私はフラグを否定する!   作:ビレッジイ

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転生と3つの特典

「・・・・・・知らない、天井だ」

 

とりあえずお約束は言っておかないとね。

ちなみに知らない天井って言っておいたけど、ここ天井ありませんでした。

ただただ真っ白な空間です。地面も空も地平線の先も眩しいほどの真っ白、シミ一つないのではないだろうか。

むしろ私がこの空間で唯一のシミの様です。

 

「とりあえずここは何処かって話だよね。責任者とかいないかなー?おーい」

 

「それなら儂のことじゃな」

 

「っ!?」

 

なんとなく言ってみたら何か白いお髭が立派なおじいちゃんが出てきた。

ていうかこのおじいちゃん何処から現れたんだろうか。少なくとも数秒前まで私の周りには誰もいなかったはずだ。あといきなり背後から現れないで欲しいな。心臓に悪い。

 

「それはすまんかったのお。特に驚かせようなどとは考えていなかったんじゃが、配慮が足りなかったの」

 

「あ、いえ大丈夫です。私もちょっと驚いただけですから。それよりあなたは?あとここって?」

 

「儂は君たちが言うところの神じゃ。そしてここは儂が管理しておる空間じゃ、天国に送られる前の君の魂を儂がここに呼んだ。ここまではいいかの?」

 

「あ、えっと。天国に送られる前ってこそは、私やっぱり死んだんですか?」

 

「うむ。電車に轢かれての。即死じゃったよ」

 

「そっか。てことはあれってやっぱり京鳴ちゃんが・・・・・」

 

神の言葉に私はあの時のことを思い出した。

あの時、ホームから落ちた時に感じた背中を押された感覚。ホームから落ちる直前、京鳴ちゃんは私の背中を腕で支えていた。あれは酔ってふらつく私を支えてくれているんだと思っていたけど、違ったんだ。

そして最後に聞こえた京鳴ちゃんの言葉。これはもう疑いようがないかなあ。

しかし私にはなぜ彼女がそのようなことをしたのかまったく心当たりがない。

 

「嫉妬じゃよ」

 

「嫉妬?京鳴ちゃんが私に?」

 

「簡単に言えば男女のいざこざじゃな。あの京鳴という娘が惚れておった男は彼女ではなく君に惚れておったのじゃ。しかもそのことを娘は知っておった。1年も前からの」

 

「1年前?」

 

「彼が君のことを相談したんじゃよ、君の親友である彼女にな」

 

「・・・うわぁ」

 

惨いっ!惨すぎるよ翔君!

よりにもよって京鳴ちゃんに相談するなんて!京鳴ちゃん結構露骨なアピールとかしてたのに。

しかし1年前かあ。もしかしてその間ずっと相談されてたのかな?

そんでもって私はずっとそんなこと知らないでのほほんとした顔で京鳴ちゃんと親友やってたのかぁ。

これは京鳴ちゃんが私に殺意を抱いても仕方ないかな。

とそこで私は私が死んだあとのことが気になったので神に聞いてみることにした。

 

「あの、私が死んだあと京鳴ちゃんがどうなったか分かりますか?」

 

私がこの質問をすると、神は少し驚いた顔をした。

だが直ぐにもとの表情に戻り私の問いに答えた。

 

「君をホームに落とした後タクシーで自宅に帰ったようじゃ。その後アルコールが抜けたところで自分がやってしまったことに酷く後悔して警察に自首したようじゃ」

 

「そうですか。はぁあ、私本当に死んじゃったのかぁ。なんて言うか、女の子の友情って儚いなぁ」

 

「君は随分と落ち着いておるの。人間は普通もっと感情的になるものだと思うが?先程も君は自分を殺した相手のことを恨むのではなく心配しておっただろう」

 

ああ、だからあの時驚いてたんだ。

確かに私は神が言った通り京鳴ちゃんのことを心配していた。でもそれは異常なことで、普通ここは怒ったり恨んだりするものなのだろう。

 

