破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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第五十七話 アイツらロマンティクスしたんだ!

 

 

 

 何で!?俺とお前にフラグなんて何も無かったよな!?というかどっちかと言えばお前はアスランの寝室に侵入とかしてた記憶あるんだけど!?

 

 

「ちょ、ちょっと待て、ミーア……!」

 

 

 

 俺は反射的に身をよじって、この状況から抜け出そうとした。だが、びくともしない。押し倒されているだけなのに、彼女の小さな両手は俺の肩をガッチリとベッドに縫い付けていて、どうしても抜け出せないのだ。

 

 

 

(いや、そりゃそうだわ……!!)

 

 

 

 普段からデスクワークばかりでほとんど鍛えてもいない俺に比べて、目の前の彼女はあのギルバート・デュランダルが直々に選別した、最高峰のコーディネイターの人材だ。ザクの手の上で歌って踊れる体力の持ち主だぞこの子…!

 

 

 

 いくら小柄なアイドル体型とはいえ、純粋な身体能力のスペックの差は歴然。本気を出されれば、一般成人男性の俺の力など軽く凌駕してしまう。

 

 

 

 

私コーディネイター、強いネ…!

 

 

 

 

 そんな無言の怪力アピールすら伝わってきそうなほど、俺の肩を掴むミーアの握力は強かった。

 

 

 

 

「ステイ! ミーア、ステイ!! 落ち着け!!」

 

 

 

 

 俺は必死に声を張り上げたが、上から俺を押さえつける歌姫の耳には届かない。

 

 

 

「ステイじゃありません! 選択肢は『イエス』か『はい』か『お婿さんになります』の三択です!!」

 

 

 

「それ全部一緒の答えじゃねぇか!!!!」

 

 

 

 あの帝国陸軍の山下将軍でもイエスかノーかで選択肢はあったんだぞ!?選択の自由が完全に死滅しているじゃねぇか!!

 

 

 だが、ミーアは引くどころか、さらに顔を近づけて俺の目をじっと見つめてきた。

 

 

 

「……というか、これでも私、ずっと我慢していたんですよ? デュランダル議長が言っていたんです。『ユウナ君はミーアの居場所くらい、このクソボンボンがいくらでも作ってやるよ、と言っていた』って」

 

 

「は……?」

 

 

 

 その言葉に、俺の思考が一瞬フリーズする。思い返すのはデュランダルとかつて会談した時の自身の言葉。

 

 

 

『今のところ、彼女の正体を公にするつもりはない。……だが、あの子は今、必死に『ラクス・クライン』という与えられた役目を果たそうとしている。まさに、あんたが理想とするデスティニープランの縮図そのものだ。そして何より、彼女はあんたの言葉を、あんたの理想を心から信じている『信者』の一人だろ』

 

 

 

 

『いらなくなったら俺の所に投げろ。ミーアの居場所くらい、このクソボンボンがいくらでも作ってやるよ。暗殺、謀略、扇動……あんたの周りには不穏な空気が絶えないが、忘れるな。』

 

 

 

 

……言ってる!!俺全部あの野郎の前で言ってる!!!あの野郎ミーアに全部バラしてやがったのか!?

 

 

 

 

「私、あの時は影武者としての役目を終えたら殺されるんだって、ずっと思ってました。でも、議長から聞いたんです。ユウナさんが私のことをずっと気にかけてくれていて、議長にこう言ってくれたって……」

 

 

 

 ミーアはふっと表情を和らげ、どこか誇らしげに、俺がかつて放ったという言葉を口にした。

 

 

 

「『いらなくなったからって始末するような真似をしてみろ。……もしそんなことをしたら、俺が直々に、あんたのその整った前髪を一本残らずむしり取ってやるからな!』って」

 

 

 

 

 

(あんの、種無し浮気ちんぽ野郎がァァァァ!!!)

 

 

 

 俺は内心で、今は脳みそをいじり倒している元議長に最大級の罵声を浴びせた。

 

 

 

 確かに言った! 保身のためとはいえ、ミーアが死んだら後味が悪いから種無し浮気ちんぽ野郎に釘を刺した記憶はある! だけどそれを全部本人に暴露するんじゃねぇよ!?

