鳥羽鎮守府はなんとやら   作:新月ふわブイ司令官長

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どうも、新月ふわブイ司令官長です。
この作品を開いてくださりありがとうございます。そして前話に引き続きお読みくださっている方もありがとうございます。
ちなみに皆さんのところは雪大丈夫ですか?僕のところはかなりヤバかったです
それでは本編をお楽しみください〜…………


第十戦 其々の道、其々の恋路と無自覚二人 甲

 

(翌朝……………)

 

(名張)

艦長殿〜、艦長殿〜!!

(新月)

んん………やぁ、大淀、おはよう……

(名張)

………私は名張でありますよ……?

(新月)

………はにゃ?

(名張)

…寝ぼけてますか……艦長殿!!おはようございますであります!!!

(新月)

……あれ?名張?なんで名張が……

(名張)

今日は約束したお出かけの日であります!!ささっ、早く起きてください!!

(新月)

うむ、今起きる…………しかし…デートとなれば洒落たふくが着たいものだが………残念ながら俺は軍服しか持ち合わせてなくてな。

(名張)

で、デート…………デート!?!?///

 

(名張、完全に思考停止)

 

(名張)

………………。

(新月)

……どうした、名張。

艦橋直撃でも受けた顔だぞ。

(名張)

い、いえっ……!

その……

「で、でーと」という単語が……

えっと……

艦長殿の口から自然に出てきたもので……。

(新月)

昨日の褒美の件だが。

(名張)

……本気、でありますか。

(新月)

約束は守る主義だ。

それに、

あれだけ無茶な試験をやらせたんだ。

労いの一つも無ければ

指揮官失格だろう。

(名張)

…………。

 

(名張、耳まで赤くなる)

 

(名張)

そ、それは……

その……

光栄であります……が……!

(新月)

(名張)

で、ででで……

「お出かけ」は……

ど、どのような任務なのでありましょうか……!?

(新月)

任務?

 

(少し考えて)

 

(新月提督)

そうだな。

・非武装

・非公式

・時間制限なし

・敵性存在なし

……極めて珍しい作戦だ。

(名張)

……それはもう

作戦ではなく

平和そのものでは!?

(新月)

だから貴重なんだ。

 

(ベッドから起き上がり、軍服を整えながら)

 

(新月)

心配するな。

変なことはせん。

街を歩いて、

何か食べて、

少し話をするだけだ。

(名張)

……それだけ、でありますか?

(新月)

あぁ。

(名張)

…………。

 

(名張、胸元の制服をぎゅっと掴み)

 

(名張)

……で、では……

名張、

全力で随伴任務に当たらせていただきます……!!

(新月)

随伴でいいのか。

(名張)

……あっ。

(名張)

……い、いえ……

えっと……

そ、その……

え、えすこー……

い、いえ……!!

(新月)

……無理に言わんでいい。

 

(少しだけ口元を緩める)

 

(新月)

行こう。

今日は艦でも戦場でもない。

(名張)

……はい……!

 

(名張、少し遅れてついていきながら内心)

 

(名張・内心)

(昨日は対空砲火、

今日は街歩き……

落差が激しすぎであります……!)

 

(廊下の向こうから)

 

(大淀)

……あれ?

提督と名張、

その組み合わせ……

まさか。

(瑞鶴)

……あー。

はいはい、なるほどね。

(榛名・小声)

……名張さん、

頑張ってください……!

(名張)

!?!?

(名張・内心)

(――これ、

本当に“褒美”なのでありますか!?)

 

(朝の光の中、

重巡洋艦名張は

人生最大級の未知任務へ出撃するのであった)

 

(その頃食堂では………)

 

(飛龍)

えぇ〜なんでー!!

(山口)

そもそもなぜ私と外に出かけたがる

(飛龍)

だってー!!提督が名張さんとお出かけするんだよ〜!!私たちもしたいじゃない!!お願い多聞丸ー!!

(山口)

…騒がしくてならん。私は優雅に朝食を取りたいのだがね

(飛龍)

むー!!そんなこと言うだ多聞丸………なら……多聞丸が艦内で昔読んだポエム公開しちゃうもんね!!

(山口)

こら!やめなさい…

(飛龍)

嫌ならお出かけして!ね!?

(山口)

む、むむむ…………致し方ない……今日だけだぞ?

(食堂、一瞬の静寂)

 

(飛龍)

……え?

い、いま……

「致し方ない」って……?

(山口)

……言ったな。

撤回はせん。

(飛龍)

やったぁぁぁ!!

聞いた!?聞いた!?

今の聞いた!?

多聞丸が外出オッケーだって!!

(赤城・遠くから)

外出……?

それは間宮さん同行案件でしょうか。

(加賀)

……朝から騒がしいと思えば。

(山口)

君たちは関係ない。

これは――

静かな朝食を守るためのやむを得ない戦略的譲歩だ。

(飛龍)

はいはい、言い訳はいいから!

じゃあ決まりね!

非公式・非任務・非戦闘のお出かけデース!

(山口)

……なぜ君は金剛の影響を受けている。

(飛龍)

気分!

(翔鶴)

ふふ……

副司令も大変ですね。

(瑞鶴)

あっ、じゃあさ!

提督と名張さんが街行くなら

私たちもどこかで鉢合わせするかもね〜?

(山口)

……その必要はない。

(飛龍)

えー?

