破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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・前世の知識というチート能力を出し惜しみするつもりはない。だが、うっかり「ガンダム」なんて単語を無闇に口にしたり、この世界の人間が知らないはずの「未来のフラグ」を不用意に喋りすぎれば、即座にデュランダル議長のようなキレ者に「異分子」としてマークされるだろう。
 
・「……気をつけろよ、ユウナ。知識は『予見』や『閃き』としてアウトプットするんだ。ボロを出して詰むのだけは勘弁だからな」


 前話のこの辺りの下りを思い出した上でお読みくださいませ。


第十五話 可哀想な中将…!ひとえにてめェがカスなせいだが…

 

 

「……以上の通りです、ユウナ・ロマ・セイラン代表代行。我ら大西洋連邦、そして地球連合の総意は決しました。あのような不浄な種、宇宙の癌細胞にこれ以上の猶予は与えません。これより始まる『フォックストロット・ノベンバー』……それは、青き清浄なる世界を取り戻すための聖戦となるでしょう」

 

 

 

 モニター越しに語りかけてくるのは、大西洋連邦所属の中将。その軍服の着こなし、冷徹な眼差し、そして何より、数万、数十万どころではなく数千万の命を奪う「プラントへの核攻撃」の可能性すら隠そうともしない不遜な態度。

 

 

「青き清浄なる世界のために、か……」

 

 

 

 俺はその言葉を反芻し、吐き気をこらえた。前世の知識があればこそ、この「聖戦」とやらがどれほどの地獄を招くか分かっている。だが、今の俺は、カガリすら震え上がらせるこの狂気の軍人と、一対一で対峙しなければならない。

 

 

 

 俺はわざと、気弱で、それでいて連合の偉大さに心酔しているような「バカ息子」特有の表情を作った。

 

 

「閣下……! お言葉、まさに魂を揺さぶられる思いであります! 私も、我が父ウナトも、常に地球連合の理念こそが、この歪んだ世界を正す唯一の光だと信じて疑っておりません! あのコーディネイター共が放ったユニウスセブンの凶刃……あ、いや、落下の惨劇を思えば、閣下の断固たる決意、支持せざるを得ません!」

 

 

 俺は身振りを大きくし、大げさに頷いてみせた。相手は、自分の傲慢な正義を肯定されるのを好むタイプだ。まずは徹底的に「こちら側」であることをアピールする。

 

 

 

「中将閣下、我がオーブも、もちろんその聖戦に……『青き清浄なる世界』の実現に、一肌も二肌も脱がせていただきたい! ですが……ですが、ですよ閣下! ぜひ、このモニターの端に映る、我が国の悲惨な現状も見てやってはいただけないでしょうか……」

 

 

 

 俺は震える手(これは演技半分、本気半分だ)で操作盤を叩き、ワダツミの設置現場のライブ映像をメインモニターに割り込ませた。

 

 

「ご覧ください……! 我が国の誇るM1アストレイが、武装を投げ捨て、必死にこの巨大な『板』を支えている姿を! 先日の大津波で、我がオーブのインフラは、文字通り『ゼロ』になりました。現在、国内の全てのMS、全ての予備パーツ、そして全ての熟練パイロットたちが救助、復興作業に携わっています!」

 

 

 実際には酷い箇所だけを集めてるだけなんだけどね。確かに被害は受けたが他の地域よりは遥かにマシで、既に増産された『リビルド』や『ホスピタル』はキオウの指揮のもと海外派兵の準備の真っ最中だ。

 

 

 仮にこのクソ共が直接衛星なり人を送るなりしてオーブの状況を確認すれば話が違うじゃないか!とキレそうだがそれはそれで、MSが払拭してるのは事実なのだから致し方ない。

 

 

 ワダツミの為に力を振り絞った連中や宇宙軍のアストレイも既にオーバーホールの指示を出しており、実質無防備都市状態。このまま攻められたらどうするって?サーペントテールかキラ様頑張れするしかねぇなぁ!!

