破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

110 / 159
第三十五話 踏み台になるしかない世代

 

 

 

 

 掃討作戦が終了した直後のオルドリン自治区は、勝利の歓喜よりも、焦げ付いた硝煙と重苦しい沈黙に支配されていた。

 

 

 

 戦いは終わったが、コンパスの面々に休息の時は訪れない。次に待っているのは、地雷を踏み抜くような危うい戦後処理だ。

 

 

 まず最優先されたのは、残存するテロリストたちの掃討及び捕虜確保である。破れかぶれになった敗残兵が民間人キャンプに紛れ込み、自爆テロや人質立てこもりを起こせば、これまでの奮闘は全て水の泡となる。

 

 

 ザフトの地上駐留部隊による掃討と武装解除が進められる中、キラ、シン、アグネス、そしてハイネの四機は、機体を降りることなくその様子を上空や地上から監視し続けていた。

 

 

「……総員、絶対にモニターから目を離すなよ。今のザフト兵たちは、テロリストを『捕虜』として扱う気なんてさらさらないからな」

 

 

 ハイネの警告が通信回線を流れる。実際、地上のジンは、両手を挙げて投降するウィンダムのパイロットに対し、ライフルの銃身を突きつけ、今にも引き金を引かんとする殺気を放っていた。

 

 

 彼らにとって、目の前の男たちは仲間を殺し、街を焼いた憎き仇。隙あらば射殺という名の私刑を下そうとする現場の熱量を、コンパスのモビルスーツが放つ威圧だけが辛うじて押さえつけていたのだ。

 

 

 情報を引き出すための捕虜確保。それは道義的な理由以上に、彼らを国際法廷という名の表舞台へ引きずり出し、テロリストという存在を公的に糾弾することで、世界に「暴力による現状変更は無意味である」という抑止力を刻み込むための大切な彼らの役目である。

 

 

 キラは機体のセンサーを最大感度に保ち、投降したテロリストが自決を選ばぬよう、そして復讐心に燃えるザフト兵がその引き金を引かぬよう、細心の注意を払いながら戦域を監視し続けていた。

 

 

 コックピットの密閉された空間で、彼は流れる汗を拭う余裕もなく、ただただ「罪人の命を繋ぐ」という、破壊よりもはるかに困難な作業に心血を注ぐのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミレニアムの司令室で俺は苛立ちを隠そうともせずにモニターを睨みつけていた。目の前に映っているのは、顔を真っ赤にして沸騰しているオルドリン駐留軍の司令官だ。

 

 

 

 どいつもこいつも、戦場の熱に浮かされてやがる。内心で「面倒くせぇな」と毒づきながらも、これを今ここではっきりと理解させておかなければこんな暴走は何度だって続くだろう。

 

 

 

 

「独断で境界線を越えたパイロットたちは、即座に身柄を拘束して独房へ放り込め。これはコンパス副総裁としての正式な要求だ。……いいか、今すぐだ」

 

 

「セイラン副総裁、それはあんまりだ! 彼らは目の前で仲間を殺され、その怒りで動いた!我々は一方的に蹂躙された被害者なんだぞ!」

 

 

 

 ……ふざけんなよカスが。

 

 

 

 俺の言葉に、司令官は机を叩いて吠えやがり、その言葉を聞いた瞬間、俺の我慢の緒が切れた。

 

 

 被害者面をすれば世界を焼き払っても許されるとでも思っているのか?そもそも暴走とテロリストによる被害は別だろうがよぉ…!俺はモニター越しに、奴の喉笛を噛みちぎらんばかりの勢いで怒鳴りつけた。

 

 

「うるせぇんだよ!! 被害者面すれば世界を焼き払っても許されるとでも思ってるのか? ――いいか、よく聞け。テロリストによる被害と、現場の兵士の暴走。これは全くの別問題なんだよ!」

 

 

 俺は椅子を蹴り飛ばさんばかりの勢いで立ち上がり、モニターの中の司令官を指差して怒鳴りつけた。

 

 

「連中は司令部を、お前という『頭』を無視して勢力圏外に攻撃を仕掛けようとした。それを仲間の仇だの感情論だのでなぁなぁに許してりゃ、軍の統制なんざ一日で崩壊するんだよ!?そんな不確定要素を抱えたままの軍隊が、いつか取り返しのつかない事態を引き起こすってことが分からねぇのか!? 感情で不問にすんな!真っ先に司令部がやるべきことは人命救助と事実の確認、そして命令違反をした兵士の即時拘束だ。それが組織ってもんだろうが!」

