どこかのババアのせいで複数の神秘が重なり魂との同期がうまくいっていないためうまく言葉と神秘を意識して出力できません。話し方がおかしいのはそのためです。3年間の実験と拷〇のせいで色素が薄く全体的に白系です。
「では、改めまして。ようこそ、アビドス対策委員会へ!」
皆のテンションが収まったあたりで軽い自己紹介をして最後に歓迎される。
相変わらずホシノさんは私達に対して何か思うところがあるのか反応が薄い。
「はいはーい!私気になっちゃいます☆お二人はズバリどのような関係なんですかー?」
「ただの、部活の、先生と生徒、上司、と部下です。それ以上でも、それ以下、でもない、です。」
「逆にそれ以外があったら何だっていうのよ!」
「ええー!こう、キャッキャうふふな展開とか、毎日僕のお味噌汁を作ってください!のようなラブラブな展開とか実はあったりして―なんて!私、気になります☆」
「ん、たしかに。先生と生徒にしては少し距離が近い気がすると思った。実際どうなの?」
”えっ!?…あー、えっと普通に仕事を手伝ってくれて今のシャーレの仕事でなくちゃならない存在、かな?私は生徒とそうゆう関係にはならないと、心に決めてるからね!」
「今の微妙な間は何よ…。」
うん。多分嘘は言ってない。言ってないけど直前のノノミさんが言ったお味噌汁の下りを、強く否定できないことに気が付いてどう答えようか迷ったのだろう。その間が致命的だったのか女子高生らしくキャーキャーと妄想を口にする。
黙って最後の言葉だけ口にしていればここまで収拾が難しいほど盛り上がらなかっただろうに、生徒に嘘はつかないという信条なのか、律儀に否定はしないで言葉を選ぶ。
まぁ―先生の朝ごはんの命は私が握ってますからね!くるしゅーない!
「それとその、たどたどしいというか独特なイントネーションの喋り方は癖なの?」
これに関しては私本人ではなく事情をある程度共有されている先生が説明する。
私もこれに関してはよくわかっていない。元の世界でも普通にしゃべることはできた。だけどこの世界で意識を得てからうまく言葉が話せない。こうやって思考そのものは問題なくできるというのに。この体由来のハンデとかそうゆうものかな?もしそうなら大切にしたいと思う。
そのあたりのことを知っていそうなのは姉と呼ばれる人と、通信機越しに色々教えてくれた男の人。
彼とはあれ以来話せていないしどこの誰かもわからない。どこかでまた逢えたら礼の一つでも必要かな。
”ちょっと彼女には事情があってね。悪意があってそうしてるわけじゃないから優しくしてあげてね。”
「別に悪意があるとかそう思ってないわよ。けどそうなのね、無遠慮だったわ、ごめんなさい。」
「ん、セリカはノンデリ。」
「うぐっ…今の今だと否定できないのが悔しいわね…!」
「ねぇ、せっかくだからおじさんからも一つ聞いていいかなー?」
そう言って先ほどまで自己紹介の時以降、口を開かず沈黙を貫いてきたホシノさんが意を決したかのように、どこか真剣さを滲ませる雰囲気で会話の中に入ってくる。
「その銃、”プチカタストロフ”だっけ?規模は違うけど、さっきのビームによく似たものを見たことあるんだー。」
「…その銃どこで手に入れたの?便利そうだからおじさんちょっと気になっちゃうな―。」
普段見せない先輩のその雰囲気に姦しかった対策委員会の生徒たちも黙ってしまう。
そんな真剣な表情で聞かれても、この世界に来た時にはすでに手に持っていたから知らないんだよね。
「わかり、ません。この銃は、拾ったの、で誰が作った、のか、よく知らな、いんです。お力に、なれず、すいません。」
望む答えが得られなかったのか、他にも何か言おうとしているのか熟慮する様子を見せ、やがて何か結論を出したのかどこか張り詰め雰囲気は消える。
「そうなんだねー、いやいいよー、誰にでもわからないことはあるからね、気を負わないでほしいなー。」
「みたこと、ある、と言ってました、けど、どこで、ですか?もし、よければ教えて、ほしい、です。」
「ん、私も気になる。」
「あーうん。アビドスにいればもしかしたら遭遇する可能性はあるし、知っておいてもらったほうがシャーレ的にも後輩的にもいいのかなー?」
「ビナーっていう砂漠に潜む大蛇がいてね、中々現れることもないし遭遇すること自体稀なんだけど、そいつの主砲になんか似てたんだよねー。もちろん出力はあっちの方が桁違いだけど。」
「そ、そんな存在が砂漠にいるなんて…。」
「絶対遭遇したくないわねそれ…。」
「そうなんだよー、おじさんも一度しか遭遇したことないけど、万が一遭遇したら戦わずに逃げてねー?危ないし絶対に勝てないからさ。」