 

 

 

 

 中将は、鋭い視線で映像を見つめる。

 

 

 

 

「……それが、貴公の言う『参戦できない理由』かね? 代表代行。連合の勝利は、それら些末な問題を全て解決すると思うのだが?」

 

 

 

 

「……仰る通りです! 仰る通りなのですが……! 閣下、ぜひご理解をいただきたい。我が国のワダツミ機構は、まさに物理限界を無視した土壇場の急造品。あの巨大な質量を支えきった代償として、参加したMS部隊はフレームの歪みから電子機器の焼損まで、今やボロボロの満身創痍なのです!」

 

 

 

 俺はモニターに映る中将の冷徹な眼光を真っ向から受け止めながら、芝居がかった嘆きを続けた。

 

 

「さらには宇宙(そら)でテロリスト共と交戦した宇宙軍の機体も、無理な高機動戦闘が祟って現在一斉オーバーホールの指示を出したばかり。……ああ、情けない! 聖戦に馳せ参じたいのは山々なのですが、今この瞬間の我が軍は、まともに歩くことすらままならない『鉄のクズ』の山なのでございます!」

 

 

 

 実際には、被害の激しい場所の映像だけをピックアップして見せているだけだ。確かに一部の機体は限界に近いが、その裏では増産された『リビルド』や『ホスピタル』が、キオウの手引きで「人道支援の英雄」として海外へ飛び立つ準備を整えている。

 

 

 仮にこのクソ野郎共が、偵察衛星やスパイを送り込んでオーブの全貌を確認すれば「話が違うじゃないか!」と怒髪天を衝くだろう。だが、現時点でオーブの防衛力が一時的に、かつ実質的に「払底」しているのは紛れもない事実なのだ。

 

 

(実質無防備都市状態だよ。今攻められたら? そん時は傭兵のサーペントテールなんかに泣きつくか、隠居中のキラ様に『ごめんなさい助けて!』って土下座するしかねぇなぁ!(二回目))

 

 

 

 俺の内心の自棄っぱちを知ってか知らずか、中将は不快そうに顔を歪め、吐き捨てるように言った。

 

 

 

「……フン、使えんな。あのウナトの息子というから期待したが、揃いも揃って軟弱な平和ボケの血筋か」

 

 

 

 

 ――チッ、使えないのはどっちだ。

 

 

 

 

 こちとら一国のトップ(代行)だぞ、画面の向こうから一中将がボロカスに言ってくれるじゃないか。

 

 

 

 瞬間的に沸き上がった殺意に近い苛立ちを、俺は前世で培った「接客スマイル」の極地で完璧に押し殺した。

 

 

 

「ははは……! 全くもってお恥ずかしい! ですが閣下、ご安心を! 我がオーブは戦えぬ代わりに、連合の『不沈の補給拠点』として死力を尽くしましょう! 整備、物資、そして休息……。聖戦に向かう英雄たちのために、このユウナ・ロマ・セイラン、靴の底を舐める覚悟で尽力させていただきますとも!」

 

 

 

 俺はモニター越しに、これ以上ないほど卑屈で、それでいて熱烈な忠誠心を感じさせる笑みを浮かべた。内心では「さっさと通信切れよ、この核汚染野郎」と中指を立てながら。

 

 

 中将は鼻で笑い、興味を失ったように通信を切断しようとした。だが、その直前、彼は思い出したようにこう付け加えた。

 

 

 

「……ふん。よかろう。だが、復興が終わり次第、相応の供出は期待させてもらうぞ。……何しろ『青き清浄なる世界』に、中立という名の逃げ場など存在しないのだからな」

 

 

 

 通信がプツリと切れ、メインモニターが暗転する。その瞬間、俺の顔から「卑屈な外交官」の仮面が剥がれ落ちた。

 

 

 

「……カスがよぉ。どの口が『清浄』なんて抜かしてやがる」

 

 

 

 俺は背もたれに深く沈み込み、荒い呼吸を整える。

 

 

 

 上陸? させるわけねぇだろ。整備? 補給? ああ、やってやるよ。ただし、こっちの言い値でな。地獄の果てまで追いかけるような過剰請求書を送りつけて、連合の予算を枯渇させてやるから覚悟してろ。

 

 

 

「逃げ場がない、か。上等だよ。逃げ場がないなら、こっちで『要塞』を築かせてもらうさ。……ああ、そうだ。せっかくだから、もう少しこいつらを揺さぶっておくか」

 

 

 

 俺は消えかかった通信を無理やり再接続させた。驚いたような中将の顔が再びモニターに映し出される。

 

 

 

「な、なんだ。まだ何かあるのか、代表代行」

 

 

 

 俺はわざとらしく、親切な「協力者」の顔をして付け加えた。

 