 

 

 息を荒くしながら、俺は冷徹な視線を奴の顔に固定する。司令官はなおも口を開こうとしたが、俺はその先を許さずに、歴史の血塗られた一頁を叩きつけてやった。

 

 

「旧世紀の東アジアに『盧溝橋事件』っていう、これ以上ないほど最低な前例がある!演習中に数発の銃声が響き、兵士一人が行方不明になった。たったそれだけのことで現場の熱に浮かされた連中が、疑心暗鬼をエスカレートさせ、本国の意図を無視して独断で戦線を広げた。……結局、それが泥沼の全面戦争へと発展して、数百万の人間が死ぬ結果を招いたんだ。後になってどちらが先に撃ったか、行方不明者が実は道に迷っただけだったとか、そんな事実は死体の山の中じゃ何の意味も持たなかったんだよ!」

 

 

 俺はそこまで一気に捲し立て、喉の奥に溜まった不快感を吐き出すように鼻を鳴らした。内心では、あの事件の真相には諸説あることくらい百も承知だ。

 

 

 だが、今この暴走した部下達を擁護する司令官を屈服させるために必要なのは歴史学の正確さじゃない。現場の疑心暗鬼と暴走が、いかに容易く世界を地獄へ叩き落とすかという例えだ。

 

 

「いいか、あの時だって最初は兵士一人が消えたっていう些細な疑念だったんだよ。それが現場の兵士たちの間でエスカレートして、本国の制止を振り切る暴走を生み出した。現場が勝手に『仲間をやられた、報復だ』と叫んで引き金を引いた結果が、あの取り返しのつかない惨状だ。……統制を失った現場の暴走を、英雄的行為だと勘違いした結果、国家が、世界がどれほどのツケを払わされたか、その事例は歴史の中に腐るほど転がってんだよ!」

 

 

 俺はモニターに映るジンの一隊――今この瞬間も、境界線ギリギリで血走った目をしているであろう連中を思い浮かべる。

 

 

 なんなら血のバレンタインばかり有名なC.E.においてもそれ以前にいくらでも疑心暗鬼の種はある。コペルニクスの悲劇、S2インフルエンザ、ジョージ・グレン暗殺事件……そんな疑心暗鬼や暴走に至るまでの過程は反吐が出るほど的確だ。

 

 

 ならそうなる前の病巣を無理にでも手術するしかない。感情論で暴走した兵士を不問にすれば、間違いなく今後マイナスな影響しか与えないだろう。なら、処分をした上で再発防止にとりかかるしかねぇ。その上で危機的状況やIFの予想への対処法に至るまで……ジャガンナートの野郎、本来はお前ら上層部ががすべき事だろうが…!

 

 

 

「仮にお前の部下が、あの暴走したジンのままカナジに突っ込んでみろ。テロリストを狙ったつもりが、外れた一発の砲弾が民間人の住居を吹き飛ばし、女子供を肉片に変えたらどうなる? 反コーディネイター思想の連中がそれを黙って見てると思うか? 本気で戦争を望んでいるかどうかなんて関係ねぇんだよ! 誰の目にも明らかな『コーディネイターによる虐殺』という事実が一つあれば、彼らだって世論に突き動かされて動かざるを得なくなる。……たった一発の、たった一発の余計な砲弾でな、平和だの条約だのと言っていた連中が『それでも、奴らはやったじゃないか!』『だとしても、許されることではない!』と叫んで、雪崩を打つようにエスカレートしていくんだ。そうなれば、もう誰にも止められねぇんだよ!」

 

 

 

 俺は深く息を吸い込み、椅子にドカッと座り直して足を組んだ。司令官の顔はもはや土気色を通り越して真っ白だ。

 

 

 

 

 

「それを防ぐための方法はただ一つ。暴走した兵士を、今すぐ、例外なく拘束することだ。これは『罰』である以上に、世界に対する『意思表示』なんだよ。我々コンパス、そしてプラントは、命令を無視して暴走する狂犬を野放しにはしない。不測の事態には厳正に対処し、再発を防止する統制能力がある――その証明を今すぐここで見せろ。それができねぇってんなら、お前は司令官の席を降りて、今すぐ銃を持って最前線で突撃しとけやカス野郎が!!」

