私はフラグを否定する!   作:ビレッジイ

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聖祥大付属小学校

「学校生きたのな〜い」

 

『いい加減諦めたらどうだいご主人ちゃん?その歳で不登校になったら本当にスローライフが送れなくなるぜ』

 

「嫌でござる嫌でござる。働きたくないでござる」

 

『ニート道を決め込むには早すぎだろ9歳』

 

「中身は29だも〜ん」

 

『結婚に焦る時期乙』

 

「私この戦い生き残ったらブリオッシュと結婚するんだ」

 

『・・・・・・・そろそろ腹くくれよご主人ちゃん。あと3分もすれば着いちまうぜ』

 

「うぅ、切腹は嫌でござるぅ」

 

『腹くくるってそういう意味じゃねえよ。別に死にに行くわけじゃねえんだし』

 

「はぁ、・・・・・・・鬱だ」

 

何が鬱かっていうと、今日から新しい学校に行くことがだ。

別に私は不登校とは引きこもりとかそういうわけではない。前の学校だってちゃんと毎日通ってた。

では何がそんなに憂鬱かというと、今向かっているのが『聖祥大付属小学校』という名前の学校だからだ。

聖祥大付属小学校、それは原作の巣窟。高町なのはを初めとする原作キャラがひしめく魔境。おそらく、いや絶対他の転生者達もそこに集結しているはず。

あの木の化け物事件ではフードを被っていたおかげで顔は見られていないけどそれでもいつ感づかれるか分からない。私が転生者であることを他の転生者に気づかれたらさらに面倒なことになる。

そんなことになったら私のスイーツに囲まれたのんびりスローライフ、という人生計画が瓦礫と化してしまう!

 

「でも、私はまだ諦めない。まだクラスが同じとは限らないっ!」

 

『諦めようぜご主人ちゃん。それはもう希望的観測だぜ。同じ学校で、同じ学年になってる時点でもう結果は明白。お約束の強制力を舐めたらいけないぜ?』

 

「・・・・・・やっぱり?」

 

いやさ、分かってるよ?私の願いが叶わないであろうことは。

でもさ、夢くらい見たっていいじゃん。アニメの世界だからってさ、フラグやお約束を全部拾わなくてもいいじゃんか!

スローライフくらいの夢、叶えてくれてもいいじゃかよぉ、神様。

 

「はぁ。確かなのはちゃんとその親友2人は同んなじクラスだったはずだけど、・・・・・転生者達も同じクラスになってるのかなぁ、やっぱり」

 

えっと確かなのはちゃんの親友は、何とかすずかとアリサ・バーニングだったかな・・・・・あれ?ちょっと違ったっけ?

まあいいや。その二人はいいとして、問題は転生者だよねえ。この前確認した二人、銀髪オッドアイと黒髪の女の子。特に銀髪オッドアイの方、あれとは絶対関わりたくない。

 

「あんなキャラ濃いやつに関わるのはアウトだね。せめてあれだけでも違うクラスであることを願うよ。・・・・あ」

 

言い終わって、私は自分でやってしまった失態に気がついた。

そのセリフはフラグだ、と。

そしてこの世界はそんなフラグを決して逃しはしなかった。

 

ーーーーーーなのは。奇遇だな、こんなところで会うなんて。やっぱり俺たちは運命で結ばれているんだな!

 

ーーーーーーちょっとライト君!あんまりついて来て欲しくないの!

 

ーーーーーーははは、なのはもツンデレだなあ!いいじゃねえか、同じクラスなんだしよ!

 

ーーーーーーツンデレじゃないの!本当にいやなの!