 

 

 

「……そんなこと言われて、守ってもらって、好きになるに決まってるじゃないですか。しかもそれだけじゃありません。ラクス様からも聞いたんです。ユウナさんが私のことを気にかけつつ、接触を最小限にしているのは……枕営業とかを疑われて私の将来に泥を塗らないためだって!」

 

 

 

「ラクス!?」

 

 

 

 思わず声が裏返った。いや、確かにそんな会話もしたけどさぁ!!

 

 

 

 デュランダルと言いラクスと言い、何本人に筒抜けにしてくれてんだ! C.E.の歴史を裏から操った最強の為政者コンビが、よってたかって俺のプライベートの外堀を埋めたててんじゃねえよ!!

 

 

 

 

「お、落ち着け! 落ち着けミーア! 一旦離れよう、な!?」

 

 

 

「い・や・で・す!!」

 

 

 

 俺は必死に宥めようとしたが、ミーアの答えは断固としたもので頑なだ。

 

 

 

 両肩をガッチリと押さえつけるその指先から、彼女の強い意志が伝わってくる。恋する女の子は強いと聞くがマジで強すぎるだろこの子!?

 

 

 

 

「だ、だって君、アスランのことが好きだったんじゃないのか!? ほら、寝室に潜り込んだりとか、色々アタックしてただろ!?」

 

 

 

 嫌われること前提で、過去の彼女の奇行を突いてみた。いや奇行と言うよりは彼女なりにラクスの婚約者であるアスランと向き合おうとした結果なんだろうが。

 

 

 

 だが、ミーアは心底嫌そうな顔をして、ふいっと鼻を鳴らしたのだ。

 

 

 

 

「アスラン?あの人はカガリ様一筋ですし、それに、ザフトから退職する時に『君の歌唱時のピッチの甘さと、ファンサービスにおける改善点』を30個くらいまとめたレポートを渡されて、普通にドン引きしましたから!」

 

 

 

「さ、30個……!?」

 

 

 

 

 アスランの野郎、この世界で『報連相の化身』として覚醒した結果、ミーアとの関わり方も史実とは全く違う方向へ暴走していたらしい。

 

 

 

 というか何やってんだよアイツ……! 何が悲しくて影武者トップアイドルにガチのダメ出しレポート送りつけてんだよ!

 

 

 

 俺がアスランのあまりの不器用さに内心で頭を抱えた、その瞬間だった。

 

 

 

「――だから、私はユウナさんがいいんです。もう絶対に逃がしませんから」

 

 

 

 

 甘い吐息が、すぐ目の前で漏れる。何かを言い返そうと俺が口を開きかけた、まさにその刹那。

 

 

 

 

 ミーアの顔が急速に迫り、俺の唇は彼女の柔らかい唇によって完全に塞がれた。

 

 

 

 

「んむっ……!?」

 

 

 

 

 驚愕に目を見開く俺の抵抗など、コーディネイターの膂力の前には無力だった。ミーアはそのまま、まるで俺の全てを奪い去るかのように強引に舌を滑り込ませてきた。

 

 

 

 

 息を呑む暇さえ与えられず、口内を縦横無尽に蹂躙されるような、深い、深いディープキス。互いの唾液が混ざり合い、熱を帯びた吐息が鼻腔をくすぐる。どこまでも貪欲に、俺の存在を確かめるように絡みついてくる彼女の舌に、俺の思考回路は完全にショートする寸前だった。

 

 

 

 

 肺の空気を強引に吸い上げられていくような感覚の中で、俺の耳には、かつてデュランダルが言っていた『ミーアの居場所』という言葉が、皮肉にも全く違う意味を持ってリフレインしている。

 

 

 

 

 

 どれほどそうしていただろうか。ぷは、と濡れた音を立ててミーアの唇が離れた。

 

 

 

 

 彼女の呼吸は荒く、その瞳は潤んでいる。だが、そこに宿る光はどこまでも真剣だった。

 

 

 

 

「……はぁ、はぁ。ユウナさん……好きです。大好きです」

 

 

 

 

 改めて紡がれる、熱を帯びた告白。俺が酸欠で頭をクラクラさせていると、彼女は俺の胸元を掴んだまま、少しだけ自嘲気味に微笑んだ。

 

 

 

「ユウナさんは、嫌なんですか……? そりゃ、そうですよね。私はラクス様と同じ顔に整形している、卑怯な女です。それに……元の私の顔なんて、コーディネイターなのにイマイチでしたから」

 

 

 

 

 そう言って彼女は、空いた方の手で懐から一枚の写真を取り出し、俺の目の前に突きつけた。

 

 