 

 

 

 

 沈黙が司令室を支配する。俺は暗転しかけたモニターを睨みつけ、奴が「了解」と抜かすのを待った。キラたちが、シンやアグネスが、そして、ハイネが現場で必死に繋ぎ止めたこの薄氷のような平和。それを、安っぽい感情論なんかで割られてたまるものか。

 

 

 

 数秒の膠着の後、モニターの向こうの司令官は、魂が抜けたような顔で「……了解した。独断専行した部隊は、帰投次第身柄を拘束し、査問に付す」と絞り出した。

通信が切れると同時に、俺は椅子の背もたれに深く体を預け、肺にあるすべての空気を吐き出すようにため息をついた。

 

 

 

 

「クソがっ…!ジャガンナートのカス野郎!俺が嫌いなのは百歩譲っても最低限テロリストの目的の情報くらい共有しておけよ…!」

 

 

 

「お疲れ様です、セイラン副総裁。……少々、手厳しすぎたのでは?」

 

 

 

 

 背後からコノエ艦長が落ち着いた声をかけてくる。その言葉には労いと、これから巻き起こるであろうプラントとの会談への危惧が混じっていた。俺はこめかみを指で押さえながら、苛立ちを隠さずに応えた。

 

 

 何よりイラつくのはジャガンナートだ。あの野郎、こっちが予測したテロリストの目的を駐屯基地に伝えてない可能性が高い。まさかあの野郎俺が気に食わないからと情報を無視してやがるんじゃねぇだろうな…。後日追及してやるか、どうせ意味ねぇだろうが今後の事も含めてな。

 

 

「手厳しくしなきゃ、今頃カナジは火の海だ。……一応は拘束されるだろうが、これで終わりじゃねぇよ。絶対、プラント本国の方でまたジャガンナートの連中と殴り合う羽目になる。あいつらタカ派の軍部は、今頃ブチギレてやがるはずだ」

 

 

 

 俺は頭を抱えた。コンパスは独立組織とはいえ、事実上、上から目線でザフトの運用に干渉したんだ。

 

 

 主権だの誇りだのを盾に、あの偏屈な軍人どもがモニター越しの会談でどれだけ喚き散らすか、想像しただけで反吐が出る。

 

 

「クライン総裁をまたあんな連中とのこの世で一番不毛で無駄な討論会に巻き込むことになるな……。あーあ、嫌になるよ全く…」

 

 

 ラクスを巻き込む事になる俺の嘆息に、コノエ艦長は少しだけ表情を曇らせ、窓の外の戦域を見つめた。

 

 

 

「ザフトはもともと義勇兵を出自にする組織ですから。志願した時の情熱や、守るべきものへの執着が彼らの強さですが……それは同時に、司令部であっても御しきれない感情という名の爆弾を抱えているということでもあります。ましてや、二度にわたる大戦でプラントは人命をすり潰し続けてきた。その傷跡が癒えぬまま、ナチュラルの貴方に、正論でとやかく言われる屈辱は、彼らにとって相当なものでしょう」

 

 

「屈辱、ね。そんなもん、世界が焼けるのに比べりゃ安いもんだろうが」

 

 

 

 俺は鼻で笑う。オーブの連中にはこの二年間、報告、連絡、相談――いわゆる『報・連・相』を徹底的に叩き込んできた。現場の暴走を未然に防ぐための、地味で退屈な組織運営だ。

 

 

 まぁそんな事をしておいて俺はカガリにも内緒にバレたら一瞬で終わりかねない事まで、色々と手をつけてるがそれはそれとしてだ。

 

 

 だが強さよりも組織に忠実で暴走しない兵士をこれからの時代は求めるべきなんだろう。ラメント議長はその辺りで上手くやろうしているが、タカ派筆頭のジャガンナートがいる限りどこまで通用するか。

 

 

 

「いつまで続くのでしょうね、このようなことは」

 

 

 

 

 コノエの静かな問いに、俺は立ち上がり、燃える市街のモニターを指差した。

 

 

 

「いつまで、だと? 決まってんだろ。テロリストのクズどもを一人残らず殺し尽くして、逮捕し尽くして……恐怖だろうが威圧だろうが、二度とこんな馬鹿な真似をしようと思わなくなるまで分からせてやるしかねぇんだよ」

