鳥羽鎮守府はなんとやら   作:新月ふわブイ司令官長

12 / 13
突然ですがこの小説に関して思うところができてしまったため、本話で打ち切りにさせてもらいます。身勝手な行動をお許しください。その代わりと言ってはなんですが別の艦これ二次創作小説を考えておりますので、もしよければそちらをお読みいたどけると幸いです…。


第十三戦 其々の道、其々の恋路と無自覚2人 丁

 

 

(その頃鎮守府では……)

 

(鎮守府・執務室)

 

(大淀)

なに……これ?……えっ、ほんとになんですかこれ?

(鳳翔)

これが本日の午後の分の書類です

(大淀)

………あの……………え?普段の私の書類の5倍の量がありませんか?

 

(大淀、机いっぱいに積まれた書類を見つめたまま静止)

 

(大淀)

……これは。

冗談、ではありませんよね?

(鳳翔、穏やかに)

はい。

本日の午後分でございます。

(大淀)

午後……だけで……?

 

(ぱらり、と一束めくる)

 

(大淀)

補給申請、修繕報告、演習計画承認、予算調整、外部照会回答……

しかも全部、即時判断が必要なものばかり……。

(鳳翔)

提督は午前中に全て終わらせて、それでもって皆さんとの関わりの時間や演習や作戦の指揮も行っているのです。

(大淀)

……。

 

(大淀、天井を仰ぐ)

 

(大淀)

あの人は……

一体いつ休んでいるのですか……。

(鳳翔)

休んでいらっしゃるところは、あまり見ませんね。

(大淀)

でしょうね!!

 

(勢いよく立ち上がる)

 

(大淀)

これを午前中に終わらせたうえで、

艦娘の相談に乗り、演習の指導をして、

さらに外出まで……?

(鳳翔)

はい。

(大淀)

あの人は超人ですかッ……!?

(鳳翔、少しだけ微笑む)

努力家、でいらっしゃいます。

(大淀)

努力で説明できる量ではありません……!

(鳳翔)提督は普段この量をこなしてますよ?

(大淀)……こんなの…提督がいなかったらまわらないじゃないですか……

(鳳翔)

いやいや、大淀さんも同じことができますよ。

(大淀)

いえ、まだ無理です。

ですが――

 

(椅子に座り直す)

 

(大淀)

やっぱり…今日くらいは、

「いなくても回る」を証明してみせます。

(鳳翔)

ふふ。

お茶をお持ちしますね。

 

(大淀、万年筆を握り)

 

(大淀)

望むところです……!

普段の五倍なら、

こちらは六倍の集中力で片付けます……!

 

(執務室に、紙をめくる音と万年筆の走る音が響く)

 

(大淀・小声)

 

(大淀)

……帰ってきたら、

少しだけ文句を言わせていただきますからね、提督。

 

 

 

(そして数時間後………新月司令たちは)

 

 

(港へ戻る道すがら)

 

(新月、夕焼けを見上げて)

今日はどうだった?

 

(名張、少し考えてから、まっすぐに)

とても……はいっ。

とても楽しかったであります。

 

(新月、わずかに笑う)

そうか。

なら時間を作った甲斐があった。

(名張)

また……来られたらいいと思うであります。

(新月)

また、か。

(名張、少しだけ不安そうに)

……すみません。

次は難しいでありますよね。

(新月)

いや。

難しくはない。

 

(少し間を置いて)

 

(新月)

半年後にまた来よう。

(名張、ぱっと顔を上げて)

……はい!!

わかりましたであります!!

(新月)

それまでに沈むなよ?

(名張、敬礼気味に)

善処しますであります!!

 

(新月、足を止める)

 

(新月)

名張。

(名張、きょとんと)

は、はい?

