鋼鉄艦船のヒーローアカデミア   作:朱鶴

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USJと過去の記憶

授業が始まって数週間。私は「八木朱奈」としての生活に、少しずつ慣れ始めていました。

お茶子ちゃんに教えてもらった「おにぎり」の味や、八百万さんに教わった「ノートのまとめ方」。戦場にはなかった色彩が、私のモノクロだった世界を塗り替えていく。

 

けれど、その平穏は唐突に、そして暴力的に破られました。

 

---

 

レスキュー訓練:USJ(ウソの災害や事故ルーム)

 

 

 

(…………異常なし。周辺警戒、継続)

 

私は、広大な訓練施設「USJ」の入り口で、無意識に索敵(センサー)を広げていました。手首のリストバンドの制限は現在相澤先生により限定解除されてます

 

「八木さん、顔が少し怖いよ? 大丈夫?」

 

緑谷くんが心配そうに声をかけてくれた、その瞬間。

広場の中央に、泥のような黒い渦が巻きました。

 

「……! 敵(ヴィラン)です!」

 

私の叫びと、相澤先生の「伏せろ!」という声が重なります。

渦の中から現れたのは、無数の悪意。そして、その中心に立つ、全身に「手」を纏った男。

 

「平和の象徴……オールマイトはいないのか。せっかく『脳無(のうむ)』を連れてきてあげたのに」

 

相澤先生が一人で敵群に飛び込む中、私たちは黒い霧によってバラバラに分断されました。

 

---

 

 

土砂ゾーン:朱奈、轟、葉隠

 

「……状況確認。敵勢力、多数。包囲されています」

 

私は着地と同時に、背後の空を睨みました。

隣には、あの左右の髪色が違う少年、轟くん。そして透明人間の葉隠さん。

 

「八木、お前は下がってろ。ここは俺がやる」

 

「わかりました葉隠さん!」

 

私はレーダーで7時方向にいた葉隠さんに声をかけた時に轟くんが氷結を放とうとしましたしかし、岩陰から巨大な異形型のヴィランが躍り出ました。

 

「ガハハ! 雄英のガキ共が、死ねえ!」

 

「危ない!」

 

轟くんの氷結が間に合わない。その質量が彼らを押し潰そうとした時、私の身体が思考より先に動いていました。

 

(仕方ありません!)

 

「艤装、展開……! エアポート、独立防御形態!」

 

重厚な金属音が響き、私の右側に巨大な飛行甲板ユニットが出現。アームから切り離された装甲板が、轟くんたちの前で盾(シールド)として地面に突き刺さりました。

 

ドォォォォン!

 

凄まじい衝撃。けれど、私の盾はビクリともしません。

 

「……チッ、なんだこの硬さは!?」

 

「……許可なく、私の仲間に触れることは認められません」

 

私の声から、感情が消えていました。

瞳の奥に、かつての「07」の冷徹な光が宿ります。

 

「八木さん、その装備……!」

「葉隠さん、轟さん、二人は自身の身を。ここは私が抑えます」

 

私はエアポートの裏側から、弓型の武器**「空天穹」**を引き抜きそして腰からのアームにエアポートを再接続。

 

「艦載機、発艦。目標、包囲網の無力化」

 

甲板から、数十機のステルス型小型機が射出されます。それらは精密な機銃掃射で、ヴィランたちの武器だけを正確に弾き飛ばしていきました。

 

「……お前、その力」

轟くんが、驚愕の表情で私を見ます。

「それだけの出力、並みの学生が出せるもんじゃない。……お前、本当は何者だ?」

 

「……私は、貴方と同じ学生です、それ以外に、答えることはありません」

 

私は彼に背を向け、ヴィラン達を格闘や航空機で無力化していきます

 

(マスターの声が……聞こえる気がする)

 

『壊せ、07。それがお前の、唯一の存在理由だ』

 

脳内にノイズが走ります。

私の心が揺れる…………過去に引っ張られる

 

(違う。私は……誰かの『盾』になると決めたんだ。八木さんがくれた、この名前で)

 

暫くして私がこのエリアのヴィラン達を全て無力化させると

 

「轟くん、葉隠さん。ここで救助を待ってください。私は……先生を助けに行きます」

 

私は目標地点に移動を開始しました。

かつて海を焼き尽くしたその速度で、今度は、大切な場所を守るために。

 

しかしそこで見たのは

 

先程ヴィランが脳無と呼んでいた怪物により地面に顔を打ち付けられる相澤先生と

 

蛙吹さんに手を伸ばすヴィラン

 

その瞬間私の中であの光景を

 

 

あの匂いを感じました

 

その瞬間私は

 

 

威力を解除した弓で

 

蛙吹さんに手を伸ばすヴィランの膝から先を消し飛ばしてました

 

 

 

「――ッ、あ?」

 

目の前の「手」を纏った男が、信じられないものを見たという風に、虚空を見つめました。

彼の指先が蛙吹さんに触れる寸前、私の放った高出力のエネルギー矢が、その脚部を正確に、そして冷酷に削り取っていたのです。

 

「――ッ、あ? ああああああああああ!!!

