破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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 俺の脳裏に、前世の知識が最悪の予測を弾き出す。連合の「強化人間」。薬漬けにして恐怖も痛みも忘れさせ、パイロットを使い潰す、あの不快極まりない技術。
 
「ブーステッドマン……!テロリストの連中、まだあんなもんを使ってやがるのか!」
 
 反吐が出る。清浄だの世直しだの何だと言いながら、裏ではまだあんな「使い捨ての部品」を戦場に放り込んでいるのか。

 第十九話 フリーダム強奪事件解決RTA
 ユウナの台詞より



第四十八話 Bデバイス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんかもう、ほんの数日だったはずなのに、体感的には数ヶ月くらい経った気がする。俺は一人でそう溜息を吐きながら、一人で「元我が家」……今は売りに出されている旧セイラン邸の敷地内に足を踏み入れた。

 

 

 まぁ売りに出されてはいるが、目が飛び出るような値段に設定してあるから誰も買い取らないんだけどな。カガリが根を回していつでも俺が生家で再度住めるようにとしてくれてるのかもしれないが……まぁそれは置いておこう。

 

 

 

 現在、キラはオーブの官邸でようやくラクスと再会し、抱擁の一つも交わしている頃だろう。シンの方は「嫁と娘、トダカさんが心配だ」と落ち着かない様子で、それをアスランに慰められている。この世界のアスランはシンに常に寄り添ってるのでメンタルケアには最適な人材だ。

 

 

 まぁ……正直赤服のルナマリアなら普通に何があっても切り抜けそうだし、なによりシンが留守の最中はレイがいる。ルナマリアの家族も含めてきっとレイが上手くやってくれると信じるしかない。

 

 

 

 アグネスはと言えば、自慢のギャンを落とされた挙句、追い求めていたミケール大佐を勝手に核で消し飛ばされたせいで、ファウンデーションへのヘイトが限界突破中だ。「絶対にあの連中を潰す!」と息巻く彼女を、ハイネが模擬戦でボコボコにしながら鍛え直している。それでもなお、立ち直って立ち向かう様子にハイネは感心しているようだけどな。

 

 

 そんな、光の道を歩む主人公達の賑やかな空気とは対照的に、俺は独り、闇に赴く。誰も管理していない荒れ果てたシェルター内に入り、埃の積もった本棚の特定の巻を動かす。すると、重厚な駆動音と共に隠し通路が出現した。

 

 

 

「……バイオハザードかよ」

 

 

 

 思わず独り言が漏れる。道中に仕掛けられた、無駄に手の込んだパスコードや認証装置を解除しながら奥へと進む。かつての「(ユウナ)」の記憶がなければ辿り着けない、セイラン家が後ろ暗いことをするためだけに用意した極秘の地下空間だ。

 

 

 

 金、女、そして血……。

 

 

 

 かつてこの場所で、何処までも欲望を追い求め、国を売ってまで好き放題しようとした売国奴たちの、醜い夢の跡。懐中電灯の光が、カビ臭い空気の中に放置された贅沢品の残骸を照らし出す。表向きの華やかさとは裏腹な、ドロドロとした欲望の吹き溜まりに思わず顔を顰めてしまう。

 

 

 

「……後でまとめて処分するか」

 

 

 

 棚に並ぶ記録媒体の中には、おそらく女関連のえげつない映像や、公に出れば国家が揺らぐような汚職の証拠も混ざっているはずだ。カガリやラクスには、天地がひっくり返っても絶対に見せるわけにはいかねぇ。

 

 

 俺は吐き気を堪えながら、最奥にある目的の部屋の前へと辿り着いた。

 

 

 

 指紋認証、眼球の網膜スキャン。それら二重のロックを解除した後、最後の合言葉を口にする。

 

 

 

「……メンデル」

 

 

 

 低く呟くと、重厚な耐圧扉が静かにスライドする。そこは、これまでの腐臭漂う空間とは一変し、無機質な消毒液の匂いが充満する場所だった。最新の医療機器が整然と並び、病室というよりは研究室に近い。

 

 

 

 だが、ここで行われていた「実態」は、上の階の贅沢三昧よりもさらに質が悪い。記録を洗えば、ウナトより前の代のセイラン家が既に用意していた場所らしい。

 

 

