シャーレの決戦兵器   作:わんぱくフォックスですまない

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第40話 えっ、合宿?

にゃんぱすー。夕暮れの中、一次試験のテストを先生と一緒に採点してる、ティーチャーフォックスだよ。

放課後に集まって勉強し始めてから、一週間。そろそろ、ということでナギサさんが学年ごとの、問題集を先生に渡してきた。

各人、この一週間の補習で自信が付いたのか、自分の合格を疑わない、という顔付をしている。

 

 

 

 

「みなさん、どうでしたか?」

 

 

二年組のを先生が、一年組のを私が採点をしている中、ヒフミさんが終わった解放感からか、他のメンバーに手ごたえの程を聞く。

 

 

「問題ない。この程度ならすぐに克服できる。100点満点とはいかないだろうが、既定の点数は出せている筈だ。」

 

「うふふ、自信ありそうですね。私もちょっとだけわからない問題がありましたが、きっと皆さんと同じ結果を出せていると思います♪」

 

「ふ、ふん!あのくらいなら、エリートの私にかかれば、よ、余裕なんだから!」

 

 

だといいんですけどねぇ……。

 

 

「それなら安心できそうですね!……実は、ナギサ様より言われていまして。」

「もし、一次試験に不合格者が出てしまった場合、全員で合宿をしてください、って。ですが皆さん大丈夫そうですし、杞憂でしたね!」

 

 

おっとぉ??なんだか風向きが変わってきたよ?本人もヤバいと感じたのか、露骨に視線を泳がせ始めた。わぁ、メトロノームみたい。

 

 

”え?合宿?何も聞いていないけど、一応後で確認取るね?”

 

「朝から晩まで、年頃の男女が一つ屋根の下……そこで何も起こらないはずもなく……。」

 

”試験勉強しか起こらないからね??”

 

「まぁ、それも不合格者がいればの話ですし、きっと大丈夫です!というか皆さん1週間で合格点まで届くのなら相当サボってましたね??ハナコちゃんとかすごい勉強できそうなのを見れば、私と同じ、やむを得ない事情で試験を受けられなかったとか、そういったことだったのでしょうか……?」

 

 

 

一人ごちるヒフミさん。けどヒフミさん……さも自分も、「仕方なかった」感を出していますけど、ヒフミさんのそれは全然、やむを得ない事情じゃありませんからね??

でも実際ハナコさんはどうなんだろう?直近のテストの点数をチラ見したけど、2年生に入ってから、それこそこの数カ月で大きく点数を落としている。何か事情がありそうだね。

 

 

 

 

”さ、私の方は採点終わったよ。サエカの方はどうかな?”

 

「ばっちりでっせ。」

 

 

ヒフミさんたちが雑談している間に、先生の採点が終わる。私の採点していた分も回収して先生が教壇で読み上げていく。けっかはっぴょー!

 

 

”まずはヒフミからね。72点。今回のボーダーは60点だから合格だね。おめでとう!”

 

「やりました!なんだか無難な結果ですけど良かったです。」

 

”次にアズサ。32点。不合格だね……。”

 

「っち、紙一重だったか。」

 

「えええええ!?ま、まってください!全然紙一重じゃないですよ!?」

 

 

うーん、だよなぁ。先生の近くで採点していたから何となくわかってたけど……個人的にはせめて40点に届いてほしかったところ。でも放課後集まった効果はあったのか、直近の内容よりずっと良かったから、ヒフミさんの言う通り、サボっていただけか、優秀な師がいなかったせいか。

なんにせよ、アズサさんはもう少し勉強すれば60点くらい届きそう。

けど問題はここからなのよねぇ……。

 

 

 

”次はコハルだね。サエカに採点してもらったけど、採点に不備はないから発表するね。結果の方だけど、11点。不合格だね……。”

 

「えええええ!?コハルちゃん今回はちゃんと1年生用のテストを受けたんですよね!?」

 

「い、いやすごく難しい内容で……。」

 

 

いや難しくはないよ、コハルさん……。何なら一部、中等部で習うようなものまで混じってる。

どこぞのミレニアムシナリオライターみたいに、ちゃんと高校受験に合格できていたのか怪しいとすら思ってしまう。

 

 

 

”じゃあ最後、ハナコ。えっと、2点。同じく不合格、だね……。”

 

「ふぁぁぁぁ!?2点!?私の聞き間違いではなく、2点ですか!?というより待ってください!ハナコちゃんものすごく勉強ができる感じで、アズサちゃんに教えていたり、私にも教えてくれていましたよね!?」

 

 

おおー、ヒフミさんがマシンガンならぬ、ガトリングのごとくツッコんでいる。すさまじいまでの連射力だね。

にしても2点……2点かぁ。寧ろ何が正解したんだろう?選択問題でラッキー拾った感じ?

