破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》 作:kiakia
そろそろ映画本編に移りたいのに描くべきことが多い…。
戦艦ミレニアムのブリーフィング・ルームにて、最新鋭艦の処女航海はいきなりの実戦投入だ。独特の緊張感が漂う中、俺はホログラム・ディスプレイの前に立ち、集まった面々を見渡した。
「諸君、いよいよ『ミレニアム』の初陣だ。だが、相手は小綺麗な軍隊じゃない。そして極めて厄介な連中だ。いやカスのテロリスト共の中でもある意味さらにタチが悪いかもな」
俺はディスプレイを操作し、ターゲットとなる地域のマップを表示させる。
「今回の任務は、地上で蜂起したテロリスト集団の駆逐だ。連中の目的は大洋州連合の難民キャンプ撲滅。現在、キャンプ周辺に戦力が集中しており、我々の目的はその大元であるトレーラー基地を完全に叩き潰すことにある」
大洋州連合――。旧オーストラリア周辺を中心にした国家で、プラントの技術を積極的に導入し、コーディネイターを労働力として受け入れることで、驚異的な労働生産性と国際競争力を叩き出している。
正直、俺からすれば理事国でもないのだからプラントに接近するのは悪くない選択だと思うが、それがロゴス崩壊後もくすぶり続ける反コーディネイター感情に火をつけた。
「相手は恐らくミケール大佐の息がかかっていない、いわば野良のテロリストだ。故に、軍隊のような組織的な動きは期待できない。純粋なヘイトによって突き動かされている、予測不可能な連中だ。難民相手に何を仕でかすか分からんからな」
ナチュラルとコーディネイターの確執は、戦後もかなりのものだ。ロゴスという「絶対悪」がいなくなれば平和になるかと思いきや、現実は残酷だ。
絶対悪という重石が取れた結果、行き場を失ったヘイトが拡散し、より質の悪い、制御不能な火種となって世界中にばら撒かれただけだった。
「今回はミレニアム単艦での出撃となる。MS部隊はザフトから出向してきた連中を中心にする。キラ、シン、アグネスの三名。諸君らは隊長のハイネ・ヴェステンフルス中佐の指揮下に入れ」
俺はあえて、前線最強のパイロットであるキラへと視線を向けた。アークエンジェル隊の皆の元を離れて不安じゃないかとも思ったが、当の本人は意外なほどリラックスしている様子だ。
「准将であるキラ君が中佐の指揮下に入るのは、軍の階級的に問題があるかもしれんが……構わないか?」
「いえ……。むしろホッとしていますよ。僕より、ハイネ中佐の方が適任ですから」
キラは穏やかに、そしてどこか肩の荷が下りたような表情で答えた。
実際、キラの言葉に嘘はないだろう。彼はスーパーコーディネイターであり、その情報処理能力を持ってすれば指揮官としての才能も相応にあるはず、育てればいつかは名将と呼ばれる域に達するかもしれない。だが、根本的に性格が向いていないのだ。
そもそもキラは士官学校もろくに通っていない、典型的な「巻き込まれ系主人公」だ。流されるようにパイロットになり、その圧倒的な力だけで戦局を覆してきた特殊な存在。
そんな彼に、いきなり戦術単位での細かい部隊指揮や、政治的な判断も絡む現場指揮を丸投げするのは流石に不安が残る。これまではムウやヒルダといった「本職」が前線指揮を執ってくれたからこそ、彼は思う存分その剣を振るうことができたのだ。
これからは、その役割をハイネに任せよう。ザフトのFAITHとして多種多様な戦場を渡り歩いてきた彼なら、キラやシンといった癖の強い連中をまとめ上げるには最適解のはずだ。
以前ババと二人で好き勝手男の殴り合いをしていた事は忘れよう。うん。
「ははっ、准将殿からそう言ってもらえると助かるよ。心配しなさんな副総裁。現場の面倒は俺がしっかり見てやる。任せな」
ハイネがいつもの軽妙な口調で、しかし頼もしさを感じさせる笑みを浮かべて応じる。
「いいかヴェステンフルス。公の場での階級はお前は中佐でキラ准将を指揮下に入れるのは特殊かもしれんが……」
「いいって。公式の場でもなきゃ『ハイネ』でいい。あんまりお堅いのは、俺もこいつらも苦手だからな」
