この作品を開いてくださりありがとうございます。そして前話に引き続きお読みくださっている方もありがとうございます。
まだまだ寒いですよねぇ〜………みなさん体調にはお気をつけください。
それでは本編をお楽しみください〜…………
(新月)
……うちの艦隊は基本的に遊撃部隊なので………それほど出撃は多くないんですよ。ですが練度と経験は多いのでご安心ください山口副司令
(山口)
敬語は使わなくていい
(新月)
いえいえ、いくらなんでも年功序列というものがありますから………
(山口)
それを言うならこの鎮守府では君の方が先輩ではないか?
(新月)
む…むぅ………
(山口)
……しかし、なるほど。
基本的に遊撃を主とし無闇に消耗しない。
理にかなった配置だ。出撃回数より、練度と生存率を重視する判断……嫌いではない。
(菅野)
新月さん、紫電改ってありますか?いやぁ〜、ここにはあなたの趣味で航空機があると聞きまして〜………
(山口)
こら菅野くん、やめなさい
(菅野)
あはは、すみませんすみません。
でもね、新月さん「航空機が趣味」って聞いたら、飛行機乗りとしては黙っていられなくて。
(新月)
………紫電改はないけど…………紫電改二の実機なら1機だけありますね。ほかは零戦五二型等しかありませんが………
(菅野)
え!?まじすか!?いやぁ〜紫電改二の実機があるだけで十二分ですよ!!
(山口)
こら菅野くん、少しは遠慮しろ。
……だが、紫電改二を実機で保管している鎮守府とはな。
上層部が黙っていないわけだ。
(飛龍)
え、実機!?
ちょっと待って、紫電改二が“本物”であるの!?
なにその鎮守府、さらっと爆弾発言しすぎでしょ!!
(大淀)
……やはり来ましたか、この流れ。
航空機の話題になると、必ずこうなりますね。
資料的価値、技術的価値、そして整備負担……頭が痛くなります。
(菅野)
いやぁ〜……零戦五二型もいいですがね、
紫電改二は別格ですよ。癖は強い、でも噛み合った時の上昇力と火力は……
……あ。すみません、つい熱くなりました。
(山口)
その熱意があるうちは、まだ飛べる証拠だ。
新月司令――君の艦隊は、どうやら「堅実」と「変態」が同居しているらしい。
悪くない。戦争は、そういう連中が一番厄介だ。
(金剛)
Hahaha!褒めてるのか貶してるのか分からないけど、金剛は褒め言葉として受け取るネ!
(大淀)
……私は「変態」枠に入れられていないことを祈るばかりです。
(山口)
さて……書類上の挨拶はこの程度でいいだろう。
次は――実際に見せてもらう番だ。艦隊も、航空機も、そして君自身の指揮もな。
(新月)
いやぁ………本日の出撃予定はないんですが………予定を急に変えるわけにも…………
(大淀)
…提督の為ならここにいる艦娘のほとんどが動きますよ、いつでも、どこへでも
(新月)
………なら昨日に予定していた新海域偵察を今日にずらすか………
(大淀)
わかりました……榛名さん、行けますか?
(榛名)
…………
(大淀)
榛名さん?
(榛名)
あっ、はい!!わかりました!能代さん呼んできますね!!
(大淀)
編成は榛名さんを旗艦、随伴に能代さん。航空偵察は最低限、敵情把握を優先します。
無理はさせませんので、ご安心を。
(金剛)
Oh〜……完全に上の空だったネ、榛名。
ふふ、分かりやすいヨ!でも大丈夫、金剛お姉ちゃんが後ろは守ってあげるネ!
(山口)
……今の間。
指揮官の一言で、艦隊が自然に動く。
命令ではなく、信頼で動いているな。
これは数字や書類では分からん。
(菅野)
いやぁ……いいですねぇ。
現場の空気が生きてる。
あの反応、緊張だけじゃないですよ。
「応えたい」って顔だ。
(大淀)
……ええ。
うちの艦娘たちは、基本的にそういう子たちです。
だからこそ、無駄な消耗はさせられません。
(山口)
その判断ができる司令官なら問題ない。
……副司令として、口出しする場面は少なそうだ。
(飛龍)
偵察だけで終わるといいけどね。
新海域って、大体“何か”いるから。
(菅野)
はは、分かります分かります。
未知の海域は、いつだって飛行機乗りと艦隊の天敵ですから。
(大淀)
……さて。
では作戦準備に入ります。
視察のお二人には、後ほど作戦室で状況をご説明しますので。
(山口)
ああ。
邪魔はしない。
――実にいい鎮守府だ。
(菅野)
ところで…………俺も行っていいですか?
(新月)
え?
(大淀)
………は?
い、いえ、その……お気持ちは分かりますが、実戦想定の偵察任務ですよ?
しかも新海域です。危険性の評価もまだ十分とは――
(菅野)いやぁ……せっかく紫電改二があるなら……戦いたいじゃないですか飛びたいじゃないですか
(山口)
こら菅野くん、見ての通り、大淀が困っているではないか。
ここは視察中だ。遊覧飛行ではない。
(菅野)
でも!!ほら、紫電改二ですよ!?
実機ですよ!?
飛ばずにいられるわけないじゃないですか!
飛行機乗りに「見るだけで我慢しろ」なんて、拷問ですよ!
(新月)
……その気持ちよくわかります。いいでしょう。ただし、わが艦隊の航空隊の妖精達と一緒に飛んでもらいますよ?
(菅野)
まじすか!!わかりました!!よっっしゃ!!
(山口、新月提督の返答を受けて)
……ふむ。
新月司令がそこまで言うのなら、私は止めない。
ただし条件がある。
(菅野)
条件?
(山口)
生還を最優先しろ。
英雄気取りも、無茶も、ここでは不要だ。
君は“搭乗員”であって、“特攻兵”ではない。
(菅野)
……了解です。
いやぁ〜、そう言われると逆に身が引き締まりますね。
(大淀)
……航空隊妖精と同行、整備・飛行計画は鎮守府基準、指揮権は航空隊長に帰属。
それを了承していただけるなら……許可、出します。
……本当に、提督は無茶を通すのがお上手ですね。
(飛龍)
ちょっとちょっと!?
大佐が紫電改二で飛ぶとか、聞いてないんだけど!?
それ、私もちょっと見たいんだけど
(金剛)
OH〜!これは熱い展開ネ!!
Aceパイロット×紫電改二!
提督の鎮守府、エンタメ性高すぎデース!
(菅野)
よっっしゃ!!
いやぁ〜、ありがとう!
妖精さんたちと一緒に飛べるなんて、若返った気分ですよ!
(山口)
……やれやれ。
だが、こういう無茶を受け止められる鎮守府だからこそ、ここまで生き残ってきたのだろうな。
帰ってきたら、詳しく報告を聞かせてもらう。
(大淀)
……必ず、無事に帰ってきてください。
それが守れない方は、次から一切許可しませんので。
(菅野)
了解!
――じゃあ、久々に空、行ってきますか。
次戦、第三戦 『偵察』