 

 

「私そう見られちゃうみたいですね。ですが教えるのとできるのは別物ですから。」

 

 

なんでちょっと嬉しそうなのこの人。

 

 

「あうぅぅ……。」

 

 

 

―――こうして補習授業部の延長、もとい合宿が決まったのだった。

 

 

 


 

 

 

side先生

 

「こんばんは。補習授業部の方はどうでしたか?」

 

 

時刻は太陽も沈んだ薄暗い時間。補習授業部は明日からの合宿準備のために、少し早いが解散しており、サエカには合宿先での必要な物リストを作ってもらっていた。

そのため、呼び出されたティーパーティーのテラスには、私とナギサだけしかおらず、部屋の広さに対して少しだけ寂しい雰囲気をのぞかせていた。

 

 

「と、聞いておきつつも結果の方はすでに聞いております。あまり良い結果、というわけではなかったようですね。どうぞ、お掛けになってください。今日はウバの紅茶をご用意しました。」

 

”まぁ今回は1回目だからね。1週間、放課後だけの勉強会で、これだけ伸ばせる事が出来るのなら大丈夫だよ。”

 

 

私は今回の結果に対し、素直に己の所感を述べる。この一週間教鞭をとって分かったことだが、彼女たちは決して頭が悪い訳でなく、むしろ呑み込みが早いタイプの生徒たちだった。

ならば、どう教えるか。どう理解してもらうかは、先生である私の腕によるものであり、そこに生徒の落ち度はない。寧ろ先生らしい事が出来て、ちょっと嬉しいのは内緒だ。

 

 

 

「ふふ、そうですね。あと2回、ありますからね。さて、今回は先生にお伝えしたいことがありましたが、何やら先生も言いたいことがある様子。先に先生の話を聞きましょうか。」

 

”うん、まぁ。顔に出てたかな?ごめんね。”

”聞きたいことは今のところ一つ。試験の3回。すべてに不合格だった場合、補習授業部の生徒たちはどうなるのか聞いておきたくてね。”

 

 

笑顔を張り付けたまま、優雅にティーカップを口に傾ける。

紅茶を楽しみ、一拍置くと、やましいことなど何もないとばかりに、その沙汰を下す。

 

 

「鋭い質問ですね。流石は先生、と言ったところでしょうか。そんな鋭い先生の質問にお答えさせていただきますと、簡単なお話です。猶予を与え、試験にも合格できず、落第する可能性が高い上に、助け合うこともできない。そのような生徒は、言っては悪いですがここ、トリニティには必要ありません。仲良く退学してもらいます。」

 

”退学、ね。”

 

「もちろん本来は停学や、退学といった校則はしっかり存在しますが、手続きが多く、時間もかかり面倒でしたので、今回は特例措置として、シャーレの強権を勝手ながら組み込ませていただきました。勿論この手続きはしっかりとした手順で、綿密に作られています。」

「そしてここからが私のお話にかかわってくる部分ですが。」

 

”なにかな?”

 

 

笑顔から一転。とても真剣な顔つきになり、私も姿勢を正す。

 

 

「そもそもあの補習授業部という集まりは、生徒を退学させるために、作ったものですから。」

 

 

ナギサはなんてことないように口にする。退学させるために集めただって?確かに彼女たちの成績は振るわないかもしれないが、何もそこまでするほどの事ではない。

たったそれだけで、退学など少しやりすぎている。一応の救済措置なのか、対外的なアピールなのか分からないが、残り2回のチャンスを残している。これは悠長に事を構えている暇はないのかもしれないが、そこまで強硬策に出ている理由も少し気になった。

 

 

”念のため聞くね。どうしてそこまでの事を?”

 

「……これも簡単な話です。あの中にトリニティの「裏切者」がいるからですよ。」

 

”裏切者?”