俺が続けようとした言葉を、ハイネはひらひらと手を振って遮った。一応、ここは軍のブリーフィングルームで、俺は副総裁という立場なんだが……。
まあ、この男のこういうノリが、張り詰めたパイロットたちの心を解きほぐすのも事実だ。俺は苦笑交じりに肩をすくめた。
「一応、ここも公式の場なんだけどな……。まあいい、ハイネ。君たちプラント組の連中は、最近改めて階級という形がついて戸惑っているかもしれんが、少しずつ慣れてくれ。コンパスという組織である以上、そこら辺のメリハリはプラントの時よりも厳しくなるかもしれないが、現場の判断は君に預ける」
俺がそう告げると、ハイネは少しだけ真剣な表情になり、短く「了解だ」と頷いた。
以前彼は群れるだけの連合軍が云々と、確か連合兵を見下すような描写がアニメ本編ではあったはずだが、基本的にババと仲良い事も含めてナチュラルへの軽視やヘイト感情というもの殆どない。
そう言う所も含めて俺は彼に期待している。階級制度は存在しなかったザフト所属とは言え、流石に必要な時の礼節を弁えてるのも好印象だ。前線指揮官として真っ先に彼の配属を希望してよかった……いずれは専用機である量産タイプのジャスティスを引き渡したいが今はギャンで頑張ってくれ。
さて、残る二人に声をかけるか。まずは、隅で所在なさげに、しかし不敵なオーラを纏っているアグネスだ。
彼女は今、思ったよりも大人しい。ハインラインから事前に受け取っていた報告書によれば、自己愛が極端に強く、シミュレーター訓練の初期段階では「味方を盾にして自分が撃墜スコアを稼ぐ」といった、およそ組織戦とは思えない傲慢な行動が目立っていたという。
正直、現場をかき乱す爆弾を抱え込むような不安があったのだが、今の彼女は拍子抜けするほど静かだ。
「アグネス中尉。いや、ギーベンラート中尉と呼んだ方がいいかな?」
「……前者でお願いします」
アグネスは短く答えた。じっとその目を見つめてみると、何とも言えない「危うさ」が視界をよぎる。俺はこの数ヶ月、コンパスの活動を通じて捕らえられたテロリストや、過激な思想に染まった捕虜たちを何人も見てきた。
今のアグネスの瞳には、彼らが持っていた特有の昏い熱量に近いものが宿っている様に思えてしまう。
(えっ、何で? 今のところ、彼女は若手エリートなはずだろ……。何が彼女をそこまで追い詰めてるんだか)
内心の困惑を押し殺し、俺は政治家としての笑顔成分を少しだけおり混ぜつつ言葉を続けた。
「君のことは聞いているよ。シミュレーターでもトップクラスの成績だったそうじゃないか。『月光のワルキューレ』という異名は伊達ではないと期待している」
あえて彼女が好みそうな二つ名を口に出してみる。案の定、自分の名声が副総裁の耳にまで届いていたことが嬉しかったのか、彼女の口角がわずかに、しかし確実に持ち上がった。
「……光栄です。期待にはお応えしますから」
「ああ。だが、期待しているのは個人の武勇だけじゃない。ハイネ中佐やシン大尉、キラ准将との連携も大切だ。君のようなパイロットが突出して部隊を危険に晒すことはないと思うが、いざという時に皆のフォローを任せたよ」
俺がそう告げると、アグネスの瞳の奥の危うさは消えなかったが、表情には隠しきれない「ドヤ感」が滲み出た。
(あ……こいつ、承認欲求の塊だ)
一瞬で理解できた。こういうタイプは、表立って非難したり頭ごなしに押さえつけたりすれば、間違いなく逆恨みして命令を無視するか、あるいは現場を余計にややこしくする。周囲の和を乱さないよう、こうして自尊心を適度に満たしながら「重要な役割を与えられている」と思わせてコントロールするしかないだろう。
もっとも、腕前だけは紛れもない本物だ。ヘブンスベース戦を想定したシミュレーターをクリアしてないものの、あのデストロイ相手に接近戦を仕掛けて最高二機を撃墜している。これだけのスコアを出せるのは、ザフト全体を見渡しても数えるほどしかいない。
まぁあのシン体験シミュレーターは鬼畜そのものでヘブンスベース戦は最低三機撃破しろなんてクソミッションだけどなぁ!いやよく、ドッズライフルもなくムウもカナードもクリアしたよ!原作より密集したデストロイの攻撃を避けながら最低三機斬り殺せって無理に決まってんだろ!?