自分たちの敬愛する先輩が断言するその言葉の意味が分からないほど、愚かな生徒はアビドスにいなかったらしく反対意見もなく了承する。
私的にはどんなのだろう?と知的好奇心と怖いもの見たさで遠くからなら見てみたいと思ったけど空気を読んで黙っておく。
「はいはい、自分から話題出しておいてなんだけど、この話はおしまーい。それよりこれからどうするのか考えなくっちゃ。」
「そうですね、この消耗戦をなんとかしないといけませんし、シャーレのお二人が来てくれなかったらと思うとゾッとします。」
「解決しないといけない問題も多いってのに、あいつらときたら…あーもう!思い出すだけでもイライラする!」
「それでねー、おじさん思うんだけど逆転の発想で今度はこっちから襲撃してみるのはどうかなって。」
「幸い私たちの消耗は一切ない。それに対して相手はそれなりの消耗をしてる。立て直すにも時間がかかるはずだから結構いい作戦だと思うんだけどみんなの意見を聞かせてほしいなーって。」
正直合理的だと思う。否定する材料も特にないし、私の消耗も微々たるものだ。
強いてあげるなら私は隠密行動に致命的なまでの適性がない。悲しきかな、射撃準備の音がデカいし後ろから射撃するにしても私の腕では味方もろともをやりかねない。よって私はお留守番かな。
「うそっ、ホシノ先輩がまじめに…!?」
「セリカちゃん?」
「お昼寝に戻らず積極的に行動するなんて…明日は砂嵐かしら…。」
「セリカちゃん??」
「たしかに、今ならやり返されるなんて思ってないはず。敵の拠点はここから大体30kmくらいの距離にあるからすぐ襲える。」
ええー、このくそ熱い砂漠の中30kmも歩くの?ちょっとその辺のコンビニに行ってくるような距離感じゃないよふつう。こんなの絶対おかしいよ。
ほら、先生の顔が微妙にひきつってる。足も生まれたての小鹿のようにプルプルしてる。おいたわしや。
「では、私、は、強襲や隠密に、不向き、なので、一旦お暇、します、ね。一度帰って、仕事、してきます、ので、先生を、よろしく、おねがいします。」
「えぇー!サエカさん来ないんですかー?もっといっぱいお話ししたかったですー。」
「まぁあれじゃすぐバレるわよね…っていうか先生をお願いされてる?」
「ん、先生は私が守る。サエカは安心していい。」
若干の惜しまれる声を背に、アビドス高校の位置をマップに登録してから明日の夜までには戻る旨を伝え校舎を出る。彼女たちなら先生を戦闘から守りつつ消耗した相手に追撃を加えに行くのは大丈夫そうだけど先生の筋肉痛は避けられないだろうなー。あぁ、おいたわしや先生(笑)
D.U行きの電車に乗りシャーレへと戻る。まずはシャワーだ。乙女の体にあるまじき清潔感のなさに汗でべったり気持ち悪い。誰もいないのをいいことに執務室に入る手前辺りから脱ぎながら進む。どこからか視線を感じた気がするけど、気のせいだと思うことにしてサッパリしてから5日間で溜まった仕事に手を付けるのだった。
しばらく仕事をしていると先生からメールが入る。なになに…襲撃は無事成功、倒したカタカタヘルメット団はヴァルキューレに連行されていった、と。そして戦闘時間より移動時間の方が長くてそっちのほうが先生的にはヤバいと嘆いていた。あとシロコの匂いはいい匂いだったと最後に付け加えられている。いやなにしてんの。きっしょ。
メールの送り主による突然の変態行為に寒気を感じていると―――後頭部に固く鋭い何かが押し付けられていた。
「動かないでください。あなた、一人で何をやっているのですか?」
…わりぃ、私死んだ。
いや、いつの間に背後に?まるで気配がなかった。動くなというから顔も確認できない。
そしてこの濃密な殺気。発言を誤れば冗談抜きに殺されるという凄み。多分ワカモさんだ。
「あなたのような身元ははっきりしていても、来歴がどこかおかしい上に気配が気持ち悪い得体のしれない生徒。そんなあなたが単独行動して何やらやっている様子。心して答えなさい。」
「―――あなたは”だれ”で何をしているんです?」
―――大量の冷や汗が服を濡らす。せっかくシャワーを浴びたのにもう一度浴びたくなる。
ゆっくり手を頭の上にあげ床に膝立ちになり抵抗の意思はないことを伝えつつ考える。
気持ち悪い気配ってなに!?確かに3年間どこで何していたのか、記録に残っていないかもしれないけどこっちは記録どころか記憶もないんだ!どう説明しろと!?説明して素直に、はいそうですかって引き下がってくれます!?私の命の明日はどっちだ!?