 

「はい。ここまで誰も触れてきませんでしたが、先生には協力をお願いする手前、情報の共有はしておこうと思います。分かっているとは思いますがくれぐれも内密に。」

 

 

そう言ってナギサはティーカップに口を付けるが、カップの中は既に空で、少し悲しそうな表情を見せる。そしてその悲しそうな表情は、これから話すことに対しての悲しみの表れであると知ったのはすぐ後だった。

 

 

「セイアさんが襲撃され、その行方が分かっていないことは先生もご存じでしょう。そして生存しているか怪しい、ということも。」

 

”うん、サエカから聞いたよ。君たちにとっては大切な友人が。サエカにとっては唯一の家族が。君たちの深い悲しみや絶望を、何も知らない私が知ったような言葉をかけることはできない。だけど、見つかっていない以上、最悪ではないから無理はしないでほしい。”

 

「……ありがとうございます。話を戻しますね。そのセイアさん襲撃にかかわっている、裏切者が補習授業部の中にいる、と検討をつけています。」

 

”それはどうして?”

 

「まだ公開していませんが、のちの現場検証から、犯人は一人ではなく複数名。そして様々な状況から、犯人の一人は内部の、このトリニティに通う生徒であると結論付けています。」

「ですので先生。多少の犠牲を出してでも、このような高度な殺人をやってのける犯人、ないしは共犯の人間を排除せねばなりません。次の犠牲が出てからでは遅いのです。」

 

 

真剣な表情のまま、ナギサは言葉を紡ぐ。その表情、声色からは不退転の意思が読み取れる。だが言葉と反して「助けて」と言ったものではなく、むしろ他の狙いもありそうな様子だった。

 

 

「ですので先生。これ以上被害を出さないためにも。どうか、トリニティの裏切り者を見つけてほしいのです。これは同じシャーレでも、サエカさんには頼めません。姉を失った幼い友人に対し、そのようなことは決して。」

 

 

たしかに、サエカには頼めないだろう。もし私が逆の立場だったとしても、できない。

だが気になるのはサエカの反応。あの子は確かに、他人との壁を少し作る傾向にある。

けど、その壁は一致以上の距離に近寄らないためのもので、決して人に対して関心を寄せない性格ではないと思っている。でなければアビドスで初対面の少女たちのために、あれほど怒り、暴れてりしないはずなのだ。

 

しかし今回のサエカはというと、悲しそうな表情はすれど、感情のコントロールができているように見える。悟られないように隠しているだけかもしれないが、記憶になくても実の姉。何かしらの反応があってもよさそうだけど……。

だけどこれだけは言える。ナギサも、ミカも、サエカも。確定していないのなら、まだ悲観する時間じゃない。

 

 

 

「敵の正体は依然分かりません。何処の誰で、規模も、所在も。ですが目的に関してはいくつか推察できます。」

「その目的の一つではないかと私が疑っているのは「エデン条約の阻止」です。」

 

”エデン条約……。”

 

「はい。連邦生徒会所属であることから、サエカさんも先生も、その概要は知っているかと存じます。エデン条約。それはトリニティとゲヘナの不可侵条約。」

「ですがこれは概要。その本質は不可侵ではなく両校の中心メンバーによる、中立的な機構を設立することにあります。」

エデン条約(Eden Treaty Organization)……通称ETOと呼ばれる組織が、トリニティとゲヘナで起きた紛争に介入して、それを阻止、解決することになります。」

「両校の関係はあまり良いと言えるものではありません。それは先生もご存じの通りかと思います。この二つの学園で全面戦争が起きれば、恐らく共倒れすることでしょう。」

 

「……あくまで推察ですが、犯人はホスト殺害のヘイトをゲヘナに向けて、全面戦争をさせたいのかもしれません。そうなればロクな未来は待っていないでしょう。」

「そうならないために。大きな犠牲を作らないために、私はエデン条約を締結させねばなりません。ですが裏切り者を見つけ、阻止するには手が足りないのです。ですので先生。繰り返しになりますが、裏切者を見つけてくれませんか?」

 

 

裏切者。何処までナギサの推察があっているのか分からないけど、実際に犠牲が出てしまっている以上、静観はできない。だが、未来ある生徒を、そんな疑わしきは罰せよ、という理由で断罪していい理由にはならないと思う。だから私は私の方法で、対処をしてみようと思う。

―――なにも答えは何も一つだけじゃないんだよ。テストじゃないからね。

 

 

”………わかった、とは言えないかな。”

 

「一応理由を聞いておきましょうか。」

 

”かもしれない、だけで生徒の未来を奪うことはできない。”

 

「ですがその”かもしれない”で、多くの生徒が危険にさらされる”かもしれない”としたら?」

 

