私はフラグを否定する!   作:ビレッジイ

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さらば沖縄。こんにちは海鳴市

ジュエルシード飛来から一夜明けた。

朝両親には案の定手右手の傷のことを聞かれた。高い自然治癒力のおかげで朝にはそこまでひどい状態じゃなかったけどそれでも両親には凄い心配をされた。まあこれは仕方ない、とりあえず適当な理由と昨晩の両親の共同作業をちらつかせてなんとかはぐらかしておいた。今はちょっと大袈裟に包帯を巻かれている。心配性だなぁ。

ちなみに昨晩のジュエルシード騒動はちょっとしたニュースになった。頬にうっすら赤い紅葉を咲かせた軍人がインタビューに答えていた。話を聞いてみるとどうやらジュエルシードを見つける直前までの記憶が綺麗に無いらしい。これにはちょっと安心した。ジュエルシードの存在をアメリカにしられたら絶対面倒なことになる。下手したら原作に大きなズレが生じてしまうかもしれない。流石になのはちゃんもアメリカ軍が関わってきたら何もできなくなっちゃうだろうし。・・・・・いや、なのはちゃんならアメリカ軍にも砲撃をぶっ放しそう。『お話を聞いて!』なんて言いながら。

 

「ま、何はともあれこれで私の役目は終わったっと。後のことは原作組と他の転生者に任せますっと」

 

『本当にご主人ちゃんは原作ってやつに介入する気ないんだな。昨日はなんだかんだ言って途中ちょっと楽しんでたんじゃないのかい?』

 

原作に介入?はっ、あり得ないあり得ない。

確かに昨日ちょっと楽しんでたのは認めるけどさ、ああいうのは一回やれば十分なんだよね。それに今回だってプラスかマイナスかで言ったらマイナスだし。魔法が使える様になったのは確かに嬉しいけどさ、それを差し引いてもあの怪我とかは勘弁してほしい。あの時はむしろあの程度の怪我ですんだけど、あれ下手したら街ごと吹飛んでたからね?

私はそんなスリリングな体験はいらない。私はもっとホイップクリームみたいな甘くてフワフワした人生を送りたいわけよ。分かってるよね神様?

 

『突然空なんか見てどうしたんだご主人ちゃん?』

 

「ちょっと、あのお空の上にいる人に念を押しといた」

 

主に私の生活の平穏を。

 

『?』

 

まあ転生するとき原作に関わるかどうかは私次第って言ってたし大丈夫だよね?

昨日のことがあるからいまいち信憑性が疑わしいけど、あれは私の魔法ゲットのための必要イベントだったと思うことにする。おかげでわざわざ海鳴市に行く手間が省けたことだしね。

それにどうやら沖縄に落ちてきたジュエルシードもあれだけだったみたいだし少なくともジュエルシード関連の騒動に巻き込まれることはもうないと思う。海鳴市が何処にあるか分からないけどあっちからこっちに来ることはないだろう。これで心置きなくスローライフを送れる。魔法で空を自由に飛んで前世で食べれなかった美味しいスイーツを堪能するんだ!

 

・・・・・・・そんなことを考えていた時期も私にはありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはあの事件からしばらく経った日のお昼過ぎ、私が優雅に3時のおやつを食べている時だった。お母さん手作りのサーターアンダギーをモキュモキュしていたところに休日で家にいたお父さんが私に話しかけてきた。

 

「蘭華、突然で悪いけど引っ越すことになったんだ。場所は海鳴市ってとこだよ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

その言葉に私は手に持っていた食べかけのサーターアンダギーを落としてしまった。ああ、お母さんが作ってくれた最後の一つだったのに。ちなみにサーターアンダギーは沖縄風のドーナツですよ。お母さんのは油少なめであっさりと、て今はそれどころじゃない!