(ちなみにシンは、この世界だと五機を撃破してる上に、シミュレーターを改めてプレイすれば七機撃墜した上でCPUのレイに残り一機を取られたなんて悔しがってたらしいからな。……改めて思うが、やっぱりあいつの戦闘能力はおかしいわ)
そんな怪物を部下に持つハイネの苦労を察しつつ、俺は最後に、俺は所在なげに視線を泳がせているシンに向き直った。
「セイラン副総裁……。俺、あの……」
シンが言葉を詰まらせる。その瞳には、かつてステラが乗っていた機体の「影」への畏怖と、自分にそれが使いこなせるのかという事実が本番が近づくにつれて、不安が綯い交ぜになっているんだろう。
俺は努めて穏やかな声を意識して、彼の肩に手を置く。上手くやって欲しいという打算半分、戦時中に彼を追い詰めた罪悪感と本心から上手くやって欲しいと思いながら。
「同じセカンドシリーズのインパルスをあれだけ使いこなしていたお前ならやれる。……いいか、シン。戦時中、デュランダル元議長は、遺伝子という物差しでお前を選んだのかもしれない。だが、実際に戦場で結果を出し、実績を積み上げてきたのは、他ならぬお前自身の実力だ」
これは俺の本心だ。どれほど優れた設計図があろうと、それを形にするのは現場の人間だ。遺伝子がどうあれ、彼が潜り抜けてきた修羅場は嘘をつかない。
あの男が遺伝子でシンを選んだとしても、ミネルバ隊を守り抜いたのは彼自身。贔屓が無いとも言えないが、そんな彼だからこそガイアを託す事に決めたのだから。
「無理に不殺を貫こうとしなくていい。この『ガイア・ティターンズ』は、本来そんな器用な真似ができる機体じゃない。……牙を剥き、獲物を確実に仕留める。お前はお前自身の、最高だと思う戦い方をしろ。それで死なずに帰ってこい。わかったな?」
「……! はいっ!」
シンが弾かれたように顔を上げ、力強く返事をした。迷いの晴れた、少年らしい真っ直ぐな瞳。その熱量に、俺は少しだけ救われたような気がした。
ふと視界の端で、アグネスが冷めたような、それでいて苛立ちを含んだような視線をシンに向けているのが分かった。彼女は何も言わなかったが、その目は明らかに「何よ、特別扱いされちゃって。ズルいんじゃないの?」という不満を隠そうともしていない。
「あぁ、それとアグネス」
俺は、去り際にアグネスを呼び止めた。彼女は不機嫌そうに肩をすくめていたが、俺が声をかけると「何よ」と言いたげな顔でこちらを向く。
「お前の乗る『ギャン』だが、あれはジュール隊のイザーク中佐が使っていた機体だ。今は彼も情報部としての仕事で忙しくなってね。彼の強い勧めで、コンパスに送るよう手配してくれたものだ」
(ディアッカのゲルググも色を変えてヘルベルトが使う予定だし、一人だけグフに乗ってるマーズは『俺も新型が良かったな』なんて愚痴ってたっけ。まぁ、いずれプラントから代替機が届く予定だが……)
俺は、あえて彼女の自尊心をくすぐるように言葉を継いだ。こういうのはこの仕事をやってりゃ慣れるもんだ。一人だけお星様になった奴がいるがそれは忘れておこう。
「あの機体はザフトの次期主力量産試作機の雛形になる最重要機だ。お前が実戦で集めるデータが、後のザフト兵たちの生死を分けることになる。セカンドシリーズにも決して劣らないその機体で、君の真価を見せてくれ」