”そうならないように止めて見せるよ。だからそのお願いは聞かなかったことにするね。私は私の方法でよい未来を掴んで見せるよ。”

 

「……そうですか。残念です。ですが先生、覚えておいてほしいのです。私はゴミを細かく分別することは苦手なので、いっそ「箱」ごと捨てることもある、と。」

「そのためであれば多少強引な手段を使うことはあります。罵ってもらっても構いません。ですがそのためには、「急に試験範囲が変わる」ですとか、「試験会場が変わる」ですとか、告知していない事をやむを得ず行うでしょう。」

 

”そっか。それでも私は先生だからね。何とかしてみせるよ。”

 

「ええ。よろしくお願いします。どうかその決断が、苦痛の少ない結果であることを願っています。ああ、それと最後になりますが、一次試験においては私たちは如何なる操作を行っておりません。このことは誓って嘘でないことをお約束します。」

 

 

それを聞いて私は席を立つ。去り際に飲み干した紅茶はとても渋く苦みのある、大人の味だった。

 

 

 


 

 

 

sideサエカ

 

「はぁ、はぁ。ようやく着きましたね。」

 

「そうですね、ようやくです……こんな歩くとは思いませんでした。」

 

「それにしてはヒフミさんもですが、皆さん余裕そうですね……??」

 

 

一次試験の翌日。早速、補習授業部は指定された合宿場所に来ていた。

だけど指定された場所は、最近使われていない旧校舎のような場所で、敷地面積がバカじゃねぇの?って5回くらい言う程馬鹿なので、朝から随分歩いてしまった。

そんな中、体力的にクソ雑魚な先生は勿論の事、ハナコさんも大分バテてしまっていた。

でもまぁ、ハナコさんの疑問もわかるかも。

 

ファウストこと、ヒフミさんは先生曰く、ブラックマーケットやペロロサマとかいうキャラクターが絡んだイベントには軒並み出没しているらしく、行動範囲がこのメンバーの中ではダンチだ。この程度の移動で息は上がらないっぽい。平凡アピールで息を上げてるがバレバレだぞ!

 

コハルさんは自称エリートでも正義実現委員会。頭を回しているより体を動かす方が得意なんだと思う。荷物もさほど多くなくて、ちょっと歩いたなーって顔。そんな純粋で素直なところは私は好きだよ。

 

分からないのはアズサさん。お泊りグッズがほとんどなく、抱え込んでいた荷物のほとんどがトラップや火薬といった明らかに合宿に使わないもの。貴女は何と戦争するつもりなんですか?

一旦私が預かった。

 

なのでここには燃え尽きているクソ雑魚成人男性一人と、何か妙にエロイ息使いで到着を喜ぶ変態一人と、ケロッとしたJKが3人いるだけだった。

私?途中でダウンした、よわよわ先生と辛そうなハナコさんの荷物とアズサさんの没収品、最後に自分の物資を抱え荷物だるまと化してるよ。前が見えませぬ。

 

 

 

 

「ふぅ。意外ときれいですね。使われなくなってから久しいと聞いていたので、冷たい床で裸になって寝ないといけないと思っていましたが、これなら暖かい布団で寝れそうですね。」

 

「なんで裸で寝る必要があるのよ!?」

 

「あら、興味がありますか?裸で寝ることによってですね、発汗が良くなり、ショーツによる締め付けがなくなることによって血行の促進も―――。」

 

「えっ、いやいい、いらない!いらないから!」

 

「一応嘘じゃなくて本当らしいですよ、コハルさん。リラックス効果もあるし、冷え性の改善もある……とか。オススメはしませんけど。」

 

「えっ、そうなのサエカ?いや、でもやらないから!」

 

「……詳しいですね、サエカちゃん。もしや経験者ですか♡」

 

 

や、やめろぉ!そんな目で私を見るな!!何を想像しているんだ!病室で一人だった時に少しでも良くなれば、と思って色々調べていた時に覚えてしまっただけだ!

