拗らせロリババア魔女が救世用召喚陣を究極理想の旦那様召喚陣に作り替えた異世界生活   作:唯のかえる

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拗らせロリババア魔女が救世用召喚陣を究極理想の旦那様召喚陣に作り替えた異世界生活

 

 とある世界。

 祭上げ女神やら自称魔神やら他称魔王やら将来勇者やらがなんやかんやしてるファンタジー世界。

 守られたり壊れたりで文明の発展は微妙だが、魔法とかそんなこんなでいい感じの箱庭世界。

 

 そのどこかの一幕。

  

「やった! やったぞ!」

「忍び込んでやった! うへっへ、これで我が愛しの旦那様を手に入れるんじゃ!」

「苦節数百年、いやもっとか!? ババアだとかババア超えてババアだとかいってたやつは全部ぶっ飛ばした! 我が不死の法も理解できねぇ殻付きガキどもがよォ!」

「世界を救う究極召喚の秘術じゃぁ? うおおお、この天才魔女様によって究極理想の旦那様召喚魔法に変えてやるからなぁボケどもがぁ!」

 

 荘厳な王宮の奥深くの限られた人類しか入れない、箱庭世界の神様から『どうしようもない時に使うんじゃぞ』と人類側に与えられた救世(メンテナンス)用の召喚魔法陣。

 そこに忍び込んだ魔女がいた。

 

 超天才だったその魔女は、不可逆な不死の法を独自で編み出し使用して人類に貢献するなんかすげぇ偉い人だった。

 人類史開けば名前書いてる偉人がこれである。

 

 でも不死の法を使ったのがティーン入るか入らないかの頃で、体がちっちゃかった。

 有体に言えばロリだった。ロリババアである。

 

 この世界、男にモテる基準は肉体が豊満な方である。

 世はまさにケツと胸とタッパはデケェ方がいい世界!

 

 魔女は天才だったゆえ、うおおお、光源氏的な弟子制作! とかやっても弟子はデカくなるにつれて、子供の頃は好きだったけど、実力はすげぇけど……となる恋愛感情0の極致!

 

 じゃあ肉体にかかってる不死の法の改造だ! となるわけだが、これもダメ。

 流石の天才魔女様でも、子供の頃に作った夢いっぱいの超絶不死の法は子供の時すぎて論理破綻の究極魔法。

 配線が盛りそば、コードは二郎系、出力は無限わんこ蕎麦。

 ちょっとでもイジろうとしたら、瞬間肉体はパーンしちゃうか、名状し難いSAN値直葬ゲロ発送生物になっちゃう。

 

 試しにモルモットに試してみたら名状し難い生物に進化して魔王やり始めて、ケツ拭くために二世紀くらいかかったので労力的にバツ!

 

「うおおお、改造改造改造!!! 魔法陣改造!!!!」

 

 なので魔女は決めた。

 自分を変えるんじゃなくて、もう完璧で究極の旦那様を他所から持ってこようと。

 

 過去に『きっと我の事が好きな人が、この世に一人ぐらいいるんじゃ』酒の席でそう溢したら、当時の女王に『いねぇよ居ても精通してねぇガキだしデカくなったら過ぎ去る女じゃん、ププ』と笑われた。

 

 ちなみにこいつの旦那は、魔女が自分に惚れろ惚れろ惚れろと手塩にかけて育てた者だった。

 いい男に育った。世間では勇者と言われていた。

 彼からの呼ばれ方はお母さんである。女王からはお義母さん。

 

 産んでねぇよ! まだ膜張ってるんだぞこちとら! はっ倒すぞ!!

 

「うおおおおお、人類とかしらねぇーーー!!!」

 

 もう二度と使えなくなってもいい! 人類から追われてもいい!

 そんな覚悟で拗らせロリババアは魔法陣を改造していく。

 

 しかし!

 

 この魔法陣、天才魔女様でも気づかないセーフティがあった。

 使用許可に神様の二段認証とか色々あったのだ!

 

 けれど、魔女で数百年の拗らせ喪女の情熱にほほぉと感心する神様。

 まぁ勝手に女神とか魔神とか名乗る奴もいる情熱大陸だし、この魔女も結構なハズレ値だしええか。

 成功率なんて単なる目安だし拗らせ勇気で補ってヨシ! 

 箱庭の創世神ファイナルフュージョン承認!