 

ーーーーーーおいおいなのは、朝から追いかけっこか?ははは、なのはは元気だなあ

 

と、私の視界の先で行われた銀髪オッドアイの男の子となのはちゃんの会話でした。

・・・・・・・・この世界は顕著にフラグを拾ってしまったようですorz

と言うか銀髪オッドアイ、確かなのはちゃん『ライト君』って呼んでたっけ。

あいつ、あんなに明確な拒絶をされたのに拒絶されてることに気がついてないよ!?どんだけ自分に自信があるの?ナルシストかっこ悪い。

いや今はそんなことをどうでもいい。あいつなのはちゃんと『同じクラス』って言った。言っちゃったよ!早くも確定しちゃったよ!?・・・・・・あぁ、私のスローライフが・・・・・私のスローライフが遠のいてく

 

『・・・・・・・ほらご主人ちゃん。落ち込んでるとこ悪いが、着いたぜ』

 

リュウに言われて私は目の前の学校を見る。

 

「はぁ・・・・・・逝くか」

 

私は校門を通り聖祥大付属小学校に入る。

そこが魔境と知りながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みなさん。今日から新しいお友達が来まーす」

 

私は教室の外で先生からの合図を待っているところです。そして今先生がクラスの生徒に転校生、つまり私のことを伝えているようです。もうそうなると分かっていたことだけど、担任の先生はなのはちゃんとこの担任でした。最後のほんの少しの希望もついに潰えてしまった。ああ、帰りたい。

 

「せんせー、男ですか?女ですか?」

 

「女の子ですよー」

 

「「「よっしゃあぁぁぁぁあああ!」」」

 

ちょっと喜びすぎじゃない男子?やめて、ハードルを上げないで!私なんて大したことないから!

ていうか中学生くらいなら分かるけど小学3年でそこまで女の子が来たことに喜ぶ普通?

アニメでなのはちゃん見てて思ったことだけど、この世界の小学生精神的な成長早くない?

 

「ほら男子、ちょっと落ち着きなさい」

 

「「「はーい」」」

 

「はい、じゃあ入ってきて天霧さん」

 

教室の中から先生が入室を促してきたので私は扉を開けて中に入った。

まず目についたのは銀髪オッドアイ、某ライト君。相変わらずのド派手な容姿でさらに最前列となれば嫌でも目につく。あちらは何やらニヤニヤしながら気持ち悪い視線を向けてきたので私はなるべく視界に入れないように黒板の前に立った。

 

「天霧蘭華です。よろしくお願いします」

 

とりあえず当たり障りのない自己紹介をしておく。

スローライフの為にもここはなるべく目立たず、普通のいち転校生となって自然に溶け込まなければならない。え?まだその目標諦めてなかったのかって?

いい?諦めたら試合終了なんですよ?

 

「もうちょっと何か言っても良いのよ?」

 

私の自己紹介があまりにも素っ気なく感じたのか先生がそんなことを言ってきた。

 

「いえ、大丈夫です。それより私はどこの席に行けばいいですか?」

 

「そ、そう。えっとじゃあ天霧さんの席は・・・・・」

 

「先生!俺の隣が空い、ーーーーーーー」

 

「あ、後ろの方が空いてるからあそこでいいですか?」

 

先生が空いてる席を探していたところに某ライト君が自分の隣の席を指して自己主張してきたので、私は某ライト君が言い終わる前に彼から一番遠いところに空いていた席を先生に提示した。

 

「え、ええ。じゃあ天霧さんの席はあそこで」

 

「はい」

 

某ライト君が何かを言いたそうにしていたけど私は気にせず自分の席に向かう。

さあ先生、私のことは気にせず授業を始めちゃってくださいよ。

私は今からしがない生徒Kです。なのはちゃん率いるその他生徒です。

 

「はい、それじゃあ一時間目の授業は天霧さんへの質問タイムにしたいと思います。でもあんまり騒いじゃダメですよ?」

 

「「「はーい!」」」

 

なん、だと・・・・・っ!?