 ここでは臓器売買のための「解体所」や、各名家の男達が慰みものにして孕ませた女たちの中絶や、粛清すべき人間への処分を行うための地下病院として機能していたらしく、そのおぞましい歴史に、俺は心底ゲンナリする。勿論火葬場もあるよ!灰は海にポイ捨てすればバレないなんて便利だね!クソが。

 

 

 

 現代にもなって何やってんだよ……エロ同人よりエグい証拠の数々を初めて知った時は、本気で三日間食欲が湧かなかったのを思い出す。

 

 

 そう思えばミヤビ達キオウ家の連中は尊敬する。彼らはきっとこれ以上の闇に触れつつも、光を歩み続け。これ以上にカスみたいな実態や情報を知りつつも適切に管理できているんだから。

 

 

 

 救いようのない暗黒の遺産。その中心、医療用モニターの明かりに照らされた人影が、静かに椅子を回した。

 

 

 

 

「……待たせたね、ユウナ君」

 

 

 

 落ち着いた、それでいてどこか芝居がかった独特の残響。そこにいたのは、清潔な白衣を纏った男だ。

 

 

 

 ギルバート・デュランダル。

 

 

 

 先の大戦の元凶であり、本来ならプラントで判決を待つ身であるはずの罪人が、死に損ないの幽霊のように、オーブの地下深くで穏やかに微笑んでいる。

 

 

 

 

 

 

 ……いや、待ってくれ。言い訳をさせてくれ。

 

 

 

 

 本当に、ほん、とう、に!!! 色々あったんだよ! どれだけコイツをここに連れてくるのに苦労したか……!

 

 

 

 アコードの情報を公にできない綱渡りの状況下で、俺は必死に動いたんだ。まずジャガンナート相手に「アイツら(暴走ザフト兵)の首を洗っておけ」と言わんばかりの舌戦を繰り広げ、その裏でラメント議長に極秘の接触を図ってな。

 

 

 曰く、「かつてコロニー・メンデルに所属していた彼にしか解明できない人道的・技術的な問題がある」。

 

 

 曰く、「この世界の存亡に関わる事態において、彼の知見が必要不可欠であり、特例中の特例として秘密裏に仮釈放が必要だ」……。

 

 

 ラメント議長は話せばわかる人だ。だが、わかる人だからこそ厳しかった。当然だろう。デュランダルは現在進行形で裁判中の身であり、デスティニープランによって世界を塗り替えようとした「歴史の汚点」とも言える人物だ。そんな劇薬を勝手に釈放してオーブに隠蔽し、あまつさえ協力させるなんて、正気の沙汰じゃない。

 

 

 

 「正論すぎて反論の余地もねぇよ……」と頭を抱えながら、俺は最終的に、彼等が喉から手が出るほど欲しがっていたカードを何枚も切る羽目になった。

 

 

 こちらが独自に確保していた地球連合の秘匿技術、フォビドゥンヴォーテクスの詳細データ。……そして、出来れば切りたくなかった「ゾイドシリーズ」のコンセプト知識まで提供することになってしまった。

 

 

 

 その結果だが……ああ、クソッ……多分一年もすればプラントで、ザウートやガズウートの後継機として、ゴリラ型の重装甲支援MSとして『アイアンコング』とかいうバケモノが登場する羽目になるかもしれん。どうしてこうなった……!

 

 

 

 ザフトは今後、大気圏内航空機ボレロを搭載したゲルググメナースとギャンシュトロームを主軸に機種更新していく予定だ。だが、それでも特定運用に特化した尖った機体を連中は常に求めていた。

 

 

 

 流石にオーブが心血を注いだ『リヴァイアサン』のコアデータまで公開するわけにはいかない。じゃあ、今のザフトが何を一番欲しがっているか? と考えた時、真っ先に浮かんだのが圧倒的な「支援機不足」だ。

 

 

 

 コンパスの技術官であるハインラインの評価は、相変わらず容赦がなかった。

 

 

 

「ザウート? はっきり言ってリニアガンタンクにすら撃ち負けかねない、ただの『戦車モドキ』ですよ。後継のガズウートも期待外れだ。あれを作るリソースがあるなら、ザクにウィザードシステムを載せて強化した方が、戦術的な価値は遥かにマシかと」

 

 

 ……その辛辣すぎる評価を叩きつけられた後だったから、俺が提案した「ゴリラ型」のアイアンコング案は、驚くほどスムーズに、かつ熱狂的に受け入れられてしまった。

 

