拗らせロリババア魔女が救世用召喚陣を究極理想の旦那様召喚陣に作り替えた異世界生活 作:唯のかえる
前回までのあらすじ
拗らせロリババア、究極最高旦那様召喚。
旦那様全裸。衛兵に見つかり全力逃亡。
湖畔に到着。
服着る。
旦那様スケコマ氏、ロリババア愛せるよと言う。
やはり。
やはり、これは都合の良い夢を見ているんじゃないだろうか?
シルヴィア・テンサィ・チヨウ・ゼッスゴイ・マジョリーヌはポカンと、対面に座る精悍な偉丈夫を眺めながらそう思う。
「安心して。ちゃんと、俺は君を愛せる」
「――」
「だから、俺も君を好きになるから、君も俺の好きになってね」
その言葉を聞いた時、時が止まったような気がした。
シルヴィアは不老不死の身であるがそう思ったのだ。
苦節何百年。
こと、恋愛対象や愛欲の対象として見られる事はなかった。
それもそのはず。
この箱庭世界の人間種は、いとも簡単に死ぬ種族だ。
故の生めよ、増えよ、地に満ちよ。
そのため体の強い人間がパートナーとして魅力的に見えるよう、この世界の人類は進化してきた。
端的に体が大きくて頑丈そうな方がモテる。
俗に言えば、適齢期(二次性徴終了頃)でタッパとチチとケツがデカけりゃでかいほどモテる!
ここ数百年は、顔も整ってるとさらによし!
当事者ロリババアやその他英雄が守ってきた長い平和の影響だ!
とんでもねぇ条件だ。
上記の条件と示し合わせて、シルヴィアを比較してみよう。
シルヴィアは先ほど800年とちょっと生きていると伝えたが、実際は872歳であった。(適齢期外)
その身が不老不死になったのは、わずか11歳の頃。
顔は整っているとはいえ、11歳のチンチクリンにしか見えない。(適齢期外)
いや、精神は人類の中では大体最年長。(超適齢期外)
そんな彼女がモテるでしょうか?
いや、モテまい。
だから。
だから……。真摯に語り掛けるニシキに意識せずこの言葉をこぼしてしまうのだ。
「だめだ! 信じられん……! その言葉嘘偽りはなさそうなのに、興奮が落ち着いてくると……だめだ! 我を愛するものが本当に現れたのか信じきれん……!!」
そう、この拗らせロリババア魔女はこぼしてしまって。
「まじかよ。……うーん、どうしてだい?」
スケコマ氏は、首をかしげて冷静に聞いてきてしまうのだ。
まるで、聞けばその理由を排除して、シルヴィアに歩み寄ってきてくれるかのように。
だから。
だからシルヴィアはぽろぽろと、瞳から数百年の想いが詰まった涙をこぼしながら。
信じられなくなった身の上話を。
拗れてしまった自身の人を見る目を、目の前の男に話すことにしたのだった。
◇
実を言うと彼女も好きで、そんな幼い年齢で不死の法を使った訳ではなかった。
不死の法を使った理由は単純。
死の危機がその身に迫ったため。
ただ、それだけのことである。
その理由に付随する魔神だとか魑魅魍魎許すまじな経歴を持っているのだが、ロリババアは過去が味わい深いものでもある方が良いとされるし、今回は関係ないので割愛しておこう。
ただ簡潔に当時の状況だけ説明するならば。
救世魔法陣を旦那様召喚術に改編した時くらいの勢いで、まだ死にたくねえええ、うおおおお! と当時から発想力豊かな超天才魔法の才能を開花させて彼女は今ここにいるのだった。
そんな過去ありロリババア。
彼女がなぜここまで拗らせてモテたくて仕方なくなったしまったのか。
前置きは長くなってしまったが、その説明である。
――――
最初の百年はただただ生きるのに必死だった。
右折左往し、人類に貢献。
『我』とか『じゃ』とか、ついていなかった若かりし頃。
今に比べれば、まだまだ若々しかった頃の話である。今も若いんじゃけども。
不死の法を使ったあとの百年の間。
共に名を残した英雄英傑たちは、順調に歳をとって仲睦まじい夫婦仲を見せつけてくる日々があった。
シルヴィア自身もいいなぁ、と思って口を出せばニコニコと仲睦まじさを見せつけられ、呆れながらも一緒に笑っていた美しい思い出。
その思い出の結末は比翼の鳥、連理の枝。
片翼がコロッと逝ったと思えば、相方も幸せそうにコロッと召されるのを何度も見届ける。