でもでも、

「偶然会っちゃった☆」とか

青春イベントっぽくない?

(山口)

戦艦同士の衝突並みに

面倒な偶然だな。

(飛龍)

ひどい!

 

(そこへ)

 

(大淀)

……あの、

今の話をまとめますと、

本日は

・新月司令長官と名張が外出

・山口副司令と飛龍さんも外出

という認識でよろしいでしょうか。

(山口)

……不本意ながら。

(飛龍)

やったね大淀!

じゃあ写真係お願い!

(山口)

却下だ。

(飛龍)

即答!?

(大淀)

……鎮守府内、

本日やけに非公式行動率が高いですね……。

(加賀)

平和、ということなのでしょう。

(赤城)

平和……

つまり……

外食……?

(加賀)

赤城さん、

落ち着いてください。

 

(山口、立ち上がりながら)

 

(山口)

……いいか飛龍。

約束は今日だけだ。

騒がない、走らない、

妙な爆弾発言をしない。

(飛龍)

はーい!

……たぶん!

(山口)

「たぶん」がつく時点で

不安しかない。

(飛龍)

大丈夫大丈夫!

名張さんよりは

おとなしくするから!

(山口)

比較対象が

重巡洋艦なのはどうなんだ。

 

(食堂の空気が、少しだけ柔らぐ)

 

(大淀・内心)

(……これは……

鎮守府史上、

かなり珍しい一日になりそうですね)

 

(その頃、街へ向かう二組の背後で、

何かが静かに動き始めているとは

まだ誰も知らなかった――)

 

(さらにその頃……)

 

(菅野)

へぇ〜……多聞丸と新月さんはお出かけねぇ〜…………

(大淀)

みたいですね……ほんと、司令官二人も外に出たら何か起きた時にどうするつもりなのやら…

(菅野)

どーせ俺が残ってるから大丈夫だとでも思ってるんだろうなぁ……まぁ、俺も今日は予定があって開けるんだがなぁ〜

(大淀)

……菅野大佐まで……ちなみに予定とは?

(菅野)

ん?榛名とすこし買い物にな

(大淀)

……この鎮守府の責任者はみんなデートしにいくんですか…………

(菅野)

デートではないだろ。

(大淀)

……どちらが誘いました?

(菅野)

ん?俺が誘ったぞ?

(大淀)

………これは今頃榛名さんおしゃれに気を使ってるでしょうね。

 

(金剛、物陰からひょこっと)

 

(金剛)

……Oh?

今の話、聞こえてしまったデース。

(大淀)

……やっぱり聞いてましたか。

(菅野)

おっと、金剛か。

(金剛)

菅野航空当直長は榛名とお買い物デースカ?

(菅野)

あぁ。

せっかくの週末だからな

(金剛)

…………

(じーっ)

(菅野)

……なんだ。

(金剛)

それはもう

完全に

デ・ー・ト

デース。

(菅野)

だから違うだろ。

(大淀)

……ちなみに、

目的地はどちらへ?

(菅野)

特に決まってはないぞ

(大淀)

……。

(金剛)

……。異性が2人っきりで出かけることをデートというんデース。

(菅野)

本人が「違う」って言ってるんだから違う。

(金剛)

本人が

鈍感なだけデース。

(菅野)

なんだと。

(金剛)

第一、榛名は――

提督殿の前だと

分かりやすく乙女になるネ。

(大淀)

……ええ、

今ごろ鏡の前で

「これ派手すぎませんか……?」

とか

「でも菅野さん、こういうの好きでしょうか……」

とか、

一人で悩んでいるはずです。

(菅野)

……そんなにか?

(大淀)

断言します。

(金剛)

Guarantee デース。

(菅野)

…………。

(菅野)

……まぁ、

楽しそうならいいか。

(大淀)

(ぴくっ)

……今、

「楽しそうなら」

と仰いました?

(菅野)

言ったが。

(金剛)

ほら出たネ。

無自覚好感度発言。

(菅野)

うるさい。

(金剛)

それにしても――

今日の鎮守府、

司令官二人に航空隊のエースまで

外出とは……

(大淀)

……非常時の想定、

完全に破綻していますね。

(菅野)

その場合は――

敵も今日は来ないだろ。

(大淀)

その根拠は?

(菅野)

勘だ。

(大淀)

……最悪ですね。

(金剛)

でも、たまにはいいデース。

(大淀)

……え?

(金剛)

戦い続けてる人ほど、

息抜きが必要ネ。

(大淀)

…………。

(大淀)

……では私は、留守番役として執務室に詰めます。

(金剛)

Good luck デース、大淀。

(菅野)

じゃ、俺もそろそろ行く。

(大淀)

……一応聞きますが。

(菅野)

ん?

(大淀)

榛名さんに

変なことは

言わないでくださいね。

(菅野)

……努力はする。

(金剛)

その返事が

一番怪しいデース。

 

(菅野、苦笑して立ち去る)

 

(大淀・小さくため息)

 

(大淀)

……本当に、

この鎮守府は

指揮官からして

問題児揃いですね……。

(金剛)

でも――

だからこそ

嫌いじゃない、デショ?

(大淀)

……否定はしません。

 

(遠くで、出撃ベルではなく

街へ向かう足音が重なっていった)

 




次戦、第一一戦 『其々の道、其々の恋路と無自覚二人 乙』
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