 

 アイアンコングの何が優れているか。それは二足歩行に固執しない、四肢を使った圧倒的な接地安定性だ。大口径の長射程ビーム砲や、大量のミサイルランチャーをこれでもかと積み込んでも、その強靭な四肢が反動を完璧に殺してくれる。重装甲と大火力を両立させ、どんな荒地でも踏破して弾幕をバラ撒く。

 

 

 そのコンセプト図を見せた瞬間の、ハインラインと音もなく現れたエリカさんのギラついた目は、今思い出しても背筋が凍る。この技術バカ二人を会わせたやつは誰だよ!俺だわ!?

 

 

 

 無論、現時点で実機は存在しない。だが、あのハインラインのことだ。あっという間にコンセプト案を実戦レベルの数値にまとめ上げてくれた。

 

 

 

 それを今回、デュランダルの身柄と引き換えの代償として、プラントのラメント議長へ「手土産」として提供したわけだ。

 

 

 

 フォビドゥンヴォーテクスの技術に加え、喉から手が出るほど欲しがっていた新型支援機の青写真。それらを手に入れたラメント議長は、内心ホクホクだろうよ……とはいえ、この地下シェルターにデュランダルが隠れているなんて事実が公になれば、俺もろとも全てが終わる。

 

 

 もしバレたら全力でジャンピング土下座した上でラメント議長の靴をUV様を相手にしたインフラレッドのごとく舐めまくろう。キラたちにさえ、彼が今オーブにいることは教えていない。伝えられる訳もない所業を今の俺達は行なっているのだから。

 

 

 

 

「……挨拶は抜きだ。手配は?」

 

 

 

「既に終わっているよ。深夜にでも搭載すれば新型機も含めてアコードの読心を無力化できるだろう」

 

 

 

 俺が刺々しく問いかけると、デュランダルは優雅に端末のキーを叩き、涼しい顔で答える。そして、彼はふっと目を細め、こちらの様子を伺うように問いかけてきた。

 

 

 

「それで、ファウンデーションはどうだったんだい? あのアウラの……彼女が作り上げた『理想郷』の姿は」

 

 

 

 俺は椅子に深くもたれかかり、これまでに起きた地獄を掻い摘んで話した。アコードによる精神干渉、レクイエムの強奪、そして――。

 

 

 

 

「……まさか、レクイエムを持ち出し、自国の首都に核ミサイルを撃ち込むとはね」

 

 

 

 

 一通り話を聞き終えたデュランダルは、成る程、と短く頷き、重い溜息を吐いた。

 

 

 

「私やユウナ君の予想の、遥かに上を行くね。アウラたちは」

 

 

「上というか、斜め上だよ。……自国民を、それも証拠隠滅のためだけに核で焼き払うなんて真似なんぞ、あのブルーコスモスだってしねぇぞ」

 

 

 

 

 俺が吐き捨てるように言うと、デュランダルは一瞬だけ沈黙した。

 

 

 かつてデスティニープランによって「人類の正しい管理」を提唱した男にとっても、アウラの選んだ道は、救いようのない狂気に映ったのだろう。

 

 

 

「……そうだね。彼女の愛は、もはや形を成さないほどに歪んでしまったようだ。ちなみにユウナ君は知らないかもしれないが、ブルーコスモスは4年ほど前に連合に核兵器を撃ち込もうとしたことがあるが……それはそれとして」

 

 

 

 「おいちょっと待て!!! えっ何それ!? 初耳なんだけど!?」

 

 

 

 俺は椅子から転げ落ちそうになりながら、身を乗り出して叫んでいた。

 

 

 おい待てや!!『それはそれとして』で済ませていい話じゃねぇだろ!!えっ、何!?SEEDとDESTINYの間にそんなイベントあったの!?マジで知らないんだけど!?

 

 

 全く知らない情報に、冷や汗が止まらなくなる。この世界、俺の知らないところで核ミサイルが飛び交いすぎだろ!えっまじでアストレイでそんな事あったの!?

 

 

 そんな俺の動揺を見て、この種無し浮気ちんぽ野郎……ことデュランダルは、ふふっと楽しげに、整った磁器のような微笑を浮かべる。マジでムカつく…!

