破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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第五十五話 ドリームチーム 後編

 

 

 

 

 

 

 そんな訳で、話を進めるが……キラには相変わらずストライクフリーダムに、そしてアグネスにはインパルスに乗ってもらうことになった。

 

 

「そしてキラ。お前のストライクフリーダムには、ハインラインが調整した例の武装と一緒に……ラクスと二人乗りしてもらう」

 

 

「え……?ラクスが僕と一緒に……!?」

 

 

 

 俺の口から出た想定外の恋人の名前。しかも戦場にあろうことか自分の機体に乗せるという言葉に、キラは目を見開いて息を呑んだ。無理もない。傷つけたくない、戦場から最も遠ざけたいと願う恋人を乗せろと言われたのだから。

 

 

 だが、俺は引き下がるつもりはなかった。決してラクスを同じ目に合わせてやるなんて私欲はない。むしろ俺としてもラクスにこんな事はして欲しくはないが…。

 

 

 

「何だその顔は……いや気持ちはわかるよ?俺と同じだよ。俺だってあんな金ピカの化け物にババと乗るんだから痛い程に分かるけどさ…!」

 

 

 

 そういいつつ、俺は親指で、背後の忌々しい巨体を指し示した。乗りたくねぇよ今でもあんなもん…!

 

 

 

 

 

「レクイエムがいつオーブ本国を焼き払うかも分からないこの状況だ。下手にシェルターに籠もるよりも、コンパス最強パイロットであるお前の隣で飛び回っていた方が、彼女の生存確率は遥かに上がる。それに、あの新型武装のポテンシャルを最大限に引き出せるのは、ラクスだ。ハインラインの保証付きだ」

 

 

 

 キラはなおも何か言いたげに唇を震わせる。うん、俺やってる事本当最低だよな……なんて思いつつも、その言葉を先回りするように、少しだけ声を落として続けた。

 

 

 

「嫌なら恋人を説得しろ。だがな、キラ。彼女ははっきりと『キラと共に戦いたい』と言っている。その覚悟を無視して、ただ安全な場所に閉じ込めることだけが守ることじゃないってことくらい、お前だって分かっているはずだ」

 

 

 俺の言葉を受け、キラはギュッと拳を握りしめ、格納庫の床を見つめている。アスランやシンは心配そうに見ているが声をかけないのは彼ら自身が決める事だと把握しているからなんだろう。

 

 

 

「……一日だけ時間をやるから。二人でしっかり話し合え、後悔する選択だけはするなよ」

 

 

 

 

 俺はそう言って、キラから視線を外した。ラクスの意思を尊重はしたが、個人的には万が一の事もあって反対だ――なんてのは、ただの自分への言い訳かもしれない。

 

 

 内心では、そもそも十九や二十歳そこらのコイツらを、こんな死の危険が付きまとう最前線に送り込むことすら、出来ることならやりたくはなかったのだ。本当に胸糞悪いし、やるせない。

 

 

 

 

(……何より、キラたちが戦場で死に物狂いで暴れてくれることが、俺自身が生き残るための確率を一番引き上げるんだからな。本当、嫌になるわ…クソが…)

 

 

 

 

 自分の醜い生存本能と打算を自覚しつつも、俺はそれを醜い仮面の下に隠す。ラクスはあの新型兵装の適性に関してはずば抜けて高かったのも事実なんだが、その辺りもアコードの調整が関わっているのか?

 

 

 なんにせよ、ラクスがプラントやオーブに引き篭もるよりキラと二人乗りした方が生き残る確率も上がり、周辺の被害……いや、俺が生き残る確率が高くなるのもまた事実。

 

 

 もう感情を隠すのも慣れてしまった。それでもデュランダルなんかと比べると未熟で普通に顔に出てしまう事もあるらしいけどな。

 

 

 

「はい……一日かけて話し合います。二人でこれからの事も、今後の事も」

 

 

 

 キラが確かな決意を秘めた声でそう答えた。二人でこれからの事も、今後の事も。そのあまりにも真っ直ぐな言葉に、俺の脳内のオタク的アラートが激しく鳴り響く。

 

 

 

 

 あっこれ、だめだ色々な意味で!?折るぞフラグを!

 

 

 

 

「おいキラ! 取り敢えず死亡フラグとして、出撃前に『帰ったら結婚しよう』だのベッドで愛し合うのはやめておけよ!!」

 

 

「なっ……!?」

 

 

 

 案の定、キラは一瞬で耳まで真っ赤にして狼狽えた。よし、これで少しは緊張もほぐれ――「ぐえっ……!!? 痛ってぇぞカナード! 無言で蹴るなや!!!」

 

 

 

 和ませようとした俺の脛に、横からカナードの容赦のないローキックが叩き込まれた。何すんだよと文句を言おうと睨みつけたが、カナードは完全に無表情のままだ。おいマジで殺すかテメェ!!

