夕日が沈み、病室が夜の静寂に包まれる頃。
私に「名前」をくれた八木さんは、いつもの穏やかな笑顔を崩さないまま部屋を後にしました。
でも、その背中が扉の向こうへ消えた瞬間、彼が纏っていた空気が少し変わったのを私は敏感に察知していました。
(……八木さん、どこへ行くんだろう)
私は、拘束具の跡が残る手首をそっとさすりました。
今の私に許されているのは、この白い部屋で呼吸をすることだけ。
外の世界では、私はもう……
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数刻後、ヒーロー公安委員会の本部。
重苦しい空気の漂う会議室で、八木俊典――オールマイトは、数人の役員たちと対峙していた。
「正気ですか、オールマイト」
冷徹な声が響く。
モニターに映し出されているのは、彼女……朱奈が破壊した沿岸都市やその他の彼女が関わったであろう施設の惨状。と朱奈の個性の「航空母艦」のスペックデータ。
「彼女――07は、単なるヴィランではない。特定の組織によって磨き上げられた、対艦・対地用の『生体兵器』だ。」
「個性『航空母艦』
一般認識の航空母艦とほぼ同じ事が出来る、専用航空機を複数機内蔵発艦可能である、武装の威力は史実の武装と同じ威力まで拡大可能……それでいて水上をスケートのように滑ることが可能、まさに兵器だな」
オールマイトは奥歯をきしませてる
「推測だが彼女の活動はおよそ5年前から始まって今まで死者はおよそ1500人を超え、損害額は国家予算レベル。本来なら、一生光の差さないタルタロスに送られるべき存在だ」
「……彼女には、朱奈という名があります」
オールマイトは、低く、重みのある声で遮りました。
その瞳には、平和の象徴としての強い意志が宿っていた。
「彼女は自らの意志で人を傷つけたのではない。そう教育され、道具として使われてきただけだ。心を持たぬ兵器として。……だが、私は見た。戦いの中で、彼女が自分自身の行為に、無意識に心を震わせていたのを」
「感情の有無など、司法の前では無意味だ」
「無意味ではありません! 彼女はまだ14歳だ。更生の余地がある。……いや、我々ヒーローには、その手を引く義務があるはずだ」
公安の役員の一人が、鼻で笑いました。
「更生? あの火力を野に放つというのか? 公安としては、彼女を『管理下』に置き、その個性を国防のために再利用するのが最も合理的だと判断している。名前を与えて人間に戻すなど、リスクが大きすぎる」
「再利用……また、彼女を道具にするというのですか」
八木さんの拳が、ミシミシと音を立てて握りしめられました。
「私が彼女を預かる。……私の母校、雄英高校で。徹底した監視と教育の下、彼女に『力の使い方』を教えたい。人を壊すためではなく、守るために」
会議室に沈黙が流れます。
オールマイトという「象徴」からの、異例とも言える提案。
公安側としても、彼のメンツを完全に潰すわけにはいきません。しかし、世論がそれを許すはずもない。
「……条件があります、オールマイト」
やがて、公安の最高責任者が口を開きました。
「彼女の身元は一切秘匿すること。そして、彼女が一度でもその力を私欲、あるいは破壊に転用したと見なされた場合、即座に射殺許可を出す。また、彼女の首には『個性因子抑制装置』……つまり、遠隔操作可能な個性を止めるリストバンドを装着させてもらう」
八木さんの表情が、苦痛に歪みました。
でも、彼は真っ直ぐに役員を見据えました。
「……分かりました。その条件で、彼女の『未来』を私に預けてほしい」
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数日後。
病室に現れた八木さんは、少し疲れた顔をしていましたが、それでも最高の笑顔を私に向けてくれました。
「朱奈。……君に、話があるんだ」
私はベッドの上で居住まいを正しました。
八木さんの口から語られたのは、想像もしていなかった物語。
「学校……ですか?」
「あぁ。ヒーローを育てる場所だ。……君が犯した罪は、消えることはない。一生、その重さを背負って生きていくことになるだろう。でもね、朱奈。その力を、誰かの涙を拭うために使う道もあるんだ」
ヒーロー。
私から最も遠い場所にいる人たち。
私を壊そうとし、そして――私を救い上げた、眩しい存在。
「私に……そんな資格、あるんでしょうか。私は、壊すことしか知らないのに」
「資格は、これから君が作っていくんだよ。……怖いかい?」
私は自分の胸に手を当てました。
ドクン、ドクンと、静かな部屋に心音が響きます。
怖い。
外の世界に出るのが、自分の力と向き合うのが、恐ろしくてたまらない。
でも。
「……八木さんが、見ていてくれるなら」
私は、彼の青色の瞳を見つめ返しました。
「私は……知りたいです。この個性が、誰かを守るための………盾になれるのかどうか。……行ってみたいです。その、ヒーローの学校へ」
八木さんは、大きく頷きました。
「あぁ。一緒に行こう。……君の新しい航海だ、朱奈」
窓の外には、どこまでも続く海が見えました。
かつての戦場。
でも、今日見る海は、不思議と少しだけ、穏やかに見えました。
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「彼女を失うどころか平和の象徴に渡るとは」
「も、申し訳ありません」
そこにいたのは彼女朱奈がマスターと呼んでた科学者と
「せっかく
僕が直前手を貸したのに」
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