 

 

 

「冗談だよ」

 

 

 

 

「……クソみてぇな冗談つくんじゃねぇよ、心臓に悪いだろ……」

 

 

 

 

 俺はドッと出た冷汗を拭い、胸を撫で下ろした。なんだ、ただのブラフか。こいつならやりかねない。だが、安堵したのも束の間、デュランダルはいつのまにか用意していたらしいティーカップを傾けながら、さらに言葉を継いだ。

 

 

 

「正確には、ブルーコスモスが裏で暗躍し、他のテロ組織を乗っ取って自国の重要拠点に核を撃ち込ませようとした、だね。……未遂に終わったとはいえ、彼らの本質はアウラたちと大差ないよ」

 

 

 

 「結局、核撃とうとしてんじゃねぇかぁぁぁぁ!!??!」

 

 

 

 

 俺のツッコミが地下に虚しく響く。未遂だろうがなんだろうが、実行しようとした時点でアウトだよ!?

 

 

 

 ……もうやだコイツ!いやこの世界やだ!えっ、俺の知らないところで核戦争の危機だったのかよ!?マジかよ……もっと『アストレイ』シリーズも隅々まで履修しておくべきだった……!

 

 

 

 

 外伝作品の知識不足をこれほど呪ったことはない。この世界の闇は、俺がアニメの画面越しに見ていたものより、数倍は深くて濁っているらしい。本当に!!本当にミケールの野郎がくたばってよかったよ!!

 

 

 

「……とは言え、だ」

 

 

 

 デュランダルがティーカップを置き、ふっと視線を落とした。その瞳には、自嘲とも慈しみとも取れる複雑な色が混ざっている。

 

 

 

「我々のしていることも、ある意味ではブルーコスモスやアウラたちと大差ない。いや、死者を冒涜し、生命の理を弄んでいるという意味では、人の道としてはさらに外道そのものだろう」

 

 

 

「……分かってるよ。今さら善人気取るつもりはねぇ」

 

 

 

 

 俺は短く答えて頷く。綺麗事で世界が救えるなら、アークエンジェルは沈んでないし、トダカだって攫われてねぇ。勝たなきゃいけない時があり、そのためならなんだってするし何処までも外道になるとあの日、アコードの存在を知った日に俺は誓ったんだ。

 

 

 

 

「見せてくれ。……あんたが用意したアレの正体を」

 

 

 

 デュランダルは無言で頷き、椅子から立ち上がった。俺たちは専門の滅菌服に着替え、さらに奥にある手術室の重厚な扉を開く。

 

 

 

 プシュー、という空気圧の音と共に開いたその先は、この世の地獄を無機質に煮詰めたような光景だった。

 

 

 

 

 部屋の中央、眩い無影灯の下には、白い布で顔を覆われた男が横たわっている。だが、そこには生命の気配など微塵もなかった。胸の上下運動はなく、肺はとうにその機能を止めている。肌は死後硬直を通り越し、蝋のように不自然な光沢を放っていた。

 

 

 

 そして、その傍らに設置された円筒形の強化ガラス容器の中に、「それ」はあった。

 

 

 

 淡く濁った琥珀色の培養液を満たしたユニットの中で、剥き出しの「脳」と、そこから長く尾を引くように伸びた「脊椎」が浮いている。頭蓋から引きずり出された灰白質には、血管のように赤いバイオコードと、数千にも及ぶ極細の電極インターフェースが直接縫い付けられていた。

 

 

 

 

 ドクン、と。

 

 

 

 

 心臓もないはずの容器の中で、その脳髄が不気味に、そして大きく脈動した。脳の皺のひとつひとつが、電気的な興奮を伝えるたびに青白く発光し、呼吸に合わせて膨張と収縮を繰り返している。

 

 

 

 肉を失い、神経束を剥き出しにされた脊椎は、外部からの強制的なパルス信号に反応して、まるで水槽に閉じ込められた大蛇のように微かにのたうち回っている。

 

 

 培養液の中を漂う無数の神経の末端が、まるで何かに縋り付こうとする指先のように細かく震え、容器の壁をカリカリと無音で掻きむしる。脳幹から伸びる神経線維は、バイオチップが発する熱に焼かれながらも、無理やり電気的に覚醒させられ、終わりのない情報の奔流を処理し続けていた。

 

 