 

「・・・・・・神は、死んだ」

 

「ん?どうした蘭華。お前がお菓子を落とすなんて珍しいな」

 

お父さんが私の落としたサーターアンダギーを拾ってそう言った。確かに私はスイーツを落とすようなことは滅多にしない。他にどのようなものを取りこぼすこのがあってもスイーツだけは離さない。私の体が、本能がそれを許さない。しかしこの時ばかりは仕方がないと思う。それだけの衝撃を今の私は感じている。

 

「あ、うん。ちょっと驚いちゃって。えっと、引越し?」

 

引越し、これはまだいい。沖縄以外のスイーツを食べられるんだから定期的に引越してもいいくらいなの。でもそのあとがいただけない!海鳴市?なんで数ある市の中からそこを選んだの!?旅番組なんかでも見たことないからそんなに知名度のある市じゃないはずだよね!?

 

「お父さんの仕事の関係でね、急に決まったんだよ。仕事先自体は海鳴市の隣町なんだけどね、実はお父さんの実家が海鳴市にあるんだ。ちょうどいい機会だから里帰りをしようと思ってね」

 

神様ぇ、あんた絶対狙ってこの家に生まれさせたよね?わざわざこの時期にってことは、これ原作に関われっていう意味だよね?しかも実家って、まさか高町家とか月村家とかに所縁があったりしないよねパパン?

ちなみにお母さんの方は普通に沖縄出身らしいけどお父さんとの出会いは海鳴市とのこと。

いやお母さん、親の惚気話とかどうでもいいから。私はそんな甘々なエピソードより、普通に甘いスイーツが食べたいです。・・・・・・鬱すぎて現実逃避に走ってしまった。

 

「引越しは10日後だからそれまでにお友達とお別れしておきなさい。学校の方にはもう伝えてあるから」

 

「・・・・・・・・はい」

 

私の気のない返事に両親がちょっと複雑そうな顔をしていた。

おおかた私が友達との別れを悲しんでいると思っているんだろう。だけど安心して、私友達いないから。いや別にコミュ障とか一匹狼に憧れてるとかそんなんじゃないよ?ただねぇ、話が合わないんだよね小学生と。やっぱ精神年齢が違うせいかな。私来年で精神年齢30歳・・・・・・おばさんですね、はぁ。

とまあそんなわけでお別れに関しては問題なかった。一応最後の日に学校でお別れ会を開いてもらったけど、なんて言うか、『元気でね』『うん』くらいの会話しかなかった。全くお涙頂戴な展開はなかった。クラス全員分のコメントが書かれたシキシ貰ったけどどれも当たり障りのない内容だった。何か違う意味で涙でそう。・・・・・・・・いいもん、私にはリュウがいるもん。

この10日間は親戚へのあいさつや荷物の運び出しに費やした。私も以前お世話になった道場やジムにあいさつに行った。クラスメイトよりも温かい言葉を貰えました。私は、永遠にあなた達の教え子です!

そんなこんなで時間を過ごし私たち天霧家は沖縄を飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは原作の地海鳴市。甚だ遺憾ながらも到着」

 

『本当に遺憾そうな顔してんなご主人ちゃん。まあ気持ちは察するけどよ』

 

あ、そんなに顔に出てた?いやでも仕方ないと思うんだよ私。だって到着して早々魔力結界が張られるし、そしたらいきなり馬鹿でかい木の化け物が暴れ出したし。まだそれなりに距離あるけどバッチリ全貌が見えるくらいでかい。何十メートルあるんだろう。

あれ間違えなくジュエルシードの暴走体でしょ?筋肉の時と同んなじ魔力感じるし。

 

「神よ。一体私に何の恨みがあるというのですか」

 

『どうするよご主人ちゃん?介入するのか?』

 

はあ、介入、か。多分これ無視しても原作通りに進んでれば問題なく解決するはずだけど、筋肉とかの件を考えるとそれはちょっと安易な考えだろうなぁ。なのはちゃん辺りがチャチャっと解決してくれるならいいんだけど、遠目からでもあれがやばいのは分かる。ジュエルシード飛来の日からの日数を考えると、多分私の知ってる原作知識はもう終わってる。だって少なくとも第二話までにあんなヤバそうなの出てこないし。私が知ってる暴走体はまっくろくろすけもどきと目がいっぱいある犬だったし。