 

 

「ああ、閣下! 申し訳ありません、一つ失念しておりました! 我が国のモルゲンレーテ社の技術者に、閣下たちの機体を最高のコンディションで整備させるため……事前に資料をいただきたいのです。ええ、連合の誇る次世代MA……『ザムザザー』でしたっけ? それと、水中の防衛用に配備されている『フォビドゥンヴォーテクス』。これらの詳細なメンテナンスデータを頂ければ、我が国も万全の体制で……」

 

 

 

 

 そこまで言った時、モニターの向こう側で空気が凍りついた。

 

 

 

 中将の、それまでこちらを「無能なバカ息子」と舐めきっていた余裕の表情が消え、剥き出しの警戒心と焦燥が顔を出した。

 

 

 

「……貴様、なぜそれを知っている? ザムザザーもヴォーテクスも、我が軍の最秘匿事項だぞ」

 

 

 

 

 中将の声が低く沈み、鋭い殺気が通信越しに伝わってくる。

 

 

 

 よし。食いついた。

 

 

 

 

 俺は「えっ、何かマズいこと言いましたっけ?」という、とぼけた表情を完璧に維持したまま、首をかしげてみせた。

 

 

 

「おや? 秘匿……でしたか? いやぁ、どこで聞いたんでしたかね。父の遺した書類だったか、あるいは海外の知人からの世間話だったか。とにかく、連合の『素晴らしい技術力』に貢献したい一心でして……。あ、もしやこれ、お話しちゃいけない内容でした? ははは、私としたことが!」

 

 

 

「…………」

 

 

 

 中将は黙り込んだ。

 

 

 

 彼の中で「ユウナ・ロマ・セイラン」という男の評価が、一瞬で「扱いやすい傀儡」から「底の知れない情報源を持つ怪物」に書き換えられたのがわかる。

 

 

 

 

 機密を握っていることをチラつかせれば、相手は迂闊にオーブへ土足で踏み込めなくなる。どんな情報網を持っているか分からない相手を力でねじ伏せるのは、軍人にとって最大のリスクだからだ。

 

 

 

「……検討しておこう。……切るぞ」

 

 

 

「おっと、閣下! 困ります、それではいけません!」

 

 

 

 

 通信を切ろうとする中将を、俺は慌てたような、だが冷徹に響く声で引き留めた。

 

 

 

 モニターの中の男が、不快そうに顔を歪める。だが、俺はもう「卑屈なバカ息子」の演技を半分捨てていた。

 

 

 

 

 

「今すぐにでも整備データがなければ、我が国の技術者も動けません。せっかくの聖戦に泥を塗るようなことになれば、私としても申し訳が立たない……。ですから、もし閣下の一存で決められないというのであれば、『もっと上の方』に直接お話をさせていただくしかありませんね。ロゴスの……いえ、連合首脳陣の方々に、直接ね」

 

 

 

「……貴様、私を脅すのか?」

 

 

 

 中将の目が、蛇のように細くなる。本物の殺気だ。だが、俺はそれを柳に風と受け流し、さらに畳みかけた。

 

 

 

「滅相もございません! 私はただ、万全を期したいだけなのです。ああ、そうだ。MSに関しても新型の『ウィンダム』のデータは必須ですね。それから……そうそう、『ワイルドダガー』! あの機体のデータも、ぜひ頂きたい」

 

 

 

 その瞬間、中将の顔から血の気が引いた。焦りなんてレベルじゃない。まるで幽霊でも見たかのような顔だ。

 

 

 

 それもそのはず。ウィンダムはともかく、ワイルドダガーはザフトからガイアを強奪した後、そのデータを反映させるべく計画されたばかりの機体だ。

 

 

 この時点では、連合の内部ですら青写真と名前が決定し、ようやく量産計画の承認が下りたかどうかという超弩級の最高機密。現場の中将クラスが知っていること自体が驚きという代物なのだ。

 

 

 

 

 

「な……ぜ、それを……。貴様、どこまで……!」

 

 

 

「おや? また何かマズいことを言いましたか? いやぁ、独り言ですよ、独り言。とにかく閣下、我々は『お仲間』なのですから。隠しごとなしで、仲良くやりましょう? ……データの転送、楽しみに待っていますよ」

 

 

 

