狂気入り混じった高笑い。
それが戦場に咲き誇る異形の花たちの間を縫って響き渡る。
「貴方たちは私にどんな花を見せてくれるのでしょうか!」
ダツゴクの一人。
大量殺人鬼にして遺体蒐集家という経歴を持つ
彼と対峙するのは、金色ベースのヒーローコスチュームに身を包んだ青山。
毒ガスを巧みに操るヴィラン、マスタード。
そして、漆黒の靄を纏う黒霧である。
「特に黒霧! あなたの話は聞いていますよ!」
クニエダの瞳には、黒霧という世にも珍しい動く遺体に対する執着が宿っている。
青山と黒霧はオールフォーワンに喧嘩を売るという最も危険な役目を果たした後、ワープゲートによってダツゴクたちを倒すために戦場から戦場へと移動を繰り返している。
元々、あの場でオールフォーワンと正面から決着をつけるつもりはない。
あの奇襲は魔王の意識を釘付けにするための時間稼ぎに過ぎないのだ。
空間転移の瞬間、能力者である黒霧自身にも移動先の安全を確保する術はない。
もしオールフォーワンがワープゲートの存在を事前に認識し、出現先一帯を消し飛ばすような攻撃を放っていればそれで終わりである。
あの攻撃は魔王を引き付けるため、因縁を利用した作戦だったのである。
そして現在。
彼らが交戦しているヴィラン、クニエダの個性は肉に根を張る花であった。
生きた肉体に寄生し、宿主の生命力を吸い尽くして妖艶な花を咲かせる。
そればかりか、開花した花からは不可視の死の種子とも言える花粉が撒き散らされ、風に乗って新たな犠牲者を求めて広がっていく。
すでに戦場の至る所で背中から大輪の花を咲かせ、生気を失って倒れ伏すヒーローたちの姿があった。
しかし、実際に追い詰められているのはどちらかと言えばヴィランの側であった。
なぜならクニエダの目的は、己の美学に従って花を咲かせることのみだからだ。
周囲で暴れ回る他のヴィランたちは彼にとって仲間でも何でもなく、単なる肥料に過ぎない。
むしろ花を咲かせるか死体となった方が美しいとすら思っている。
ヒーローたちは平時から連携を前提とした訓練を積み、戦いの中で互いの死角を補い合う。
それに対し、ヴィランたちは根底にある思想も力の使い方も徹底して利己的であり、集団戦に向いていないのだ。
この戦いの中で偶然にもヒーローとヴィランのスタンスの違いが顕著に現れたと言える。
風が吹き抜け、今も敵味方問わず新たな寄生先を探す肉の花粉たちが宙を舞っていた。
だが、その見えない死の群れは、毒の風によって次々と死滅させられていく。
「強すぎるとヒーローもやっちゃうか……面倒臭い」
そう愚痴るマスタード。
彼を青山は複雑な面持ちで見つめながらも、青く煌めく閃光で成長途中の花を撃ち抜いていく。
完全に成長してしまう前に刈り取れば被害を抑えられるのだ。
マスタード。
青山にとっては内通者として情報を流したことが原因で林間合宿にやって来たヴィランである。
彼のガスには多くの生徒が苦しめられた。
苦しめてしまった。
それが今では、同じ戦線に立つ共闘仲間となっている。
「……それは僕も同じか」
青山は自嘲の響きを帯びた声で呟き、皮肉げに笑いを発した。
バベルショッカーに入ることを選んだ。
それは自ら社会の暗部へとその足を踏み入れたことを意味する。
かつてはオールフォーワンの恐怖に怯える単なる被害者であったかもしれないが、最早その言い訳は通用しない。
難羽が掲げる人類無個性化の計画にも、力を持たず苦悩した過去の自分を重ね合わせ、心の奥底では賛同してしまっている。
すでに彼は犯罪組織に深く心を許し、自らの居場所を見出していた。
ヒーローとしてあるまじきことである。
自身の肉体に施された
オールフォーワンによって与えられた個性、ネビルレーザー。