生徒の言葉にクラスメイト達が一斉に私の席の周りに集まってきた。

くっ、仕方ない。こうなったらなるだけ当たり障りない受け答えをするしかない。

 

「ねえねえ天霧さんってどこから来たの?」

 

「えっと、沖縄」

 

「沖縄なんだ!沖縄って凄い暑いんだよね?」

 

「そうでもないかな。慣れれば割と快適だよ」

 

「蘭華ちゃんは何で海鳴に来たの?」

 

「お父さんの仕事の都合で」

 

「好きなものは何?」

 

「スイーツ!!!」

 

「え、あ、そうなんだ。私も好きだよ」

 

と次々に飛び交う質問に受け答えて行くけど、次第に遠慮が無くなってきたのか質問の速度が上がってきてもはや聖徳太子でもないと答えられない状態になってきた。もちろん私は聖徳太子ではないので答えきれない。まあ《無限の可能性》があるから練習すれば出来るようになると思うけど。

 

「ちょっとみんな!天霧さんが困ってるじゃない。質問するならちょっと一人ずつにしなさいよ」

 

そんな時誰かが困っていた私に助け舟を出してくれた。

ありがとう、とお礼を言おうと声の主を探してみると、その子から私の方へと近づいてきた。

 

「大丈夫?ごめんなさいね、でもみんな悪気があるわけじゃないから。あ、私アリサ・バニングス。アリサって呼んで」

 

アリサ・バーニング改め、アリサ・バニングス。大財閥のお嬢様にして海鳴市一番のお金持ち。

家よし顔よし頭よしのハイスペック幼女。

そして何よりなのはちゃんの親友というこの世界で圧倒的なポジションに位置する、いわゆる主要キャラ。

私の関わりたくないランキング第六位。

 

「・・・・・・・・・うん。ありがとうアリサ、さん」

 

「何か変な間がなかった?」

 

「気のせいだよー(棒読み)」

 

「ちょっと!何で棒読みなのよ!?」

 

私の棒読みが気に入らなかったのか今にもバーニングしそうなアリサちゃん。

ああぁ、主要キャラに絡まれちゃったよぉ。て言うかこのままじゃアリサちゃんとのケンカイベントに発生しちゃうんじゃね?そうなると絶対にあの二人も関わってくるよね。

・・・・・・・・・・・・・あ、噂をすれば

 

「アリサちゃんちょっと落ち着いて。短気になっちゃだめだよ」

 

そう言って私とアリサちゃんの仲裁に入ってきたのは紫髪の綺麗な女の子。

 

「だってすずか、こいつが・・・・・・」

 

「はいはい、とりあえず一回落ち着いて。でえっと、天霧さんで合ってるよね?私月村すずか。よろしくね」

 

「・・・・・・・・・・うん。よろしく」

 

月村すずか。なのはちゃんの親友その2。

アリサちゃんと関わりを持ってしまった時点で彼女とも関わりを持つことは覚悟してました。

私の関わりたくないランキング第五位。

 

「ごめんね。でもアリサちゃんも本当に怒ってるわけじゃないから。嫌いにならないであげてね?」

 

「ちょっ、すずか!それじゃ私が悪いみたいじゃない!?ていうかあんたは私のお母さんかっ!」

 

「別にそんなつもりはないんだけど・・・・・・」

 

「・・・・・まあいいわ。すずかに免じてさっきのことは水に流してあげる。でも私あなたに何かした?初対面のはずだけど」

 

「えーと。アリサさんがあまりにも綺麗だったから緊張しちゃって」

 

「なっ!?」

 

私の苦しい言い訳に顔を赤くするアリサちゃん。あれ、怒った?

あとなぜかざわめき出す一部のクラスメイト達。

 

「レズ?」

 

「ユリユリ?」

 

「大好物です」

 

「薄い本にしなきゃ」

 

「「買った!」」

 

・・・・・・・・・このクラス、大丈夫でしょうか?早くなんとかした方がいいんじゃないでしょうか。お姉さん(29)心配です。

私がクラスメイト達の将来を危惧していると私の周りでできた人垣を掻き分けて見覚えのある、前世から見覚えのある栗毛ツインテールの少女が這い出てきた。人混みに揉まれていたのか髪が崩れてちょっと疲れた顔をしている。

 

「ぶはぁ、やっとここまでたどり着いたの」

 

「あっ、なのはちゃん。大丈夫?」

 

「割と早めに動いたのにいつの間にか人の波に呑まれてたの」

 