案の定、アグネスの目はみるみるうちに輝きを取り戻した。「ザフトの英雄・イザークの機体」であり、「次世代の基準になる」という言葉が、彼女の肥大した自己愛にピタリとはまったらしい。
さっきまでの「シンだけズルい」と言いたげな拗ねた空気はどこへやら、今や「選ばれたのは私だ」と言わんばかりのドヤ顔が完成している。
(……よし、これでとりあえず妨害をするなんて馬鹿な真似はしないだろう、多分。扱いやすくて助かるが、こういう不発弾みたいな手合いが一番神経を使うんだよな……)
それでも、俺がアグネスを選んだのは単なる消去法じゃない。彼女の裏での努力を知っているからだ。
彼女は誰よりも、常人なら心が折れるような過酷なシミュレーター訓練に齧り付き、メキメキと実力を付けている。
人格面に難はあるが、それは「若さ」や「環境」ゆえの歪みだ。それを少しずつ修正していけば、きっとコンパスの欠かせない一員として活躍してくれるはず。
あの、何かに取り憑かれたような不気味な目は少し気になるが……まぁなんにせよ、注目は良くも悪くもしておくべきだろうな。俺は全員を見渡し、最後に短く言い放った。
「よし、総員ハンガーで待機! 出撃前にトイレは忘れずにな。以上だ!」
冗談めかした俺の言葉に、ハイネが「違いないな!」と快活に笑い、キラも少しだけ肩の力を抜いたようだった。
戦場となった大洋州連合の難民キャンプ周辺。数的な不利は明らかだったが、こちらの「質」はそれを補って余りある一騎当千のエースが揃っているのだから。
・初出撃
シンやハイネは配属こそ数ヶ月前ですが基本的にはゲルググやギャンでの地上運用でのテストがメインで本格的に初任務はこれが初めて。ただし運用データが集まったお陰でギャンは二機ともビームリーマーシールドをボレロを二つとも搭載出来ています。
キラ
セイバー改
シン
ガイアティターンズ
ハイネ、アグネス
ギャン×2
彼らが宇宙から降下しつつの出撃でミレニアムも宇宙で待機。四機編成とはいえ実はこれでも過剰戦力と言えるくらいには戦力差があったり。極論がんばれ准将!とキラ一人突っ込めば無力化出来ますからね。呂布かよ。
・グフのマーズ
ヒルダがシンのゲルググ、ヘルベルトがディアッカのゲルググを使うせいで一人グフで戦う羽目になるマーズ。とはいえグフも普通に高性能なのですが、流石に悪いと現在ユウナはラメント議長と協議を重ねてゲルググかギャンを要求しており、その結果ゲルググが配備されると隊長のヒルダがギャン。残り二人はゲルググという映画本編の原作ルートになるのですが……いっそ全員黒塗装でゲルググで固めるのも悪くないかもと元ネタの宇宙世紀の三連星を知ってるユウナは密かに企んでいたり。
ちなみにコンパスの皆は全員爆音の二枚板バレル式のドッズライフルを配備しているのが原作との違いですね。
ユウナのアコード対策について。果たしてユウナはアコードの無力化の為になりふり構わない外道な手段(ユウナ視点)を取るべきか?
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原作通り。
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平和の為に覚悟を決める。