青山の肉体はこの力の適性を持っていなかった。
常に専用のベルトを装着しなければレーザーが外部へ漏れ出す。
装着していても個性を長時間使用すれば腹痛に襲われる。
後者の原因は、個性使用時に身体側へ漏れ出す微量のネビルレーザーの刺激によるものであった。
そこで難羽は、戦闘時以外は体内に収納される方式の特殊なベルトを彼のために開発した。
腹部を中心に定着したナノマシンが膜を作るようにし、レーザーのエネルギーから青山の肉体を保護する仕組みを構築したのである。
さらに体内から形成・展開されたベルトの左右に搭載されたスイッチを操作することで、出力の絞り込みや拡散など、以前とは比較にならないほど精密なレーザーの照射を可能としていた。
青山は手術台の上でベルトを自身の肉体に移植される際の激痛を思い出していた。
そしてその際、難羽が何事かを呟いていたのだが、それを彼は未だに理解できずにいる。
『アギトなんてなんぼいてもいいですからね』
その言葉は、自分のコスチュームを金色を基調としたものに勝手に改装していたことと何か関係があるのだろうかと、彼は後になって首を傾げた。
なお、難羽はあえて麻酔なしで手術を行なった。
罪悪感に苛まれた人間にはあえて
それを経験上知っていたからだ。
そんな青山の思考を現実に引き戻したのは、隣で空間を歪める黒霧の動きであった。
ワープゲートを利用して背後から放たれた弾丸も、クニエダが操作した花の壁によってことごとく防がれてしまう。
自らが咲かせた植物群を、クニエダは己の手足のように自在に操る術を持っているらしい。
だが花が動くたびにその宿主たちは苦しそうに呻いている。
時間をかければどうなるか想像に難くない。
「厄介ですね……」
黒霧が呟く。
すでに弾丸は尽きた。
威力も足りない。
ワープゲートを対象の肉体に重ね合わせて切断する戦法も、相手が警戒した状態では決定打にはなり得ない。
これ以上、彼に有効な攻撃手段は残されていないのだろうか。
「これでいきましょう」
否、ある。
空間と空間を接続するという行為そのものが破壊力に変わる場所を、彼は知っていた。
「
鮮血が空を舞った。
クニエダの頬の肉が、目に見えない何かに抉り取られたのだ。
驚愕の表情を浮かべ、クニエダは後ずさる。
黒霧の個性はあくまで空間を繋ぎ合わせるだけのゲートであり、彼自身に何かを射出する機能など備わっていないはずだ。
その不可解な攻撃の正体。
答えは黒霧が繋ぎ合わせた空間の先にある。
そこは光すら届かぬ深い海の底であった。
クニエダの周囲に、小さなワープゲートが無数に展開される。
その穴を通して、深海の圧倒的な水圧によって圧縮された海水が凶器となって外の世界へと押し出される。
それはまさに鉄砲水。
超高圧の水流はレーザーとなって空間を切り裂き、四方八方からクニエダの肉体と巨大な花々を容赦なく襲う。
単なる新しいコレクションとしてしか黒霧を認識していなかったクニエダは、己の想像を絶する暴力の前に、為す術もなく追い詰められていった。
巨大な花が乱れ咲く戦場から少し離れた別の区画では、また異質な狂気が支配していた。
仕立ての良さを感じさせるシルクハットを被り、全身を黒い布で覆った怪人が静かに佇んでいる。
雨など降っていないというのに傘を差し、真っ白な仮面には貼り付けたような笑みが刻まれていた。
ダツゴクの一人、嬰児樹ギャシュリー。
彼は広範囲を制圧する物量と、終わりの見えない長持久戦によって犯罪史にその悪名を轟かせたヴィランである。
戦場に立つヒーローたちはその記録が持つ絶望を、今まさに肌で実感していた。
ギャシュリーの個性は、幼い子供の輪郭を持った不気味な異形の怪物を無数に召喚し、使役するというものである。
