問題児たちとブリテンの王(100万分の1の候補)が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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いやー遅れてすみません!別に決して盗賊ちゃんへの愛が消えたわけではないですよ!?むしろここ二週間名声100目指してハッスルしてましたし!

え?結果?聞くなよ。

まあともあれ魔法ダメに補正かかるし少なからず名声ボーナスがある以上リーダーは卑弥呼様から盗賊ちゃんに早変わりなんですけどね。

……あ、デバフ先生は12月半ばに出ました。




盗賊は試された。

それから少し経過して、盗賊が十六夜に抱え込まれて黒ウサギと共に箱庭目指して爆走している頃。

 

「ところでアーサー」

 

「ふぇ?なんですか十六夜さん。急に。またさっきのわけわかんない質問ですか?なら嫌ですよ」

 

「いや、違う。俺もあんな噛み合わねえ問答はゴメンだ。俺が聞きたいのはお前のギフト……なんだあれ?剣っぽいのはわかるが、あの左手についてたヤツはなんなんだ?あれの中から出てきたカードからよくわからん男が出てきたように見えたぞ」

 

「あー……あれですか。んー……あれはですね。所謂騎士の力を使うためのモノです。あれの力をこれ……エクスカリバーを通じて私自身の力にしているんです。中には騎士を直接召喚するものもありますけどね」

 

「……へぇ。エクスカリバーねぇ」

 

「む、なんですかその言い方。確かに私は偶然偶々引き抜いただけですけど、これは正真正銘ホンモノですよ!」

 

「ああ、すまんすまん。どうも俺の思ってたエクスカリバーとは随分違ったからな。こういうのも中々面白ぇ」

 

十六夜の速度に慣れてしまったのと十六夜が盗賊と会話するため、黒ウサギに合わせるために手加減しているのも相まって二人はこの状況で普通に会話をしている。

 

「ってか十六夜さん。私女の子ですよ?なのに脇腹に抱えて走るってどーなんですか」

 

「ヤハハ。アーサー王はお姫様抱っこがご所望か?」

 

「それはお断りです。あと私まだ王じゃないですってば」

 

盗賊が風に揺られて少し息苦しそうだが、十六夜は御構い無しに走る。そして黒ウサギも二人の会話を静観していたが、やはり盗賊の発言から彼女が"アーサー王"であるということに驚愕していた。

 

(むむ。もしやこれは、私達大当たりを引いてしまったのでしょうか。盗賊様が本当にかのアーサー王であるならば神話の知名度からして受けられる箱庭からの恩恵はかなり大きい……それに、実力に関しても先ほどしっかりこの目で見ましたから……ですが、それ以上に驚きなのは……もし盗賊様がホンモノのアーサー王ならば、かの伝記の主人公は盗賊だということでございますか)

 

喜びとガッカリ感、そんな二つの感情が黒ウサギを押し付けてよくわかんない感覚にさせられた。

 

そんな三者三様の想いを受け取りながら、一同は黒ウサギの言う『待ち合わせ場所』へと向かうのだった。

 

◆◇◆

 

で、

 

「な、なんであの短時間に"フォレス・ガロ"のリーダーと接触してしかも喧嘩売る状況になったのですか!?」「しかもゲームの日取りは明日!?」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」「準備してる暇もお金もありません!」「一体どういう心算があってのことです!」「聞いているのですか三人とも!」

 

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」

 

「だまらっしゃい!」

 

例の待ち合わせ場所に着いてすぐ、どうやら飛鳥達も盗賊と十六夜が世界の果てまで行って来てた間に"フォレス・ガロ"というコミュニティから盗賊と十六夜が黒ウサギに問いただしたことの殆どを聞かされたようだ。

 

それに関してなら黒ウサギは焦りこそすれどもこう怒りもしないだろう。問題はその"フォレス・ガロ"に喧嘩を売って大特価セールでご購入なされたことだ。

 

「まあいいじゃねえか。なにも理由ナシに喧嘩売ったわけじゃねえんだし」

 

十六夜の言う理由とはその"フォレス・ガロ" のリーダーガルドが人質や脅し、即ち法外な手段を使ってこれまでのギフトゲームに勝ち続けたということ。

 

そんなこと、飛鳥の"格下に如何なる命令をも下せる"ギフトを使ったことで証拠を得た今、箱庭の上部に通報なりなんなりすればガルドと"フォレス・ガロ"にはそれなりの処罰が下されるのだろう。

 

だが飛鳥はその状況下で"ギフトゲームの提案をする"という選択肢を選んだ。

 