(新月)

そこは「善処」じゃない。

約束だ。

 

(名張、息をのむ)

 

(名張)

……。

 

(少し俯いてから、しっかりと顔を上げる)

 

(名張)

……約束します。

半年後、必ずまたご一緒します。

沈みません。

必ず、戻ります。

(新月、静かに頷く)

よし。

 

(少し軽い調子で)

 

(新月)

その代わり、俺も沈まん。

指揮官がいなくなったら困るだろう?

(名張)

それは当然であります。

艦長殿が沈むなど、絶対に認めません。

(新月)

ならお互い様だ。

 

(鎮守府の門が見えてくる)

 

(名張、小さく)

……半年後。

本当に、でありますよ?

(新月)

あぁ。

覚えておく。

 

(門前で立ち止まり)

 

(新月)

さぁ、現実に戻るぞ。

名張

 

(少し微笑んで)

 

(名張)

了解であります、艦長殿。

 

(夕陽の中、二人は鎮守府へと足を踏み入れた。

約束は、確かに交わされた。)

 

(その頃山口副司令たちは……)

 

(夕暮れの帰り道)

 

(山口、飛龍を背負いながらゆっくり歩く)

 

(山口)

……重い。

(飛龍)

むにゃ……多聞丸ぅ……。

(山口)

自分で「疲れた」と言い出した挙句、

おんぶをせがみ、そのまま就寝とは……

実に自由だな、君は。

 

(数時間前)

 

(飛龍)

多聞丸〜、疲れたー。おんぶしてぇ!!

(山口)

断る。

(飛龍)

えぇ〜……お願い……多聞丸ぅ?

(山口)

歩けるだろう。

 

(飛龍、じっと見上げる)

 

(山口)

……。

 

(飛龍、無言の上目遣い)

 

(山口)

……む、むむむ……。

(飛龍)

だめ?

(山口、観念して)

……致し方ない。

(飛龍)

えへへ……ありがとね。

 

(現在)

 

(山口)

……流石にあれをされては断れん。

 

(飛龍、寝言)

 

(飛龍)

多聞丸ぅ……だいすきぃ……。

 

(山口、足を止めかけてから)

 

(山口)

……。

 

(小さく息を吐く)

 

(山口)

寝言で言われても、反応に困るだろう。

 

(しかし口元はわずかに緩む)

 

(山口)

まったく……

君は人の防御線を軽々と越えてくる。

 

(少し歩調を整え)

 

(山口)

……まぁ、案外悪くはないかもしれんな。

 

(飛龍、すぅすぅと寝息)

 

(山口)

起きたら覚えていないのだろうが――

それでいい。

 

(鎮守府の灯りが遠くに見える)

 

(山口)

今日だけだ。

……今日だけ、な。

 

(そう言いながらも、

背中の温もりを振り払う様子はなかった。)

 

 

(その頃菅野航空当直長たちは……)

 

 

(遊園地の出口、夜の灯りの下)

 

(榛名)

今日は……本当に楽しかったです。

(菅野)

だなぁ。

久しぶりに肩の力抜けた気がする。

(榛名、少し立ち止まり)

あの……菅野大佐?

(菅野)

ん?どうした。

(榛名)

その……あの……。

(菅野)

(榛名、深呼吸)

あぁ………もうじれったいです!

勢いで言いますから、ちゃんと聞いてくださいね!?

(菅野)

え、あっ、うん。わかった。

(榛名、顔を真っ赤にして)

榛名はっ……そのっ……!

菅野大佐のことが……

す……す、好きです!!

 

(夜風が一瞬静まる)

 

(菅野)

…………。

(榛名)

な、なので……その……あの……。

(菅野)

……言いたいことはわかった。

(榛名)

な、なら――

(菅野)

だが、俺はそのまま応えることはできない。

(榛名、固まる)

な、なんでですか……?

(菅野)

理由は簡単だ。

(榛名)

……。

(菅野、少し照れながら)

女性にここまで言わせておいて、

黙って頷くのは性に合わないんだ。

(榛名)

……?

(菅野)

俺から言わせてくれないか?