「・・・・京鳴ちゃんの心境を考えたらしょうがないのかなって。ははっ、おかしいですよね。自分を殺した相手の心境を考えるなんて」

 

「確かに君は変わっておるな。じゃが儂は嫌いではないぞ、君は優しい娘じゃ。そんな君に儂はチャンスを与えたいと思う。ここに呼んだのもそれが本題じゃ」

 

「チャンスですか?」

 

「うむ。君には転生して貰おうと思っての。つまり生き返りのチャンスじゃ」

 

「え!?私生き返れるんですか!?」

 

まさかの言葉に驚く。

神が言うにはこうだ。

神は時折下界を覗き人間や自然動物の一日を眺めるのが趣味であの日は人間を見ることにしたそうだ。

もともとは私のことを覗いていたのではなくあの駅にいた10歳の女の子を見ていたらしい。女の子はあの日母親と一緒に温水プールに遊びに行ってたらしい。

・・・・・この神ロリコンかっ、なんて考えてしまったのは仕方ないと思う。

遊んだ帰り女の子が母親と一緒にあの駅で電車を待っていた際にあの事件がおきた。私がホームから落ちてそのまま電車に轢かれた事件だ。それはもうその場はパニックになったそうだ。女の子はそのとき何が起こったのか解らなかったがたまたま立っていた位置が悪く私の血と肉片を浴びてしまい母親がそれを見て気絶してしまったそうだ。

神も突然の展開に女の子から私に視点を写した。その時はすでに原型が分からないほどにグチャグチャになった後だったが。

神は私がなぜ駅のホームから落ちたのか過去を見て確認した。

それで私を不憫に思った神が私を転生させてやろうと天国に行く途中の魂をここに呼んだのだ。

以上がここに至るまでの経緯だそうだ。

 

「はぁ、つまり私は運が良かったってことですか」

 

「そういうことじゃ。でどうする。君が望むのであれば当初の予定どおり天国に送ってやってもよいのじゃよ。転生するもしないも君の自由じゃ」

 

「ちなみに転生ってどんなところなんですか?」

 

「ここと同じような場所じゃよ」

 

私は改めてこの空間を見渡す。

白、白、そして白。見渡す限りの純白空間。一般的に想像される天国とは大きくかけ離れているが、神秘的と言えば神秘的かもしれない。しかしこの空間でずっと暮らしたいかと言われたらNOだ。

綺麗すぎる空間というのは人間にとってストレスになる。こんなところに長くいたらいつか発狂してしまいそうだ。現に今も話し相手がいるから問題ないがもし一人ぼっちだったなら今頃頭がおかしくなっていたかもしれない。

 

「・・・・それはいやだなぁ」

 

「では転生するということでいいかの?」

 

「はい。ちなみに転生ってどこに産まれるんですか?」

 

もう一度産まれるならやはり慣れ親しんだ日本だいい。

いやパリなんかもいいかもしれない。なんていってもパリはスイーツの本場だ。私にとっては本物の天国以上の天国だ。聖地と言ってもいい。

大学生というのは総じて皆金欠で、海外旅行なんてとても出来なかった。だが今こうして特殊な形ではあるがチャンスが巡ってきたのだ。なら思いきって日本を旅立つのも悪くない。

 

「そのことなのじゃが。君にはアニメの世界に転生してもらうことになっておる」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

 

私が脳内(魂だけの存在なので比喩)で夢を膨らませていたところに神がとんでもないことを言った。

なんでも私の転生はこの世界の理から外れたものらしく無理に転生させると世界に甚大な歪みが発生してしまうとのこと。そこで私にはこの世界の理とは違う理が働いているアニメの世界に転生して貰うしかないらしい。

 

「まあそれなら仕方ないですけど。ところでどんなアニメなんですか?私バイオハザードみたいなスーパーハードな世界は全力で遠慮したいんですけど」

 

