シャーレの決戦兵器   作:わんぱくフォックスですまない

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VS……?


第51話 えっ、人か…バケモノか?

”うっ……。”

 

「気が付きましたか、先生!?」

 

”ここは…?私は何を……。”

 

「むっ、記憶に障害がある。頭を打ったせいかもしれない。」

 

 

頭を打った?そんな記憶はない。まだボケてもいないはずだ。

何故かぼやける視界に、回らない思考。もしや連日の勤務で無理が祟ってしまったか。そう考えた時、生徒たちの悲鳴と怒号、()()()()()()が鳴り響く。

 

 

「くっ、これがあのサエカさんだとでも言うのですか!?情報と些か乖離が激しいように感じますね…!」

 

「いったいなぁ…!そんなもの振り回したら危ないでしょ!?」

 

「AaaaaaGaaa!!」

 

 

視界に映るは数多の生徒に集中放火されつつ、その小柄な体系には不釣り合いなほど巨大な大砲、プチカタストロフを振り回しながら、凡そ理解できない言語で叫ぶサエカの影。

その姿に対し、ミカやアリウスの生徒といった敵対状態の生徒だけでなく、味方であるはずのシスターフッドも銃口を向け、容赦ない攻撃を叩き込んでいる。

 

そんな多勢に無勢の状況でも、ミカを押しのけ、シスターフッドを蹂躙する。…今にも倒れそうな血だらけの身体で。

 

 

”な、何をしているんだ!?すぐにでも止めさせ―――!”

 

「待ってください!」

 

 

教師として以前に、人として見ていられない凄惨な光景に、思わず声を荒げて制止しようとするが、近くにいたハナコとコハルに抑えられてしまう。

その理解できない行動に混乱してしまう。早く助けないと。それだけが今の行動原理であり、為すべきことだ。

 

だが、サエカの様子が些かおかしい。考えなしに戦闘を止めようとしたが、二人に留められたことで少しだけ冷静になる。…おかしい。仲間意識が強いハナコが。正義感のあるコハルが。

この二人が眼前で行われている、集団リンチとでもいうような凄惨な光景に座して見ているとは思えないのだ。

 

だからこそ衝動的になるのを一旦抑え、状況の整理を優先することにした。

 

 

”…この状況は?教えてくれるかい?”

 

「できるだけ手短に伝えます。サエカちゃん…が、ミカさんとシスターフッドとの戦闘に乱入。夥しい出血に、その場にいた全員で制止を呼びかけましたが、意識がハッキリしていない様子で()()()()()()()攻撃を開始しました。」

 

「その彼女の攻撃力の高さ故に、脅威と判断した両陣営により鎮圧を…せめて治療が可能な状態まで疲弊させることが現在の目的となっています。その際に、先生および私たち補習授業部は攻撃を受け、戦線から後退しています。先生の意識がなかったのはその際に頭を打ったことが原因と思われます。」

 

”そんな…。”

 

 

言われてよくよく観察してみると、ミカと戦闘したアズサだけでなく、ハナコやコハル、ヒフミも含めてそれなりの負傷をして、至る所から血が滲んでいた。

 

これでサエカの様子がおかしい理由が分かった。

一見、アビドスでの風紀委員会を相手にした時の様な、感情の高ぶりから暴れている可能性を考えた。だが、アレだけ怒り狂った彼女でも、なりふり構わず敵味方諸共…といった凡そ理性を感じられないような戦いはしなかった。

 

彼女の感性は、キヴォトスの住人というより、私と同じような外の世界のものに近い。

……多少羽目を外すこともあるが、物事の分別はついているように見える。

それが当人の言う、「狭い病室の中」でもしっかり倫理観が育まれていた証左であり、親近感を覚える理由でもある。

 

どちらにせよ、この現状に対して指を咥えて見ているなどといった事はあり得ない。

折角、補習授業部の皆と寝食を共にし、友情を育んだのだ。こんな亀裂の入り方など、教育者として断じて認めることなどできない。

 