 

「原作全部見てればよかったなぁ。はぁ、とりあえず見るだけ見る。万が一の場合以外は観察に徹する」

 

『極力原作には関わらないってスタンスね。了解』

 

まあね。一応リアルなのはちゃんは見て見たいし、暴走体の方にある高魔力反応が多分なのはちゃんだろう。なのはちゃんの他にあと3つ魔力反応がある、そのうちの幾つかは他の転生者達だと思う。あ、一つはユーノ君か。

ともかく彼らと関わりを持たないためにも顔だけは確認しておいた方がいい。

 

「リュウ、とりあえずセットアップ」

 

『あいよっセットアップ』

 

私の服装がバリアジャケットに変わる。

念のため正体がばれないようにパーカー型のバリアジャケットのフードを深く被る。

なんで正体を隠すかって?そんなのプライベートで原作組や転生者達と関わりを持たないために決まってるじゃん。海鳴市なんてそんな大きなところじゃない。ここで正体がばれたら絶対に原作に組み込まれる。転生者には絡まれる。私のスローライフが瓦礫に。

今の状況神様の意思といえかもはや悪意を感じるけど私はまだスローライフを諦めていない。原作組だって見て見たいとは思っても、友達になりたいなんてこれっぽっちも考えてない。だってデメリットの方が明らかに大きそうなんだもん。

私の魔力はあそこにいる人たちに比べたらほとんど無いに等しい。こっそりしてれば気づかれることはないはず。

そんなわけなので極力魔力を使わないために飛行魔法は使わず走って目的地に向かおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現場に着きました。なんというか、一言で言うとカオスです。

場所はサッカーグラウンド。綺麗に慣らされていたであろう地面からは私の何倍の太さのある木の根がウゾウゾ生えて元の姿は見る影もなくなっている。ベンチやライトなんかも全部その根で潰されている。もう一種の魔界状態だ。これが結界の中でのことじゃなかったら修繕費がすごい事になっていただろうなぁ。

そんな根を薙ぎ払う桃色光線、そのポップな色合いからは想像できない威力を誇り、その光線をくらったものはえぐられたように消滅する。

さらに追い打ちをかけるかのように放たれる黄金光線。桃色光線に勝も劣らない威力で木の根だけでなくグラウンド、あまつさえ住宅地までを破壊する。コントロール悪すぎるでしょ。こっちに飛んでこないか不安だ。

黄金光線を放って隙ができた少年に木の根が殺到するがぶつかる寸前に突如現れた緑色の光の輪が襲いかかろうとした木の根を全て拘束。そして次の瞬間その木の根が不自然な方向に捻じれて最後には千切れる。

 

「何この最終決戦」

 

『確かにすげーな。しかしなんつうか、派手だねぇ。ご主人ちゃんと違って』

 

「うるさい。余計なことは言わんでいい」

 

『へいへい』

 

まったく。まあ確かに、私の戦い形はあんな派手じゃないけどね。基本的に殴る蹴るだし。

ちなみ今私はグラウンドの近くに立っている家の屋根の上のからこっそり覗いてる状態です。隠密行動の適性をフルで使っているのであちらは私のことに気がついてない、と思う。

たださっきからちょくちょく黄金色の流れ弾が近くに飛んでくるのでヒヤヒヤするけど。狙ってないよね?

 

「それにしても、なのはちゃんとユーノ君は分かるけどさ、後の二人は誰ぞえ?」

 

この場にいるのは私を除いて4人。うち2人は原作組のなのはちゃんとユーノ君。あとの二人は原作で見たことない。つまり彼らが転生者である可能性が高い。私の知らない原作キャラって可能性もあるけど。

まず一人目は黄金光線を放っていた少年。銀髪にオッドアイという痛々しい容姿をしたイケメン。歳はおそらく私と同じくらいだろう。こいつは絶対転生者で間違えないと思う。だって容姿が派手すぎて完全に主人公であるなのはちゃんを喰っているもん。あのキャラの濃さはどっちかというと敵でこそしっくりくる。でも見たところなのはちゃんに加勢している。多分転生特典の一つを使ってあの容姿を手に入れた転生者なんだろう。バリアジャケットや持っている剣も金ピカというド派手仕様。正直センスを疑う。

