この作品を開いてくださりありがとうございます。そして前話に引き続きお読みくださっている方もありがとうございます。
一言話す内容ないや
それでは本編をお楽しみください〜…………
(余談:この話から少し筆が乗り始めてます)
(???)
あの………
(新月)
ん?誰だ?
(名張)
本日より着任することになりました、名張型重巡洋艦1番艦名張です……よ、よろしくお願いしますであります!!
(新月)
………ドロップ艦か、この鎮守府の長官の新月楓中将だ、これからよろしく頼む
(名張)
…………新月…艦長?
(新月)
おや?………もしかして君は……あぁ、君は俺が大佐になった時に初めて乗った艦だったな、いやぁ~、君はほんとに乗りやすくて火力も高く運動性も良かった、ほんと、いい艦だったよ
(名張)
…………。
そ、その……。
はい。
確かに……新月艦長が大佐に昇進された直後、最初に座乗されたのは……私、でした。
……覚えていてくださったのでありますね…。
(大淀)
……名張型重巡洋艦一番艦、名張。
着任確認しました。
経歴的にも性能的にも、即戦力ですね。
……なるほど、提督と因縁があるわけですか。
(金剛)
…………。
(な、なんデスかこの空気……!?
ぽっと出の重巡洋艦に、提督が“昔の思い出トーク”……!?
これは……これは由々しき事態デース……!)
(山口)
……ふむ。
初任地の艦というのは、特別なものだ。
指揮官にとっても、艦にとってもな。
無理もない反応だ。
(菅野)
あー……これは分かるなぁ。
最初に「任せられた機体」って、ずっと覚えてるんですよね。
名張さん、相当信頼されてたんでしょう。
(名張)
……っ。
そ、そんな……。
名張は、与えられた役割を果たしただけで……。
ですが……
「乗りやすい」「いい艦だった」と言っていただけるのは……その……。
艦として、これ以上ない評価であります。
(飛龍)
……あー、これはダメなやつ。
完全に“原体験”だ。
提督、自覚ないでしょ?
(新月)
?
事実を言っただけだが。
(大淀)
……はい、その時点で手遅れです。
名張さん、顔、赤くなってますよ。
(名張)
えっ!?
……い、いえ!
こ、これは……その……主機の調子が……!!
(金剛)
NOOOOO……!!
もう完全にロックオンされてるネ……!
提督、お願いだから無自覚で過去の武勇伝と“褒め”を同時に出さないでほしいデース!!
(山口)
……なるほど。
この鎮守府が妙に落ち着かない理由が、また一つ分かった。
(菅野)
え、何ですか?
(山口)
優秀な者ほど、
“昔から知っている”という一言で距離をゼロにする。
――実に厄介だ。
(名張)
……艦長殿。
これから、また同じ艦隊で戦えること……。
名張、誇りに思うであります。
……どうか、よろしくお願いします。
(金剛)
…………。
(ダメだ、これはもう完全に始まってるネ……
この鎮守府、天然ジゴロ発生源が多すぎデース……)
(飛龍)
それを言うなら、多聞丸も同じよー!!
(山口)
……私が?
心外だな。私は事実と評価しか述べていない。
(飛龍)
ほらそれ!!
そうやって淡々と認めるところ!
昔も今も変わってないじゃない!
(菅野)
あー……確かに。
多聞さんも無自覚タイプですよね。
部下からの信頼、異常に厚いし。
(山口)
信頼は勝手についてくるものだ。
求めた覚えはない。
(大淀)
……それが問題なのですが。
求めず、媚びず、しかし結果を出す。
提督と同系統ですね。
(新月)
ちょっと待て、
なぜそこで俺と並べられる。
(金剛)
YES YES!
多聞丸と提督、同じ匂いがするネ!
“背中で全部語っちゃう系”デース!
(名張)
……。
(……た、確かに……雰囲気が少し……似ているような……)
(山口)
……飛龍。
君にそう言われるのは、少々複雑だな。
(飛龍)
ふふ。
でも否定しないでしょ?
昔から、そういう人だったもの。
(山口)
……否定はしない。
だが――
(山口、静かに)
指揮官が艦に信頼されるのは、悪いことではない。
(大淀)
ええ。
ただし、その“信頼”が過剰になると、
鎮守府の空気がこうなります。
(金剛)
つまり〜?
(大淀)
……騒がしくなります。
(菅野)
あはは……。
エースと名将が揃うと、空も港も落ち着かないですね。
(新月)
……納得いかんが、
どうやら否定しても無駄そうだな。
(飛龍)
うん、諦めよっか。
この鎮守府、そういう星の下にあるみたいだし。
(名張)
あ、あの………艦長殿!!
(新月)
ん?どした?
(名張)
か、艦長殿って今好きな人かお付き合いしている人って……いますか?
(新月)
ん?いないが………
(名張)
……っ!?
そ、そう……ですか……。
い、いえ! 変な意味ではなくてですね!
その……確認、といいますか……ええ、確認であります!
(大淀)
……名張さん。
確認にしては、声が裏返っていますが。
(金剛)
OH〜!?
直球デース!?
いきなり核心に行ったネ、名張!
(飛龍)
勇気あるなぁ……。
でも、このタイミングで聞くのは正解かもね。
(菅野)
……あー。
これは完全に来ましたね。
(山口)
……若いな。
だが、聞かなければ前に進めんこともある。
(名張)
あ、あの……!
な、名張はその……
艦として、艦長殿を尊敬していますし、その……
一緒に戦った記憶も、誇りで……!
(新月)
……?
ああ、名張はいい艦だった。
今も即戦力だろう。
これからも頼りにしている。
(名張)
…………。
……は、はい!!
名張、全力でお応えしますであります!!
……全力で!!
(大淀)
……提督。
今のは評価として正解ですが、
会話としては致命的だと………
(金剛)
YES!!
完全に無自覚クリティカルヒットデース!!
(飛龍)
ほらね。
本人に悪気ゼロなのが、一番タチ悪い。
(菅野)
いやぁ……。
さっきまで空の話してたのに、
地上の方がよっぽど危険じゃないですか。
(山口)
……結論は一つだな。
この鎮守府の最大の危険要因は――
敵艦ではない。
(名張)
……。
(……やっぱり……この人、ずるい……)
(新月)
……?
何か問題があったか?
(全員)
「「「問題しかありません」」」
(一方その頃廊下では……)
(瑞鶴)
……榛名…ずっと菅野さんの隣にいて……ずるい!!
(翔鶴)
まぁまぁ…瑞鶴、落ち着いて?
次戦、第五戦 『夕食騒ぎ』