それを抜きにしたとしても、現状の彼女はあまりに危険であり、いつ力尽きてもおかしくない。

一度死ななかった事があったとしても、次も死なないとは限らないのだ。

 

―――命とは本来ひとつなのだから。

 

私の目の前で、生徒が死亡するなど絶対に許容しない。

……あの時の様な絶望感と、無力感はもうたくさんだ。

 

 

 

”…サエカを止めるよ。こんなところで君たちの友情を壊させはしない。”

 

「先生……。」

 

 

補習授業部の怪我の具合を見極めてから、戦術を組み立てていく。

だが、どうやって彼女を止めるのが正解なんだ?今にも倒れそうな、目を背けたくなるほどの怪我。これ以上大きな負傷をさせてしまうと、本当に殺してしまいかねない。

それは対処に当たっている生徒たちも肌で感じているようで、消極的な行動しか取れないでいた。

 

そんな中、背中のバッテリーを使い切ったのか、風紀委員会の時と同じくプチカタストロフから光が失われる。

それを好機と見るや、ミカが再度接近を試みるが、結果はあの時のイオリと同じとなった。

チャージなしでの紫色の極光。それが彼女を飲み込んだのだ。

 

 

「……くぅ…!その銃、バッテリー駆動じゃなかったの?サエカちゃんも酷いことするよね、私じゃなかったら怪我じゃすまなかったかもよ、それ。」

 

「uuuaa…!」

 

 

極光に飲まれたはずのミカだったが、生来の頑丈さか、何かしらで相殺したか、相性なのか。

そのどれかも分からないが、ミカはその足でしっかりと床を踏みしめ耐えていた。

 

 

「…………先生、一旦下がりましょう。」

 

”…………!”

 

「ハ、ハナコ?なんで?サエカを助けないの!?」

 

 

ハナコの突然の退避の提案。確かに全員が万全…とは言い難いが行動に支障が出ない程度。

だからこそ、やる気を滾らせていたコハルは勿論の事、口にこそ出さないが、ヒフミもアズサも怪訝そうな表情を浮かべていた。

だが私は彼女の言いたい事が理解できていた。それは酷く悔しくて、残酷な現実。

 

 

「端的に言います。今の私たちは足手まといです。先ほどの攻撃…アレの直撃を貰えば、ミカさんの言う通り、怪我では済まないと思います。間違いなく一撃で落とされます。」

 

「で、でもハナコちゃん、回避に徹して時間を稼げば……。」

 

「先ほどまではそれで良かったかも知れません。ですが、サエカちゃんの武器はバッテリー式。その動力源たるエネルギーが枯渇したのにもかかわらず、ノータイムで発射してきました。……無制限に発射できるとは思いませんが、残弾が不明な以上、射程に入り続けるのはリスクです。」

 

 

悔しいが、ハナコの言う通りだった。サエカの武器、”プチカタストロフ”は主に電力で稼働している。そのため、他の生徒はマガジンを携行するのに対し、彼女はバッテリーを携行する。

この話自体は例の噂のせいもあってか、それなりに有名な話で、彼女の武器に手を入れたミレニアムのエンジニア部も肯定している話だ。

 

つまり、普通の銃と同じく、残弾という概念がある。だが、風紀委員会の戦闘の時は勿論、カイザー戦の時も、ビナーの時でさえ、あの銃が物言わぬ鉄塊と化したことは一度もなかった。

 

 

「先生。先生はあれがどういった武器で、どのような隙があるか知ってる?」

 

”…ごめん、アズサ。残念だけど、あの状態は見たことがあっても、弾切れを見たことはないんだ。”

 

「それでも、逃げちゃったら…わ、私……!」

 

「コハルちゃんはとても優しいですね。ですが逃げではありませんから大丈夫ですよ。」

 