 

 そこに写っていたのは、派手なピンクの髪ではなく、どこか地味で、だが歌が好きだと懸命な光を瞳に宿した黒髪の少女の写真だった。整形前の、ミーア・キャンベルの本当の姿。

 

 

 

「これでも……胸とかは、全部自前なんですよ? そこそこ自信はあるんです」

 

 

 

 彼女は写真を握りしめたまま、上目遣いで俺を射抜く。その目には、捨て身の覚悟が宿っていた。

 

 

 

「……今、答えてください。もし嫌なら、私は一生、貴方に近づかないようにします。でも……もし、少しでも私を、ミーア・キャンベルという一人の女として見てくださるなら、私は貴方のために、何だってしてあげますから」

 

 

 

 究極の二択。

 

 

 

 彼女のあまりにも真っ直ぐで、痛々しいほどの覚悟を前に、俺の喉がごくりと鳴った。

 

 

 

 逃げ道はない。俺が口を開き、何かを言おうとした、まさにその瞬間だった。ミーアがそれを遮るように、一際強い口調で言い放った。

 

 

 

「言っておきますけど! 枕営業云々とか、私の将来に泥を塗らないためとか……そんなこと、今の私に言うつもりですか!? そんなの、気にすると思ってますか!?」

 

 

 

 俺が口にしようとしていた保身混じりの言い訳を、彼女は完璧に先回りして叩き潰した。

 

 

 

「私は、ラクス様の歌ではなく……私の歌で、そんな醜聞なんて全部乗り越えるだけの覚悟は、とっくにあります! だから……だから、私から逃げないでください、ユウナさん!!」

 

 

 その叫びは、一人の少女の魂の咆哮だ。偽物の歌姫が、自らの意志で、本物の恋を掴み取るための、本物の決意がそこにあった。

 

 

 

 

(ラクス……ごめん、俺が間違ってた)

 

 

 

 俺は内心で、かつて意味深な笑みを浮かべていた本物の歌姫に全力で謝罪した。

 

 

 

『今回は、引き下がりますわ。ですが、頭の片隅にでも置いておいてください。ミーアはきっと、そのような世間の疑惑やレッテルさえも乗り越える覚悟を持っています。そして、何より……貴方を支えようとする強い覚悟も、彼女は既に持っているはずですから』

 

 

 

 あの時、ラクスが言っていた言葉。それは単なる世間話でも、強引にくっつけようとするお節介でもなく、純然たる「真実」だったのだ。

 

 

 今になって思えば、ミーアはとっくにラクスに相談していたのだろう。でなければ、あの洞察力の塊のような女が、こんなピンポイントな助言をしてくるはずがない。

 

 

 俺は至近距離で自分を押し倒しているミーアを、じっと見つめた。整ったその顔は、確かに本来の物ではなく、整形によって作られたラクス・クラインの偽物だ。だが、その瞳に宿る光も、今俺を束縛している体温も、紛れもなく彼女自身のものだった。

 

 

 

 性格は善良でユーモアがあり、スタイルは抜群に良く、その覚悟も妥協も並大抵ではない。

 

 

 普段は甲斐甲斐しく尽くしてくれて、心が擦り切れた時には優しく癒やしてくれる。そして、もし俺が暗黒面に堕ちて道を間違えそうになった時は、その細い脚で尻を蹴り倒してでも止めてくれるに違いない。

 

 

 

 年上ではないが、むしろ年下だからこその危うさとギャップがあって、男としてこれ以上の贅沢があるだろうか。

 

 

 

 これほどの勇気を振り絞り、プライドも何もかもを投げ打って積極的に迫ってきてくれる女の子を、保身の言い訳を並べて拒絶することなんて、俺にできるはずがなかった。

 

 

 

 いや、男として、そんな魅力的な彼女を突っぱねろと言う方が、色々な意味で無理というものだ。

 

 

 

「……はぁ。いい、分かった! もう今更、とやかく言うのは無しだ」

 

 

 

 俺は観念して、両手を少しだけ上げるようにして降伏の意を示した。

 

 

 

 だが、そのままミーアの潤んだ瞳を真っ直ぐに見据え、声音を一つ落として真剣に告げる。

 

 

 

「でもな、ミーア。あらかじめ言っておくぞ。俺には、君にも誰にも言えない、墓まで持っていく秘密(前世の記憶)がある。それに正直、君が知れば二度と俺と関わりたくなくなるような暗部にも、俺はいくらでも手を染めている」