不老不死ゆえ、よければ私たちのことを覚えておいてほしいとお願いされるし、馴染みの仲間だったから老後に顔を何度も出していて、仲睦まじさを目に刻んでいた。
その中で一番シルヴィアの脳を焼いたのは、最も長く共に旅をした仲間の英雄夫婦が、ソファで肩をよせあって手を繋いで一緒に天の国に彼女を置いて旅だったことか。
目撃した当時は、衝撃のあまり持ってきていた焼き立てアップルパイが入った籠をどさりと落としたほどだった。
もちろんあれだ。
友人が死んだことへの衝撃ではない。いや、多少はあったが、すでに遺言なども託されていたから、彼らが亡くなること自体には覚悟を決めていた。
彼女が何に衝撃をうけたかと言うと。
わ、我も仲良し夫が欲しいよ~~! という、人間として原初の欲求にぶん殴られたのだ。
だから彼女は、その仲間夫婦を一緒の墓に入れ終えたら、自分を愛してくれる人を探すことにした。
その経過の中、人類史の英雄であったシルヴィアに恩を報いようと、彼女の周囲の人たちも動き始める。
齢百を超えた彼女に対し、見目麗しい男性を見繕いはじめたのだ。
英雄のためと男を見繕う周囲は、わかっていなかった。
彼女が求めているのは、一緒に生きて愛を共有してくれるパートナー。
決して、因習村で生贄にされるような覚悟を決めた者達ではないのだ。
違う、そうじゃない。
我が求めてるのは、愛し愛される関係とかじゃん!
百歳超えた
この頃のシルヴィアの思想はエロの混じらない普通の乙女であった。
一言で現せば、『夢見がち』
具体的にどんなものかと言えば。
手を繋いで買い物に歩き出せば、それで幸せ。
顔を見合わせれば、お互いはにかみ合う。
雪の日に温かい飲み物を入れて、一緒に同じテーブルで暖炉の音を聞く。
雨の日は本を片手に肩を寄せ合って、時折飲み物を飲んでお互いの息遣いを聞いて幸せ。
キス!? そ、そんな頭が沸騰しちゃうよぉ!
なんとか自分の希望を言語化して、男を見繕ってくる周囲に説明。集められたイケニエ達は集う義を失くし勇を失ったので、故郷に帰るために解散した。
余談だが、解放された男達は街や村に帰って、故郷の好きな人たちと結婚して幸せに暮らしましたとさ。
シルヴィア以外は大団円。
ソレを聞いてシルヴィアは普通にメソメソした。
その後も、シルヴィアの期待に答えようと周囲は色々行う。正直、恥ずかしさが勝つのでやめて欲しかったが、伝がないのも事実だった。なので頼りにしてみることにした。
我のことを好きになる可能性のある男とかおらんのか!?
と伝えると今度は『せや、女慣れした男達や!』とこれまた方向性が違う男達が見繕われる。
『うっふーん、超絶いい男よ~ん。あなたも君も俺様にめろめろ~~♡ オラ、俺様の女になれ!』タイプの女性慣れというよりハーレム男達が集まってきた。
あまりの好きなタイプ違いにシルヴィアは嘆いた。が、話してみると結構話せば分かる男たちでもあった。
人は良く死ぬ世界なので、強い雄は貴重な世界でもあるのだ。こんな性格が多いのは、ハーレム男は我が強くないとハーレム維持に支障がきたすのもあるらしい。自明の理である。
そんな男達でも、シルヴィアの事をちんちくりんのガキ体型と思って愛欲の対象には見れない。でも、英雄って付加価値があるから、そばに置いておくぜ! あと、それはともかく他の恵体女性とも継続して愛し合うぜ!
そんな感覚でシルヴィアの元に現れる始末。
でっかくなったら、お前も愛し合おうな!(ならないといってる)
我にはこんな男しか集まらんのか……と絶望して、それでもわずかなチャンスか? と数日共に行動をしてみる。
すると、紹介男達の内心はこんな子供と結婚とかは無理なんだけど……。大きく育てば美人だろうなぁ……。と、どこか行動に漏れでる始末。
一緒に食事でも取ろうとすると、女慣れしてるはずの男達もロリババアの見た目が幼すぎて言葉と行動がギクシャク。なんなら、自分の娘と同じ扱いをする猛者まで現れ始めた。
ロリババアアイはそんな違和感を見逃さない。
年の功は伊達ではない。
いや、この頃はまだ今より若かったんじゃけど!