 

 

 

 その言葉は、世界平和を監視する組織の副総裁が口にするには、あまりにも苛烈で、血の匂いが漂うものだった。

 

 

 ブリッジのオペレーター数人が、思わず息を呑んでドン引きしたような視線をこちらに向けるのが分かった。だが、そんなことは知ったことか。

 

 

 

「……討論というものは、互いに同じテーブルにつくことで初めて実行されるものですが」

 

 

 

 コノエ艦長が、俺の言葉を否定することなく言葉を継いだ。

 

 

 

「しかし、互いが銃を突きつけ合い、報復の連鎖に身を任せているのであれば。……向こうがテーブルを蹴り飛ばして暴力で語る以上、こちらもそうするしかないでしょうね」

 

 

 

 艦長のある種諦念にも似た肯定に、俺は少しだけ肩の力を抜いた。俺はモニターに映る、遠くの地平線を見つめた。

 

 

 

「ラクスは言ったよ。想いだけでも、力だけでもダメだってな。カガリは殺されたから殺して……殺したから殺されて。それで本当に最後は平和になるのかって、ずっと悩んでた」

 

 

 

 彼女たちの理想は、眩しいほどに正しい。だが、その正しさを守るためには、その下に広がるドロドロとした現実を誰かが引き受けなきゃならない。

 

 

 

「それなら、俺たちにできることは一つだ。力を振るって、殺そうとする……世間的には『悪』と呼ばれる連中を根絶やしにして、カガリやラクスの理想の踏み台になるしかねぇんだよ。……それが、今の世代の俺たちの役割だ。大人が、責任ある立場にいる人間が泥を被って、次の世代に綺麗なバトンを渡す。それ以外に道があるなら、教えて欲しいよ。例えば不思議な粒子が発見されて対話空間が作られたり、全世界の人間がエスパーになって分かり合えるようになるとかね」

 

 

 この世界にあるはずもないGN粒子やニュータイプについて軽く皮肉を混ぜた俺の独白に、ブリッジは再び沈黙に包まれた。

 

 

 それは自分たちが今立っている場所の重さを再認識したような、重い沈黙だ。狂人フェザール・イゼルカントは戦うことの無い穏やかな人間以外を殺戮する事で理想郷、エデンを作り出そうとしたが……アイツは人類に期待し過ぎなんだ。

 

 

 人間は人間である限り戦いは終わらないし、俺は人類の可能性なんてまっっっったく期待してない。諦観でも絶望でもなくシリーズ屈指の最低民度と名高い、C.E.というメタ的な視点から見た裏側を知ったからでもなく、俺自身が俺に、全く期待出来てないのもデカいんだろう。

 

 

 だからこそ、次の世代にせめて駄目なところは受け継がせちゃ駄目なんだ。俺達がほんの少しでも、正義の名の下に殺し尽くして、バカな連中に恐怖を与えて暴走しない仕組みを作り上げ、各国で共用する。

 

 

 俺達の世代は最早憎悪に染まり尽くしてるんだ。だから、ラメント議長や俺みたいな連中が次の世代への道筋を作り上げるしか無い。それが、俺達の責任であって、バトンを渡すことが役目なんだろう。

 

 

 

 

 

 

「えっと……副総裁って失礼ですが今おいくつですか?」

 

 

 

 

 不意に、アーサー副長がそんなことを聞いてくる。俺は少し面食らいながらも、短く答えた。

 

 

 

 

「24になったが……それがどうかしたか?」

 

 

 

「ええっ!?いや、いやまだまだお若いですってセイラン副総裁!そんな風に世界の全てを背負うような言い方をなさるから、もっと年上かと思っていましたよ!!」

 

 

「……そうかよ」

 

 

 アーサーは本気で驚いている様子だ。そんなに老けて見えるのか俺……そして、その答えに、コノエ艦長がどこか諭すような笑みを浮かべるが、俺は鼻で笑って誤魔化した。

 

 

 内心じゃ、前世の記憶も含めれば精神年齢は40か50に届くんじゃないか、なんて馬鹿げた計算をしていたが、そんなことを口にするほど俺もボケちゃいない。

 

 

 

「副総裁もまだ若いのですから、少しは楽になってもいいのではありませんか? 大人の定義にもよりますが……そんなに急いで泥を被りに行くことはない」

 

 

