鳥羽鎮守府はなんとやら   作:新月ふわブイ司令官長

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どうも、新月ふわブイ司令官長です。
この作品を開いてくださりありがとうございます。そして前話に引き続きお読みくださっている方もありがとうございます。
土日はお暇だ〜。
それでは本編をお楽しみください〜…………


第五戦 夕食騒ぎ

 

 

(食堂・夕刻)

 

 

(赤城)

間宮さん!!!

赤城スペシャルください!!大盛りで!!!

(間宮)

はいはい、少々お待ちくださいね。

(山口)

では私も、それを。

(加賀)

……あら。

本当に山口司令がこの鎮守府にいらしていたのですね。

(山口)

今は司令ではない。副司令だ。

(加賀)

……なるほど。

立場は変われど、雰囲気は相変わらずですね。

(赤城)

(もぐもぐ)

地位より胃袋が大事です!

(加賀)

赤城さん、少しは静かに。

 

――その頃、別の卓――

 

(金剛)

ムー!!

提督は私と一緒に食べるデース!!

(名張)

わ、私っ……!

まだ周囲に馴染めていませんので、本日は艦長殿のお隣にいたいのであります!!

(新月)

こらこら、俺で喧嘩するな。

まったく……敵わんな……。

(金剛)

むぅ……。

(名張)

……。

 

――少し離れた席――

 

(瑞鶴)

菅野さん!

ご飯、一緒に食べましょ♪

こっち空いてます!

(榛名)

あ、あの……

もしよろしければ……私も……ご一緒、しても……?

(菅野)

……なるほど。

なら三人で食べるか。

(瑞鶴・榛名)

……はい!!

(瑞鶴)

ほら見て!

作戦成功!

(榛名)

あ、あの……成功とか……。

 

――少し離れて、それを眺める新月――

 

(新月)

いいなぁ……。

若くて、イケメンで、しかも自然体で……モテるなんて。

(金剛)

(即座に)

……貴方もモテてるでしょうに!!

(名張)

は、はい!!

自覚がなさすぎであります!!

(新月)

ん?

そうかぁ?

(金剛・名張)

(声を揃えて)

そうです!!!!

(山口・加賀・赤城)

(同時にちらりと見る)

(加賀)

……相変わらず、騒がしい鎮守府ですね。

(山口)

だが、悪くはない。

(赤城)

はい!

ご飯も美味しいですし!!

(間宮)

ふふ、今日も平和ですね。

 

――食堂は、騒がしくもどこか温かな空気に包まれていた。

 

(名張)

ち、ちなみに………艦長殿は何歳なのでしょうか……

(新月)

ん〜?俺か?23歳だが何か?

(名張)

……名張に乗艦していたときと同じでありますか

(新月)

だなぁ〜…そういえばあのときは航空隊から艦艇にうつったばっかだったなぁ〜

(名張)

…ち、ちなみに………艦長殿は…どのような女性がタイプなのでしょうか?

(名張が聞いた瞬間食堂にいた過半数の艦娘が一斉に提督の方を見た)

(新月)

ん〜?俺のタイプねぇ〜……優しくて、可愛くて?性格良くて……運動神経もそこそこで…勉強もまぁまぁ出来て……話が盛り上がって……よく笑う人かな?あと眼鏡かけてると尚良しと言ったところかな?

(食堂・一瞬の静寂)

(名張)

……。

(食堂の艦娘たち)

(ぴたり、と動きが止まる)

(新月)

……ってところかな?

 

――次の瞬間――

 

(金剛)

……。

……。

……HEY提督?

(新月)

ん?

(金剛)

それ、

ほぼ鎮守府全域に対する無差別爆撃デース。

(新月)

え、そうか?

(大淀)

……そうですね。

今の発言を整理しますと――

「優しい」「可愛い」「性格が良い」「そこそこ運動神経」「そこそこ頭が良い」

「話が合う」「よく笑う」

「眼鏡可」

(金剛)

条件が多いようで、

実質フリー素材デース。

(大淀)

しかも「尚良し」ですからね。

必須条件ではないのが、なお厄介です。

(名張)

……(思考停止)

(加賀)

……理論上、半数以上が該当しますね。

(赤城)

眼鏡……あとでかけようかな……。

(大淀)

やめてください赤城さん、

鎮守府の秩序が崩壊します。

(金剛)

提督。

(新月)

なんだ?