 

「我のことが大好きで、好きで好きで、超絶愛してくれる理想の旦那様来いィー!!!」

「綺麗好きで優しくて甲斐性たっぷりの我好みの超強超絶絶倫で我を屈服させてくれるタイプ来い来い!!」

「イケメエエエエエエエェン!!!!」

「あ、でも最初から好きとかじゃなくてもよくて、徐々に我のことを好きになってくれる方が好みかも。キャ!」

「でも先に死んじゃうと悲しいから、我と一緒くらい長生きして! あ、我不死じゃった!」

 

 魔法陣が唸る。

 

「うおおお、来い来い! 来い来いッ! よろしくお願いしまぁああああす!!」

 

 このロリババア自体割と癖が強かった。目は血走ってる。

 しかし魔女とは強欲なものだ。ロリババアは強欲であるほど良い。

 

 あまりの理想希望に神様からほな任せたでされた中間管理職魔法陣くんも困惑。

 この世界に検索かけるけどヒットしない。

 しょうがないので、ソフトは様々な癖に対応してる地球日本の魂をお取り寄せ。

 ハードをこの世界でも実力トップ層に近いロリババアを屈服できるイケメン激強超絶絶倫肉体を構築。

 

 

 そんなこんなで、彼は召喚された。

 

 

 ーーー

 

 

「ここは……?」

 

 そこは石造りで薄灯りの場所だった。

 

 仕事を終え、一人暮らしゆえの掃除洗濯家事を全てこなし、ロリババア物で抜いて寝るかと思った時になんの光!? と光に包まれたのだ。

 そして眩しさから閉じていた目を開けると、今ここである。どこだよ。地球ん中?

 

 周囲を見回す。足元には良く分からないでっかい魔法陣。

 見るからにファンタジーの召喚の間みたいなところである。

 俺は詳しいんだ。

 最近は転生ものが多いが、召喚や転移物も良い物なのだ。コントラクト! ラ・ヴァリエール!

 

「でも全裸やんけ」

 

 衣服無し! 繊維喪失! と頭の中にふざけた思考が現実逃避気味に流れる。

 俺のスウェットどこいった?

 というか、なんか体が超絶引き締まって超絶ムキムキでデカいんだが。

 

 知らない天井通り越して知らない肉体なんですけど、ちょっとぉ!!

 

 せめて何が起きてるんだと、もう一度周囲を見渡せば、なぜか腰を抜かしてアワアワしている少女の姿が。

 だ、大丈夫ですか!? と声をかけそうになるが、自分の今の格好を思い出す。

 筋肉もりもりマッチョマンの変態だ!(直喩) 

 

「だ、旦那様じゃぁ…」

 

 腰を抜かしたような少女。

 彼女がつぶやいた。

 思わず後ろを見るが、誰もいない。

 

 とりあえず股間を足で隠しつつ、うおでか!? こ、これがワイのハイパー兵器!? とか思いつつも話が進まないので自分の顔を指差す。

 

 すると、顔を真っ赤にしてコクコクと何度も頷く少女。

 しかし、こちとら独身を極めるただの会社員である。

 もしかしたら、夢でもみてるのかもしれない。

 

「そうか夢か」

 

 夢かもしれないな。思わず股間を握る。デケェ。

 気にしてなかったけど、俺は肉体と股間にコンプレックスあったのだろうか。

 

「ゆ、夢ではない! 我が召喚したんじゃ!」

「マジかよ」

 

 夢じゃなかった。プランとブツが驚きで揺れる。

 一人称我で語尾じゃはなかなか癖つよか?

 

 先程までアワアワしていた少女が立ち上がりながら、胸を張るように立ち上がった。

 装飾たっぷりな大きな三角帽子に、薄いローブ。

 その下には胸元にフリルがたっぷりついたブラウスが見える。

 手にはでっけぇ杖。

 謎オーブがハマってるタイプのやつだ。久しぶりに見た。

 

「ところでなんで呼んだんですか?」

 

 理由を聞いてみると、赤面しながらも答えてくれた。

 

「我の理想の旦那様を召喚したんじゃ!」

「とんでもねぇ理由きたなオイ」

 

 詳しく聞いていくと、不死の法なるとんでも魔法を開発したはいいが使った頃が幼かったせいでかくかくしかじか。

 この世界の理想の女性像は、ケツとタッパと胸がデケェ女であーだこーだ。

 こんな私でも恋がしたい(要約)。

 

「だ、だから我のことを愛してくれる旦那様を呼んだんじゃー!!!」

「そんな、できるかな俺に……」

 

 上から下までじっくりと俺を召喚した少女を見る。

 強気そうな青目。帽子に隠れているが、背中まで美しい銀髪がさらりと流れている。

 赤面しているのがすぐわかる透き通った肌。鼻筋整った美貌。

 フリルでこれでもかと増強された胸。

 その向こうは自称ストンとスレンダー体系。

 これで数百歳か……。

 

「出来るかも!」

「やったー!!」

 

 この子めっちゃ可愛いし、異世界召喚されたしいいか!!

