破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》 作:kiakia
ファウンデーション軍が大量破壊兵器レクイエムを盾に全世界を恫喝し、デスティニープランの受け入れを迫る回答期限まで、残り数時間を切った頃。
宰相オルフェ・ラム・タオは、占拠した宇宙要塞アルテミスからオーブ本国へ向けて、長距離通信を開いていた。
「アスハ代表? これは一体、どういうことかな?」
不機嫌さを隠そうともしないオルフェの視線の先――モニターに映し出されているのは、オーブの領海。そこでは、世界平和監視機構コンパスの超大型空母ミレニアムがこれ見よがしに出航準備を整えていた。
それだけではない。周囲にはオーブの主力艦隊がずらりと並列し、まるでその壮途を見送るかのように構えているのだ。
単独での大気圏突破能力を持つミレニアムのこの動きは、回答期限など端から無視し、レクイエムへ向けて単独で殴り込みをかけるという明確な意思表示に他ならなかった。
「我々の警告を無視して、ただで済むと思っているのか」
オルフェは、不敵な笑みを浮かべる近衛師団長シュラ・サーペンタイン、そして冷酷な瞳で画面を睨みつける幼き女王アウラ・マハ・ハイバルを背後に従え、傲慢な態度でカガリに警告を突きつけた。
しかし、画面の向こうに立つカガリは、眉一つ動かさなかった。それどころか心底見下した冷ややかな、ゴミを見るような蔑むような視線を彼らに向けた。
「……だからどうした?」
「何……?」
「そもそも我が国は、外交上そのような文書も連絡も一切受け取ってはいない。それとも何か? あのような幼稚極まりない、恥知らずな世界征服を夢見る妄言を、貴殿らは本気で『外交』だと認識しているのか?」
カガリは、吐き捨てるようにそう言うと、傲慢な宰相たちを前にして鼻で笑ってみせた。
内心、オルフェもまた、まさかレクイエムという絶対的な破滅の槍を向けられながら、一切の言い訳も挟まず、これほどまでに強気な発言をしてくるとは思っていなかった。
そもそも彼らにとってカガリ・ユラ・アスハという存在は、あの怨敵ユウナの都合の良い傀儡に過ぎない、無力なナチュラルの小娘という認識だったのだ。アークエンジェル隊を失い、いよいよ自暴自棄にでもなったのかとすら感じる程に彼は呆然となる。
「貴様……! よくもそんな無礼な口を……!」
案の定、女王アウラが顔を真っ赤にして激怒するが、オルフェは手でそれとなく母を黙らせると、不気味なほどに落ち着いた笑みを保ったまま、重々しく言葉を返した。
「成る程。オーブの獅子の末裔ともあろう方が現状を、ご自身の軽率な言葉一つで国家の命運がどうなるか、全く理解できていないようですね」
哀れむようなその皮肉に、しかしカガリは冷徹な視線を返す。その瞳には迷いはなく、呆れ果てた愚か者を見る様な目であり。キラ・ヤマト以下の下等生物と言って良い存在にその様な目を向けられる苛立ちがオルフェの中に募っていく。
「そちらこそ、回答期限に五日も与えるなどという、愚かな真似をしたものだな。プラントの賊軍を受け入れた、ならず者国家にふさわしい愚物ぶりだ」
「何だと……?」
「お前たちがなりふり構わず、最初からレクイエムで各国の主要国家を焼き払っていれば、間違いなく我らは何も出来ずに敗北していただろう。だが、お前たちは我々に時間を与えてみせた。そう、その時間こそが……お前たちが自らの敗北のために、自ら用意した墓穴にほかならないのだからな」
カガリの痛烈な挑発に、オルフェはいよいよ不愉快さを隠さず、オルフェの彫刻のように整った表情もまた冷酷な怒りによって暗く歪んでいく。
「……身の程知らずな戯言を。そこまで愚かなのであれば、貴国には国ごと消滅してもらう他ありませんね」