 俺がそう締めくくると、モニターの向こう側では、墓場のような沈黙が流れた。中将の顔はもはや青を通り越して土色だ。彼は震える手で自身の端末を操作し、周囲の部下をすべて下がらせた。

 

 

「…………少し、待っていろ」

 

 

 

 絞り出すような声の後、数分の空白。

 

 

 

 そして、俺の手元のコンソールに、けたたましいアラートと共に膨大な容量の暗号化データが着信した。

 

 

 

 件名は空白。だが、その中身は紛れもなく、連合の最新鋭MA『ザムザザー』、そして『フォビドゥンヴォーテクス』の構造図から火器管制OSのソースコードまでを含む、禁断の果実そのものだった。

 

 

「……送ったぞ。いいか、ユウナ・ロマ・セイラン。今日、この通信で何を話し、何をやり取りしたか……貴様がその命を惜しいと思うなら、今すぐ記憶から消せ。そのデータも、閲覧し終えたら跡形もなく消去しろ。いいな!」

 

 

 中将の声は、もはや命令ではなく、悲鳴に近い懇願だった。

 

 

 そりゃそうだ。閣下が一存で横流ししていい情報じゃない。バレれば彼は即座に軍事法廷……いや、ロゴスに消される。

 

 

 

「ええ、ええ。もちろんですとも、閣下。私は物覚えが悪い方でしてね。……それでは、青き清浄なる世界のために、お互い頑張りましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プツン、と今度こそ通信が切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プツン、と通信が切れた直後。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は一呼吸も置かずに、再接続ボタンを連打した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ッ!? なんだ、今度はなんだぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 モニターに映し出された中将の顔は、もはや憤怒を通り越して、今にも血管が弾け飛びそうなほど赤黒く充血している。怒号がスピーカーを割らんばかりに響く。

 

 

 

 

「いやぁ閣下、言い忘れておりました! どうせなら、我が国の整備ドックを連合専用の『最高級ホテル』にするための資料も、まとめて頂戴したくて!」

 

 

 

「ふざけるな! 貴様、いい加減に――」

 

 

 

 

 

「新型機『ウィンダム』に、大型の『ゲルスゲー』。それに特殊作戦用の『NダガーN』、母艦の『ガーティ・ルー』級。あ、そうそう!『エグザス』や、特殊部隊向けの『スローターダガー』も忘れちゃいけませんね。……あと、もしあれば『デストロイ』のデータもぜひ」

 

 

 

「…………っ!!???」

 

 

 

 中将が、言葉を失った。

 

 

 

 怒号がピタリと止まり、彼は金縛りにあったように硬直した。

 

 

 

 それもそのはずだ。NダガーN、ガーティ・ルー級、スローターダガー……これらは連合の中でも正規軍ではなく、ロゴス直属の特殊部隊「ファントムペイン」が運用する最秘匿機材。それを取るに足らない小国の代行が平然と読み上げた。

 

 

 これはもう「内通者がいる」なんてレベルの話じゃない。連合の心臓部に、オーブの目が直接埋め込まれていると言っているに等しい。

 

 

 

 特に『デストロイ』。この中将ですら、その全容をどこまで把握しているか怪しいレベルの、ロゴスの最終破壊兵器だ。

 

 

 

 

「き、きき、貴様……貴様ぁ……! なぜ、それを……。どこで、誰に聞いた……!」

 

 

 

 

 中将の歯の根がガタガタと鳴っている。

 

 

 恐怖だ。自分たちが支配していると思っていたはずの「清浄なる世界」の裏側を、目の前のヘラヘラした若造がすべて見通している。その底知れなさに、彼は理性を削り取られていた。やべぇ、超楽しい。

 

 

 

「ですから、独り言ですよ。……さあ閣下、お急ぎを。我が国の技術者たちが、首を長くしてデータを待っています。ああ、安心してください。これらはすべて『オーブの自社開発データの偶然の産物』として処理しますから。ね?」

 

 

 

「…………く、狂っている……」

 

 

 

 中将は、うわ言のようにそう呟くと、逃げるようにコンソールを叩いた。

 

 

 

 次々に送られてくる暗号化データの束。ファントムペインの機密、ロゴスの闇、連合の軍機……。それらが今、俺の手元に「オーブを守るための盾」として集約されていく。

 

 

 

「……消せ、いいな……二度と、かけるな……!」

 

 

 

 

 プツン。

 

 

 

 今度こそ、通信が完全に途絶えた。

 