 肉体もとんでもないことになっちまったが、最近行ってなかったジムで完成したと思おう!

 向こうにもう家族もいねぇし、独身だったから渡りに船!

 仕事関係がアレだし、家の鍵閉めてたから密室行方不明という謎を残しちまってるが仕方なし!

 

 よし、超高度なお見合い結婚だと思えば行けるか。

 とりあえず服ください。

 

「そう言えば、奥さん名前は?」

「お、奥さん! こほん、我の名はシルヴィア・テンサィ・チヨウ・ゼッスゴイ・マジョリーヌじゃ!」

「……なんて呼べば良い?」

「し、シルヴィア」

 

 あ、照れてる。

 可愛い。

 

 

 ーーー

 

 

 俺は召喚の間に胡座をかいて座り、正面を見る。

 そこには、楽しそうに鼻歌を歌いながら杖を振る銀髪ロリババアの姿があった。

 杖が振られると、俺の背丈と同じくらいのでっけぇマネキンに光り輝くような鎧だったり、重そうなマントに王侯貴族をイメージするコテコテの貴族服なんかが着飾られていく。

 

 魔法の力ってすげー!

 

「どんな服がいいかのー? どんな服がいいかのー!」

「シルヴィアさん、随分と楽しそうだな」

「うむ、我の旦那さんに相応しい服を贈るんじゃ!」

 

 めっちゃ嬉しそうに杖を振って、魔法を繰り出している。

 なので尻が冷てぇから早くしてくれと言い出しにくい。

 

 ものすっごく楽しそうだ。

 しかし、言わねばならぬ。

 邪魔するのも悪いと思うが……。

 

「一応言っておくが」

「なんじゃー?」

「複雑な服装は多分着れないし、きっちり着こなせないぞ。俺の世界じゃ数世紀前の服に近いからね、それら」

「」

 

 絶句したロリババアがこちらを見た。

 

 しょうがないだろう。

 和服ですらこちとら怪しいんだぞ。

 そんなモンスターでハンターなゲームキャラが着てそうな鎧だったり、ドラゴンでクエストしてそうな貴族服の着方なんて知らない。

 

「我が年寄りじゃと言いたいのか旦那様は……! 我の好みが古いと言いたいんじゃな!?」

「年寄りではあるよ奥さん。でも好きになるから安心してね」

「ひょわっ!? う、うおおお! 奥さん、うおおおお!」

 

 シルヴィアは興奮している。

 奥さんという単語を何度も反芻しつつ、顔を赤面して腕を縦にブンブンしている。

 可愛い。もう好きかも。

 

「……まぁそうじゃなくて単純にその服装に関する知識がないから着られないって話」

「コ、コホン。なんじゃ? そんな肉体なのに鎧も着られぬのか?」

「この体、元々の体じゃないよ。争いとは無縁の世界から来たからね」

 

 殴り合いの喧嘩もしたことないよ。と付け加えると、どっひゃー! と驚く様子のシルヴィア。

 なんか妙に古さを感じるコミカルだなこの人。

 おばあか? ロリババアだったわ。

 

 その後、顎に手を当てて、肉体が違うとな……ふむ? としばらく考えている。

 そして、あっ。と気がついたように、俺の股間に彼女の視線が吸い寄せられる。

 

 赤面して視線を離そうとするがチラチラと視線が行き交い、何かぶつぶつと早口で呟いている。

 耳を澄ませると、我が屈服だったりどうのこうの?

 流石に全ては聞き取れない。

 

 断片的な情報で考えると、我が屈服させるとかか?

 何? 俺ってもしかして召喚の儀で屈服しないと帰っちゃう感じのモンスター?

 そんなこと言われても、もう俺は心を異世界に適応を始めてるよ奥さん。ガコン。

 

 ちらちら。

 

 しかしこれが女の人が胸を見られる感覚ね……。

 俺はそう思って股間を隠すように体育座りに座り方を変えるのだった。

 

「と、とりあえず、下着じゃな!」

「そうだね」

 

 そうして、彼女が先ほどやっていたように再び杖を振ろうとすると。

 

 バタバタと大量の足音が聞こえてきた。

 どうやら、この召喚の間に何者かが向かってきているようだ。

 

「あ、やば」

「どうした奥さん」

「奥さん! ふへへ、奥さん……!」

 

 シルヴィアさんが足音の正体に気が付いたのだろうか?