「やれるものならやってみろ。……それとも、彼女を見てもまだ同じことが言えるのかな?」
カガリが不敵な笑みを浮かべ、傍らのスタッフへ視線で合図を送った。
直後、オルフェたちの目の前にあるメインスクリーンの一部に、新たな通信ウィンドウが割り込む。そこに映し出されたのは、静かに目を伏せた一人の女性であった。
ふわりと広がる、夜明けの空を思わせる淡い桃色の長い髪。ゆっくりと瞼が開かれれば、そこには揺るぎない意志を秘めた、深く澄んだ瑠璃色の瞳があった。その凛とした佇まいは、かつて幾度も戦火を止め、プラントを、そして世界を導いてきた平和の象徴そのもの。
紛れもない、ラクス・クラインの姿であった。
「なっ……!?」
画面の向こうでオルフェが息を呑み、シュラやアウラもまた驚愕に目を見開く。
「お前たちがオーブを焼き払えば、ラクスは我々と共に死ぬ。そうなればプラントを中心としたコーディネイター社会は、まず間違いなくお前たちを許すことはないぞ。……影武者だと思うか? 結構、ならば撃てばいい」
カガリの言葉を静かに引き継ぐように、画面の中のラクスがオルフェたちを真っ直ぐに見据えて口を開く。
「果たして、私はどちらなのでしょうか。影武者であるか、それとも本物であるか。……いえ、セイラン副総裁の言葉を借りるのであれば、どちらでも構わないのでしょう。影武者であっても本物であっても、ラクス・クラインという象徴を撃ったという事実が知れ渡った時、果たしてプラントは……そして貴方たちと合流したクーデター軍の兵士たちは、どんな反応をするのでしょうか?」
オルフェは、画面の向こうのラクスを射抜くように凝視した。本物なのか、それとも完璧に化けた偽物なのか。アコードの能力を以てしても、地球からアルテミスまで距離が離れすぎていては思考を読むことなど不可能だった。
何度も慣れ親しんだ彼女の歌やスピーチなどを思い返してみても、口調や言葉の選び方で真偽を把握しようとしても、あまりにも『ラクス』に酷似しすぎていて、彼らには判別がつかないのだった。
オルフェにとって、彼らが用意したあの影武者の女は、よりにもよって安物の飴を自分に恵んできた、底の浅い愚かな女という認識だった。しかし、今こうして画面越しに対峙しているラクスは、あまりにも真偽の判別がつかない。
たった一日だけ接したあの影武者のラクスは、その言動の節々から天真爛漫な明るさが隠しきれずに滲み出ており、オルフェの目からすれば実に分かりやすかったのだ。
だというのに、目の前で静かに微笑むラクス・クラインは、完璧に「歌姫」としての静謐な威厳を纏っており、付け入る隙がまるで見当たらなかった。
オルフェが内心の動揺を押し隠そうとしていると、カガリが冷笑を浮かべ、さらに追い打ちをかけるように言い放った。
「ユウナから聞いたぞ。お前、ラクスと結ばれたいんだってな? それが与えられた役割なのか、それとも身の程知らずな恋慕なのかは知らんが……既にラクスは私の弟に夢中で、心から恋慕している。お前はただの、滑稽な間男に過ぎないのではないか?」
「……キラ・ヤマトは、あの核の炎に巻かれて消え失せたはずではないのか?」
その痛烈極まりない侮蔑の言葉に、オルフェはいよいよ表情を消し、机の下で拳を血が滲むほどに強く握りしめた。
怒りを押し殺したオルフェの問いに、カガリはただ、小馬鹿にしたように鼻で笑ってみせた。
「さて、どうだろうな? それより、そんなことを悠長に気にしていて良いのか? ミレニアムはそろそろ、お前たちに殴り込みをかける準備を終えるぞ」
オルフェが視線をミレニアムの映像に戻すと、確かに同艦は徐々に大気圏突破のためのエネルギー充填を開始し、抜錨の構えを見せていた。
(時間稼ぎか……?)