(金剛)

自覚、

本当に、まったく、これっぽっちも無いデースネ?

(新月)

(大淀)

……提督。

一つだけ、はっきり申し上げます。

(新月)

おう。

(大淀)

今の発言で、

「誰か一人が特別」ではなく、

「全員が少しずつ期待してしまう」

――最悪の回答をなさいました。

(金剛)

天然ジゴロ、

ここに極まれりデース。

(名張)

……あ、あの……

名張は………

……眼鏡、かけております……。

(食堂)

(ざわっ)

(新月)

あ、そうだな。

似合ってるぞ。

(大淀)

……提督。

(金剛)

……。

(二人同時に)

(大淀・金剛)

発言を控えてください。今すぐに。

(新月)

え?

俺、また何かやったか?

(食堂の艦娘たち)

(全員、無言でうなずく)

――その日、

「提督のタイプ」という話題は

鎮守府内で最も危険な機密情報となった。

 

(一方その頃少し離れた席では)

(飛龍)

ところで多聞丸は〜?

(山口)

……妻のような人だ。

(飛龍)

むぅ……。ちなみにこっちの世界では?

(山口)

独身だ。

(飛龍)

じゃあ私は!?

(山口)

……娘を見ているようだ。

(飛龍)

むぅぅぅぅ!!なんでそうなるのよーっ!!

(山口)

落ち着け。お前は元気がありすぎる。

(飛龍)

それ褒めてないでしょ!

 

(そこへ)

 

(大淀)

……あの、副司令。今の発言、聞きようによっては少々残酷ですが。

(山口)

事実を述べただけだ。

(大淀)

でしょうね……。ですが、飛龍さんは結構本気で落ち込むタイプですので。

(飛龍)

……うぅ。

(金剛)

OH……多聞丸、それは航空甲板に直撃弾デース。

(山口)

……そうか?

(金剛)

提督とは真逆の意味で女心に鈍感デース。

(山口)

私は軍人だ。

(大淀)

ええ、存じております。ただ――

(大淀、ちらりと新月を見る)

(大淀)

この鎮守府には「軍人として正しすぎる人」と「人として無自覚すぎる人」が同時に存在しているようですね。

(金剛)

どちらも方向性は違えど被害者が出るデース。

(飛龍)

……多聞丸のばか。

(山口)

(飛龍)

もう知らない!

(飛龍、去る)

(山口)

……なぜ怒った。

(大淀)

はぁ……。副司令、後ほど“感情というもの”について簡単な講義をご用意いたします。

(金剛)

提督用とは別カリキュラムでネ。

(山口)

……必要なのか?

(大淀)えぇ、

 

(さらにその頃……)

 

(榛名)

あ、あの……菅野大佐は…どのような人が……その……

(菅野)

あ〜?俺のタイプかぁ?俺は………美人の高身長の茶髪の大和撫子なボッキュンボンなねぇーちゃんかなぁ〜

(榛名)

な、なるほど………。

(菅野)

そういや……タイプど直球の人が、目の前にいるな、

いやー、眼福眼福。

(榛名)

……!?///

(瑞鶴)

(なにそれズルい……!)

(翔鶴)

……瑞鶴、声が漏れてるわよ。

(榛名)

あ、あの……菅野大佐、それは……その……

か、からかっているのでしょうか……?

(菅野)

ん?

いや? 普通に褒めてるだけだけど?

(榛名)

……っ!!

そ、そういうのは……

心の準備が……っ。

(瑞鶴)

ちょっと!

菅野さん、それ反則でしょ!?

いきなり直球すぎるんだけど!

(菅野)

え?

直球のほうが分かりやすくて良くない?

(瑞鶴)

良くない!!

 

(そこへ)

 

(大淀)

……はぁ。

やはり予想通りの展開になってきましたね。

(新月)

ん?

何が?

