はい転生して9年と少し経ちました。
今の私は西条蘭華改めて
この9年の間いろいろな体験をして過ごしました。
産まれてからしばらくの間は頭が生前の身長に合わせているので距離が全然掴めずにしょっちゅう転びました。しこたま転びました。このままでは顔面が歪むんじゃないかと思う程転びました。
それも辛かったんだけど、一番辛かったのは何と言っても授乳です。考えても見て欲しい20代半ばの女性の乳を20代前半の私が吸う姿を。まあ見た目は年相応の赤ん坊ですが、精神的にほとんど歳の差がない女性の乳を吸うというのはとてつもなく恥ずかしいんです!でも生きるためには吸うしかないんです!
授乳から哺乳瓶に変わったときどれだけ嬉しかったか。あれが世に言う黒歴史か。
「今思い出すだけでも顔から火が出そうだよ」
『けけけっ。俺っちはその頃のご主人ちゃんを知らねぇが随分と苦労してたみたいだな』
「あの黒歴史はパンドラの箱にしまって封印です」
5歳くらいになるとやっと自分の時間を持てるようになった。それまでずっと親の監視があって下手なことが出来なかった。わざと幼児らしく振る舞うのはそれはそれで一種の恥辱プレイだった。
自由な時間が出来てからは親に公園に行くと言っておいて人目のない場所で神から貰った特典で自分を鍛えるための特訓をしていた。
まず私が貰った特典は《無限の可能性》、これは世界に存在する全ての技術の適性を習得出来るスキルです。
これまでの特訓でこのスキルで分かったことは、まず技術適性の習得には必ず『認識』が必要なこと。
認識とは目で見て頭で理解することだ。更に目で認識するにはじかに自分の目で見なければいけず本や映像では認識したとは認められない。が故に発生した問題があった。
「魔法ってどこに行けばじかに見れると思う」
『隣ん家とニート君が使えんじゃねーか?確か先月30歳になってたはずだぜ』
「その魔法使いが使える魔法は妄想だけです!」
それは魔法使い、アニメのタイトルから言うところの魔法少女がまだこの時は存在しないということです。
つまり魔法を使える人がいないということ。すなわち適性の習得に必要な認識が出来ないことを意味する。私はこの事実を知った時思わずorzしてしまった。
ーーーーーー魔法少女の世界にいるのに魔法が使えねぇぇええぇぇぇぇえぇぇ・・・・・・と。
まあこれは原作が始まればどうにかなると考えても立ち直った。
楽しみにしていただけショックだったがこれは仕方ないので私はそれ以外で習得できるものを習得することにした。手軽なところではけん玉やスプーン曲げと言ったほとんど使い道のないところから、空手や弓術といった武術に関連したものをなどを手当たり次第に習得していった。私はあまり戦いに興味がないので生活に役立つものの方が多い。
まあしかし適性を習得したからといっていきなり達人のようになれるわけではない。そこで役立つのが私の貰った2つ目の特典《成長限界無効》だ。
このスキルの効果で成長の限界がなくなり鍛えれば鍛えれるほど技術が伸ばすことが出来た。
おかげで今では高校生ヤンキーくらいなら複数でも余裕を持って倒せるほどになった。
また《成長限界無効》は成長限界をなくすだけではなく成長補正も入るので普通に鍛えている人の1.5倍は成長速度が速い。適性のあるものならば更に速い。これは技術面だけではなく筋力面にも当てはまるので今の私は9歳には似つかわしくないほどの力を出せる。と言ってもまだ人外の域には届いていない。せいぜいボクシングの世界チャンピオンレベルだ。
『せいぜいってご主人ちゃん・・・・、ご主人ちゃんの歳を考えたら十分人外だぜ。クラスでの渾名を忘れたのかい?“怪力蘭華”ちゃん』
「その呼び名で私を呼ぶなああぁぁあぁああああっ!」
『それクラスでも叫んでたな』
「・・・裏若き女の子に対して、怪力って・・・・怪力って・・・・怪力って・・・・潰しちゃうよ?」
『お、おぅっ!?ご主人ちゃん!ミシミシいってる、ミシミシいってるって!悪かった、俺っちが悪かったから握力緩めて〜!』
「そうそう。分かればいいんのよ、分かれば。さすが私のデバイス。物分りがいいわ〜」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
何かよくわかんないことを言っていた“リュウ”だったけどちょっとにぎにぎしてあげたら大人しくなった。今は私の手の中で静かにチカチカ点滅している。
紹介が遅くなったけどさっきから私と会話していたのはこの世界でインテリジェントデバイスと呼ばれている人工知能が組み込まれた意思を持った機械だ。地球ではなくミットチルダと呼ばれる魔法世界で開発されたものだ。
名前は“リュウ”、私の5歳の誕生日に両親からプレゼントしてもらった。私の両親は魔法世界とは1ミクロの関係もないのでこれはあの神が情報を操作して私に届けてくれたものだ。