それは"コミュニティの誇り"をチップに、"フォレス・ガロ"側が勝利した暁には真実を告げることはしないという好条件。

 

そのギフトゲームを飲まざるを得なかったガルドはそれを()()。こうしてギフトゲームの取り決めは彼方側に一任するカタチで契約は締結された。

 

まあこれにはそもそも放っておけばいずれ上部に"フォレス・ガロ"の愚行が明かされるというファンサービス付きだが。

 

「まったくもって良くなどありません!大体十六夜さんは楽しければそれでいいのは先刻承知です!」

 

「……でもそんなド外道がいるような場所で暫くのうのうと生活しろって言う方が無理な話ですよ。私はアスカさんに賛成です」

 

「盗賊様まで……まあいいデス。腹立たしいのは黒ウサギも同じですし、なにより"フォレス・ガロ"程度なら十六夜さん一人いれば楽勝でしょう」

 

「何言ってんだよ。俺は参加しねえよ?」

 

「当たり前よ。貴方は元よりアーサーさんの参加なんてさせないわ」

 

十六夜と飛鳥の二人はフン、と鼻を鳴らす。黒ウサギはそれに慌てて食って掛かる。

 

「だ、駄目ですよ!三人様はコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと」

 

「はぁ……そういうことじゃねえよ黒ウサギ」

 

十六夜は真剣な表情で黒ウサギを制し、飛鳥に指を向ける。

 

「いいか?この喧嘩はコイツらが売った。そしてヤツらが買った。なのに俺達が手を出すのなんて無粋だって言ってるんだ」

 

「あら、わかってるじゃない」

 

「……もう好きにしてください」

 

「それには賛成ですけど、しれっと私のギフトゲーム参加の有無を勝手に可決しないで欲しいんですけど」

 

「盗賊は不憫な役回りだね」

 

十六夜と飛鳥がなにか共感したように顔を合わせあい、黒ウサギはもうどうにでもな〜れ、と魔法をかけるような顔を、盗賊は栗みたいな口をして文句を垂れて耀は盗賊に同情する。

 

兎角、今後の予定の一つは埋まっていった。

 

◆◇◆

 

そしてその後すぐ、どうやら四人のギフトの詳細を確かめるため、"ギフト鑑定"なるものをやるべく"サウザンドアイズ"という大手のコミュニティに行くそうだ。

 

途中の道で盗賊は見慣れない桜色の植物を見つけた。

 

「うわーお!みなさん見てくださいよ!なんですかあれ?あんなド派手な色した花があるなんて流石は箱庭ですねぇ!」

 

「……え?アーサーさん、桜を見たことがないの?」

 

「サクラ……?アスカさんこれ知ってるんですか?」

 

「え、ええ。でも変ね。カタチも変わっているし、なによりこんな真夏に桜が咲いてるなんて……」

 

「いや、まだ夏になったばかりだろ。気合の入った花の一つや二つ残ってても不思議じゃねえはずだが」

 

「……?今は秋頃だったはず」

 

「え?皆さんなに言ってるんですか、今はバレンタインの季節でしょ?当然私は作って渡すより食べてその分動く派ですが」

 

四人が四人、そもそも日本という場所にいないアーサーはともかくとして噛み合わない内容に四人は首を傾げる。その姿を見た黒ウサギは意気揚々と語りかける。

 

「皆様はそれぞれ違う時間軸から召喚されているのです。だから当然桜一つとっても生態系は大きく違いますし、呼び出された季節も違う……その最たる例が盗賊様なのですが」

 

「へぇ、パラレルワールドってヤツか」

 

「厳密には違いますが、だいたいはそんなところです。詳しくは"立体交差平行世界論"と言いますが……今ここで話すと余裕で日が暮れてしまいますので、今は説明ナシで」

 

黒ウサギがそう言って歩行を再開したと思ったらまた止まる。どうやら目的地についたようだ。そこで黒ウサギは"サウザンドアイズ"と取り次ぎをすると言うので取り敢えず盗賊は"円卓模型"を召喚し、ダメ元で連絡を取ろうとする。

 

「あー、あー……聞こえてますか?傭兵さん?歌姫さん、富豪さん……ウアサハー、オイフェさん、クーホリン、スカアハ?私、盗賊です。聞こえてるんなら返事もらえませんかねぇー……ダメか。この箱庭が黒ウサギさんの言う通りのモノなら通信なんてできないのは当然……いや、そもそも私達の"円卓模型"の通信機能はヘヴリディーズのスパコンあってこそだから、その恩恵を得られないであろうここじゃ到底会話は無理ですか……」