(大淀)

いえ。

「航空隊関係者は基本的に距離感がおかしい」

という統計が、また一つ裏付けられただけです。

(新月)

失礼だな、俺は紳士だぞ?

(大淀)

……どの口で仰っているのか、

後で資料をまとめてご説明しましょうか。

(新月)

遠慮しておく。

(榛名)

……あの、菅野大佐。

(菅野)

ん?

(榛名)

そ、その……

先ほどのお言葉……

少し……嬉しかった、です……。

(菅野)

……お。

(瑞鶴)

(ぐぬぬ……!)

(菅野)

そっか。

じゃあ、言ってよかったな。

(榛名)

………はい……///

 

(そして夕食後、廊下で……)

 

(名張)

あの………艦長殿!な、名張はどこで寝ればいいでありますか?

(新月)

ん?そうだな………二代目名張の妹はたしか大淀だったよな………そして大淀は執務室隣だったから………名張はその隣で

(名張)

なるほど……ちなみに…艦長殿は?

(新月)

ん?俺か?俺は執務室のもう片方の隣の自室だぞ?

(名張)

………なるほど………

(新月)

毎日大淀が起こしに来てくれて助かってるのよ

(名張)

………あ、あの……明日から名張が起こしに行きましょうか?

(新月)

おっ、いいのか?

(名張)

は、はい!!

(新月)

なら頼んだー

(名張)

はい!!

(大淀)

だめですよ?

(新月、名張)

え?

(新月)

なんで?

(大淀)

それを取られては私が提督の事実上の妻という立場がなくなるので

(新月)

何言ってんだこいつ

(名張)

………大淀さんは艦長殿の何でありますか!!

(大淀)

妻です

(新月)

ちがうわ、俺は独身!!

(大淀)

……チっ、騙せなかったか

(名張)

………大淀さん?艦長殿は名張のものでありますよ?

(新月)

おれはだれのもんでもないぞー

(大淀)

……名張さん。

その発言、訂正を要求します。

(名張)

い、いえ!

艦長殿は名張に初めて乗艦したお方であり、

戦場を共にした指揮官であり――

大切な存在であります!

(大淀)

……業務上の関係を、

私情で上書きしないでください。

(名張)

私情ではありません!

誇りであります!!

(金剛)

OH……これは修羅場の予感デース。

(名張)

そもそも毎朝起こす役目など、

艦長殿を慕う者が務めるべきであります!

(大淀)

ええ。

ですから私が務めているのです。

(名張)

な……っ!?

(金剛)

ストレートパンチ入りましたネー。

(名張)

で、ですが!

艦長殿は独身でありますし、

誰が起こそうと自由では――

(大淀)

提督の生活リズム、

起床後30秒で書類に目を通す癖、

寝起きに弱く珈琲が必須、

二度寝率夏で7%冬は89%――

それらを把握していない方に

任せるわけにはいきません。

(名張)

……っ。

そ、それは……。

(金剛)

完全に正妻ムーブデース。

(名張)

で、では名張は何をすれば……。

(大淀)

安心してください。

名張さんには――

夜間の見回りという

重要任務があります。

(名張)

夜間……!

(大淀)

ええ。

提督が不用意に

女性関係トラブルを起こさないよう、

警戒する役目です。

(金剛)

……守る方向、

提督本人じゃなくて

周囲デスね。

(名張)

……了解しました。

その任、名張が引き受けます!

(大淀)

結構です。

では、明日からは

私は朝、名張さんは夜。

(金剛)

役割分担成立デース。

(名張)

……はっ!

……あれ?

(大淀)

(名張)

……それって……

結局、艦長殿を

一日中見張っている体制では……?

(金剛)

NOW you notice.

(大淀)

……偶然です。

(金剛)

絶対ウソデース。

 

(廊下の向こう)

 

(飛龍)

……また一人、

提督被害者が増えたわね。

(山口)

……誑しだな。

(飛龍)

でしょ?

(山口)

否定できん。

(大淀)

……さて。

提督には明朝も

通常通り起床していただきます。

(金剛)

提督の平穏な独身生活、

いつまで持つデスかネー。

 




次戦、第六戦 『無自覚菅野と一悶着』
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