これとても重要。

アニメの世界に転生するのは別に構わない。それはそれで面白そうなではあるからだ。

しかしあんなバイオレンスな世界はナンセンスだ。転生したら速攻で死ねる。というよりあの世界って死んだ方がましに思えるでしょ。

ぶっちゃけあんな世界に転生するくらいなら天国の方が100倍ましだ。

どうせ転生するなら私はのんびりとしたファンタジーな世界なんかで暮らしたい。あ、でも科学が発展してない世界だと現代っ子の私としてはきつそうだからできれば現代世界か近未来を舞台にした世界なんかが好ましい。あとは美味しいスイーツなんかがあればなお良い。

 

「そこのところは安心せい。君が転生を選んだ場合いくのは『魔法少女リリカルなのは』の世界じゃ」

 

「あーリリなのね。私は世代じゃなかったからあまり詳しくないけど、それでも触りの部分くらいなら聞いたことがあるってくらい有名なアニメだね。うんその世界なら私転生します」

 

「分かった。では転生するにあたって3つの特典をやろう」

 

「特典?」

 

「神から転生者への贈り物じゃ。対魔の聖剣でも特殊な超能力でも超人的身体能力でもはたまた優れた容姿でも、なんでも好きな物を3つまで与えてやろう」

 

「・・・・・神からの贈り物かぁ」

 

正直神から贈り物を貰うなんて恐縮してしまい素直に喜べない。

そもそも転生させてもらえるだけでも奇跡のようなものなのだ。これにさらに何かを貰うなんて恐縮を通り過ぎて申し訳ない気がする。小心者と言われるかもしれないけど私はただの一般人なんだ。無償の善意も行き過ぎたら気持ち悪い。

 

「なに気にすることはない。転生者達に特典を与えるというのはいわば規則のようなものじゃ。君は転生を選んだ時点でそれを受け取る義務がある。まあそれでも気が進まないと感じるなら元の世界を捨てさせるお詫びだとおもってくれ」

 

規則と言っているからには受け取りを渋っていると返ってに神に迷惑をかけることになってしまう。それに今の私のままではアニメの世界であまりにも無力だ。ここは素直に受け取るのが妥当だろう。

気持ちが楽になったところで私はちょっと気になったことを神に聞いてみることにした。

 

「そういえば転生者って私以外にもいるんですか?」

 

「ああかなりの人数おるよ。儂が転生させるのは君一人じゃがの。神は儂一人ではない。他の神々も皆それぞれ気に入った者を転生させておる。君が行くリリカルなのはの世界にもあと3人の人間が転生することになっておる」

 

「私を含めて4人か。他の人たちもみんな特典を?」

 

「ああ、他の転生者達はすでに全員選んでおる。君も遠慮せずに言うといい。ただ強すぎるものには制限を付けなくてはいけんのでな。そこのところもよく考えるのじゃよ」

 

「了解」

 

特典かー。やっぱり選ぶなら凡庸性のあるものがいいと思う。

あまり攻撃性に偏ったものを選んでも使い勝手が悪そうだ。

それに私はあまりバトルとか興味ない。だって相手は9歳の幼女だよ?多分転生したら私も彼女たちと同じくらいの歳になるかもしれないけど中身はいい年した大人だ。なんか虐待してるみたいで気が進まない。

でもリリカルなのはって確か世界規模の危機とか起こったはずだから最低限自衛できるだけの力が必要なはずだ。

あとせっかくリリカルなのはの世界に行くんだから魔法は使いたい。

 

「あっそうだ。転生した私の魔力ってどうなってるんですか?」

 

確か体内に魔力を蓄える機関、リンカーコアだったけ。それがないと魔法が使えないとかアニメで言ってた気がする。

当然のことだけど前世の私にそんな機関備わってない。転生するとは言っても魂は私のままなんだしこのまま転生してリンカーコアありませんでした、なんてことになったらシャレにならない。

そこのところを確認しておかないと特典を決められない。

 