 

ならば暫くの間はここに厄介になるしかない、そもそもここの一仕事を終わらせるまで"王"の一人たる自分が放棄するとなると騎士達に顔が立たない。

 

「仕方ありませんか。できることならヘヴリディーズから情報だけでも支援が欲しかったんですが……我儘は言ってられないです」

 

盗賊が溜息をついて"円卓模型"を消したまさにその時だ。

 

「いぃぃぃいいやほぉおおおう!!久しぶりだ黒ウサギいいいい!!」

 

「きゃあああああ!」

 

「のわっ、何事!?」

 

盗賊が思わず声のした方向へと振り返ると、そこには和服を来た幼女が黒ウサギに抱きつきながらまとめて水路に突入していくという珍妙この上ない光景だった。

 

「し、白夜叉様!?どうして貴女がこんな下層に!?」

 

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしたからのぅ!ほれ!ここがよいか!ここがよいかぁ〜!」

 

「……え〜、とカスカベさん」

 

「なに?アーサー」

 

「なんのタイムセールの商品と夫人ですかこれは」

 

「アーサーって本当にアーサーなの?なんでそんなこと知ってるのか気になる」

 

「ああ、いえそうでなくて。なにがあったんですか?」

 

「店員に問い合わせてたらアレが出てきたああなった」

 

「アッ、ハイ」

 

盗賊はそれ以上問うのをやめた。

 

その後、黒ウサギが少女を投げつけ十六夜が足で受け止めるなど問題のシーンは多数あったが、まあ問題はなかった。

 

「もうっ……いい加減にしてください!」

 

黒ウサギはとうとう白夜叉と呼ばれた少女の頭を鷲掴みにし、足を思い切り天まで上げ、瞳を燃やし、全力投球。白夜叉はパッ、と消えた。

 

そして十六夜は無造作に足を振ると、そこに現れた白夜叉がさらにぶっ飛ばされる。

 

「ふごぁ!?」

 

「うわっ、ただでさえ今日は濡れてるのにこっち来ないでください」

 

「モルスァ!?」

 

そして盗賊の方向に飛んで行った白夜叉は盗賊の"円卓模型"で叩き落される。仮にもかなりの強度の金属でできている"円卓模型"でぶん殴られた白夜叉は地面に思い切り埋まった。

 

「ひでぇなアーサー」

 

「パス回してきた十六夜さんには言われたくないですよ」

 

二人は互いに嫌味を言い合いながら叩き落した白夜叉に目を向ける。

 

「お、おんしら!この美少女白夜叉様を足蹴にした挙句ちょー痛い金属板でぶっ叩くとは何様だ!?」

 

「十六夜様だぜ和装ロリ」

 

「しがない盗賊でーす」

 

誰も自分で美少女呼びしたことに突っ込まないので、飛鳥は白夜叉に向けて質問をする。

 

「それで、貴女もこの店の人なの?」

 

「おお、そうだとも。わしがこの"サウザンドアイズ"のオーナー、白夜叉だ」

 

「幹部?こんなに小さいのに?」

 

「アスカさん、見た目と年齢は必ずしも一致しないものなんですよ。年齢不詳なんてステータスがあればなんとでもなるんです」

 

「ふはは!そうだとも短パンパーカーの金属板少女よ!確かに私は見た目不相応の年齢だとも!」

 

「金属板少女はやめてください」

 

白夜叉と盗賊は息を吐くように会話の応酬を繰り広げる。

 

「して、黒ウサギよ。今日は何用だ?」

 

「そ、そうです!今回ここに来たのは御四人様のギフトを鑑定していただきたいのです!」

 

「ギフトの鑑定〜?それはここの管轄外なのだがなぁ。まあ黒ウサギの頼みだ。仕方あるまい、店内に案内しよう。付いて来い」

 

「オーナー、"名無し"は入店禁止では」

 

「よい。私が許可する。ボスに追求されても責任は私が請け負うさ」

 

すぐそばにいた店員は少しむっとした表情をつくる。まあ彼女は彼女で色々あるのだろう。

 

「さぁ、付いて来い」

 

◆◇◆

 

「では改めて、私は白夜叉。ここのコミュニティ"サウザンドアイズ"のオーナーを務め、黒ウサギの世話もしておる」

 

「はいはい大変お世話になってますとも」

 

白夜叉の何気ない意味深な発言を黒ウサギはサラッと流す。恐らく手慣れていることなのだろう。

 

「へえ、じゃあ白夜叉さんはここのオーナーってことはそれはもう、相当強いってことなんですかね?」

 