(榛名、静かに頷く)

……はい。

(菅野、視線を逸らしつつも真っ直ぐに)

榛名。

俺は、お前といると楽しい。

無理せず笑える。

……その時間を、これからも続けたい。

 

(少し間を置いて)

 

(菅野)

俺と……付き合ってくれないか?

(榛名、目を潤ませながら)

……はい。

こちらこそ、不束者ではありますが……よろしくお願いいたします。

(菅野)

ああ。よろしく頼む。

 

(しばらく沈黙)

 

(榛名)

……。

(菅野)

……。

 

(二人同時に小さく笑う)

 

(菅野)

なんだか、照れっぱしいな

(榛名)

……はい、すこし…恥ずかしいですね。

ですが……嬉しいです。

(菅野)

俺もだ。

 

(遠くで観覧車の灯りがゆっくり回る)

 

(榛名・心中)

(今日の一日は……

 忘れられない日になりました。)

(菅野・心中)

(さて……明日からは、

 少しだけ守るものが増えたな。)

 

(その頃、新月司令は……)

 

 

(新月)

今帰った。すまんな、留守を任せ………て………

(大淀)

あら……帰りましたか…………おかえりなさい………

(新月)

………どうした?

(鳳翔)

提督の仕事を今日1日かわりにやってくださったんですよ

(新月)

そうか、済まなかったな

(大淀)

いえ………………で、ですが………まだ……

(新月)

ん?何か問題でもあったか?

(大淀)

……まだ…………3分の1ほどのこっています……

(新月)

なんだ、その程度、1時間もかからずおわるさ、ありがとうな、大淀

(そういって大淀の頭をなでる)

(大淀)………

 

(新月、椅子に座りながら書類を手に取る)

……さて、どれから片付けるか。

 

(大淀、固まったまま)

 

(新月)

ん?どうした。

顔が赤いぞ、熱でもあるのか?

 

(大淀)

い、いえ……その……。

(鳳翔、静かに微笑みながら)

ふふ……。

 

(新月)

(大淀、少し視線を逸らしながら)

……提督は、ああいうことを

無意識でなさるのですね。

(新月)

ああいうこと?

(大淀)

……頭を撫でる、などです。

(新月)

あぁ。

労いのつもりだったが……嫌だったか?

(大淀)

い、いえ!!

決してそのようなことは……!

(小さく咳払い)

(大淀)

むしろ……その……

効率が……上がるといいますか……。

(新月)

そうか。

なら今後も適宜使うとしよう。

(大淀)

適宜使うものではありません!!

(新月、さらりと書類に目を通しながら)

そうか?

(鳳翔)

提督、それは“ご褒美”の類ですから。

(新月)

……そういうものか。

(大淀、少しだけため息をついて)

まったく……

外ではしっかり休暇を取ってきたのでしょうに、

戻った途端この仕事量を前に平然としているのですから……。

(新月)

癖みたいなものだ。

溜まっている方が落ち着かん。

(大淀)

……本当に超人ですね。

(新月)

やめろ。

ただの慣れだ。

 

(さらさらとペンを走らせ)

 

(新月)

大淀。

(大淀)

はい。

(新月)

今日の処理、

優先順位も割り振りも的確だった。

途中から俺がやっているのと変わらん。

(大淀)

……。

(新月)

よくやった。

 

(大淀、少し俯いて)

 

(大淀)

……ありがとうございます。

 

(新月)

あとは俺が引き取る。

今日はもう休め。

(大淀)

ですが――

(新月)

命令だ。

(大淀)

……。

 

(大淀、小さく敬礼して)

 

(大淀)

……では、お言葉に甘えさせていただきます。

(鳳翔)

お疲れ様でした。

お茶、部屋にお持ちしますね。

(大淀)

ありがとうございます……。

 

(退出していく大淀)

 

(新月、書類をめくりながら小さく)

 

(新月)

……………おかしいな、今日の書類は普段の2分の1程度の書類なのだが………

 

(執務室には再び、

紙とペンの音だけが静かに響き始めた)

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。