シャーレの決戦兵器   作:わんぱくフォックスですまない

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第42話 えっ、モモフレンズ?

おはようございます。完全武装で硬い床で寝ていたために、お尻と肩回りが痛いビビりフォックスだよ。なに?胸がないくせに、肩がこるのはおかしいだろって?石抱きの刑に処しますよ。

結構肩に食い込むんですよあれ。

そんな年寄りみたいになった私、サエカですがいつも通り先生より早めに起床して、朝ごはんの準備です。先生が朝に弱いのはいつもの事だけど、夜更かし御寝坊さんたちも起きてこない。

今日から補習授業が本格的に指導するというのに弛んでませんかねぇ?

とりあえず朝ごはんに取り掛かるのは後回しで、御寝坊さんたちを起こしに行くとしますか。

まずは準備に時間がかかるであろう女性陣から。

 

 

 

「おはようございます。朝ごはんを作りますので、そろそろ起きてください。それとアレルギーなどあれば事前に教えてくださいね。好き嫌いはぶっ殺しますので悪しからず。」

 

 

ノックをしてから声をかけてみる。これで反応がなければ突撃隣の朝ごはんをするところだけど果たして。

 

 

「おはようございます♡モーニングコールもしてくれて、素敵な朝食の用意なんて本格的に欲しくなってしまいますね。あ、アレルギーは無いので大丈夫ですよ。」

 

 

扉から顔をのぞかせて返答してくれたのは、ハナコさんだった。すると、部屋が豪華なせいで遮音性が高いのか、扉の奥から先ほどまでは聞こえていなかったコハルさんの叫び声が聞こえてくる。

ヒフミさんも見えるので、どうやら本当の御寝坊さんは先生一人だったようだ。

 

 

「それはよかったです。では20分後くらいには朝ごはんが出来ていますので、そのあたりに食堂の方にお願いしますね。私はこれから情けない大人を叩き起こしてきますので。」

 

 

そうして扉を閉めると、先生の部屋の扉をノックする。が、先ほどの部屋と違って部屋の中から気配がしない。しょうがないので軽く断りを入れてから扉を開けるためにドアノブをひねる。

すると意外にもカギはかかっておらず、何の抵抗もなく侵入を許してしまう。これでは警戒していた私がバカみたいだ。

中ではシャーレの仮眠室のそれより幾分豪華なベットがあり、部屋の主はそのフカフカな布団でだらしのない顔で爆睡をしていた。

イラっとしたので、布団を強引に剥ぎ取り、ベットから転げ落としておく。

 

 

”うわっぷ!?”

 

「おはようございます。良い御身分ですね、朝です。5分で支度してください。」

 

”お、おはよう…?筋肉痛で体中いたるところが痛いんだけど……。”

 

「なに泣き言言ってるんですか。次の日に筋肉痛が来るのはまだ若い証拠です。いつまでも体育座りしてないで、顔洗ってきてください。布団は整えておきますから。」

 

 

そう催促するが、中々立ち上がって行動を開始しない先生。まだ寝ぼけて座ったまま二度寝を決め込もうとしてるのかと思ったけど、そういうわけでもないらしく、四つん這いのまま、洗面台まで這っていった。そんなに筋肉痛がつらいのかな?今日は少し優しくしてあげてもいいかもしれないね。

 

先生のベットを直し、簡単な朝ごはんを作る。盛り付けて丁度、といったタイミングで寝坊助共がぞろぞろと食堂に入ってくる。ほら、朝ごはんだぞ。さっさと食え。

 

 

 

 

「お、おはようございます!朝ごはんまでもらえるなんて、なんだか申し訳ないですね……。」

 

「おはよう、サエカ。この朝ごはんなら今日一日頑張れそうだ、ありがとう。朝のこの準備を怠ってはいざというとき戦えないから。」

 

「うう、見られた……お嫁にいけない……。」

 

”おはようみんな。うぅぅ…体中が痛い……。”

 

 

なんだか後半おかしな人たちが居るけど、気にしない。先生はゾンビみたいだけど、割とよく見る光景なので気にしない。シャキッとしろシャキッとぉ!