這い回る怪物の一体一体が持つ膂力は大きなものではない。
しかし、大地を埋め尽くし、視界のすべてを覆い隠さんとする絶対的な数の暴力がそこにあった。
「ウワァアアアッ!!」
「やめろ、俺は味方だぞ!」
悲痛な叫び声が肉の波間から響き渡る。
対処に僅かでも手間取れば、四肢に群がり噛みつく異形の群れに引き倒され、生きたまま飲まれることとなる。
蠢く肉の海に沈み、姿を消していくヒーローやヴィランたちの姿が絶望的な光景となって広がっていた。
「ハァッ!」
気迫の込もった咆哮と共に、突撃してくる異形の群れを砂藤が正面から迎え撃つ。
だが、彼は力任せに殴り飛ばしはしない。
彼の個性は燃費が悪く長期戦には不向きである。
故に、体力を温存できる局面では極力力を使わず、効率的な動きを選択しなければならない。
「切島!」
砂藤は迫り来る怪物の頭部を下がりながら両手で掴み上げ、勢いを殺して受け流すように背後の切島へと叫んだ。
「おう!」
砂藤によって無防備に振り下ろされた異形の頭部へ向け、限界まで硬化した切島の腕が下から上へとすくい上げるようなアッパーを放つ。
砂藤のパワーで相手の動きを停止させ、切島の岩盤をも砕く硬度でトドメとなる一撃を叩き込む。
砂藤一人では、押し寄せる敵の群れを長時間捌き切るためのスタミナが足りない。
切島一人では、動く標的を一撃で粉砕するためのパワーが足りない。
二人は互いの弱点を理解し、背中を預け合いながらそれを補っていた。
そんな中、群れを掻き分けるように一際巨大で筋肉の隆起した異形が、他の小さな異形たちの身体を容赦なく押し潰しながら這いつくばって襲いかかってきた。
二人は視線を交わし、息を吸い込んで構えを取る。
これまでの戦術は、互いの弱点を補うための防衛手段に過ぎない。
だが、目の前に迫る巨大な脅威を打ち砕くためには、互いの強みを極限まで掛け合わせる必要があった。
「ウオオオオッッ!!」
切島が大地を蹴り、前方へと宙返りするように跳躍する。
それに合わせ、同じく跳躍した砂藤が空中で切島の腕を両手でしっかりと掴み取った。
その瞬間。
切島は自身の両脚のみに意識を集中させ、硬度を限界のその先へと引き上げる。
砂藤が誇る限界突破した純粋なパワー。
切島が誇る、いかなる衝撃にも耐え得る矛としての硬度。
それらの力が空中で見事に噛み合い、遠心力を伴った変則的な踵落としとなって振り下ろされた。
シュガードープによる剛力が、切島の質量と硬度を万物を両断する巨大な剣へと変貌させたのである。
「
巨大な異形が空を裂くような叫びを上げた。
それが戦意の現れであったのか、あるいは己の死を悟った断末魔であったのかは定かではない。
一刀両断。
分厚い筋肉と骨格を誇った怪物は、頭頂部から股下まで両断され崩れ落ちた。
矛も盾も、戦士が振るうことでその真の威力を発揮することができるのだ。
しかし、そんな怪物たちの波を盾にして、ヒーローたちの隙を狙うヴィランたちも存在していた。
彼らは蠢く異形たちの頭や胴体を足場にして、泥沼を進むように歩を進めてくる。
だが、足場が不安定であるが故にその移動速度は遅い。
その隙を見逃さない狙撃手がいた。
「撃ち抜く!」
幾重にも重なる複製腕によって形作られた、異形なる肉の砲台。
それが障子という重戦車の背中で、敵を狙い定めていた。
かつて雄英高校の体育祭において編み出した、己の器官を変質させて生み出した発射台の戦術。
複製した腕の筋力や、器官の精密なコントロールを極限まで鍛え上げた結果、このスタイルは単に手や目を増やすという壁を超えた。
戦闘に特化した、全く新たな器官を自在に生成する領域へと至っていたのである。
「