 時折、脳髄の奥底から気泡が溢れ出す。それは、声帯も肺も失った肉体が、脳内に直接流し込まれる演算に耐えかねて、形のない悲鳴を上げているかのようだ。

 

 

 生命活動はとうに停止し、肉体は腐敗を待つだけの屍。それなのに、この円筒の中にある「部品」だけは、死の安らぎを許されず、永遠に醒めることのない悪夢の中で脈打ち、蠢き、演算を強制されている。

 

 

 脳が脈打つたびに、脊椎が激しく痙攣し、容器を満たす琥珀色の液体が濁っていく。それはまさに、生命という概念に対する悪逆非道な冒涜であり、救いようのない邪悪を具現化したそのものだ。

 

 

 

 確実だが人の道に外れるのがA案、一線は超えないが最低なのがB案。デュランダルはアコードの読心能力に対する対抗策として、この二つの案を俺に提示していた。

 

 

 

 そもそも、アコードという連中の能力はあまりにも凶悪で、かつ理不尽だ。

 

 

 オカルトじみた能力によって目の前にいる人間を洗脳し、その思考を完全に読み取る。さらに恐ろしいのは、あらかじめ精神に「仕込み」をしておくことで、時間差で洗脳効果を発動させることすら可能だという点だ。

 

 

 

 

 ……作品を間違えてねぇか?絶対遵守のギアスじゃねぇか!!!と内心で激しいツッコミを禁じ得ない。マオとルルーシュのいい所取りのギアスユーザーが複数人いるなんてどうすりゃいいんだ。

 

 

 

 一応ムウやクルーゼ、プレアがNTらしい素質を見せてピキーン!となったり、シンは無意識に霊体を感じ取れるのでは?なんて噂は聞いた事があるが、科学的に作り出された存在がオカルト能力を行使するのはあまりにも厄介過ぎた。

 

 

 

 だが、そんなデタラメな能力にも、付け入る隙は必ずある。デュランダルの分析によれば、それはあくまで「生身の人間」を対象にした場合の話なのだという。例えば、機動兵器に搭乗している相手を相手にする場合、明確に生身の人間を直接読心するのとは訳が違ってくる。

 

 

 

 相手の脳波を機体越しに感じ取り、「そこに人間がいる」と理解した上で初めてリンクを確立する。そう、思考を読み取ることは可能ではあるのだが、MSという機械のフィルター越しに感じ取れる人間の脳波を、いわば「予測」して読み取るという変換作業が、アコード側にもどうしても必要になる。

 

 

 

 とはいえ、実戦に慣れきっているアコードにとって、そんな変換作業など造作もないことだ。

 

 

 

 MSを動かしている敵パイロットは、操作のために当然「思考」を行う。前へ、後ろへ、スラスター点火、近接格闘、遠距離射撃……。それらのノイズを瞬時に読み取り、先回りして動くのがアコードの強みであり、対峙する側は常に「後出しじゃんけん」を強制され続けることになる。

 

 

 

 しかも、連中の身体能力はコーディネイターの最高峰として調整されているだけあって、知能、肉体耐性、反射神経のすべてが常人を遥かに超えている。そんな化け物が読心までしてくる以上、普通に挑んで勝ち目があるはずもない。

 

 

 

 デュランダルは「思考ではなく反射だけでMSを操作できれば、あるいは……」なんて机上の空論を宣っているが、そんな神業を実戦の極限状態で完遂できるパイロットなど、この広い世界にもそうはいない。

 

 

 

 じゃあ、複座にすればいいのでは? と俺も考えたが、それも対策済みだ。

 

 

 

 アコードは複座の場合、移動操作を受け持つパイロットだけに狙いを定めて読心する。攻撃を仕掛ける瞬間、MSやMAは制御のために必ず「移動」を伴う。その機動の意志さえ感じ取れば、回避など余裕というわけだ。

 

 

 

 だが、例えばだ。もしも、パイロットが複座した上で、全く同じタイミングで「真逆の操作」を連想すればどうなる?

 

 

 

 例えば一人が「右に行こう」と強く思考し、同時にもう一人のパイロットが「左に行こう」と脳内で叫ぶ。機体の挙動という結果は一つ。だが、その背後にある「意志」が完全に矛盾し、衝突していたとしたら。

 

 

 

 アコードが読み取る脳波の波形はどう歪む?