 

 

 

 俺が握りしめるこの世界のアドバンテージ。そして、生き残るために踏み越えてきた、お世辞にも綺麗とは言えない数々の謀略。

 

 

 死刑囚から脳味噌と脊髄を抜き取って生体デバイスにするなんて外道を行って、数千人の無関係の人間が基地ごと粛清されても鼻で笑う様な精神性の男が俺なんだ。

 

 

 

「それに俺は精神的に不安定でね。ある日突然、恐怖に負けて全くの別人のようになってしまう可能性だってあるんだ。……それだけじゃない。俺は将来、セイランの名前を歴史に残すつもりは一切ない。もし君との間に子供ができたら、その子には『キャンベル』の名前を継がせる予定だ。名誉も、君の栄誉になるような輝かしい実績も、資産も何もかも、君が望むようなものを用意してやれないかもしれない。そんな男だぞ、俺は」

  

 

 実際俺の人格が死ぬまで『俺』であるかどうかなんて事も分からない。ある日突然『ユウナ』の人格に戻ってしまう可能性だってあるし、もしそうなれば彼女にどれだけの絶望を与える事になるのかは想像もできない。

 

 

 

 名前だってそうだ。俺は二度とセイランの名を残すつもりはない。暗部を知れば知るほどこの家の名は残すべきではないと決めているんだ。俺が最後のセイランでなければならないと。

 

 

 俺はもう一度、念を押すように彼女に問いかけた。

 

 

 

「それでもいいのか? こんな、中身はただの臆病者で、薄汚れた俺でも……本当にいいのか?」

 

 

 

 するとミーアは、俺を押し倒しながらも、ふふっと嬉しそうに、そしてどこか勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

 

 

「子供ができたらキャンベルの名を、なんて言っている時点で、ユウナさんは私との間に子供ができても構わないって思ってくれてるんですね」

 

 

「あ……」

 

 

 

 言われてみればその通りだ。墓穴を掘った、と気づいた時にはもう遅い。

 

 

 

「当然です! そんなの、いいに決まってますよ。式などは私の本格的なデビュー前にさっさと終わらせちゃいましょう! むしろ、枕営業云々と私のことを気にしてくださってますけど、ユウナさんこそ、私みたいなアイドルをハニートラップで引っ掛けたクソ野郎とか言われますよ?」

 

 

「俺の醜聞なんて数え切れないほどある。今更一つや二つ増えたところでどうでもいいさ。……分かった。覚悟を決めて、改めて俺から言わせてもらおう」

 

 

 

 俺はミーアの目を真っ直ぐに見つめ、その小さな手を握り返そうとしながら、男として。自分を好きだと言ってくれた女の子に改めて返事をしようとして……。

 

 

 

 

 

「ミーア、俺と……あっ、ごめん。今のなし!!」

 

 

 

 

 

 言いかけた言葉を強引に飲み込み、首を振る。その瞬間、俺の肩をベッドに縫い付けているミーアの指に、ぎゅっと恐ろしいほどの力がこもった。コーディネイターの膂力が俺の骨を軋ませ痛い痛い痛い!!!!

 

 

 

「い、いやごめん! マジでごめん!! ここで告白する流れなのは分かってる! でも! でもな!?」

 

 

 

 俺は必死に弁明を開始した。いやゴメンて!本当にゴメンて!!俺だってここで告白しないといけないことくらい分かってるよ!?ヘタレな行動とかダメなことくらい理解してるよ!?

 

 

 

 でも、でもなぁ!!

 

 

 

「ここでそれを言ったらもうこれ以上にないレベルの『死亡フラグ』になるから!! 考えてみてくれよ、ミーアみたいな最高に可愛い女の子に逆プロポーズされた男がだぞ? 『俺、この戦いが終わったら結婚するんだ』って言ったり、その……出撃前の部屋で色々と淫らなことをしてみろ! 絶対に死ぬ! 確実に死ぬ! フラグ的な意味で、跡形もなく爆散する未来しか見えねぇんだよ!!」

 

 

 

 歴史の修正力という見えない死神に怯える俺の、魂の叫びだった。

 

 

 

 俺の必死すぎる形相と、あまりにもメタでオカルトな理由を聞かされたミーアは、一瞬だけキョトンとした表情を浮かべ、そして、はぁぁぁぁ……と、この日一番の深い、深いため息を吐き出した。

 

 

 

「……分かりました。確かに、ユウナさんに死亡フラグを折れずに死なれたら、私も困ります。多分後追いします」

 

 

「それはそれで困るんだけどな……」

 

 

 

 ようやく納得してくれたらしく、俺の肩にかかっていた体重がふっと軽くなる。ミーアはベッドから下りると、小さく微笑みながら呟いた。

 

 

 

「正直、ここで私としても、ユウナさんがもし断ったとしても、強引にお情け(既成事実)をもらっちゃおうと思っていましたし……」

 

 

(こっわ……!! マジで肉食系だったのかコイツは……!!)