人の姿から遠ざかり、異形として変貌していく己の肉体に対し、思うところがないわけではない。
しかし、己が恐ろしい異形の姿となればなるほど、救うことのできる命の数が増えるという事実がある。
ならば、己のすべてを捧げて得たこの姿を、彼は心から誇りに思う。
「そんな豆鉄砲が効くかぁ!」
障子の砲台は所詮礫を飛ばしているだけである。
個性によって己の肉体を鋼鉄の鎧と化しているヴィランもいる。
そうした強固な防御を持つ敵に対しては、姿勢を崩させることはできても致命傷には至らない。
しかし、戦場に立つ障子は孤独ではない。
ふわりと、風に乗るように空から舞い降りた一筋の影があった。
深緑のスーツに身を包んだ一匹の蛙。
短く湿った呼気を漏らし、蛙吹が装甲を誇るヴィランの頭上へと音もなく着地する。
打撃を与えるでもなく、ただ己の頭上に乗っただけ。
そんな小柄な少女にヴィランは困惑の表情を浮かべながらも、忌々しげに振り払おうと腕を上げる。
だが、彼女のこの動きは攻撃への布石。
これは剣士が刃を鞘に収め、次なる一撃のために力を溜める。
居合の納刀に等しい動作であった。
蛙吹が跳躍の体勢に入る。
極限まで鍛え上げられた脚部の筋肉に莫大な力が圧縮され、骨肉が悲鳴を上げるような軋みが微かに漏れる。
プロヒーローであるミルコとの特訓の中で、彼女は己の肉体が持つ可能性に目覚めていた。
蛙という生物の特長である圧倒的な跳躍という移動手段を、そのまま質量を伴う破壊の一撃として転用する蹴り技。
「……ッ!!」
大地に小さなクレーターを穿つほどの凄まじい反発力と共に、蛙吹の脚力が解放された。
そのエネルギーはすべて、足場にされたヴィランの頭蓋から背骨へと一直線に突き抜ける。
頭部を大地へと容赦なく叩き込まれたヴィランは、意識を刈り取られ、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。
蛙吹はその反動を利用してさらに高く舞い上がり、次なるヴィランの頭部や背中へと連続して飛び乗っていく。
標的と距離がある場合でもスーツに搭載された滑空用の幕を広げ、空を滑るように急降下を仕掛ける。
逃げようとする者も、舌で引き寄せて次の足場にする。
彼女が飛び跳ねる度に、戦場の大地には陥没跡が次々と量産されていった。
必殺技に仰々しい名前をつけることなど、これまで考えたこともなかった彼女。
そんな彼女が、敵の頭上を飛び石のように跳ね回りながら破壊を撒き散らすこの技につけた名は、フロッピー・スタンプラリー。
かつて特訓の最中、大きくなっていく彼女のお尻を見ていた峰田。
彼は己の眼前で恐ろしい質量を伴って迫り来る蛙吹の太ももを見上げながら、引き攣った顔で呟いていた。
「いや……そんな可愛いもんじゃねぇだろ……」
その直後、彼もまた哀れな
自業自得である。
雄英A組の生徒たちが目覚ましい活躍を見せる中、経験を積んだプロヒーローたちも遅れをとってはいなかった。
あくまで刑務所を襲撃し、駆けつけるヒーローたちを数の暴力で返り討ちにするだけの単純な目論見であったヴィランたち。
対するヒーローたちは、この最終決戦に合わせた緻密な作戦を練り上げていた。
難羽がオールマイトやホークスを通して立案したこの作戦は単純な多対多の乱戦などではない。
個々のヒーローが持つ個性の相性や、連携のシナジーを計算した上で、それぞれに最適な役割を与え配置しているのだ。
事前に同じワープゲートで転移するメンバー同士で連携のシミュレーションを重ね、誰もが目の前の敵を倒そうと力むのではなく、ある者は捕縛に徹し、ある者は後方からの支援に特化するという具合に機能させていた。