結果どうなったのか。
普通にシルヴィアは去った。
シルヴィアが求めている幸せの形ではないし、別にその男達もわずかなりに英雄に報いようという気持ちで集ってきたのだから、普通に『自分のことはもういいから、お前らは今まで通り暮らしなさい』と告げて離れたのだった。
ただし、共に行動をした数日間は多大の影響をロリババアに与えていた。
なぜならシルヴィアのいない所で、ハーレム男はほかの女に愛を囁き、ズッコンバッコンドピュルルル!
これをロリババアの超人な英雄的知覚範囲内で、聞こえてない見えてないと思ってそりゃもうハッスルハッスル。
女達もめちゃくちゃ楽しんでるスーパープレイヤー集団。ガンガン行こうぜ搾り取ろうぜズッポシズッポシの犯サーファーだったのだ!
エロって……! まぐわいって……すごいんじゃのう!!
単純乙女だったロリババアを、煩悩乙女ロリババアに進化させた数日間であった。
自身より強い男に激しく求められるのを想像してみると、すっごいすんごい……。
すごく凄い!
ロリババア、ここでついに目覚めてしまう。
ただでさえ理想があったのに、さらに強き雄を求め始めてしまった。ロリババアの欲望とは際限無いのである。
——拗らせの始まり始まり。
……そして、数百年。
彼女の男探しの旅は未だ続いていた。
世界中を巡り巡って、自分に向けられる愛を探しまわった。
ついでに、人類救済なんかも継続して行う。長く生きてるとそういう場面にどうしてもであってしまう世界だったと言うべきか。
例を挙げるなら。
東の島国で、踊るタイプの将軍と共に夜を打ち払って、数年ぶりの朝日を登らせたり。
南の海で人智未踏の空の果てから落っこちてきた、迷子の巨獣タコさんを宙に送り返したり。
北極点にある世界樹で、終末の笛を鳴らす自称魔王と世界を喰いつくす黄昏色の蝗害と命懸けバトルを繰り広げ。
西の魔物大陸で自身の不死の法の実験を失敗して、永遠の命を得たモルモットこと『魔王』を生んでしまってケツを拭く。
——そんな感じで色々と、男探しの旅は続いた。
周りからは救世の英雄として、見られる行軍道中であったが主目的は常に愛探しの旅だった。
しかし、結局の話。
シルヴィアの求める男もシルヴィアを求める男も影形も現れず、自分で作り出そうにも失敗した。
世をはかなんで世界壊すか、と闇オチしかかけて従者にした魔王を解き放ちかけるも、仲間の比翼連理を思い出し、オラオラ男のエロハーレムも思い出して人それぞれだよね。絶望にはまだ早いよね。
と、血涙流してぎりぎりで食いしばる人生。
そんな時。
ある切っ掛けがあった。
メスガキ第二王女のあるクソ煽りで大暴走してしまったのだ。
理性も感情も、裸足で逃げ出す煽り文言。
夢小説に毎日触れて『夢よりきっつい
なんだァ? てめェ……。
シルヴィアキレた。
やってやろうじゃねぇか! と啖呵をきって今世紀一の暴挙。拗らせが暴挙を産み、暴挙のみが奇跡を生む(ヤケクソ)
結果、救世用魔方陣をフルパワー魔改造。
そして出会った。
異世界から。
本当に遠く遠くから、召喚された自分だけの旦那様。
——。
————。
——————————そのはずだったのに。
数百年、ずっと行動をして相手を探してきた。
けれど、そんな相手は存在しなかった。
その経験が、召喚した貴方の信じきれない原因になっているのだ。
数百年の無聊を生きたシルヴィアは、目の前の旦那候補にそう語ったのだ。
————————————
「長くなってしまったが、今のが我の身の上話じゃ」
「まじかぁ」
スケコマ氏ことニシキは、ポツポツ長々と語り終えたロリババアの様子を見る。
長い語りと回想だったが、まとめると。
添い遂げた熟年夫婦に脳を焼かれて、ハーレム男の環境に脳をやられてエロに目覚めて、乙女拗らせ三回転! ってこと!?