「なのはってほんと鈍臭いわよね。あの程度で呑まれるなんて」

 

まだ少し顔が赤いアリサちゃんが八つ当たり気味にそう言った。

 

「うぅ、アリサちゃんが辛辣なの」

 

「自業自得よ」

 

「にゃあぁぁぁぁ」

 

「鳴いて誤魔化さないっ」

 

猫のような鳴き声を出したなのはちゃんの頭をアリサちゃんがぺちっと叩く。

 

「まあまあ、二人とも落ち着いて」

 

「あっ、自己紹介がまだだったの!私高町なのはです。なのはって呼んでください」

 

高町なのは。この世界の主人公にしてヒロイン。その運動神経の悪さと愛らしさはピカイチ。しかし一度魔法を手にすれば、大地をも揺るがす桃色光線を放つ魔砲少女(誤字非ず)。あの時、私の目の前に迫ってきた桃色の恐怖を、私は忘れない!

 

「天霧蘭華です。天霧でも蘭華でも好きな方で呼んでください」

 

あぁ、もおやだぁ。鬱だあ。

こうなったらYESマンのごとくこれから『うん』とだけ答えて出来るだけ印象に残らないようにしよう。

 

「じゃあ蘭華ちゃんって呼んでいい?」

 

「うん」

 

「あ、じゃあ私も蘭華ちゃんって呼んでいいかな?」

 

「うん」

 

「そうだすずかちゃん!今度のお茶会に蘭華ちゃんも誘おうよ!」

 

「えぇー、別にわざわざ誘わなくても良くない?」

 

「もぉ、アリサちゃんそういうこと言わないの!で、どうかな蘭華ちゃん?蘭華ちゃんがさえよければ今度の日曜日うちで開くお茶会に参加しないかな?」

 

「うん・・・・・・・・・・・・えっ!?」

 

「・・・・・あんた、いままで適当に返してたわね」

 

アリサちゃんが何か言ってるけど今はそれどころではない!

YESマンならぬうんマンに徹していたらいつの間にかとても良くない展開になっとる!?

え、お茶会?月村邸で?ヤバイヤバイヤバイ!そんな原作の臭いがプンプンしそうなイベントに参加した日には絶対ろくなことにならないに決まってる!ここはなんとしても回避しなくてはっ

 

「あ、えっと、そんな私なんかが行ったら迷惑になるし。それにまだ会ったばかりだし・・・・・」

 

「そんなこと気にしなくていいよ。メンバーも私たちだけだし」

 

「うぅ、それでも・・・・・・」

 

うぐぅ、すずかちゃんが諦めてくれない。別にすずかちゃんが悪いってわけじゃないからあまり強く拒否するのも失礼だし。

そうだっ、アリサちゃん。あなたこういう時のストッパーでしょ?ほら私困ってる顔してるでしょ?ほらほら、私困ってる・・・・・・・・って、何で目を逸らすの!?諦めろってことですか!?

 

「ねえ蘭華ちゃん」

 

「えっとなに?」

 

目を逸らすアリサちゃんに『私困ってます』アピールをしているとすずかちゃんが今までとは違うちょっと真面目な顔で言った。

 

「蘭華ちゃんってスイーツが好きなんだよね?」

 

「う、うん。まあ」

 

「お茶会では美味しいお菓子を出そうと思うんだけど・・・・」

 

「行かせてもらいます!!!・・・・・・・・・・・・あっ」

 

しまった!つい条件反射で言ってしまった!

すずかちゃんの方を見てみると凄くいい笑顔でニコニコしてた。は、はかられたっ。私の好きなものにつけ込むなんて・・・・・・・・・・・すずかちゃん、恐ろしい娘!

アリサちゃんは呆れた顔をしてなのはちゃんはにゃはは、と苦笑いしている。

 

「じゃあ決定だね♪」

 

この瞬間、私の週末の日程が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、神よ。あなたはどこまで私を原作に関わらせたいんですか・・・・・・」

 

『いや、今回のは明らかに自業自得だろご主人ちゃん』

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