個性の強みや弱点、限界といった情報が共有されていないヴィランの手札は、連携においては味方の足を引っ張る障害となる。
決戦という名目でありながら、戦場はヒーロー側による一方的な制圧劇の様相を呈している。
ヒーローたちは自然と、この状況下でも余裕の笑みを崩さないであろう、高みから見下ろす魔王との後の戦いへと意識を向け始めていた。
しかし、勝利を確信しかけたその時、戦場の大地そのものが大きくうねり、地鳴りを上げた。
「ウゴオオオオッッ!!!」
大気を震わせ、内臓を揺らすような獣の咆哮。
ドクターと呼ばれる男を除けば、唯一オールフォーワンに絶対的な忠誠を誓い、
戦略や戦術、陣形など彼の前では何の意味も持たない。
山のように巨大な肉体が誇る理不尽なまでの剛力。
彼がただ前へと歩みを進めるだけで周囲の建物もヴィランもヒーローも、等しく粉砕され瓦礫と化していく。
「来るのは分かってたけど……!」
絶望的な質量の塊に対抗すべく立ち上がったのは、マウントレディであった。
彼の存在と脅威を事前に聞かされていた彼女は、この瞬間のために自身の体力を温存していたのだ。
だが、巨大化の個性を全開にした彼女の体躯を以てしても、マキアという存在はあまりに巨大だ。
たとえ巨大化しても大柄な男性と一般女性ほどの差があるのだ。
彼女は両腕を交差させてマキアの突進を正面から押し返そうとする。
しかし足元のコンクリートが砕け散り、そのまま後方へと押し込まれていく。
そんな彼女の背後から、さらに巨大な影が迫り来る。 否、影そのものが物理的な質量を伴って具現化し、闇を吸い上げて膨張していく。
『止マレエエエッッ!!』
常闇の纏う黒いマントの中から、漆黒の怪物ダークシャドウが飛び出した。
暗闇の中で巨大化したダークシャドウの体格と凶暴なパワーは、対マキア戦においてこそ真価を発揮する。
かつてのように暴走の恐怖に呑まれることなく、自我を保ったまま絶対的な力でマキアに立ち向かえるのは、常闇が積んできた研鑽の賜物である。
しかし、それでもまだ足りない。
大地が人の形を取って動き出したかのような、歩く天災と呼ぶべきヴィランの歩みを停止させることはできない。
「ぐっ……!」
このままでは築き上げたヒーローたちの優位は一瞬にして崩壊し、敗北の奈落へと突き落とされることになる。
だが、この戦場にはまだ奥の手が存在している。
理不尽な力を持つ巨大な敵に正面から立ち向かう存在は、決して彼女たち二人だけではない。
特撮という空想の歴史、ヒーローの原初とも言える概念の底から、それは現実に姿を現す。
「ビッグファイア!」
澄んだ少女の声が戦場に響き渡る。
『ダイダラ・ユミル・アトラスシャーク! ……ラグナロク!』
大地を割り、強烈な光に包まれた人型のシルエットが現れた。
それは周囲の空間を歪めながら、急速にその質量を増大させていく。
光の中に浮かび上がる輪郭は、かつて誰もが憧れた
しかし、その神聖なるシルエットに、さらに異質で重厚な意匠が重なり合っていく。
古代エジプトの王、ツタンカーメンのマスクを彷彿とさせる頭部。
見え隠れしていた赤いラインの入った銀色のボディが、徐々に光を吸い込むような暗い鉄色へと染め上げられていく。
そして、両肩から腕の先にかけて、本体のバランスを崩すほどに巨大で分厚い装甲の腕が覆い被さる。
それと同時に頭部のマスクの左右に、まるで猫の耳のように二つのスラッガーが装着された。
不敵な笑みを浮かべ巨大化した覚上の左目に、時計の文字盤を模した眼帯型のインターフェイスが装着され、歯車が噛み合うようにすべてが一つに統合される。
それは圧倒的な質量を持つ動く巨大要塞。
人々を理不尽な暴力から守り抜く鋼の巨人。
「出・撃!! ですわー!」
ギャシャリーの原作描写少な過ぎない?