 そう思って俺はシルヴィアさんに尋ねると、シリアス顔決めてた彼女が一瞬でポンコツ化した。

 ダメかもしれねぇ。

 奥さん呼びはしばらく休止ですね。

 

「シルヴィアさん?」

「あ……うむ! 無許可で色々やって超大事な魔法陣をなんやかんや超改造してやったから、召喚の魔力を感知されて何かが起こったと緊急事態で、兵士が向かってきてるところじゃろうな!」

「マジかよ」

 

 まだ俺、服すら着てねぇよ。

 とりあえず座ってられなさそうな状況なので立ち上がる。

 そうすると当然、逸物も解放状態になる。

 

 きゃっ、と赤面するシルヴィアさん。

 手で目を覆ったのに、指ガン開きの隙間から視線は股間に釘付けだよ。

 

 だめだ、危機的状況なんだろうけど全然危機感が湧かないよ!

 

「召喚の間で一体何が!」

「兵士長お待ちください! 先行しては危険です!」

 

 だのなんだのが廊下から聞こえてきて、ついに突入される。

 鎧を身に纏い、帯剣した厳つい兵士たちが、召喚の間になだれ込んできたのだった。

 

 シルヴィアさんがいつの間にか横に来て、俺の手を取っていた。

 小さいお手手だ。

 しょうがないので恋人繋ぎしてやろう。

 シルヴィアさんが宇宙猫みたいな顔で繋いだ手を見ている。

 

 宇宙猫シルヴィアさんがまた呆けてしまった!

 しまった! これは俺のミスか!

 

「貴様ら! ここで何を、……なんだこの男、全裸!? 本当に何!?」

「マジョリーヌ様……!? 貴様! そこの変態、マジョリーヌ様から離れろ!!」

「マジかよ」

 

 まぁ大事な場所で、全裸の筋肉もりもりマッチョマンがいたらそれは変態に見えるわ。

 誰だってそう。俺だってそう思う。

 

 仕方がないので、せめて股間が兵士の視線から隠れるようにシルヴィアさんを抱き寄せて隠す。まぁ恋人繋ぎしながら相手を抱き寄せると、自動的にシルヴィアさんは俺に対して正面を向くわけで。

 

「きゃっ、衆目の前で熱烈じゃぁ……」

「き、貴様ぁ!!」

「この卑劣なド変態がァ!!!」

「人類の偉大な傑物になんて行為をォ!!」

 

 非難轟轟だった。

 

 シンプルにこの体デカくてシルヴィアさんが少女サイズだから、股間部分がちょうどシルヴィアさんの胸あたりにくるんだよね。

 ナニが立ち上がったら顎まで行く。

 あ、やば。

 考えたらムラムラしてきた。

 

 ──シャッキーン!

 

 ……。

 

「シルヴィアさん、ここから入れる保険はある?」

「こ、これがわえのなかにはいるんかのう……」

「もしもーし、今はその入るじゃないんだよね」

 

 オイオイ、死んだかもしれねぇ。

 剣持って憤怒という顔つきの兵士たちがこちらににじり寄って来る。

 なのに現状打破できそうなロリババアは、俺の剣ににじり寄って来ちゃってるよ。

 

 仕方がないので、シルヴィアさんを抱きあげて俺もジリジリと後退することにした。

 すると再びシルヴィアさんが呆けてしまう。

 だめだ、この人何しても感動しちゃう!

 

「わ、わえが、あついむないた。やっぱりこれってゆめ……?」

「奥さん奥さん、夢じゃないよ。呼び出した君の旦那殺されかけてるのよ、しっかりー」

「はっ!?」

 

 おや、ようやく正気に戻りましたか?

 周りもそう思ったのだろう、俺を取り囲み剣を向ける兵士たちががなり声をあげる。

 

「正気に戻りましたかマジョリーヌ様! すぐにそのド変態から離れてください!!」

「なんなら殺しちゃってください!」

「マジョリーヌ様に勝てる人間なんてもうあの世にしかいませんよ!」

「ヨ! 兵士長をデコピンで瀕死にした老魔女!」

「マジかよ」

 

 俺に抱き上げられて乙女のように、いや乙女か。

 俺の腕の中できゃるんとなっていた乙女ロリババアがようやく覚醒する。

 それを見た兵士たちが勝ちを確信したかのように、剣をつんつんしようとしてくる。

 

 やめろ、人が死ぬぞ。最初に俺だ。

 