もう一人は綺麗な長い黒髪で着物のようなバリアジャケットを纏った少女。この子も同い年くらい。こっちは転生者かどうかまだわからない。銀髪オッドアイのようなあからさまな主張はない。ただ使っている力が少し異様だ。手を暴れている木の根に向けるだけで向けられた木の根がぐにゃっと歪んでねじ切られる。この能力には手を向けるという動作以外の前兆が一切ない。向けられたその時にはねじ切られている。仮に戦闘になったらこの子が一番厄介そうだ。

 

「まあでもあの戦力なら私の出番はなさそうだね。たぶんあと数分もあれば封印出来そうだし」

 

『そういうのはフラグなんじゃねーかご主人ちゃん?』

 

「ちょ、やめてよ!そういうことは言葉にしたら本当にってえぇぇぇぇぇえええええ!?」

 

うおぉぅ、何々!?急に視界が高くなったんですけどっていうか巻きつかれてるよ私!

リュウの危ういセリフにツッコミをいれている最中、急な浮遊感とともに体が浮かびあがった。何事かと確認してみるの暴走体の根が私の足に絡みついて空中に持ち上げられていた。これがフラグの強制力かっ!?

 

「え?あっ、そこの人大丈夫ですか!?今助けるの!」

 

しまったあぁぁぁあああ!びっくりして大きな声を上げてしまったせいでなのはちゃんに気づかれてしまった!

パーカーのおかげで顔は見えてないと思うけど、これ以上原作キャラに関わったらマズイ!原作の流れに引き摺り込まれ・・・・って、なのはちゃん?どうして杖をこっちに向けて魔力チャージしてるのかな?

 

「ディバイーン・・・・・・」

 

「!?」

 

ちょ、なのはちゃん!?それはヤバイから!?あなたの魔砲は非殺傷設定とかでどうにかなるものじゃないから、あんなのまともにくらったら最悪廃人になるから!

せめてシューターに、バスターはやめて!

 

「バスター!」

 

ーーーーーーギュイイィィィィイイイイインン!!!

 

「うひゃぁぁぁあああああ!!」

 

あ、危ない。何とか間一髪で根から脱出できた。

てかなのはちゃん、今のもろに直撃弾コースだったからね!?

根と一緒に私までリリ狩るされるところだった。

あ、なのはちゃんがユーノ君に怒られてる。怒られてるなのはちゃんは『?』と首を傾げている。あの子何で怒られたか理解してないよ。多分『大丈夫なの。ちゃんと非殺傷設定にしてあるの』とか言ってるんだろな。

今後なのはちゃんの魔砲の被害者を生まないためにもユーノ君にはここでしっかり説教してもらわないと。

まあそれはユーノ君に任せるとして、このあとどうしよう?ほかの転生者とおぼしき2人にも見つかっちゃったし・・・・・・・・うん。

 

「逃げよう。リュウ、脚力の身体強化を最大に」

 

『了解』

 

というわけで私は逃げますよ、全速力で。後ろからなのはちゃんとかの声が聞こえてきたけど無視。私はこれ以上、原作に踏み込みたくないんです。

では原作組及び転生者諸君、願わくばもう会わないことを願ってるよ。

ああ、今日のおやつは何かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蘭華、新しい学校の制服が届いたぞ」

 

「へぇ、どんな・・・・・の・・・・・」

 

「ん?どうしたんだ。これ見た途端まるで絶望したような顔をして。この制服気に入らなかったか?ここいらの制服で一番可愛いって聞いたぞ」

 

「ははは、お父さん。新しい学校ってなんていう名前なのかな?」

 

「聖祥大付属小学校っていう、おいどうした!?なんで急に跪いてるんだ!?」

 

ーーーーーーーーー神ェ

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