なぜ神がそのようなことをしたのかと言うとそれは私の3つ目の転生特典と関係がある。
私が頼んだ3つ目の転生特典は《最高の友人》
前世で親友と思っていた子に殺されてしまった私はこの世界で本物の親友を求めた私は3つある転生特典と1つとしてそれを願った。その願いの形が今私の手の中にあるインテリジェントデバイスのリュウだ。
確かにデバイスであるリュウなら男女の問題で私を殺すこともないし、主である私を裏切ることもない。人間ではないがだからこそ信頼できる。私が願ったとおり《最高の友人》だ。
ーーーーーーあれ?これって人間不信な人っぽくね?まあいいや
ちなみにリュウはペンダント型のデバイスだ。私はロケットの部分に付いた青色の水晶体を撫でながらリュウに語りかける。
「これからもよろしくね。リュウ」
『?どうしたんだ急に。まあ俺っちはご主人ちゃんのデバイス兼友人だからな。これからも大船に乗ったつもりでいてくれや!』
「なにを偉そうに、おしゃべり以外何もできないくせに」
『なっ!みそっかす魔力のご主人ちゃんに言われたくねーよ!?』
「まあ!主に向かってなんてことを言うんでしょうかこの機械は!?」
『本当のことだろうが!やーい、みそっかすみそっかす』
「・・・・・・・潰しちゃうよ?」
『すいませんっした!』
何かよくわかんないことを言ってるリュウをもう一回にぎにぎして黙らせる。
まあ言い方に問題あるけどリュウの言っていることにも一理あるんだよねぇ。
魔法が使えない私だけど一応リンカーコアを持っているし魔力だってちゃんとある。ただし魔力量に問題があった。少ないのだ。それはもうどうしようもなく少ないのだ。
ランクで表すとFランクくらい?ってほどに少ない。確かこの世界の主役であるたか待ちなのはちゃんはAAAランクの魔力を持ってるて言ってた気がする。なのはちゃんを100とすると私の魔力は3とか5辺りだ。
私には《成長限界無効》があるけど魔力は魔法を使わないと増えない。
でもこれは私だけが悪いわけじゃない。魔法を使わなければ増えないのであれば使えばいいのだ。
先ほどは魔法の適性が習得できないと言ったが別に魔法の技術適性が習得できないだけであって魔法が使えないというわけではないのだ。私個人では無理だがこの世界で魔法の杖と言っていいデバイスがあれば内部に組み込まれた魔法式で魔法を使うことが出来るはずなのだ。
しかし我がデバイスであるところのリュウ。こいつには一切の魔法式が組み込まれていなかった。
どうやら神は最高の友人という要素以外の性能を何一つリュウに組み込んではくれなかったようなのだ。
確かに私が願ったのはデバイスではなく友人だけどさ、でもそれくらいのサービスがあってもいいんじゃないかな?変なところで融通の利かない神だ。
『でもよ。俺っちだっていつまでたっても役立たずなわけじゃねーぜ?ご主人ちゃんみたいに魔法式を認識さえできればしっかり働くぜ?』
「それはつまり私もリュウも原作が始まるまで魔法が使えないってことじゃん。はぁ、早く空飛んでみたいな〜」
『そーらをじゆーにとっびたいなー、はいっ』
「タケ○プタ〜」
なんだかんだ言い合いながらも仲のいい私たち。
だてに《最高の友人》を体現させたデバイスではない。リュウとの関係もかれこれ4年になる。今私は確実にこの世界を満喫出来てると言える。最初アニメの世界と言われて戸惑ったけどリリなのの世界は魔法少女が出てくる以外は私の世界と変わりない。産まれたのは日本だし、憧れの地パリもちゃんと存在する。いつか行こう。
まあ私の世界より10年くらい昔の世界観なので携帯とかなんか懐かしいというかゴツい。テレビもブラウン管だ。でもそれはそれほど気になることじゃない。
この世界に産まれて9年、優しい両親に最高の友人であるリュウ。そして神から貰った便利なスキルのおかげで私の生活は生前のそれ以上に充実したものとなっている。死んだ私を転生させてくれたあの神には感謝してもしきれない。
ただひとつ不満、というより言いたいことがある。
ーーーーーーーーーーーそれは、
「ねぇ、リュウ。海鳴市って、どこだろうね?」
『さぁ、どこだろうな?』
このリリカルなのはの世界、ひいてはこの世界で最も重要な舞台となる海鳴市。異世界よりジュエルシードが飛来し、主人公である高町なのはが魔法少女になる決断をする海鳴市。ヒロインであるフェイト・テスタロッサとジュエルシードを賭けぶつかり合う海鳴市。絶品シュークリームを出す翠屋がある海鳴市。
私たちはその町の場所を知らない。
沖縄県嘉手納町、昼間からアメリカ軍の戦闘機がビュンビュンと飛び交うまるで魔法とは正反対な町。
そんな町に私は産まれ落ちた。
リリなのの世界のようですが・・・・・海鳴市はどこですか?
ここでタイトル拾いました。