 

 

 

 

 

「あ、おい、また足――ぎゃあああああっ!!!」

 

 

 

 

 二発目。全く同じ場所に、寸分の狂いもなく追撃の蹴りを叩き込まれ、俺は激痛のあまりその場にうずくまって涙目で悶絶する羽目になった。ちょっとまてジョークと本気の心配も含めてなのに理不尽すぎるだろ!このブラコン野郎が!!?アコードの戦の仕返しなら現地でやっただろ!一回は一回なんだぞテメェ!!!

 

 

 しばらくの間、激痛に悶えていた俺だったが、どうにか呼吸を整えて立ち上がると、次はアグネスの方へと向き直った。キラはなんとも言えない顔をしてるが無視だ無視!

 

 

 

「……アグネス。お前はシミュレーションでインパルスを完璧に乗り回した功績がある」

 

 

 

 俺の言葉に、アグネスはフンと鼻を鳴らして視線をよこす。当然だと言わんばかりにこちらを見つめるが、実際、今のアグネスならポテンシャルを引き出せるという意味においてはある意味シンを超えるレベルの適性の高さだ。

 

 敵を撲滅すると言う点においてはシンやルナマリアの方が適性はある。しかし、アグネスは兎に角生き残ろうとする動きが抜群に上手い。なんせあの鬼畜シミュレーターを乗り越えた女だ。回避しなけりゃ即ゲームオーバーな環境で彼女の回避技量はメキメキと上達している。

 

 

 

「武装を全部載せにしたあのデスティニーよりも、状況に応じて換装できるインパルスの方がお前には適性がある。本来ならルナマリアの機体だが……お前なら、ルナマリア以上に乗りこなしてくれると信じている」

 

 

 

 俺の言葉に、アグネスは不敵な、どこか獰猛さすら感じさせる笑みを浮かべている。

 

 

 実際問題、今のアグネスの技量は間違いなく当時のルナマリアを上回っている。天性のセンスに加え、あのハインラインが作った鬼畜難易度のシミュレーターに何度も心を折られかけながらも向き合い続け、ハイネのアドバイスを糧に、ついにインフィニットジャスティスの撃破という完全クリアを達成したのだ。

 

 

 コンパス内でも数えるほどしかいない完全クリア達成。その到達点は、下手をすればあのイザークとも渡り合えるレベルにまで跳ね上がっている。

 

 

 流石にイザークを打ち負かすのは厳しいだろうが、彼が本気で挑んだとしてもアグネスが瞬殺されることはないと断言できるほどだ。

 

 

 

「当然よ。待ってなさい副総裁。アコードだかなんだか知らないけど……全員、私の手でブチ殺してやるわ」

 

 

 

 その瞳の奥で、ドス黒く濁った憎悪の炎がゆらりと揺れた。あともう一歩で、最愛の恋人を奪った元凶であるミケールをこの手で捕縛できたはずだった。

 

 

 それをファウンデーションの奴らは、自らの謀略を隠すために核で避難民や街ごと消し飛ばしたんだ。彼女の復讐の機会も、積年の執念もろとも。

 

 

 だからこそ、俺はアグネスに最高の復讐の機会を与えてやることにした。この女は確かに傲慢だ。自己愛の塊で、他者との摩擦が絶えない。本人は隠せていると思っているようだが、戦場ではMSで生身のテロリストをなぶり殺すような残虐さも持ち合わせている。プライベートでは絶対に関わりたくないと断言できる相手だ。

 

 

 だが、それでも――彼女は恋人を殺されてからというもの、狂気的なまでに腕を磨き、その復讐のために全てを捧げてきた。なら、俺は彼女を倫理観で裁くつもりはない。ただ、彼女が望む「復讐の場」を、最高のお膳立てと共に提供してやるだけだ。

 

 

 

「期待しているぞ、アグネス。お前のその怒りを、全て敵に叩きつけてこい」

 

 

 

 ……まぁ、実際には色々とある訳で。アグネスにはまた後で二人きりになって色々と話し合う必要もある。彼女にやって欲しいこともあるからな。

 

 

 彼女の返事を待たず、俺は次に背後の壁に寄りかかっている男へと視線を投げる。

 

 

 

「カナード。お前にはドレッドノートイータを頼む」

 

 

「……ああ。任せろ」

 

 

 

  短く、揺るぎない返事。カナード相手に余計な説明など不要だ。この場にいる面々の中で、唯一すでに実戦でアコードを仕留めた経験を持つ彼には、愛機であるドレッドノートイータ以外の選択肢はない。

 

 

 