 

 

 

 内心で冷や汗をダラダラと流しながら、俺はベッドの上で起き上がる。

 

 

 これからの俺の人生、間違いなくこのイツワリノウタヒメの尻に敷かれることになるのだろう。そんな確信めいた予感が頭をよぎる。

 

 

 

 だが、悪くない。

 

 

 

 俺は照れ隠しに頭をガシガシと掻きながら、少し顔の赤い彼女に向けて言葉を絞り出した。

 

 

 

「まあ、その……何だ。これからもよろしく頼む、ミーア」

 

 

「はい! よろしくお願いします、ユウナさんっ!」

 

 

 

 ミーアは花が咲いたような満面の笑みを浮かべた――かと思えば、その勢いのまま、今度はとても自然な、流れるような動作で俺を再びベッドへと押し倒してきた。

 

 

 

 先ほどのような強引な怪力ではない。優しく、だが決して逃がさないという確固たる意志を感じる力。密着する彼女の体温が、ダイレクトに俺の肌に伝わってくる。

 

 

 

「……ミーア? ミーアさんや? もうフラグは回避したはずでは……?」

 

 

 困惑する俺の顔を覗き込みながら、ミーアは人差し指を顎に当てて「うーん」と首を傾げた。

 

 

 

「よく考えると、どちらにせよ同じなのでは? と思いまして」

 

 

 

「は……?」

 

 

 

「この戦闘が終わったらプロポーズするのも、出撃前に女の子とえっちをすれば死亡するのも、確かにそういう有名な作品はありますけど……」

 

 

 

(この子、サブカルに関して、ある程度知識あるのかよ……最高かよ)

 

 

 

 ミーアの口から飛び出た意外なオタク知識に、俺の脳の片隅が「最高」と拍手を送る。だが、彼女の追撃は止まらない。

 

 

 

「でもですね、既にこうして気持ちが通じ合って恋人になった時点で、とやかく言っても結果は変わらないと思います! 出撃前に女の子とえっちすれば死亡するフラグもあれば、『これが終わったら女の子とエッチするんだ』って約束して出撃するのも、どっちも同じくらい強力なフラグじゃないですか?」

 

 

「……そうかな、そうかも……」

 

 

 

 言われてみれば、そんな気がしてくるから不思議だ。完全に彼女のペースに巻き込まれている。

 

 

 

「それなら!」

 

 

 

 ミーアは俺の唇に、今度は小鳥のついばむような軽いキスを落とした。そして、その潤んだ瞳に妖艶な色を乗せて、耳元で甘く囁く。

 

 

 

「私は、自分の意思で……好きな道を選びます!」

 

 

 

 

 それは、彼女なりの宣戦布告。

 

 

 

 そう宣言した彼女は、もう俺の言い訳など一切耳に入らないとばかりに、全身から色気を放ちながら俺に覆いかぶさってきた。

 

 

 

 これほどの美少女に、そこまで真っ直ぐな情熱をぶつけられて、耐えられるほど俺の自制心は頑丈にできていない。抗うことを諦めた俺は、そのまま彼女の甘い罠へと溺れていき、その熱を貪るようにして、長い出撃前の時間を二人だけで塗り潰していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やがて訪れた、嵐のあとのような静けさ。乱れたシーツを胸元まで引き上げ、真っ白な肌を隠したミーアが、俺の腕の中でくすくすと悪戯っぽく笑っていた。

 

 

 

 

「ふふっ、ユウナさんって意外と甘えん坊なんですね」

 

 

 

「……うるさい」

 

 

 

 

 俺は顔を真っ赤にしながら、ミーアの胸に顔を更に埋めてしまう。やっちまった。完全に、やっちまった。

 

 

 