”コハルのそういった所は長所であり、美徳だと思う。そんな心優しい生徒がいて先生は嬉しいよ。けど恐らく、私たちがここに居たら、ミカが全力で戦えないんだと思う。”

 

 

私がハナコの言いたいことが理解できた理由。とても戦闘慣れしているとは思えない動きの彼女だが、それでも戦いながらチラチラと後方の私たちを確認している。それは警戒の表れとも取れるが、きっと違うと思う。アレだけの攻撃を真正面から受けておいて、ダメージが大きくない。

 

ならば、後ろからの攻撃など、大した痛痒を与えることはできないだろう。そんな彼女がこちらを見る理由。そんなのは一つしかない。

 

 

「そこにいるだけなら邪魔だからどっか行ってくれない?巻き込まれて死んだら明日の朝ごはん、おいしくなくなっちゃうじゃん。」

 

”やっぱり……。”

 

「ええ。業腹ですが、私たちに攻撃が行かない様に動いています。本来、問い詰めないといけないのに庇われています。」

 

 

忸怩たる思いです、そう言葉を吐き捨てるハナコの顔は複雑そうだった。

 

 

「ぐっ……!このっ!…………当たり前でしょ?私を何だと思ってるの?私は人殺しなんかじゃない……からさっ!!」

 

 

ミカは此方に視線を飛ばさず、何とか拘束しようと、砲撃をその身に受けながらサエカの手を掴む。そしてそのまま手四つ状態まで持ち込み、抑え込もうと力を込めていく。

だが体格差と、少なくないダメージの蓄積がありながら、サエカは無理やり押し返す。しかしミカも気合で拮抗させ、数舜の膠着状態を作り出していた。

 

そんな二人の膠着を破る出来事が起こる。良くも悪くも…この場合、最悪の方法で二人の決着をつける事となった。

それは酷く呆気ないもので、もう一つの脅威を忘れていた生徒全員が、認識を改めさせられることとなった。

―――現実は残酷なのだと。

 

 

 

 

「gaaaaaaa!!」

 

「うっ…あああああ……!?」

 

 

体育館の中央で四方から攻撃を受けていたサエカに、アリウスの生徒が放った()()()()が彼女の背中に命中してしまう。それは近距離で戦闘していたミカをも巻き込み、紫色の爆炎を上げる。

だが問題はここからだった。通常あまり見ないような色の爆炎。それに対し嫌な気配を感じつつも、煙がゆっくりと晴れ、至近弾で済んだミカの負傷が視界に入る。

しかし直撃を受けたサエカは―――。

 

 

左肩から腰までごっそりと無くなり、普段見えるはずのない、見えてはいけない中身が散乱していた。明らかな致命傷。誰がどう見ても即死であった。

そしてそれを見て、一歩下がり、何かを踏んで尻もちをつくハナコ。現実を受け入れられないまま、自身を転倒させた物体の正体に視線を向け、絶望する。

自身が踏んで転んだ物。仇敵が彼女に送った金の意匠をあしらった見慣れたブレスレット。

―――足元に転がっていたのは、千切れ飛んだサエカの左腕だった。

 

 

「あ……いや…いやぁぁぁぁあああああ!!??」

 

「え…うそ……サエカ…?」

 

「そんな……。」

 

 

()()を理解する。未だ現実をうまく受け入れられない他の生徒たちと違い、ハナコは本来あるべき場所になく、離れているソレを視界に入れてしまった事で、理解を拒み、停止した思考を無理やり稼働させてしまった。彼女はここまで生来の思考の速さを呪ったことはなかっただろう。

 

 

「うっ…ぐ…痛、い…なにこれ……え…………?」

 

 

至近弾とはいえ、軽くはないダメージに喘ぐミカ。だがそんな彼女も、目の前の凄惨で受け入れがたい現実を見て、己の罪の重さ理解する。直接ではないとはいえ、自分が原因で、親友とその妹を殺してしまった。その事実を見て受け止められるほど、少女の心は頑丈ではなかった。

 