 

 

「おはようございます。簡単なものですいませんが、ガレットと、バナナスムージーです。お口に合わなければ、別なものを用意しますので、早めにお願いしますね。」

 

「いえいえ。こんなかわいい子が作ってくれた朝食ですし、本心から美味しそうです。ありがとうございます♪」

 

「うん、とってもおいしそうだ。昨日のもそうだけど、サエカの作るもの美味しくて、初めて見るものばかりだ。補佐官という立場は伊達ではないようだ。」

 

”ふふん、うちのサエカはすごいでしょ!シャーレでは毎日食べれるんだ!”

 

 

何自慢してんだこの大人。それに私はまだ、先生のものじゃないから!私は連邦生徒会のものだからね!!………とりあえず先生の頭ににチョップを入れておいた。

 

 

 

 

 

「さて、みなさん!今日は大切な補習授業部の活動初日です!と言っても難しく考える必要はありません。私たちは一人もかける事無く、試験に合格するだけですから!」

「そこで、私は考えたんです。どうすれば合格できるのか。」

「焦ってもいい結果にはならないと思うので、まずは私たちの苦手な分野を洗い出し、その苦手を理解するところから始めましょう!そのために昨晩、こんなものを用意しちゃいました!」

 

 

朝食を食べ終わってこれから補習、というところで教室についた途端にヒフミさんが、色々バックから取り出す。ずっしりと問題集や、参考書などが顔をのぞかせ、その幅の広さはヒフミさんの本気度が窺えるものとなっていた。

 

 

「ずばり、模擬試験です!」

 

「……なるほど?」

 

「きゅ、急に試験なんて言われたって……。」

 

”この模擬試験は、昨晩ヒフミ考案で作成したここ数年間のトリニティにおける試験問題と、その答案用紙を合わせたものなんだ。改めて今自分の実力がどの程度か、闇雲に勉強を始める前に理解をすることはいい事だと思う。”

”まずは模擬試験をしてみて、その結果に合わせた勉強方法を考えよう。”

 

 

おお、ヒフミさん、昨晩何かやってると思ったらそんなことをしていたんだ。私補佐官なのにスヤっとしてしまったよ。流石部長。

 

 

「ふふふ、それにこれだけではモチベーションがイマイチだと思い、皆さんのやる気を上げるためにご褒美も用意してあります!!」

 

 

ご褒美と聞いて各々の目の色が期待のまなざしへと変わる。

ご褒美……ご褒美かぁ。女子高生が喜びそうな物って何だろう。私ならロールケーキ一択だけど手頃のものだとアクセサリーとかコスメ、文房具とかかなぁ。

そんなヒフミさんが、大きめのバックからそのご褒美とやらを取り出す。そして教壇に乗せられたご褒美という、なんだかよく分からないぬいぐるみがズラリ。昨今のJKの流行りは進んでるね。まったくわかんないや。

 

 

「じゃん!今話題の”モモフレンズ”グッズです!こちらを、成績の良い方にプレゼントしちゃいます!」

 

「え……なにそれ?」

 

「モモフレンズ……ヒフミさんのバックのキャラクターでしょうか?すいません、良く知らず。」

 

「え、あれ……最近流行している「モモフレンズ」ですけどあまり知られていない感じですか……?」

 

 

困惑しているヒフミさん。結構な自信があったようで、誰も知らないことにショックを隠せないようだ。でもなぁ。私は職業柄、このキヴォトスにそうゆう企業があるのも知っているし、様々なところでコラボしているというのも情報としては知っている。けどまさかそのキャラクターが普段ヒフミさんが愛用している、バック……目がイっちゃってる奴だと思わないじゃん。やべーよ、何か危ない薬でもキメてそうだもん。でも他のキャラクターはまぁま可愛いかもしれないから、ヒフミさんの好きが偏ってるだけかもしれないね。あ、猫ちゃんっぽいのとか結構かわいいじゃん。

 

 

 

 

「えっと、なにこの……豚……?カバ?」

 

「ち、違います!ペロロ様は鳥がモチーフなんです!立派な羽に凛々しい嘴!かわいくてかっこよさも兼ね備えた私の理想のキャラクターなんです!」

 

 

おっと。なんだか噂に聞く、厄介オタクが推しを語るときのような、触れてはいけない世界が見えるぞ。巻き込まれたらなんか碌なことにならないと私の、フォックスセンサーがビンビンに反応している。私の勘は当たるんだ。

 

 

「な、なんか目が怖いんですけど……それに名前もちょっと卑猥…。私はいらない……。」

 

「ええ……かわいいと思うんですけど……アズサちゃんはどう思います?」

 