 これまで生き残るためにずっと張り詰めていた色々な我慢が決壊したのと、何でも受け入れてくれるミーアの底なしの優しさに溺れてしまい、後半は相当甘えてしまった自覚がある。

 

 

 

 仕方ねぇだろ肉体的にはヤリチンでも中身は童貞なんだぞ、リードどころか逆にリードされたわ。ハジメテの女の子にリードされる背徳感よ。

 

 

 今から冷静に考えても、年下の子に俺は何をやってるんだと、日頃のストレスからくる自分の醜態を思い出しては、今度はミーアの胸の中で悶えていた。

 

 

 

 えっ、そんなに恥ずかしいなら胸から離れろって? 無理だ、物理的にも精神的にも、色々な意味で無理。

 

 

 

 

 というか、改めて至近距離で実感するが……デッカ……!

 

 

 

 前世の記憶を含めてもこれが正真正銘のハジメテだったのだが、とにかくヤバかった。胸って、あんなに凄いものだったんだな……。

 

 

 

 ヤバい、ヤバい、ヤバい。

 

 

 正直、まだまだ全然足りない。一晩中どころか、三日三晩ぶっ続けでミーアの身体に溺れていたい……。

 

 

 

 脳裏に焼き付いているのは、彼女の圧倒的な柔らかさと、きめ細やかな白い肌の質感だ。触れるたびに伝わってくる熱、甘い吐息、そして何より、俺を心底愛おしそうに見つめてくる潤んだ瞳。

 

 

 

 これまで生存のために、あらゆる三大欲求を極限まで押し殺して生きてきた反動だろうか。一度その禁忌の味を知ってしまった俺の脳内は、まるで焼き切れた回路のように、ミーアの放つ強烈な雌の魅力だけで埋め尽くされていた。もうダメだわ、オルフェ宰相云々よりミーアのおっぱいしか考えられねぇ。

 

 

 

 そんな理性を溶かすような欲望が脳内を埋め尽くす中、俺は生き残るための執念を振り絞り、断腸の思いで彼女の胸から身体を引き離した。

 

 

 

「……もう、行っちゃうんですか?」

 

 

 

 シーツを抱きしめたまま、上目遣いで寂しそうに聞いてくるミーア。あークソ!マジで可愛いなぁ…!

 

 

 

 ラクスとそっくりだがハジメテを迎えて分かったが全然違う、フェロモンというかなんというか、確かにラクスは成長してスタイルは良くなってるがミーアもまた『デカく』はなってる。

 

 

 しかし、それ以上に今の俺なら例え目隠ししてもミーアとラクスを声だけで判別可能だと断言できる程度にはミーアの事を理解してしまった。

 

 

 

 

「行きたくねぇよ、本音を言えばな……!」

 

 

 

 

 俺は悔しさに血涙を流さんばかりの勢いで叫びつつ、照れ隠しに顔を背けて言葉を絞り出す。

 

 

 

「……続きはまた、この戦いが終わってからだ。というか、その……また頼む、な」

 

 

 

 それは恥を忍んでの予約というか、男としての情けない懇願だった。あんなもん一回経験すれば忘れられるはずもない、正直愛人扱いされるの無視してミーアを常にミレニアムの部屋に待機してもらい癒されたい。

 

 

 

 なんでランバ・ラルやユーリ・ケラーネが女をすぐ側に常に置いていたのか理解できてしまう程度にはアホになっているというか、自分でもわかるくらい浮かれて馬鹿になっていた。俺もうダメだ下半身の事しか考えてねぇ……いや乳のほうだから上半身か?

 

 

 

 だがミーアは、そんな俺の言葉を嬉しそうに微笑みながらしっかりと受け止めてくれて、せめてミーアと婚約する以上、彼女に溺れまくり都合の良い性奴隷の様に絶対に扱っちゃダメだと改めて決意するのであった。

 

 

 

 

 

 ……と、そこまでは綺麗に(?)まとまったはずだったんだが……。

 

 

 

 

 だが、その直後。ベッドから這い出して服を着替えている途中のことだ。ズボンを履き、シャツのボタンを留めようとした俺の視線は、どうしてもベッドの上の彼女へと向かってしまう。

 

 

 

 

 というか、隠す気があるのかないのか分からないシーツの隙間から覗く、その圧倒的な双丘の存在感に、俺の目が磁石のように吸い寄せられていた。

 

 

 

 ガン見、という言葉すら生ぬるい。獲物を狙う肉食獣のような視線を、俺は無意識に彼女の胸へと注ぎ続けていたのだ。

 