…やだ、汗じゃなく別の液体で下着が濡れそう。
「ま、まず、先生と私、は仕事のミスで予定外に、シャーレをあけてしまいました。」
「状況が落ち着き、時間が空いたので先に、私だけ戻り仕事を片付けて、いました。」
「次に私が何者、か。結論から先に、言ってしまえば、わかりません…」
そこまで言うと後頭部に押し付けられた銃剣だろうものに力がこもるのを感じる。オァー!?まてまて!こんなところで死にとぅない!!
「まって!まってくだ、さい!」
「私、記憶が!ないんです!私はキヴォトスではない、別のところから、来ました。どうやってきたのか、何故きたのか。だれが、何のために、とかなにもわからないんです!」
「ベットでだれかと話していた、記憶が最後です。気が付いたらこの世界にいました。」
「なのでこの身体が元の百合園サエカさんのものなのか、行方不明で都合がいいから、新たに作られた身体なのかも、わかりません。もし、前者ならば私はサエカさんという少女を”殺してしまった”、かもしれないんです。この推察通りなら私は罪を受け入れ、責任を果たさなければならないんですが、それすらも、わからないんです。」
そう早口でまくし立てると銃剣にこもる力がわずかに弱まる。私の運命のダイスロールは振り直しになったようだった。
「…それを信じる根拠は?正直、今の話を聞いても荒唐無稽で、あなたの危険性の有無を証明出る内容とは思えません。」
「…質問を変えます。あなたはもし、その体に元の持ち主、本物の百合園サエカさんが眠っていて身体を返してといってきたら。どうするのですか?」
この質問に対しての答えは簡単だ。元の世界で私の時間は長くないことは知っていたからこれは、奇跡の延長戦。本来ある輝かしい未来と青春を謳歌するはずだった子供の時間を食いつぶしてまで得ていい私の時間じゃない。
「もちろん、明け渡します。すぐにでも。もし私の精神が邪魔でこの体を傷つけず殺せるのなら。速やかに私を殺してください。」
「……では最後に。あなたはあの方―――先生の敵ですか?」
「いいえ。彼を守るのが私の仕事です。もし仕事でなくてもあの人はきっとこの世界に必要な存在。守ってみせます。」
そこまで言うと殺気が消える。助かった…。
少しちびっちゃったよ…乙女の羞恥心と人としての尊厳返せくっそぉ。
「今はある程度納得して引きます。ですが。あなたが先ほど言った言葉に疑義が生じた場合。私はあなたを断罪しに来ますので。それとあなた。テンパると普通にしゃべれるんですのね。意外でした。」
「あぁ、それと。下着は早めに変えてくださいね。臭いです。その匂いであの方の前に立ったらただじゃ置きませんから。では。」
そう言い残し執務室の窓から飛び出していく。
ちびったのバレてた。恥ずかしい。っていうか誰のせいだと思ってんだ、誰の!
下半身のことよりも今は命の危険から抜け出したことによる安堵で、ヘナヘナと情けなく座り込む。
―――私が再起動できたのはそれから30分も後のことだった。
その後一生懸命換気をしました。