筆記試験を終え実技試験本番の日
「えっと⋯⋯⋯⋯何故こんなに先生方が⋯⋯」
私は疑問が浮かぶ、そして同時に嫌な予感がよぎる
相澤先生のマフラー?から出できた校長の話を聞いて
「内容の変更です⋯⋯先生との戦闘ですか」
少し心がざわつく
(先生との戦闘⋯⋯⋯相手はプロ⋯⋯しかも教員ができるということは手腕は十分⋯⋯つまり)
「1筋縄ではいきませんね」
私のつぶやきに芦戸さんと上鳴さんが絶望の顔をする中
「朱奈ちゃんが⋯⋯そんなに?」
芦戸さんの言葉に、私は少しだけ考えてから答えました
「はい。かなり」
「即答!?」
「だって先生だよ!? プロヒーローだよ!? 無理じゃん!!」
上鳴さんが頭を抱えます。
私は静かに頷きました。
「まず前提として、先生方は私達の個性を全員把握しています」
「うん」
「戦闘経験は比較になりません」
「うん……」
「そして何より」
私は職員席に並ぶ教師達へ視線を向けました。
「全員が本気で人を守る仕事をしている方々です」
その言葉に二人は少し黙りました。
私自身、戦場経験なら先生達より長いかもしれない。
けれどそれは違う。
私が知るのは壊す戦い。
先生達が知るのは守る戦いだ。
その差は想像以上に大きい。
「例えば相澤先生」
「あー無理」
上鳴さんが即答した。
「個性を消されます」
「終わった」
「ミッドナイト先生は催眠系の個性ですし、プレゼント・マイク先生は広範囲攻撃」
私は一人ずつ分析していく。
もはや職業病だった。
「セメントス先生は地形そのものを支配できます」
「地獄じゃん」
「エクトプラズム先生は数で押してきます」
「もっと地獄じゃん」
「オールマイトの場合は」
私は少し言葉を止めた。
「……逃げましょう」
「「朱ちゃん/朱奈が言うんかい!!」」
二人のツッコミが綺麗に重なった。
そんな時だった。
「おい」
聞き覚えのある声。
振り向くと爆豪くんが立っていた。
「テメェは誰と当たると思う?」
「予想ですか?」
「あぁ」
私は少し考える。
「爆豪くんなら近接戦闘に強い先生でしょうか」
「チッ」
爆豪くんは不満そうに舌打ちした。
「テメェは」
今度は私へ向けられる視線。
「お前は誰でも勝てそうなんだよな」
その言葉に周囲が少し静かになった。
私は首を横に振る。
「そんなことはありません」
むしろ逆だ。
私の個性は巨大で派手だ。
だからこそ対策もされやすい。
航空機。
大型装甲。
高火力。
どれも分かりやすい。
「先生方は私のデータを持っています」
体育祭。
戦闘訓練。
職場体験。
全て見られている。
「今の私は、敵から見れば非常に対策しやすい兵器です」
「兵器じゃないよ」
不意に聞こえた声。
振り向くと緑谷くんだった。
「八木さんはヒーローだよ」
真っ直ぐな言葉。
私は少しだけ目を見開いた。
そして、
「……ありがとうございます」
小さく頭を下げた。
その時。
『それでは実技試験の組み合わせを発表する』
校長先生の声が響く。
大型モニターに次々と名前が表示されていく。
「うわぁぁぁ!!」
「終わったぁぁ!!」
「あっ」
あちこちで悲鳴が上がる。
私は静かにモニターを見る。
そして。
【八木朱奈 VS スナイプ】
その文字を見た瞬間。
「……スナイプ先生」
思わず呟いた。
公安の資料で見たことがある。
雄英高校の射撃教官。
個性『ホーミング』。
目視した対象へ放った弾丸を自在に曲げる。
命中率は異常。
回避困難。
そして。
「遠距離特化……」
私の思考が高速回転を始める。
真正面から戦えば不利。
上空を取れば撃ち落とされる。
航空機も狙撃される可能性が高い。
だが。
(逆に言えば)
私の口元が僅かに動いた。
(視界さえ遮ればいい)
レーダー。
煙幕。
囮。
偽装機。
戦術はある。
「八木さん?」
心配そうに見てくるお茶子さん。
私は静かに頷いた。
「大丈夫です」
そしてモニターを見つめる。
「相手が先生でも」
かつて戦場で生き残るために学んだことがある。
それは。
『狙撃手と戦う方法』だ。
「全力で、突破します」
その赤い瞳には、不安よりも先に戦術を組み立てる冷静な光が宿っていた。
そして試験開始まで、あと僅かだった。
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