 

 年長者としてのコノエ艦長の気遣い、トダカといいそう言って気を遣ってくれる人々もちゃんと俺の周囲にいるのは幸福と言えるだろう。だが、そんな彼の気遣いに今は頷く訳はいかずに、ただ拒絶するしか無い。

 

 

「楽に、ね……。悪いが、俺のせいで過去に兵士が何人も死んでいるし、俺達はデスティニープランを否定したんだ。自分のしてきた事に後悔はしてねぇよ。だが、デュランダルが示した一つの正解を否定した以上、その後に続く混乱や犠牲の責任は、死ぬまで取り続けるしかねぇんだよ。それが否定した側の義務ってもんだ」

 

 

 重い空気がブリッジに漂う。我ながら、格好をつけすぎたかもしれない。俺はわざとらしく肩をすくめ、表情を崩して冗談っぽく付け加えた。

 

 

「ま、本当はさっさと隠居して、スカンジナビアで綺麗な姉ちゃんと酒でも飲みながら余生を過ごすつもりだったんだぞ?なのに、カガリやラクスが強引に副総裁なんて椅子に座らせやがったんだ。人使いが荒いったらありゃしねぇよ!!トナカイと戯れてベリー片手に綺麗な姉ちゃんとイチャイチャする生活を返して欲しいよ畜生がよぉ!!」

 

 

 

 俺の茶目っ気混じりの泣き言に、ブリッジのメンバーから微かな笑いが漏れた。

 

 

 いや半ば本気だけど!!それどころか九割くらいまじりっけ無い本気だけど!!まぁアコードの事を知った以上結果的には読心されるリスクがあるのなら、結果的にコンパスで引き篭もれる今の状況は悪く無いと思えるのが難しいところだけどな。

 

 

 そんな俺の内心は知らないはずだが、先ほどまでの張り詰めた緊張が、少しだけ解けていくのがわかる。コノエ艦長だけは少し複雑そうな顔をしているが、そうやって心配してくれる人がいるだけでも個人的には嬉しいもんだ。本当に彼をミレニアムの艦長にして良かったと心から思うよ。

 

 

 

「さあ、笑ったなら仕事に戻れ! 俺は老後資金を稼がなきゃならないんだからな!」

 

 

 

 泥を被り、血に汚れ、それでも進む。フリット・アスノの様な救世主が存在しない世界で、ユウナ・ロマ・セイランという男が選んだ……あるいは選ばされた未来なんだから。

 

 

 





・盧溝橋事件
 日中戦争の原因となった戦いで色々と諸説はありますが詳しい事は割愛。疑心暗鬼や統制が徐々に失われていく様子はC.E.世界の彷彿とさせるものがあります。なお作者は作品内に如何なるイデオロギーや歴史的主張をするつもりはございませんし、盧溝橋事件に関する感想欄による議論も控えて頂けると幸いです。

・人類の可能性
 誤解のないように追記すれば、正しくは「ある日突然世界が平和になる」事や「何もしなくても世界は自動的に平和になっていく」などの希望的な観測や奇跡やオカルトといったものを全く信じていないと言った方が早いかもしれません。この辺りはこの作品における根底の一つでもあります。

 たとえばメサイア攻防戦におけるユウナのヤケクソ演説においても「人類への可能性」を秘めた台詞などはほぼなく、あくまで次の世代に迷惑をかけるなという主張が多かったりしていますし、デスティニープランの否定においても人々はそんなものはなくても平和を作り出せるなんて覚悟や主張もありません。

 しかし、ならばどうするのか?という問いにて、ユウナが答えたアンサーが「俺達が大人が責任をもって踏み台になる事で、次の世代は少しはマシな世界にしようとする」というもの。ある意味AGE好きな彼らしい選択だったのかもしれません。

 デュランダルは自分の世代で世界を変革しようとして、ユウナもまた次の世代の踏み台になる気が満々。ある意味デュランダルがユウナを同志に誘ったのはそんなある種の諦観にシンパシーを覚えたのかもしれませんし、その部分が無意識にユウナがデュランダルに生きていて欲しかったと願ってしまった理由かもしれません。
 

 

ユウナのアコード対策について。果たしてユウナはアコードの無力化の為になりふり構わない外道な手段(ユウナ視点)を取るべきか?

  • 原作通り。
  • 平和の為に覚悟を決める。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。