この作品を開いてくださりありがとうございます。そして前話に引き続きお読みくださっている方もありがとうございます。
今日は憂鬱な学校ですって
それでは本編をお楽しみください〜…………
(追記:第七戦の内容が薄かった為第八戦と共に出すことにしました。ご了承ください)
(演習海域・ブリーフィング後)
(名張)
…………えっと…………
い、今なんと…………
(新月)
俺と菅野が乗った
零戦五二型と紫電改二を撃ち落とせ。
これが第四試験、
精鋭機に対する対空砲火演習だ。
(名張)
……えっと……
……それって……
ぜ、全部成功したら……?
(新月)
あぁ。
褒美として、一緒に出かけてやろう。
安心しろ、死にはしない。
(名張)
……っ。
(名張・小声)
第一試験の夜戦、
第二試験の対戦艦戦、
第三試験の航空機波状攻撃……
……そのうえで、
これは…………
(名張)
……本気でございますか?
(新月)
あぁ。本気だ。
(名張)
正気でございますか?
(新月)
当たり前だ
(名張)
……。
(拳を握りしめる)
(名張)
……了解であります。
名張型重巡洋艦一番艦、名張。
第四試験、受領します。
(大淀)
……提督。
一応確認しますが、
この演習、
難易度設定が「実戦基準」を
超えています。
(新月)
当然だ。
実戦で守れなければ意味がない。
(大淀)
……名張さん。
(名張)
はい。
(大淀)
この試験、
「撃墜=完全破壊」ではありません。
近接弾・破片判定・回避不能状況
すべて含めて有効とします。
(名張)
……承知しました。
(菅野・無線)
いやぁ……
相手が名張とはいえ、
撃ち落とされる側になるのは
初めてだなぁ。
(新月・無線)
気を抜くなよ。
名張は本気だ。
(菅野・無線)
……ですよね。
(名張・内心)
(艦長殿……)
(これは……
名張を試しているだけじゃない……)
(名張)
(信頼に足る艦かどうか……
それを、
確かめている……)
(名張)
……名張、全砲門。
対空戦闘配置。
(名張)
目標、零戦五二型、紫電改二。
距離――詰めてきます……。
(名張・静かに)
……艦長殿。
この身、この艦。
必ず、応えます。
(新月・無線)
……見せてもらおう。
(山口)
……無茶をする。
(大淀)
ええ。
ですが――
提督なりの
最大級の期待表現です。
(金剛)
OH……
これはもう
告白より重いデース。
(飛龍)
……名張、
がんばりなさい。
(名張)
――撃て。
(対空砲火が、空を切り裂く)
(第四試験、開始)
第八戦 第四試験
(上空・演習空域)
(新月)
おっと……。
さすが20.3cm連装砲7基による三式弾だな。
……密度が、えげつない。
(菅野)
……あれ、
結構どころじゃない対空能力じゃないですか?
正直、重巡の域を超えてますよ。
(新月)
あぁ。
大和が沈んだ、あの航空波状攻撃を基にした想定でも
中破止まりでいなしている設計だ。
名張は……かなりの火力を持ってる。
(菅野)
ひえぇ……。
正面から突っ込む相手じゃないですね、あれ。
(新月)
まぁな。
だが――
(少し機体をひねりながら)
(新月)
この程度、
零戦五二型に1200kg航空魚雷を無理やり積んで
アイオワに雷撃した時よりは、まだマシだ。
(菅野)
…………。
(菅野)
……いや、
それ比較対象としておかしくないですか?
(新月)
何がだ?
(菅野)
全部です。
(新月)
安心しろ。
今回は零戦五二型が軽い。
(菅野)
……それで安心できるの、
世界で貴方だけですよ。
(新月)
頭がイカれてなかったら、
帝国海軍航空隊で
生き残れてないぞ?
(菅野)
……違いないですね。
(下方・名張)
(名張)
……来ます……。
高度、低下……進路、こちらを横断……。
(砲術妖精)
三式弾、装填用意!!
(名張・内心)
(艦長殿……)
(逃がしません……)
(名張)
対空砲、
予測点、修正角+2度――撃て!
(空が、白く裂ける)
(菅野)
うわっ……!
今の、完全に退路潰しに来てますよ!?
(新月)
あぁ。
……いい指揮だ。
(菅野)
……新月さん。
(新月)
ん?
(菅野)
これ、
演習ですよね?
(新月)
演習だ。
(菅野)
……実戦にしか見えないんですが。
(新月)
名張にとっては、
最初から――
実戦だ。
(菅野)
……なるほど。
(無線越し)
(名張)
……艦長殿。
まだ……終わりません。
(新月・小さく笑って)
あぁ。
それでこそだ。
(そして…………)
(演習終了後・洋上)
(新月)
……結果、対空用砲弾撃ち尽くし。
撃墜は無し。
……まぁ、仕方ない。相手は俺たちだ。
そう落ち込むな。
(名張)
…………。
(菅野)
いやぁ〜……
正直、危なかったっすよ。
あれ、実戦だったら何回か死んでます。
(新月)
だろうな。
……感覚的には、
アメリカ駆逐艦五隻分くらいの対空力だった。
(菅野)
……それ、
褒めてるんですか?
(新月)
褒めてる。
米帝の駆逐艦はな、
一隻一隻の防空能力が異様に高い。
(名張)
……っ。
(新月、名張を見る)
名張。
(名張)
は、はいっ!
(新月)
撃墜は出来なかった。
だが――
こちらの自由な攻撃線は完全に潰された。
それだけで十分だ。
(名張)
……で、では……
第四試験は……?
(新月)
合格だ。
(名張)
……!
(菅野)
そりゃそうですよ。
あれで不合格なら、
艦隊のほうが泣きますって。
(新月)
あぁ。
正直に言えば――
「近寄りたくない艦」だ。
(名張)
……っ。
……ありがとうございます……艦長殿。
(新月)
礼はいらん。
期待に応えただけだ。
(大淀・通信)
演習記録、すべて確認しました。
……提督。
(新月)
なんだ?
(大淀)
この対空密度、
理論値を超えています。
……名張さん、
相当な練度です。
(名張)
……光栄であります。
(金剛)
OH……
これはもう
正式にエース重巡デース。
(飛龍)
撃ち落とせなかったのに、
評価が上がるって……すごいわね。
(山口)
……防空とは、
「落とすこと」ではない。
「近づかせないこと」だ。
(名張)
……副司令……。
(山口)
見事だった。
(名張)
……っ!
は、はい!!
(菅野)
いやぁ……
榛名に続いて、
また厄介なのが増えましたね。
(新月)
安心しろ。
味方だ。
(菅野)
それが一番怖いんですよ。
(新月、ふっと笑って)
……約束だ。
(名張)
……?
(新月)
全部成功したら、
一緒に出かける、だったな。
(名張)
……!
(新月)
準備しておけ。
次の非番で行く。
(名張)
……っ!!
は、はい!!
名張、喜んでお供しますであります!!
(大淀・小声)
……また一人、
提督の無自覚被害者が
確定しましたね。
(金剛)
WELCOME TO THE CLUB デース。
(空には、
砲煙の名残だけが静かに漂っていた)
次戦、第九戦 『夜間訪問』