数百年の間、ずっと自分だけの愛を探して世界中を探し回って、ようやく見つけた宝物。
しかし、数百年という大きな時の中で、一度たりとも本物を見つけることはできなかった。だから、目の前にある自分に向けられる愛が本物かどうか、わからないから信じられないってことかな。
ロリババアの莫大の経験の中に解がなかった。
それがついに自分の行動の結果で現れた。
しかし、とうぜん相手は数式や機械などではなく感情で動く生物。
今までいなかった珍生物が突如現れて、彼女に愛を囁いても響かなかったのだ。いや、響いたが最後の最後で今までの常識というものが足を引っ張って完全に飛び込んでいけない。
——悲しい拗らせモンスターすぎる……!
これって俺が簡単に想像するよりも、とてつもなく重いし面倒な予感がする。
思い出してほしい。
年老いてからの新しい物への手を出す億劫さを……!
これがロリババアの生態か!?
暗い顔で俯くシルヴィアさんに何て声をかけるか悩む。
お互い黙り込んで数十秒。
その時、脳裏に電流が走った。
俺はハッと閃いたのだ。
異世界転移でハンサムになってしまった俺は、突如反撃のアイデアをひらめくって奴だ。
立ち上がり、シルヴィアの座るチェアの横にいって彼女にひざまずく。
そして彼女の左手を取った。
「突然なんじゃ!?」
俺もそう思う! けど、これが一番効きそうなんだよぉ。
セクハラ扱いはしないでくれよな! 今までの常識的にこんな行動恥ずかしすぎるけど、俺はやるぞ!
急な俺の行動に、パチパチ目を瞬かせるシルヴィアさん。
「多分さ、今ここで俺が何言ってもシルヴィアさんは信じられないと思う」
「ニシキ……」
「積み重ねってものがあるから、ぽっと出てきた俺の言葉はまだ軽いもん。だからさ、信じたくなった時に信じてよ。長い人生を一人で歩いてきたんでしょ?」
異世界召喚されて急に旦那様と呼ばれて、目の前の少女を奥さんとすることになった。
早すぎて結果しか残っていないよね。過程がないのだ。
過程がないせいで、どうしてその解が出たか分からない。
シルヴィアさんが信じきれないのは、そういうことなんじゃないだろうか。
だから今からやる事、言うことに意味がある。
……と俺は思うので行動します。
「シルヴィアさん。俺と結婚を前提で付き合ってほしい」
「………………あぇ………?」
「返事を、してくれたら嬉しいな」
理解できない感じにシルヴィアさんの端正な顔が溶けた。
とけちゃった! といって茶化してやりたいところだか、ボケたままじゃいさせないぞ。
ペースを持ってかれると、拗らせボケで見当違いの方にいくのはもう分かったんだからな!
再び、取った手を優しく握り込む。
ひざまずいた姿勢のまま、シルヴィアの美しいかんばせを覗き込む。
ゆっくりと回答を待つ。
風が吹く。周囲の木々が揺れて、湖畔の水面を波立たせていった。
長く話しているうちに傾いていた日が、世界の色を変えていく。
異世界でも変わらない茜色が、彼女の髪である銀糸を燃えるような情熱の赤に染める。
美しい風景に視線が流れそうになる。
けれど彼女から目を逸らさない。
彼女が目を逸らそうとするのを、優しく手を伸ばして頬に添えて、逃げられないように覗き込んで逃がさない。
「ど、どうしてじゃ。異世界から来たと言うことは我の偉業も何もかも知らぬはずだ。だのに、どうして……」
彼女のコバルトブルーの瞳が震える。
俺にとって、実に簡単な質問。
「一目惚れしたんだ。自分でもビックリだけど、まっすぐな好意にどうも俺は弱かったみたいだ」
「へぁっ!?」
「それにこんな可愛い人が、独り身で相手を求めてるなら、告白だってしたくなる」
「ひょわぁ!?」
始めて旦那様とか言われた。
いや、現代日本でまず聞くことのない言葉だから、当たり前なんだけどね。
けどなんか、妙に胸に響いてしまったんだよな。
俺にこんな趣味が……!? とふざけてみるけど、本当にしっくり来てしまう。
困ったものだ。
それに。
初めは旦那様うんぬんや冗談だと思った。
けれど話を聞いてくうち、この人は本当の本当に好きな人を手にいれるため、俺を召喚したんだ。
短い時間で分かってしまった。
彼女に比べると短い人生だが、始めてここまで求められた。
彼女の好意が、俺の心に刺さったのだ。
だから、君に信じて欲しくなった。
情熱的な言い方をしよう。
異世界で酔ってるといわれればそれまでだけれど。
ロマンチックな告白方法か全然わからないけど……!