 そんな中でロリババアは、俺の腕の中から兵士たちに向かって宣言した。

 

「いやじゃいやじゃ! 我、この旦那様とハネムーンに行くんじゃ!」

「」

 

 大体の兵士たちが絶句して、手を止めた。

 この世界の魔女は時間を止められるのか……。

 

 しかし、その中で一番怒り狂っていた、一番豪奢な鎧に身を包んだ兵士が止まらずに叫んだ。

 

「貴様ぁ!! マジョリーヌ様に何をした! 許せん!! 平和になったこの百年なのに子供体型で誰にも見向きされず、恋に恋を拗らせて魔導書と称して現実味のない夢恋愛本書いたりして第二王女にばら撒かれて羞恥に身を狂わせ、遠い昔親のいない子供を好みの男性像に自らの手で育て上げ、その勇者を麗しの女王に取られながらも人類に味方し続けていた偉大なる大魔女様だぞ!! よくも付け入りやがったな変態この野郎! 思い出してくださいマジョリーヌ様、普通はあなたのような子供体型に恋慕は抱きません! 抱いても罪悪感です!」

「「「そうだそうだ!!」」」

 

殺す」

 

 シルヴィア・テンサィ・チヨウ・ゼッスゴイ・マジョリーヌから閃光が迸る。

 告げた瞬間、光の奔流が周囲全てを吹き飛ばしていったのだ。

 

「マジかよ」

 

 気がついたら俺は外にいた。

 一瞬だった。

 というか、壁とかその他諸々が全てなくなっていた。

 俺たちを囲んでいた兵士たちの姿は見えない。

 

 ……瞬間移動でもしたのかな。

 おそらく推定死んだのだろうが、気分的にそう思っとくか。

 

 どうやら、ここは地下だったようでとても高い断崖絶壁の空間になった。

 崖になってしまったこの空間に、地上から水やら瓦礫なんかがガラガラと落ちてきている。

 すっかり床の魔方陣もきれいさっぱりである。

 

 これは俺のあずかり知らない事だったが、改造に次ぐ改造で本来の役目を果たせない救世魔方陣もとい、理想の旦那様召喚魔法陣はこの世から消え去ったのだった。

 

 

 ーーー

 

 

 しっかしまぁ、殺すと思った時には殺している。そんな勢いだったな。

 というか知り合いっぽかったし、カッとなって殺った感じだし、後悔してないかな。

 

 俺の腕の中で帽子を深く被って表情を隠すシルヴィアさんにできるだけ優しく声をかける。

 落ち込んでるの?

 

「シルヴィアさん?」

「……ち、違うんじゃ! 世間では恋愛本と言われる本じゃがな、色々と暗号を仕込んである本当に魔導書なんじゃよ? いわばシルヴィアコードといったところなんじゃ。断片的に切り抜けば、水35ℓ炭素20kgアンモニア4ℓ石灰1.5kgなどなどとにかく理想の人物のための魔導書だったりするんじゃっ! 勇者に関しては、あの時代は悪い魔王がおったでな? 仕方なくしかたなーーく、子供の頃から鍛え上げてのう。そりゃーもう立派なイケメンで理想に理想な青年になってのう。なのに! 魔王を一人で捻り殺せるくらいに育て上げたら、急に現れた鳶に掻っ攫われ……た、わけではなく祝福じゃ祝福! 盛大に酒盛りをして祝ってやったわ! 母親として結婚式にまで呼びやがって、こちとらまだ一度もーー」

「おおう、早口」

 

 帽子をギュッとしてぶつぶついうロリババアは全然落ち込んでなかった。

 なんかとんでもねぇ拗らせ人体錬成が聞こえた気がするけど気のせいにしておこう。

 

 しかし、こうして全て吹き飛んだとなると異世界に疎い俺でもここに止まっているとまずいとわかる。

 とりあえず、そうだなあ。

 

「奥さん奥さん」

 

 未だ高速詠唱を続けるシルヴィアさんの帽子に口を寄せて、帽子越しに優しく囁く。

 

「行こうか、ハネムーン」

「わ、ぁ……!! イグ!!!」

「泣いちゃった」

 

 

 こうして俺は色々と拗らせたロリババアとの異世界新婚生活を始めようと、異世界の大地を一歩踏み出すのだった。

 

 




この男いまだ全裸である。

追記
なんか思ったより読んでいただけたので構想考えてみます……。
大分読んでいただいた後で申し訳ないですが、お気に入り評価感想いただけるとモチベに直結するのでありがたいです……。

我じゃロリババアは需要ありそうか

  • ある
  • 興味ないね…
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