怪我の痛みを忘れ、その場で蹲る我儘なお姫様。親友の死を無駄にしないために突き進むしかなかった少女はここに来て折れてしまったのだ。

 

 

「なんで…誰が……誰が撃ったんだ!!言え!!!」

 

 

静まり返る中、アズサは感情のままに叫ぶ。同じアリウスという環境で育ち、同じ釜の飯を食べた仲間たち。そんな彼女たちが、補習授業部という日常の中で育んだ「大切」を奪ったことが許せなかったのだ。

 

そのあまりにも酷すぎる惨状を見て、作戦を進めるだけだった感情をあまり表に出さないアリウスの生徒にも、少なくない動揺が見え、次々に武器を捨て降伏する。

結局のところ、人殺しの教育を受け、感情を殺して命令のままに生きても、ただの少女たちに過ぎなかったのだ。

 

 

「ち、ちがう…私じゃない……!」

 

「私でもない…!」

 

「違う…違う……。」

 

 

全員が武装解除したのを見て、戦闘が終了する。比較的サエカと関わりの薄かったシスターフッドは他に比べて動揺が少なかったが、それでもこの現状を仕切れるほど彼女たちは大人でもなく、唯一事態の収拾できる先生が事態の収拾をしていくのだった。

 

 

 


 

 

 

気が付くと朝日が昇っており、外が明るくなっていた。先生指揮のもと、比較的動けたシスターフッドの手によってアリウスの生徒はすべて捕縛された。その際精神的な動揺が強かった彼女たちだが、幸い暴れる事もなく、大人しく指示に従っていた。

 

しばらくして、正義実現委員会が本来の役目を全うするために現れた。やはりミカのティーパーティー権限によって動きを封じられており、事の結末を知ったツルギとハスミに深い謝罪を受ける事となった。

 

 

 

「…本当に……すみませんでした。」

 

”君たちは何も悪くないから頭を上げてほしいな。これは事故。無かった事にはできないけど、君達生徒に責任が生じるものではないよ。勿論、ミカにも、アリウスの子たちにもね。”

 

”もし今回、責任を負うものがいるとすれば、それは私だ。大人の立場でありながら止める事が出来なかった。気にしないで、とは言えないけど、気を負わないでほしい。”

 

「…お気遣い、感謝します。ですが私たちは二度とこのような事が無いよう、心に刻み付け、精進します。ですので先生も背負いすぎないでください。」

 

”うん、ごめんね、ありがとう。”

 

「…さて、野次馬もちらほらと出てきました。……彼女も、早く休ませてあげましょう。」

 

”そうだね……。”

 

 

視線の先には赤く染まったシート。そこには今回の襲撃をその身で終わらせた功労者が眠っていた。

そしてその周りには大粒の涙をこぼし、泣き叫ぶ補習授業部の生徒たち。その少し離れた場所には目から光を失って、何にも反応を示さなくなったミカがいた。

 

私は情けなかった。彼女たちの友情を守るために騒動を止めると決めたのに何もできなかった。

―――私は、また守れなかった。

いつも守られてばかりで何もできず、導くこともできない。

 

願わくば神様。もう一度。

 

 

サエカの亡骸を弔うために、救護騎士団の生徒たちがストレッチャーにゆっくりと、そして丁寧に乗せていく。それに対し、泣きながらしがみつく生徒達。そんな時だった。

 

私の願いが、皆の気持ちが届いたのか、それとも()()()()()()のかは分からない。

突然、赤いスパークのような閃光が走った。突然の現象に周囲の生徒が驚く中、まるで逆再生でも見ているかのように、内臓、骨、筋肉、皮膚といった順番に再生されていく。

明らかにあり得ない超常現象を前に、唖然に駆られる生徒達。

 

 

「うぅ……あ、れ?うぇ、ぎもじ、わるい……。」

 

「え…は……?」

 

「うそ……。」

 

 