 

 

 そんな俺の熱視線に気づかないミーアではない。彼女はフフッと悪戯っぽく、まさに小悪魔のような笑みを浮かべると、あろうことか自らシーツを少し引き下げた。

 

 

 

 

「ふふっ、そんなに見つめて……。ねぇ、ユウナさん。あと一回、どうですか?」

 

 

 

 

 確信犯だ。わざとらしく、たわわな胸元を強調して見せつけながら、彼女は甘くとろけるような声で誘いかけてきたのだ。

 

 

 

 その瞬間、俺の中でギリギリ繋ぎ止められていた理性のブチ切れる音が、頭の中で盛大に響いてしまい…。

 

 

 

「……お・い・で♡」

 

 

 

 

 

 手を広げてくるミーアに胸にダイブしてしまい……結局、出撃のギリギリ直前だというのに、我慢できずにもう一戦ヤらかしてしまった。

 

 

 

 

 乱れた隊服を大急ぎで整え、何食わぬ顔を取り繕って部屋を出る準備をしながら、俺は内心で深い、深いため息を吐いた。

 

 

 

 

 俺って、マジでハニートラップに激弱だったんだな……。

 

 

 

 

 それまでずっと、生き残るためにハニトラに怯えて性欲関係に関しては、我慢してきて本当によかった。もしも自分でさえ気が付かない、そんな一面を敵の工作員に突かれていたら、一瞬でオーブの国家機密を全部売り渡していただろうからな。

 

 

 

 

 ……だが、それでも――。

 

 

 

 

 

 胸を満たす幸福感と満足感、そしてミーアの温もりに、俺は「絶対に死んでたまるか」という生への執念を、これまで以上に強く滾らせるのであった。

 

 





・ロマンティクス
 ユウナは知らなかったとはいえミーアに関してはもうずっと前から議長+ラクスのせいでフラグが補強されまくっており、そんな中ユウナが死ぬかもしれない国家の存亡をかけた戦いに赴く事を知ったミーア。彼女としても実は内心相当勇気を持った行為(エッチな意味ではない)であり、最悪断られても一晩だけでもと一夜の関係を認めていたかもしれません。仮にここで彼女が動かなければミーアルートはかなり厳しくなったでしょう。

 なおユウナとしては初夜は最高だったとはいえある意味では最悪だった模様。普段から戦場や議会に年下の人間を出したくないだの言っておきながら、ベッドの上では今まで溜まりに溜まりきっていたストレスだったり孤独感といったものが溢れてしまい。後半は相当甘え尽くしてしまったようで思い出すだけでも悶絶したくなる程度には年下で初めてなミーアにリードされまくって腰ヘコしてたそうな。ピロートークで初夜の感想が甘えん坊だの可愛いだのと言われてユウナの尊厳は最早崩壊を通り越して砂状になっていますよ……。

・支援度
あくまで裏設定ですがファイヤーエムブレムシリーズで例える支援度いうのなら、現在はミーアが唯一の支援Sと言ったところ。たった一晩で支援Sになるとか何なのこの子…。なお他の主要キャラを支援度を表で表すと。

支援A +
デュランダル
支援A
カナード、ハインライン
支援B
キラ、カガリ、アスラン、アーサー、シン、トダカ(父親代わりと言ってない)、コノエ、エリカ(本来Aだが既婚者な為ここで固定)
支援C
マリュー、ムウ、ヒルダ、ラクス、ハイネ、アグネス、イザーク、ミナ、ミヤビ
支援会話なし
ババ(そもそも会話が噛み合わない上にユウナが関わりたがらない)、ルナマリア、メイリン、レイ、タリア、タツミ、ロウ、劾

 このようなイメージ。なおルートによってはミナ、ミヤビ、アグネス、メイリン辺りは普通に婚約ルートはありましたし、派生ルートなら例えばミナともう少し会話が多ければラス・ウィンスレットルートも解放されていたり。

 実はアスランが報連相の化身になる前はとある女性かラスの二択度迷ったりしていましたが、アスランの報連相ルートがボツになったことでシナリオが書き直され結果としてミーアルートになったという裏事情があったりします。

ユウナのアコード対策について。果たしてユウナはアコードの無力化の為になりふり構わない外道な手段(ユウナ視点)を取るべきか?

  • 原作通り。
  • 平和の為に覚悟を決める。
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