 

 

 

 右か、左か。二つの強烈な殺意が重なり合い、かつ真逆の方向を指し示した時、奴らの「先読み」はどちらを選択する?

 

 

 

「……すまないね、ユウナ君」

 

 

 

 

 デュランダルは、琥珀色の液体の中で脈打つ脳髄を慈しむように見つめながら、静かに、謝罪の言葉を口にした。もう何度も彼は俺に謝罪をしている。

 

 彼自身も流石に飲まなきゃやってられないんだろう。そんな必要ないというのに。この道を歩むと決めたのは俺だというのに。

 

 

 

「君には、願わくば光の道を歩んで欲しかった。だが、皮肉なものだ。私と共にこの深淵の底まで沈むことになってしまうとは……」

 

 

 

 彼はかつてプラント議長だった時代から、アウラから提供されたアコードに関するデータを密かに分析し続けていた。連中の「読心」という優位に対して敵対した時のカウンタープランをいくつか提示しており、その回答の一つが、目の前で蠢くこの脳髄……。

 

 

 

 『Bデバイス』

 

 

 

 

 演算ユニット、正しい意味での生体CPUとして機体に組み込まれる、生きた脳による情報攪乱装置。それが、この冒涜的なシステムの正体だった。

 

 





・アイアンコング
 ゾイドシリーズに登場するゴリラ型の機体。その有用性はシリーズを跨いで登場するほどで、この世界でもザウートに変わる新たな支援特化用MSのしてザフトで開発がスタートする予定。全機空を飛ぶのなら支援機なんて必要ないのでは?となるかも知れませんが、例えばAOZ2外伝審判のメイスにおいては、旧世代機である新米ティターンズ兵が乗るザクキャノンがSFSシステムに乗っているエゥーゴ兵の仕留めたりするシーンもあり。空を飛んでいるのなら、支援機や砲撃機がいらなくなるものではなく、寧ろ動ける対空迎撃用としてゴリラはきっと活躍してくれるでしょう。勿論すぐに開発できるわけではありませんが。

・核兵器が
エクリプスで描かれた核兵器によるテロ事件。ブルーコスモスは一応は環境保全団体とはいえこの外伝の設定により、もはやお題目すら失い平気で地上で核兵器を扱える連中であると証明されることになるのでした。この辺りは最新版のアストレイでも触れられており、環境保護団体であったブルーコスモスはアズラエル達に母屋を取られたような状態らしく、まともに環境保護なんて考えてる連中はほぼ居ないのでしょう。


・Bデバイス
名前の由来などはまた後日。ユウナは定期的にウチはヤバいものを作ってるだの地獄に堕ちるだのと卑下してきましたがその正体がこれです。
 読心を防止させるシステムとしては上記の通りですが、アコードは生身の人間ではなくMSでは思考盗聴がブレる、若干遅くなってしまうなどはアスランvsシュラ戦などの描写から。ちなみにめちゃくちゃ乱暴にその仕組みを説明すると、声帯などの器官も失い悲鳴や感情を表すことも出来なくなった電極をブッ刺した脳みそをコックピット付近に設置。パイロットの動きに合わせて電気信号によって強制的にその動きと真逆の思考を脳にイメージさせる事でMS越しに見ているアコードは混乱する事に。

 この辺りの研究は実は現実世界でも行われており、ネズミの脳に電極をブッ刺してラジコンのように扱う研究や、実際にラジコンと化したゴキブリの様なものまで存在していたりしますので、事実は小説よりも奇なりといえるかも。

 当然こんなことをすれば脳みそは消耗しますので2〜3回も使えば廃棄確定となりますが、そもそもデュランダルもユウナも短期決戦でファウンデーションを潰すと決めているが為問題なし。なお同じアコードであるラクスは能力がマイフリによって覚醒した場合イヤでも気づきかねませんがその辺りはユウナも対策を施していたりします。

 なお特に霊感の強いシンは気付くのでは?と思っている読者の方もいたようですがご安心。声帯など感情を示す為の器官を全て喪失した上に霊ではなく、脳みそと脊椎だけに加工されていますので生きて「は」いますからアコードでもない限りはご安心。

ユウナのアコード対策について。果たしてユウナはアコードの無力化の為になりふり構わない外道な手段(ユウナ視点)を取るべきか?

  • 原作通り。
  • 平和の為に覚悟を決める。
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