オルフェの脳裏に疑念がよぎる。だが、カガリはそんな彼らの思考を遮るように、画面の向こうで堂々と、そして傲慢な敵を真っ向から見下すように指を突きつけた。
「さて、これからはもっと面白いことになるが……あえてお前たちの恐喝に、オーブ代表として返答してやろう!」
その瞬間のカガリの立ち姿は、かつて「オーブの獅子」と呼ばれた亡き父、ウズミ・ナラ・アスハの持つ圧倒的な威厳と見事に重なっていた。だが、今の彼女はただ真っ直ぐなだけの少女ではない。
自身の純粋な心根はそのままに、父が持っていた大局を見る柔軟さ、そしてユウナという、手本にするべきか否か賛否両論ある規格外の男から吸収した「国を守るためなら泥に塗れることも厭わない」冷徹な強かさをも血肉に変えていたのだ。
父の遺志と、元婚約者である男の智慧。その双方を呑み込んだカガリは、尊大な侵略者たちに向けて、かつての父すら見せたことのない獰猛な笑みを浮かべて指を突きつけた。
「かかってこい! 相手になってやる!!」
カガリの啖呵と共に通信が激しく切断されたのと、ほぼ同時だった。
宇宙要塞アルテミスの司令室に、けたたましいアラートが鳴り響く。
「閣下、緊急事態です!」
「……どうした!?」
カガリの挑発に青筋を立てていたオルフェが、苛立ちを隠さずにオペレーターを振り返る。
「ミレニアムよりこちらに……いえ! 国際救難チャンネルを使って、全世界に向けて通信が発信されています! それも発信規模が桁違いです。地球圏全土、そしてプラントに至るまで、あらゆるネットワークが強制ジャックされています!」
「何だと……!? 今すぐそれをメインスクリーンに表示しろ!!」
オルフェの怒号に近い命令によって、ノイズ混じりに大画面が切り替わる。そこに映し出されたのは――ニヤニヤと人を食ったような、心底楽しげでわざとらしい挑発的な笑みを浮かべる一人の男の顔だった。
高級なスーツに身を包んだその姿は、一見すると特権階級の甘さを残した軽薄な男そのもの。しかし、前大戦にて小国であるオーブを大国からの侵攻から防いだ功績は計り知れず、軽薄な笑みの裏に不気味さすら感じられる。
オルフェはいよいよその端正な顔を憎悪に歪ませ、忌まわしいその名を血が出るほど歯噛みしながら吐き捨てた。
「……ユウナ・ロマ・セイラン……!!」
『――ハロー!全人類の皆様、ご機嫌よう! 突然のお耳を汚し、失礼いたしまーす……私はオーブ連合首長国所属!コンパス副総裁のユウナ・ロマ・セイランでございます!』
大画面に映し出されたユウナは、これ以上ないほどに芝居がかった、鼻につくジェスチャーを交えて語り始める。
カメラを指差し、大仰に肩をすくめ、その表情は観る者すべての神経を逆撫でするような、「気取った道化」そのものだ。いやぶっちゃけるとぶん殴りたくなるようなクソ野郎と言った方が良いだろうか?
本人は本心から、前世の記憶の『ユウナ』のイメージをあえてなぞり、そこに最大限の悪意と嘲笑を煮詰めてトッピングしている。それはもう全力で相手を煽り散らす為の様子で彼を知る者たちはそこまでやるか?と軽く引いていたという。
「巷では最近、私に対する不名誉な渾名が流れているようでしてね。……汚ねぇドラえもんだの、ユウナお兄さんだのと言われているようですが。……ちょっと待てや!?なんだそのドラえもんってのは!!!!これ名付けたのぜってぇ東アジアの連中だろうがぁ!おいテメェ誰が二十二世紀から来た猫型ロボットだ!俺はもっとスマートなナイスガイだろうが!?頭ピッカピカのハゲとでもいうのか?ハゲねぇよまだ先代のクソと比べてなぁ!?」
全世界が固唾を呑んで見守る中、突如として始まった副総裁による情緒不安定としか言いようがない馬鹿げたノリツッコミ。わざとらしくウナトの写真を見せつけながらのあまりに場違いなその毒舌に、視聴者は困惑し、そしてオルフェたちは言葉を失った。
だが、ユウナは即座に表情を切り替えた。写真をポイ捨てすると、先ほどまでのふざけた態度をかなぐり捨て、これから会議でも行うのではないか?と言わんばかりの真面目な顔でモニターに映り込んでいる。
「……失礼。少々取り乱しました。ですが、皆さんにどうしても知っておいていただきたい『事実』がございましてね。えー、アルテミスに居座っている自称・女王様……聞こえますかー! 皆さん、見てください、この写真!」
ユウナが画面端にスッと提示したのは、ファウンデーションの幼き女王、アウラ・マハ・ハイバルの近影だった。