 

先ほどから固まって何も口にしないアズサさんに最後の望みで聞いてみる。

いやまぁたしかに、コハルさんでないけど、そのペロロサマというのは中々強烈で、言い方は悪いかもしれないけど、オブラートに包まず言うならちょっとキモイ。

キモ可愛いというのが昔流行ったと思うけど、他がかわいいデザインでまとめられてる為に、一概にモモフレンズ自体が悪いとは思わない。多分あれだ、このペロロサマとか言うのはキワモノ枠、ネタ枠みたいなものだろう。人に迷惑かけない範囲なら、趣味は個人の自由だし、ペロロサマとやらに対しては何も言わないよ、うん。カワイイトオモイマス。

さて、アズサさんの反応は?

 

 

 

 

「か……かわいい……!!!」

 

 

まじすか。やったねヒフミさん。仲間が増えるよ。

 

 

「そ、そうですよね!!この可愛さに気が付くなんて!わかってくれると信じてました!!」

 

「うっそぉ……。」

 

「あらら。」

 

 

そして始まる始まる。水を得た魚、もとい同志を見つけたオタクの如く、熱く語り出す部長。

勉強とかご褒美だとか、そうゆう話はいずこへ?

 

 

「うん、こんなにも魅力的なご褒美をもらえるとあっては、全力を出すとしよう。必ずや任務を達成して、かわいいぬいぐるみを手にしてみせる!」

 

「はい!がんばりましょう!!」

 

 

何か知らんけど、3人中1人堕ちたっぽい。モチベ管理としてはいい作戦だったかもね。

さてさて、残り二人の点数を上げる方法を別で考えないといけないね、これは。

 

 

 

 

 

モモフレ談義で時間を使ってしまったけど、本来の目的を思い出した二人は集中して補習に取り掛かり始めて、あっという間に夕方になっていた。

一度始めればその集中力はすごいもので、私語をほとんど挟まず互いに分からないことを教え合ったりして、理解を深めていた。ハナコさんは終始ニコニコの余裕そうな笑顔をしているけど、一番点数出てないのは貴女なんですよ、大丈夫かなぁ?

 

そんな落第寸前のおバカちゃんズに指導する先生は、シャーレの書類仕事をやっているときよりよほど輝いていて、実に楽しそう。

私?そんな先生がやりたがらないデスク仕事を、持ってきたノートパソコンでひたすら処理ですよ。早く帰りてぇ。

そんなことを心の中で愚痴っていると、突然コハルさんが騒がしくなっていることに気が付く。

 

 

 

「う、うわぁぁ!な、なんで!?」

 

「コハルちゃん、そんな大胆に……♡確かにそれも参考書の一種ですし、勉強熱心な事ですね。」

 

「ち、ちがう!ちがうからぁ!!」

 

「いいえ!私の目は誤魔化せませんよ!アレな本でした。それに先ほど見た表紙は内容も知っています。結構ハードな奴ですよね?」

 

 

慌てて本を3人に隠すコハルさん。何事かと視線を向けると、隠すために後ろ手に持った本の表紙が私の目の前にこんにちは。表紙にはR18の文字。うぇぇあぁぁ!?エッチな本だこれ!!??

しかもなんで狼狽するコハルさんとは反対に、やたらテンションの上がってるハナコさん。

なんで表紙だけで内容を知ってるんですか!?ああ!やめて!内容を声高々に説明しないで!これはコハルさんでなくても、先生の前では恥ずかしい!

 

 

「こ、これは本当に違うんだってばぁぁぁ!!」

 

 

あ、流石に公開処刑は効いたらしく、泣き出してしまった。うん、まぁ気持ちは分かる。

先生は分かった顔で同情しないで?さては経験者だな?教職者として生贄に差し出すことでコハルさんのダメージを軽減するパート2行っちゃうぞ?