俺の薄い恋愛辞書には『まっすぐ行ってぶっ飛ばす。右ストレートでぶっ飛ばす』としか書かれてない。
大丈夫? 壊れてないこの辞書……?
もうちょっと少女漫画履修しとけばよかったかもしれねぇ! いもけんぴと謎の拳法ダンスしか知らないよぉ……。
うおおお、押せ押せ!
シルヴィアさんがあたふたしてる間に、この数百年の精神防壁を超えるぞ俺は!
やるんだぞ、今ここで! 勝負は今、ここで決める!
「シルヴィアさん、君が欲しい」
「わぁ、あ……!?」
顔を真っ赤に染め上げて、触れている場所から体温が猛烈に上がって発汗しているのを感じる。
……ちなみに俺も大分発汗してる。顔も真っ赤だと思う。
夕焼けで分かんねぇよなぁ! ……分かんないでいてくれ流石に格好がつかないから。
「貴女と一緒にいさせてくれますか?」
「は、はいぃ……」
瞬間、触れていただけだった手がシルヴィアさんにギュッとつかまれ——シルヴィアさん側に思いっきり引き寄せられる。
するとどうなるでしょう。
向かい合っていた二人は急速に接近し。
————ゴッ!!!
「「痛い」のじゃ……」
お互いの唇がふれる感覚。
通り越して、歯がぶつかり合う結果。
うん、なんとも。
俺の異世界転移生活は締まらないようだ。
————————
お互い、顔を真っ赤にして対面の席に座りなおす。
シルヴィアさんがこんなはずなかったのに我の想像ではもっとうまくできるはずじゃったのにと高速詠唱しているのを眺める。
……思わず笑みがこぼれた。まぁこれからどんどん機会を増やしていってあげよう。
そこでふと気がつく。
「奥さん奥さん……、いや彼女さん?」
「おく!? かの……!?」
「はい、もういいからね。戻ってきてねシルヴィアさん」
一瞬ぼんと頭から湯気が出たり顔がバナナしか考えられない顔になった気がするのを、さっさと綺麗な顔に戻してやる。
今気になったことを確認しようか。
「俺が召喚された時にさ」
「う、うむ」
「……色々壊してたけどあれって大丈夫なの?」
「あ」
うん、まずそうな反応だね。
「ちなみになんだけどさ。お互いのひとまずの目標は結婚でいいんだよね?」
「……我をニシキが信じさせてくれたらやぶさかでもないのう。ちなみに今の話関係あるのじゃ?」
「あるよ。シルヴィアさんを祝ってもらいたいじゃん」
「へ?」
「シルヴィアさんを知ってる人にシルヴィアさんを祝ってもらう。これって俺には与えられない幸せだよ」
世界を守ってるらしい人が俺のせいで疎まれるようなことがあってはいけないと思う。
いろいろと慌てて逃げ出した。結果、あの惨状を放置だ。
これは良くないと思う。
逃げたのは剣突きつけられたりしたからだけど、俺も全裸だったから不審者全開で、股間に備わった新たなハイパー兵器もシャキってしまってたからね。
理屈として理解できるもん。
普通に前の世界でも、国の施設で全裸は逮捕じゃん。
ポカーンとしてるシルヴィアさんに首をかしげてみる。
「壊したの直せたり出来る?」
「我に出来ぬことはない! ……が、多少時間はかかるかもしれんのじゃ」
「じゃ、謝りに行こうか」
「……今からなのじゃ?」
「はい」
何故か今からとソワソワして聞いてくるシルヴィアさんに、そうだよ? と返事をすると目に見えて肩を落とした。
な、なぜだ。
「——っと思っておったのに」
「え?」
「今からズッコンバッコン大バトルを繰り広げると思っておったのに!!!!」
面を上げる
重ねた齢の分だけ欲望が重くなるんだ。ロリババアはそういう生物だから……!
魔法で湖畔に天蓋つきのベッドを召喚してやる! と息巻いてるシルヴィアさんをなんとか止める。
「まぁまぁ」
「フー! フー! この我が、力づくで抑え込まれ……!? フー♡ フー♡」
「ああ、ダメだこれ」
明日、謝りに行くことにしよう。
うん、三日後になりました。
ただシルヴィアさんはとてもとても、幸せそうに満足していたとさ。
てかてかシルヴィアさんとむわっっとしたスケコマ氏がてんやわんやの王宮に訪れたようです。
感想と評価が、滅茶苦茶励みになるのでよろしくお願いします。
我じゃロリババアは需要ありそうか
-
ある
-
興味ないね…