夢か現か。臓器が飛び散り、誰が見ても生命の欠片すら感じさせない骸と化した少女が、その肉体を再生させて、まるで何もなかったかのように起き上がる。

吹き飛ばされ、本来あるべき場所から離れた腕も、塵となり彼女が今の今まで死んでいたという事実を消し去る始末。

だが、その塵となった左腕についていたブレスレットが床に転がるのを見て、これが夢ではなく現実であると教えてくる。

 

 

「あれ…?ここ、ど、こです、か?………そうだ、襲撃、はどうなり、ましたか!?」

 

「サエカぁっ!」

 

「うわっ!?」

 

 

周りが目の前で起こったことが理解できず、固まっている奇妙な状況を意に介すことも無く、呆ける少女にヒフミとコハルが抱き着く。

突然の事で理解が追い付いていないサエカは、上手く2人を受け止める事が出来ずに、ストレッチャーごと倒れこんでしまった。そこに一足遅れてアズサもハナコも抱き着き、もみくちゃの団子状態となったサエカはさらに混乱を極める。

 

 

「ほぉぉぁあ、ああ!?助けて!先、生!お助け、助けやがれ、ください!!」

 

”それを助けることはできないかな。今回は無茶した結果だから、甘んじて受け入れてね。”

 

「そんな!?お慈悲、お慈悲、をぉ!」

 

 

最早本人が見えないほど抱きしめられたサエカは、隙間から腕を伸ばし何とかしてくれと助けを求める。その伸ばされた左腕に、普段は装着されている筈のブレスレットがないことが嫌でも目に入る。

しかし結果や過程がどうであれ、サエカは生きて、言葉を発している。

この短い期間に、二度も生徒が死亡し、復活するという世界の法則に真っ向から喧嘩を売る現象に、情けなくも気の抜けた溜息を出す先生。

 

しかし今回は目撃者があまりにも多すぎた。

摩訶不思議な事が日常のキヴォトスでも、死者蘇生というあり得ない奇跡に対し、代償が出た。

 

 

 

「ば…バケモノ……!!」

 

 

誰が言ったか、外から聞こえるその言葉は、やけによく通った。

 

「なんで死なないの…?」

 

「人殺し…!」

 

「化け物……!」

 

「人間じゃない…!」

 

 

「シスターフッドが居るって事はつまり…!」

 

「あそこにいるサクラコ様のお顔…!きっと何か裏で…。」

 

 

段々と広がる外の喧騒。その言葉のどれをとっても、否定的な物ばかり。

こうなるかもしれない、という恐れがあったために、前回は死者蘇生の話をせずに有耶無耶にしていた。勿論、直接観測しなければ、私の正気を疑うだけだっただろうが。

しかし、多数の目に見られてしまった。だが、失敗した、とは思わなかった。どのような噂や扱いをされようとも、命には代えられないからだ。

 

外の喧騒を聞き、騒ぎが大きくなるのを感じてか、いまだ理解を拒む頭を必死に動かし、今話すべきことをしようとハスミ達、正義実現委員会が事態の収拾を図る。

シスターフッドも協力して、何とか野次馬を散らすが、きっとこの噂を止めることはできないだろうな、と今後の対処に頭を悩ませるのだった。

 

 

 

しばらくして、ようやく落ち着いた補習授業部に解放されたサエカ。

黒服製のブレスレットをはめながら、状況の理解する彼女は何ともバツが悪い顔をしていた。

 

曰く、ミカに不意打ちを貰って動けなくなったが、救援に向かうために自殺紛いの自爆を敢行。

死ぬ危険性は大いにあったが、サオリとの戦闘で死者蘇生を経験し、()()()()()の話を信じて賭けに出たのだとか。

 

それに対しての補習授業部は各々怒り、ハナコに至っては無言でにっこり笑うだけという、得体の知れない圧を発していた。勿論状況が落ち着いたら、私からも説教だが。

 

そんな中、ようやくミカが口を開く。

 

 

 