「カナード、お前には遊撃隊を頼む。傭兵部隊Xのムラサメ改たちを率いて、戦場を縦横無尽に暴れ回ってくれ。キラたちのフォローは、お前の腕が頼りだ」

 

 

 

 カナードは無言で深く頷いた。その鋭い眼光の奥には、隠しきれない怒りと冷徹な闘志が宿っている。レクイエムという無粋な兵器の火に焼かれ、彼は長年共に戦ってきた部下を複数失った。

 

 

 アイツらはいい奴らだった。非番の時には定期的に集まってスマブラやポケモンで盛り上がり、バシレウスの艦内でも同じ飯を食った、紛れもない仲間だったんだ。

 

 

 

 ……それは俺にとっても同じだ。つい最近まで隣で笑っていた人間が死ぬという経験は、想像を絶するほどに辛かった。トダカが囚われているという事実も含め、俺は半日近くトイレで何度も吐き散らして、ようやく表に立てるまで精神を繋ぎ止める事ができたんだ。

 

 

 

 

「……頼むぞ、カナード」

 

 

「……ああ。分かっている」

 

 

 

 短く言葉を交わし、俺は最後の面々へと向き直る。少し離れた場所で手持ち無沙汰にしていたヒルダ、マーズ、ヘルベルトの三人の前へと歩み寄る。

 

 

 彼らドムトルーパー隊の連携は今も健在だが、この最終決戦において俺は彼らに「力」としての別の役割も考えていた。

 

 

 

「ヒルダ、マーズ、ヘルベルト。お前たちには、二つの選択肢を与えよう」

 

 

 

 俺の声に、三人が一斉に表情を引き締める。

 

 

「一つは、前回決戦時と同じドムトルーパーに乗ってもらう事。一応用意はしてるが、お前らならきっと活躍してくれるだろう。そしてもう一つは……」

 

 

 俺は背後のハインラインとエリカさんに目配せを送った。格納庫のさらに深部、まだ誰も足を踏み入れていない調整ブースの奥を見据えながら、俺は宣言する。

 

 

 

「――お前たちに相応しい、新たなMSを受け取ることだ。選べ。これはお前たちの誇りに関わる問題だ」

 

 

 

 張り詰めた沈黙が格納庫を支配する。かつての戦友、死んでいった仲間、そして守るべき未来。それぞれの想いが、この鉄の匂い立ち込める空間で一つに混ざり合っていく。

 

 

 

 いよいよ、終わりが始まる。それにしてもこれが外伝的な話として実際にアストレイでやっているのなら炎上不可避なんじゃねぇか?オカルト要素を持つ相手が出てくるわ、アークエンジェルが沈むわ……まぁ、もう原作とか言ってはいられないけどな。

 

 

 

 最終決戦は、もう目の前だ。その日までにギリギリまでやるべきことはやってやる。

 

 

 

 ……でも!!何度でも言うけど!!できれば今からでもデストロイから離れたいんだけどなぁ!!?

 

 

 

 





・ストライクフリーダム
 お察しの通り通常ストフリではなくビーム系武装を全てドッズ系にした上で追加装備によって強化されたマイティストライクフリーダムがキラの乗機。さらにラクスも攫われていないのでユウナと同じ理由で複座する事に。過剰戦力のように見えると言うか、最早過剰戦力とはいえ実は劇場版と比べると弱体化しています。その理由は原作と違い、ラクスとオルフェが一切接触をとっていないが為ラクスがアコードとして未覚醒である事。これにより原作のような戦域の大部分を掴みこむ電撃攻撃、通称傲慢サンダーはせいぜいハイマットフルバーストの代わりになる程度になっていますし、ディスラプターによる狙撃も不可能。とはいえキラもラクスもメンタルがかなり安定していますので、原作のようなデウス・エクス・マキナと言わんばかりの強さにはなりませんが、それでもオルフェのカルラとも充分に渡り合えるでしょう。

・インパルス
 インパルスにのるのはアグネス。とはいえ彼女には特務が存在しており、その辺りもまた後日。


・ドレッドノートイータ
 むしろこれ以外の機体に乗れと言われれば不満タラタラになっていたでしょうし、ある意味カナードにとっては一年振りの乗機。最新版のアストレイのようにドラグーン装備こそ装備していませんが、部下である傭兵部隊Xのメンバーと共に集団戦として活躍してくれるでしょう。ちなみに傭兵部隊Xのメンバーのムラサメ改は黒寄りのグレー。ハーケン隊のゲルググは真っ黒にパープルのアクセントと少し違っています。

ユウナのアコード対策について。果たしてユウナはアコードの無力化の為になりふり構わない外道な手段(ユウナ視点)を取るべきか?

  • 原作通り。
  • 平和の為に覚悟を決める。
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