 

 

「あ、あらら……すいません、つい気持ちが高ぶってしまいまして。お話が合うかと思ったのですが……。」

 

「だ、大丈夫ですよコハルちゃん。きっと正義実現委員会で差し押さえた物品を、ついそのまま持ってきてしまっただけ……とかそうゆう感じですよね?」

 

「う……うん……私、そうゆう物品の管理をよくやってたから……その、本当にたまたまでぇ…。」

 

「じゃあ善は急げということで、早めに返しに行きませんか?」

 

 

あまりにもコハルさんが可哀そうなので、助け舟を出す。

これがコハルさんの言う通り、差押え品であった場合、本当に第2パートが始まってしまう。そうなれば本当に先生を犠牲にするしかない。無用な犠牲者を出さないためにもここは早めに行動すべきだ。

 

 

”そうだね、時間も時間だし、私もついていくよ。”

 

「確かに先生と一緒なら、万一バレてもそこまで大ごとにはならないでしょうし。私も行きましょうか?」

 

「えっ、サエカが……?う、ううん!いらない!サエカに頼らなくてもちゃんと返せるんだから!」

 

 

さいですかー。あれかな?年下の女の子に、エロ本返しに行くの付いてきてもらうって恥ずかしくてできなかったかな。だとすればエリートコハルさんのプライドを傷つけてしまったかもしれない。あとでおいしいもの作るから許して。

それでも先生にはしっかり付いて来てもらうあたり、やっぱりコハルさんはかわいいね。

……夜ご飯には頑張ったコハルさんのために、ハンバーグを焼いてあげた。

 

 

 

 

 

翌朝。いつも通り、朝ごはんを準備して、昨晩も何やら騒がしかった寝坊助共を起こしに向かう。

昨日と同じように、ハナコさんは元気溌剌で顔をのぞかせ、奥ではまだスヤスヤな3人組。

寝不足……というか夜遅くまで作業をして、朝が弱くなっているヒフミさんは分かる。コハルさんもまぁ、昨日は猥談で忙しかったようなので、それもまぁ。わかる。けどアズサさんが寝不足になっている理由がイマイチ分からない。特に夜遅くに何かしているというわけではないはずなんだけど、単に低血圧なのかな?後で聞いてみてもいいかも。食事で改善するするかもだし。

 

 

「おはよーございます。朝ですよ。今日も人生をかけた戦いが幕を開けましたよー。起きてくださーい。朝ごはん冷めるまでに起きてこなかったら、お仕置としてシャンプーとリンスの中身交換しますからね。」

 

「な、中々地味な嫌がらせですね……?」

 

 

さーて、次はみんな大好き、先ちゃんだ。先生の寝坊は基本許さないマン。お仕事でしょ貴方。

それに折角気持ち籠めてご飯作ってるんだから、それが冷めちゃ悲しいってもんです!うまいと言って食え。義務ですよ。

今日はどうやってベットから引きずり出してやろうか、若干楽しみになりつつある日課に胸を躍らせながら、相変わらずカギのかかってない宿直室を開けるが―――。

先生がいない。トイレか?いない。シャワー?いない。シッテムの箱……充電中。

背中に嫌な汗が流れる。油断した?敵襲?いやな想像ばかり頭を駆け巡る。

ドローンの警戒網すら抜けてくるなんて、私はどうやら侮っていたらしい。先生に何かあったら、私は絶対に許さない。

 

 

 

「あら……?そんな怖い顔で、どうしたんですか?それに武器まで持って……。」

 

「おはよ……なに?どうしたの?」

 

 

御寝坊ちゃん達が着替えて部屋から丁度出てくる。だけどゴメン、あまり構ってられるほど余裕はないかも。

 

 

「おはようございます。先生の行方が分かりません。特務事項に則り、先生の保護に移りますので私は離れます。()()()()()とは、やってくれますね……!!」

 

「なっ!?」

 

「えっ、先生が!?」

 

「ふ、普通に離れただけじゃ……?」

 

 

まったく動揺しないハナコさんと、逆にすごい動揺したアズサさん。何か知ってるのかな?

いや、寝起きだからびっくりさせちゃっただけだ。ごめんね、トリニティではどうしても殺気立っちゃうんだよね。

まぁ今優先すべきは―――

 

 

「ドローン!先生を探して!今回敵ならば排除も辞さない!!」

 

 

ほどなくして先生の反応を捕える。やはりミレニアム。ミレニアムはすべてを解決する。

それを見て私は、方角だけを確認し、ブースターを吹かすのだった。




すいません、大分間が開きました。
出来るだけ投稿頻度は落とさないようにしていたのですが、社会人が忙しく……(言い訳
出来の悪い内容ですが、エタる事だけは無い様に頑張りますのでどうぞよろしくお願いします。


次回、ミカVSサエカ
デュエル、スタンバイッ!!
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