「よかった…よかったよ……()()大切な人を殺しちゃったんじゃないかって……気が気じゃなかったよ……。」

 

「まぁそれはお互いさまってことで……ん?()()?」

 

「うん……あなたのお姉ちゃん…セイアちゃんを襲撃の提案をしたのは私なの……だから私は仇。そのうえ、サエカちゃんも間違えば殺してた…実際死んじゃったけど……だからごめん。ごめんなさい……!」

 

 

泣きじゃくり言葉を続けられなくなったミカに対し、気まずそうにするサエカ。

それを謝罪として受け取り、代わりに真実を教えるのだった。

 

 

「あー…あの、言いにくいんですけど、セイアさんは生きてますよ。ピンピンしてます。」

 

「ごめん…なさい…ごめん………え…?いまなんて…?」

 

「セイアさん襲撃受けてません。私です、殺されそうになったの。それに、直接手を下したのは、サオリとかいう人です。それなりの復讐はしたので、しばらく動けないと思います。ミカさんはそんなに悪くないと思いますよ。」

 

「……は?」

 

 

よほど思い詰めていたのだろう、自身の空回りを聞かされて、フリーズしてしまう。

その後、何故秘密にしていたのか、どうやって助かったのか。セイアは今どうしているのかなど順番に説明していき、より混乱を深めた。そして、何とか再起動を果たすころには、皆普通の表情に戻っており、また日常に戻れるのだと思わせてくれるくらいに回復したのだった。

 

 

「つまり、ミカさんは愚かにも勝手に勘違いして、暴走した挙句、ネタバレ食らったお間抜けさんということですよ♡」

 

「…言ってくれるじゃんね。私、ティーパーティートップの一員なんだけど?まぁ除名されるだろうけど…。」

 

”ハナコも一々煽らないの。ミカは…ごめん、事が事だから、一旦正義実現委員会預かりとなるけど、私たちは疲れたから休もうか。こんな時間だし…こんな……時間…。”

 

「あぁー!た、大変です!第三次特別学力試験ん!!」

 

「えっあっ、ヤバいじゃん!どうしよう!?」

 

「わ、私もミカさん煽るのに夢中で失念していました…すいません。」

 

「現在時刻7時50分……走ればぎりぎり間に合う。」

 

「私の盾を回収できれば5分でお届けできますよ。」

 

”死んじゃうからやめてね?”

 

 

ぱたぱたと締まらない感じで駆けだす補習授業部。こんな状況でテストなどと考えるが、それはそれ、これはこれ。真っ向から勝利しようと皆で決めたのだ。であればここからが本番。

 

 

「あっ、まって!最後に一つだけ!ナギちゃんは!?」

 

「補習授業部のキッチンの棚に詰め込んでます!怪我は多分してないので心配無用ですよ!」

 

「扱いが結構雑!!」

 

 

最早笑い飛ばすしかできないといったミカを、正義実現委員会に任せ、全力疾走する補習授業部。

なんとか開始5分前に到着する事が出来、彼女たちの戦いに挑むのだった。

 

結果は―――。

 

 

 

第三次特別学力試験、結果。

 

ハナコ 100点(合格)

アズサ  97点(合格)

ヒフミ  94点(合格)

コハル  91点(合格)

 

補習授業部―――全員合格。

 

 

 




沙華の残基が減りました。黒服は泡拭いて倒れました。
サエカはスヤスヤと寝ていました。起きていればミカとアリウスは蹂躙されて全員重症くらいまで追い詰めていました。彼女の権能はミカとアリウス陣営には特攻なので造作もなく。
余談ですが、サオリとの一戦。先生の声がなければ回避が若干遅れ、サオリは即死でした。
先生ファインプレー。

尚、昆布茶は狭い棚に押し込まれ、泣きながら自虐してます。
???「くらいよーこわいよー!」
忘れ去られ、お昼を作りにキッチンに立ったサエカに発見されるまで、そのままです。
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