USJでの死闘から数日が過ぎたある日、
「ねぇ梅雨ちゃん相澤先生の変わりって誰が来るんだろう」
(あの怪我…………私なら無理にでも出撃してましたね)
と考えていたら
「「「「相澤先生復帰ハエェーー!!?」」」」
と私と同じ考えだったようだ
他の生徒達が色々話してたら
「雄英体育祭が迫ってる」
(……たいいくさい?)
聞き慣れない言葉に、私は首を傾げました。私の辞書にある『祭』とは、出撃前の景気づけや、勝利後の祝宴といった血生臭いものばかり。
としてたら
「「「「クソ学校ぽいのキターーー!!!」」」」
(また叫んでる)
みんながまた叫んだ後。耳郎さんや尾白さんが色々意見する中、相澤先生は淡々と、それがヒーロー社会における「力の証明」であることを説明しました。かつてのオリンピックに代わり、今や日本中が熱狂する一大行事。プロヒーローたちがスカウトのために目を光らせる、一生を左右する舞台。
「……体育、祭。……スカウト」
私は自分の手首にある黒いリストバンドを見つめました。
公安との司法取引により、私の身分は「特別監視対象」です。そんな私が、大勢の観衆やプロヒーローの前に姿を晒して、一体何を証明すればいいのでしょうか。
「八木さん! 体育祭、楽しみやね!」
昼休み、お茶子ちゃんが目を輝かせて話しかけてくれました。
「……麗日さん。私は……参加しても、いいのでしょうか。私の力は、人を……その、競技に向いているとは思えません」
「何を言ってるんだい、八木さん! 君の個性はあんなに凄まじいんだ。きっとプロたちも驚くよ!」
デクくんもノートを広げながら興奮気味に言います。
クラス中が「勝って名を上げる」という熱気に包まれる中、私だけが、まるでエンジンの掛からない旧式の船のように、その熱量に置いていかれていました。
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その日の放課後。
マンションに帰ると、八木さんがキッチンでエプロン姿で立っていました。
「おかえり、朱奈。……聞いたよ、体育祭のこと」
「おじ様……」
私はカバンを置き、俯いたまま切り出しました。
「私は……怖いです。あんな大勢の前で艤装を出して、もしまた、USJの時のように……加減を間違えてしまったら。それに、公安の人たちもきっと見ています」
八木さんは、細い手で私の頭を優しく撫でました。
「朱奈。君が怖がるのは、君の中に『優しさ』が育っている証拠だ。兵器だった頃の君なら、躊躇いもしなかっただろう?」
「……」
「公安は確かに君を監視している。だが、彼らに見せつけてやるんだ。君はもう、彼らが管理するだけの『07』ではない。自分の意志で、人を守るために力を振るえる『一人の人間』なんだということをね」
八木さんの深い青色の瞳には、迷いのない信頼が宿っていました。
「……おじ様は、見ていてくれますか?」
「ああ。特等席で、誰よりも君を応援しているよ。……平和の象徴としてではなく、君の家族としてね」
胸の奥が、ジンと熱くなりました。
不思議です。あんなに恐ろしかったはずの行事が、おじ様の言葉ひとつで、少しだけ「挑んでみたい」ものに変わっていく。
(私は、八木朱奈。……おじ様の名に、恥じない戦いをしなければ)
その覚悟をした私はゆっくり布団で寝ました
そうして本番まで近づきました
新章体育祭&インターン編
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