しっかりパジャマを着て寝ているとも。夜中素っ裸で襲撃とかあったら困るし。

 

 

「まさかまさか。知識として知っているだけですよ。職場で寝泊まりしているような物なのに、シャワー以外では服脱ぎませんって。」

 

「つ、つまり着衣で……!?」

 

「!?何考えてんのっ!?エッチなのはダメ!!死刑!!」

 

「あら?私はまだ何も言ってませんよ?コハルちゃんは何を想像してしまったのでしょうか♡」

 

「~~~~っ!」

 

”そういえばアズサはどこ行ったのかな?さっきから姿が見えないけど。”

 

 

ようやく会話できるくらいまで回復したよわよわな先生。そんな疲労困憊でも生徒の事を気にかけられるのは流石なんだけど、そこに気が回るのなら車の手配もしてほしかったと思う。

まっ、先生はよわよわな姿を見せる位が丁度いい。そうでないと銃弾一発で倒れるってことを忘れてしまいそうだから。ざぁこ♡ざぁこ♡

 

 

 

「ただいま。」

 

 

そんなことを考えていたらアズサさんが帰ってきた。良かった、逃げてなくて。脱走兵は厳罰に処されますからね。お昼ごはん抜きの刑にしてやります。

 

 

 

「おかえり……?えっとアズサちゃんはどこ行ってたんですか?」

 

「ああ。この建物と周辺の偵察をしてきた。ここなら狙撃もされないし、立地的に装甲車も使えない。入り口も2か所しか無いのもいい。よい建物だ。」

 

 

だからここには戦争しに来たんじゃないってば。このテロリスト怖いよ。

 

 

 

「万が一に備え、対人地雷と、クレイモア、即席ではあるけどトラップや、念には念を入れて対戦車地雷も―――」

 

「はいストップです。流石に聞き捨てなりません。先生の身の安全のために排除しますので、悪しからず。というか没収したのにどうやって作ったんですか。」

 

「むっ!脱出……は難しそう。そんな小さい身体で制圧できるとは。流石シャーレの懐刀、油断できない。」

 

 

万が一ってほんと何と戦う想定なんだよぅ。あれか?男子学生が教室でテロリストが侵入してきたときの妄想するとかいう、あのバカげた妄想か?キヴォトスでは無いとは言えないけど、先生が塵に帰る可能性の方がずっと高そうなので却下です。ギルティ。コンフィスケイション!!

 

 

 

 

「にしても流石ブルジョワの固まり。こんなきれいな別館を使っていないとは。体育館もシャワーも、キッチンまであるなんて。」

 

「あ、あはは、確かに少し掃除すればまだまだ使えそうですよね。外にプールもあったみたいですし、ナギサ様が気を回してくれたようですね。」

 

”私も合宿の間は近くの部屋で寝泊まりしてるから、何かあったらすぐ呼んでね。”

 

「ふふ、先生も一人の男性。ここは親睦を深めるためにも、同じ部屋で寝食を共にしても……。」

 

「だからエッチなのはダメッ!なんですぐそうゆう話に持って行くの!?この変態!!」

 

 

うーん、ほんと下ネタ大好きだなこのピンク・ピンク・ピンクのチャンネー。

先生も先生で少し悔しそうな顔してるんじゃないよ全く。もぐぞ。

 

 

「私も皆さんと別の、廊下を挟んで向かいの部屋にいますので、男性である先生が対処しずらい問題が起きた場合に、声をかけてください。」

 

「えっ、サエカと別なの……?」

 

 

えっ、何寂しいの??さっきまでハナコさんに散々噛みついて、ツンツンしてたのに、今は捨てられた子犬のように、情けなくプルプルしてる。かわいい。

けどコハルさんや、合宿も青春。濃ゆいメンツだけど、根は悪い人たちじゃないと思うから、一緒に生活して成長してきて。その君たちだけの「青春の物語」に、私のような()()()()()はいらない。

 

 

「ふふ、寂しいなら私が同衾でもしましょうか?」

 

「どうきん……??」

 

「同じ寝具で愛を囁き合って絡まりながら寝る事ですよ♡」

 

「あ、愛を……!?だ、ダメッ!女の子同士だし……!!」

 

「あんまりコハルさんをからかわないでください、ハナコさん。コハルさんも、どうしても慣れなくて寝付けないのであれば、相談してください。まずは皆さんとの共同生活をチャレンジしてみましょう。」

 

「それは失礼しました♪では、早速勉強の準備……と言いたいところですが、先にヤることがあると思いませんか?」

 

「!?」

 

 

いちいち反応しないで、裁判長……。

 

 

「なるほど。ハナコも敵襲を想定して、トラップの設置を?」

 

 

さっきダメって言って没収したじゃん。設置済みはこれからだけど。

 

 

 

 

 

「いいえ。先にやるべきこと―――それは、お掃除、ですよ♡」

 

 

 

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