 

死柄木弔の絶叫が、USJの喧騒を切り裂きました。

私の放ったエネルギー矢は、彼の膝から下を文字通り「消失」させていました。かつての戦場なら、これは単なる「四肢の欠損による戦闘不能確認」で終わる光景。

 

でも、ここは学校です。

お茶子ちゃんが笑い、デクくんが夢を語る場所。

 

「あ、朱奈ちゃん……?」

 

蛙吹さんの震える声が、私の鼓動を跳ね上げました。

彼女の目に映っているのは、助けてくれたヒーローではない。

迷いなく敵の肉体を削り取った、冷徹な「兵器」の横顔。

 

「……ッ、ぐ、あ……ッ!! なんだよ、これ……!!」

 

死柄木は地面をのたうち回り、欠損した足を押さえながら、憎悪に満ちた目で私を睨みつけました。今の彼は、まだ完成された「悪の支配者」ではない。ただの、思い通りにいかない現実に激昂する子供のような危うさを持っていました。

 

「ずるい……ずるいだろ、こんなの……!! なんで、ヒーロー候補がそんな……そんな殺すための攻撃をしてくるんだよ!! おかしいだろ!! クソゲーだ……クソゲーすぎる!!」

 

彼は地面を爪が剥がれるほどに掻きむしり、子供のように喚き散らしました。

 

「黒霧!! こいつを殺せ!! 今すぐ殺せ!! 脳無!! なに突っ立ってるんだ、そいつをバラバラにして……僕と同じ目に遭わせろ!!!」

 

叫びと共に、相澤先生を抑えていた黒い怪物――脳無が、音を置き去りにして私の目前へ肉薄しました。

 

(――ッ! 艤装、最大出力!)

 

「エアポート、独立防御形態!!」

 

咄嗟に展開した盾。しかし、先程のヴィランとは比較にならない衝撃が腕を伝います。

 

ギギギィィィッ!!

 

金属が軋む嫌な音。350kgあるはずの私の体が、じりじりと後退させられる。

脳無の拳が、私の盾を、そして私の「心」を叩き割ろうとしていました。

 

『そうだ、07。もっと激しく抗え。その憎悪こそがお前の燃料だ』

 

脳内に響くマスターの声。

手首のリストバンドが、過剰な個性使用を検知して激しく赤く明滅し、肌を焼くような警告を与えます。

 

「私は……壊したくない……!」

 

「嘘をつくな!!」

 

死柄木の怒声が響きます。

 

「お前はさっき、僕を壊してスッキリした顔をしてたじゃないか!! ヒーローの面(つら)して、中身は僕らと同じ人殺しだ!! 認めろよ、お前はこっち側の人間だ!!」

 

その言葉が、私の思考を白く染めました。

そうだ。私は、躊躇わなかった。

彼が蛙吹さんに触れようとした瞬間、私の脳が導き出したのは「救助」ではなく「対象の破壊」だった。

 

(私は……やっぱり……)

 

力が抜けた一瞬の隙を、脳無は見逃しませんでした。

シールドを粉砕せんばかりの追撃。私は受け流しきれず、そのまま後方の噴水へと吹き飛ばされました。

 

「カハッ……ごほっ……!」

 

水面に朱色の髪が広がる。

肺の空気が押し出され、視界がチカチカと点滅する。

死柄木は、黒霧に支えられながら、狂ったような笑顔で私を見下ろしていました。

 

「終わりだ……。さよなら、出来損ないのヒーロー」

 

脳無が、トドメを刺すべく腕を振り上げたその時。

 

私が、来た!!

 

凄まじい風圧と共に、USJの扉が消し飛びました。

そこに立っていたのは、あの日私を倒した……………。

 

 

「オール…………マイト」

 

全盛期の光を纏い、怒りで周囲の空気を震わせる「平和の象徴」。

オールマイト。

 

彼は瞬時に私と脳無の間に割り込み、その拳を正面から受け止めました。

そして、水の中に倒れる私を一瞬だけ見やり、低く、でも温かい声で告げたのです。

 

「朱奈……よく耐えた。怖かったろう。……あとの責任は、全て私が持つ。君は、もう休みなさい」

 

「その呼び方…………おじ……さま?」 

 

 

 

私は、彼の大きな背中を見つめながら、意識を闇へ手放しました。

 

 

 

 




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