「一応転生者には全員リンカーコアを持って産まれることになっておる。ただし魔力の保有量は完全なランダムじゃ。特典を使えば魔力の保有量を自由に決められる。まあ上限はあるがの。質問の答えはこれで十分かの?」

 

「それだけ分かれば十分です」

 

さて一応魔力を持って転生出来ることは分かったことだし改めて特典を考えることにする。

最低限の魔力があるのならわざわざ特典を使ってまで魔力を上昇させる必要はない。魔法を使って空を飛んだりできるだけの魔力があれば十分だ。

なら当初の予定どおり凡庸性の高いものをもらうことにしよう。

 

「じゃあまずは、あらゆる適性を得るって能力をください」

 

「適性とな?それは一体どういう類の能力じゃ?」

 

「そのままの意味だよ。魔法がある世界だったら魔法の適性。危険な世界ならそれに対応できる適正。暑い場所なら耐熱の適性。寒い場所なら耐寒の適性って感じかな」

 

「なるほど分かった。では《無限の可能性》というスキルをやろう。これはその世界にある全ての技術に対して適切を得ることが出来るスキルじゃ。ただどんなものでもとなると強力過ぎるのでものによって習得にかかる時間や難易度を設けさせてもらう。それでも構わんか」

 

「はい。それくらいなら想定の範囲内です」

 

習得するものによっては時間がかかると言っても不可能ではないところがありがたい。

最初から高い効果が現れる類のスキルではないが長い目で見れば凡庸性が高く相当便利なスキルだ。これで来世は冷え症に悩まされることはないだろう。

このスキルがあれば生活がだいぶ快適になるはずだ。

 

「それじゃ2つ目じゃ。何がよい?」

 

神の言葉に私は何がいいかと考える。

一つ目の特典が技術習得系なので、今度は身体能力に関係したものを頼むことにした。

 

「次は、鍛えれば鍛えただけ成長するって能力を。これは特に説明はいらないですよね?」

 

「うむ。ではそれは《成長限界無効》というスキルじゃな。これは人間という種族の成長限界を無視して際限なく成長できるスキルじゃ。じゃがあくまでも上限を無くすだけじゃから何もしなければ一般人と変わらん。せいぜい努力はおこたらないことじゃ」

 

「成長するかどうかは自分次第ってことですね。やり甲斐がありそう」

 

いくら鍛えても筋肉が全然つかない体質だったのでありがたい。

いや別にムキムキになりたいわけじゃないからね?

 

「うむ。では最後3つ目じゃ」

 

「最後は・・・・・最高の友人、かな」

 

「・・・・・・分かった。じゃがそれは今すぐ用意できるものではないからの、転生して5年以内には必ず叶えよう」

 

「はい。ありがとうございます」

 

こうして私は3つの特典が決まった。

 

 

 

 

 

「では特典も決まったことじゃしそろそろ転生させるぞ」

 

「はい。いろいろありがとうございました」

 

私は頭を深々と下げ、感謝の言葉を言う。

この神には感謝してもしきれない。本来ならば終わっていたはずの私の物語に新しい第二幕を与えてくれた。

この人の善意を無駄にしないためにも私は第二の人生を最高のものにすることを心に誓った。

 

「では蘭華よ。素晴らしい第二の人生を過ごすのじゃよ。原作に関わるもの良し。関わらずにのんびりも過ごすのも良し。君の自由じゃ。しかし後悔の残る選択はするのではないぞ」

 

「はい!」

 

「では、またいずれ会おう」

 

その言葉を最後に世界が眩く輝き、私の意識は光に呑み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を同じくしてある町のある産婦人科の分娩室で一つの新しい命が誕生した。

 

 

 

ーーーーーーーーーおぎゃぁおぎゃぁおぎゃぁおぎゃぁあああぁぁ

 

「おめでとうございます。可愛い女の子ですよ奥さん」

 

「あぁ、私の可愛い赤ちゃん。あなたの名前は、蘭華よ。これからよろしくね」

 

 

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