「この女、見た目は子供ですが、実年齢は五十歳を超えた立派なババァです! しかも、ただのババァじゃない。自分の周りに侍らせているイケメンのコーディネイター共は、全員自分の好みに合わせて一から作った、いわば『自家製ドール』なんですって!?若作りして権力の座に居座りながら、男日照りを解消するために美男子を量産するなんて、いやはや、拗らせすぎてて涙が出てきますよ! ゲラゲラゲラ!」
ユウナの、耳を突き刺すような下卑た笑い声が、全世界の通信網に響き渡った。
それはもはや外交でも宣戦布告でもない。ただの、徹底した人格否定と、人にとって最も触れられたくない部分を抉り抜く挑発である。
アルテミス司令室の空気は、一瞬で凍りつき、オルフェの隣で、アウラの顔がわななき、白磁のような肌が怒りでどす黒く変色していく。
「ゲラゲラゲラ! いやはや、失礼いたしました。国を背負った人間が語るには、あまりに低俗なゴシップでございましたね。……ですが、真実とは往々にして、そうした泥臭いゴシップの山にこそ埋もれているものでございますよ」
画面の中のユウナは、カメラに向かってわざとらしくハンカチで涙を拭うジェスチャーをしながら、しかしその唇の端には、悪意と嘲笑がこれでもかと張り付いていた。
それは、一国の副総裁という立場はおろか、一人の大人としても、到底許されることのない下卑た侮蔑であり。内心本人は『これ絶対子供に悪影響与えるよなぁ…オーブのPTAの皆様方に頭を下げる準備もしておくか』とその内面はどこまでも冷めているのは秘密である。
だが、司令室のアコードたちは、その侮辱の意味を一瞬、理解できなかった。彼らは自分たちが、完璧な血統と能力を持つアコードとして、女王アウラの手によって創造されたと信じている。その創造主に対する、あまりにも下劣な暴言。
だが、次の瞬間、彼らの脳裏に、かつてアウラが自分たちを『自家製ドール』のように慈しんでいた、その歪んだ愛情の記憶が蘇る。そして、彼女が自分たちを『コーディネイターを侍らせている旧人類の拗らせババァ』として全世界に定義したという事実に、一瞬の、しかし深い戦慄が走った。
「貴様……! よくも……!」
アウラの隣で、オルフェが憎悪に満ちた声を上げるが、その声も、ユウナのさらなる爆笑に掻き消された。
「ゲラゲラ! ああ、そうだ! もう一つ、皆さんに知っていただきたいことがございました!アコードの皆さんがどれほど優れた能力をお持ちだとしても、その上に立つ肝心の創造主たるあなた(アウラ)が、結局は『旧人類の拗らせババァ』ではないですか。ゲーラ!ゲラゲラ! !完璧な種を率いるのが、旧人類の行き遅れの若作りのお婆様!これこそが、最上級のコメディではございませんか!いや最低品質のサメ映画の方がまだマシかもしれませんね。いやどうだろ?ギリギリアウラのがマシか…?」
「あの船を撃つのじゃああああぁぁぁぁ!!」
アウラの絶叫が司令室の防音壁を震わせ、空気を引き裂くのであった。
・ゲラゲラと笑うユウナ
クルー「ゲラゲラってなんだよ…」
オーブやプラントなどの各国家「ゲラゲラってなんだよ…」
敵軍「ゲラゲラってなんだよ…」
民間人「ゲラゲラってなんだよ…」
ユウナ「ゲラゲラってなんだよ…」
ユウナは本気で相手を煽ったり面白いと思った時は「ギャハハ!!」と心底腹立つ爆笑をしながらポケモンなどでカナード辺りを煽り散らすことはありますが、今回はわざとらしく振る舞う必要があるのでこんな言動になる事に。カガリが本気8割煽り2割だとするとユウナの場合本気3割煽り7割くらいの割合でふざけて対応しています。
というか、ふざけてと言うよりは相手を煽ることがユウナの仕事なのでザマァだとか、中指立てて喜ぶと言うよりは死ぬ程面倒くせぇなぁ!!と思いつつ役割を演じてるだけなので内心はカガリと共に冷めまくってますし、カガリは万が一の時のための市民の避難。ユウナはミーアの安否や暴走してトダカを撃ち抜かないのか?という不安、何よりミレニアムにレクイエムを向けられて生き残れるのか?など感情がぐちゃぐちゃに混ざり合っているのは内緒です。
ユウナのアコード対策について。果たしてユウナはアコードの無力化の為になりふり構わない外道な手段(ユウナ視点)を取るべきか?
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原作通り。
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平和の為に覚悟を決める。