなら――

 

 

 

「あら?こんなところに連邦生徒会の生徒?それにあなた……気持ち悪いですわね。無力化させていただきます。」

 

 

 

そう、そこには尋常ならざる圧力と殺気を向けてくる本物の実力者、狐坂ワカモさんがいた。

ヤバいと直感し、手元の盾を構えるが相手の動きが早すぎてあまり見えず、踏ん張りの利かなかった私は構えた盾ごと吹き飛ばされる。

幸い先生は斜め後ろにいたおかげで巻き込まずに済んだが、吹き飛ばされてしまった分ワカモさんに一番近いのは先生だ。マズい――先生が危ない!

 

立ち上がろうとするもののワカモさんにからもらった一撃が盾の上からにもかかわらず、ダメージが抜けない。なんて蹴りを放つんだ。

せめて此方に注意を引こうと普段出すことのない声量で威嚇しようとすると。

 

 

 

「あら?あらあら…?あぁー…」

「し…失礼いたしましたー!!!!」

 

 

 

そういうと目にもとまらぬスピードで走り去っていった。

 

た、たすかった…?なんだかわけがわからないけど結果オーライ。肝が冷えるわ。

今度こそ立ち上がり今だダメージが抜けない体で先生の近くに寄る。

 

 

 

「先生…怪我、はありません、か?」

 

”私は大丈夫だよ。ちょっとびっくりしちゃったけど彼女はきっと優しい子だ。踏みとどまってくれたんだと思う。なんて私のことよりサエカの方が心配だよ、すごいスピードで飛んで行ったけど大丈夫?”

 

「私は大丈夫、です。万が一、戻ってきても困る、ので用事を先に済ませて、しまいましょう。」

 

 

 

あれだけの猛者がそうそう他にいるわけないが、ほかにビル内に入り込んでいないとも限らない。さっさと援護が期待できない場所からは抜け出す―――誰かが走ってくる!

どうやら先ほどの音を聞かれていたらしい、覚悟を決めて先生の前に出る。そして姿を現したのは。

 

 

「先ほどの物音は何ですか!」

 

 

リンさんだった。よかったぜぇい…

 

 

”あぁうん、さっきここで生徒と鉢合わせちゃって。驚いたその子がサエカを突き飛ばして逃げちゃった。”

 

「はい、です。概ね先生、の言う通り、です。付け加えるなら、対象の生徒、は狐坂ワカモさん、でした。」

 

 

 

やんわりと事の次第を説明する先生。先生の目にはもしかして早すぎて見えなかったかもしれない。いや、見えていたうえで角の立たないような説明をしている?

なんにしてもワカモさんの蹴りには神秘が大量に乗っていた。盾がなかったら死んでいたかもしれないと思うと冷や汗が出る。

 

それを知ってか知らずかやんわりと説明されると複雑な気持ちになる。

そう、この体は他のキヴォトスに住まう生徒たちに比べ脆いというか耐久力がない。

オートマタや生徒でない住人の方が放つ攻撃には一般的な生徒と同じくらいの防御力があるようなのだが、生徒たちの使う大小さまざまな神秘。この神秘のこもった攻撃にはどうやらめっぽう弱いようなのだ。それこそ生身でいる先生とさほど変わらないくらいに。

 

 

 

「狐坂ワカモ!?ここまで入り込んでいましたか…それにしてもよく無事でしたね先生。」

 

”うん、おそらく根はやさしいいい子なんだと思う。彼女も驚いちゃっただけで。サエカにはちょっと手が出ちゃったけど、きっと混乱してしまって謝れなかっただけだと思うから今度会ったら話してみようね。”

 

 

むぅ。そういわれるとあまり怒れない。

 

 

「サエカはケガ等は大丈夫ですか?私も専門的な知識はありませんが一応見せてください。」

 

 

そう言って先生から見えない角度に移動して背中の服の隙間から私の怪我を確認する。

あっ、一応先生背中を向けてた。背中だしリンさんも少し弁えて見えないようにしてくれているのに紳士だね。

 

 

「……背中に痣が複数できています。ここはもうよいのでシャーレの医療設備を使ってチナツさんに治療してもらってきてください。」

 

 

 

メガネが反射して目が見えないが大丈夫と虚勢を張るのはなんとなくよくなさそうだ。

…私は空気が読める女の子だからな!決してビビったわけではない。これは戦術的撤退というやつだ。ないったらないのだ。

 

チナツさんを呼ぶために外に出るとヴァルキューレの生徒さんたちが対応に追われていた。

あれ?私、今回終始何もしてなくない?ちくしょうめぇぇ!

そう自分の不甲斐なさと残念さに、プルプル震えているのを彼女たちは痛くてそれを我慢していると捉えたらしく、子供をあやす母親のような顔をしていた。

 

 

 

その後引継ぎを終わらせたらしい先生と合流してこれからの仕事の打ち合わせをしていく。

願わくば安寧の日々があらんことを。

*1
矛盾

*2
お祭り男感

*3
背後から轢いた

*4
すれ違いグーパン

*5
普通に交通事故




先手必勝をかましてきたワカモですが彼女の本能的にサエカの武器といいその姿在り方といいすべてが異質なため本能的に排除に動きました。
だって身体は■■ある■■に■■■■され■■の上の■■がある身体になっています。
武器はビナーの解析から作られた黒服製の劣化版アツィルトの光
盾はケセドの外骨格。どれをとってもまともじゃないですね!盾以外サエカは何も知りませんが。
今後も洞察力や神秘量の多い生徒たちからは不気味がられます。やったねサエカちゃん、安寧の日々なんて来ないよ!
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