「ああ強いとも。私は東側の階層支配者(フロアマスター)。四桁以下のコミュニティでは並び立つ者などいない東側最強の主催者(ホスト)だからな」

 

「……そう。それじゃあ貴女を倒せば私達が東側最強ということね?」

 

「まあ、そうなるの」

 

盗賊の質問に答えた白夜叉に追撃をかけるように飛鳥が問う。白夜叉はそれを肯定すると、問題児三人の瞳の色は一気に変わる。

 

「へえ、そりゃあいいな。手っ取り早くて助かるぜ」

 

十六夜が腕をパキパキ鳴らし、飛鳥と耀は静かに白夜叉を見据える。一方の盗賊は四人の間に割り込むことなくげんなりとした表情をする。

 

「ちょ、皆様何を言ってらっしゃるのですか!白夜叉様も!」

 

「よいよい。私は常に"挑戦者"には飢えているところだ」

 

黒ウサギの制止を白夜叉本人が止める。四人とも目は完全に笑っており、こんな状況でもお気楽ムードな盗賊に凄まじい場違い感を覚える。

 

「話が早えじゃねえか。それじゃさっさと始めようぜ」

 

「まあ待て、慌てるでない。そこの女子はどうする?」

 

「私パスで。ただでさえ今日は主に十六夜さんのせいで疲れてるのに"暫定"最強の白夜叉さんの相手なんかしたくないですよ」

 

「ほう、そうかそうか。……だがその暫定という言葉は少し気に食わんな。それでは小娘含め四人に問おう。お主らが私に対して言うギフトゲームとは……試練への"挑戦"か?それとも、対等な"決闘"か?」

 

瞬間、四人の視界は劇的に変化した。

 

目を開くとそこは先程の和室の趣は一切消え、辺り一帯に広がる白の世界。太陽は水平に巡り、その世界は山岳に囲まれ、さながら"白夜"の世界であった。

 

「これが、私の保有するゲーム盤。その一つだ」

 

「嘘……こんなに広い世界が全部ゲーム盤!?」

 

白夜叉の言葉でこの世界がギフトゲームだけのために存在するゲーム盤……そのうちの一つであることに驚愕の声を挙げる。それに満悦の表情を浮かべた白夜叉は今一度同じ問答を始める。

 

「そして私は太陽と白夜の星霊……"白き夜の魔王"──白夜叉。お主らがこの私に挑んでいるのは"挑戦"か?それとも、"決闘"か?」

 

四人は同時に声を失った。星霊とは惑星級以上の星に存在する精霊の総称で、惑星の力を宿しているといってもいい。しかもそれに"魔王"というオマケつき。

 

どう考えてもスケールが違いすぎる。

 

「……やられた。降参だ……今回は黙ってアンタに試されてやるよ」

 

「ふむ、では試練を受ける、ということでよいか?」

 

「ああ、それでいいさ」

 

「そうか、して、残る三人はどうする?」

 

「ええ、私も試されてあげてもいいわ」

 

「右に同じく」

 

「私はもぉどっちでも。挑戦にしろ決闘にしろ。もしくはこのままなにもしないでも……と言いたいところでしたが、こんなの見せられたら血が騒ぎますよ。アンタのその挑戦、かっぱらって勝利をいただきます」

 

「ほう?お主もヤル気と?」

 

「そうとってもらって構いません」

 

盗賊が自信有り気にそう言うと、五人に入るように黒ウサギが割ってくる。

 

「もう!皆様ご勝手はやめてください!それに白夜叉様が魔王だったのは昔のことではございませんか!」

 

「へぇ、元・魔王様ってことか?」

 

「さぁて、どうだったか。それでは試練を始めようか……小娘、おんしには特別に別コースでの」

 

「……へ?」

 

思わず盗賊はその首を傾げたのだった。

 

 




いやー、それにしても牛木先生の華恋型盗賊ちゃんすっげぇ可愛かったですねぇ!即フォルダ行き余裕でしたよええ。

さーて、あとカード化されてないのは富豪さんか。属性は火か闇なんでしょうけど……あれってどのカードもその元のキャラが比較的得意としてる属性っぽいイメージがある以上富豪さんのカードレパートリー的にどっちが来てもおかしくないんですよねぇ。僕闇にワンチャンで。傭兵使えないけど。

そして解放された四章。なんというか、クーホリン達はとても不器用なんですね。友への手向けがあんまりにも哀しくて……だからこそ四人はようやくスタートラインに立てて、かつ歌姫さんにも見せ場が来たというわけで(オイ

さあ、次は富豪さんだ……
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