 

 

 俺はそのまま、椅子から崩れ落ちるように床に倒れ込んだ。

 

 

 

「…………あ、あはは……。やった、やったぞ……。ザムザザーどころか、デストロイの初期案まで抜き取った……」

 

 

 

 床に大の字になり、荒い呼吸を繰り返す。

 

 

 

 前世の記憶という「カンニングペーパー」を全力で叩きつけた。これで連合の連中は、オーブを攻撃する前に「まず自分たちの情報の漏洩源を探す」という、終わりのない疑心暗鬼の迷宮に放り込まれた。

 

 

 咄嗟の判断で我ながらヤバいことしたもんだよ、全く。

 

 

 

「……これでしばらくは、連合はオーブに手が出せない。情報を握りすぎている相手を叩けば、どんな不都合なデータが世界にバラ撒かれるか分からないからな。……ふぅ、死ぬかと思った。マジで……」

 

 

 

 

 俺は震える手で、自分の心臓の音を確かめた。

 

 

 

 汚いやり方だ。卑怯な手段だ。だが、これでオーブの空が核の炎で焼かれる確率は、劇的に下がったはずだ。仮に狂った連中がオーブを核で本気で吹き飛ばそうとしたのなら、全世界に議長よろしく、ロゴスに不都合な知識についてぶちまける準備は一応しておくか。

 

 

 

「……さて。次はエリカさんにこの『毒入りのお宝』を渡さなきゃな。あの人、これ見たら腰抜かすだろうなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやーでも…まだやれるか?

 

 

 

 

 

 

「……あ、そうそう! 肝心なのを忘れてた!」

 

 

 

 

 俺はいたずらを思いついた子供のような顔で、再び再接続ボタンを連打した。しかし、モニターには「接続不能」の冷たい文字。何度叩いても、呼び出し音すら鳴らない。どうやらあの中将、本当に物理的に回線を引っこ抜いたか、ショックで泡を吹いて倒れたらしい。

 

 

 

 

「ちぇっ、つれないなぁ。……じゃあ、メールで送っておくか」

 

 

 

 

 俺は軽快な指さばきで、地獄への招待状に等しい文字列を打ち込んでいった。

 

 

 

 

 

『閣下、先ほどは失礼。あと、核攻撃部隊クルセイダーズにヘブンズベースのニーベルングのデータもください! ついでにエクステンデッドの調整と「ゆりかご」の運用データ!ブルデュエル!ヴェルデバスター!ストライクノワール!!あと……ああ、そうそう。レクイエムについても分かれば助かります!』

 

 

 

 

 

 

 送信ボタンをポチッとな。

 

 

 

 

 ロゴスの喉元にナイフを突き立てるようなワードのオンパレード。これを読んだ中枢の連中がどんな顔をするか想像するだけで、胃痛が少しだけ和らぐ気がした。

 

 

 

 

 

 

「……ま、これだけ送れば当分は静かになるだろ。あっちの調査が一段落するまで、オーブは安泰だ」

 

 

 

 

 

 

 

 だが、その安泰は俺の予想を超えた形で訪れることになる。数日後、緊急入電を受けた俺は、耳を疑うような報告を耳にした。

 

 

 

 

 

 

「……え、あの基地が? 隕石で?」

 

 

 

 

 

 報告によれば、つい先日まで俺が不毛な狸の化かし合いを演じていたあの大西洋連邦の基地が、ピンポイントで落下した隕石の残骸によって「消し飛んだ」のだという。

 

 

 

 

 

 公式発表は「遅れて落ちてきた隕石による不慮の事故」。だが、タイミングが良すぎる。

 

 

 

 

 

「……消されたか。あるいは、俺という『情報の漏洩源』と繋がっていた証拠ごと、ロゴスが焼き払ったのか」

 

 

 

 

 

 中将の絶望に満ちた顔が脳裏をよぎる。

 

 

 

 

 俺が投げつけた「未来の知識」という名の爆弾は、一人の軍人のキャリアどころか、一つの基地そのものを物理的に消滅させてしまった。

 

 

 

 

「…………合掌」

 

 

 

 

 俺は静かに手を合わせた。

 

 

 

 SEGAバンダイが覇権を握り、悟空がオラもっと強ぇ奴と戦いてぇと人生を謳歌しているこの世界で、現実の戦争は相変わらず、いや、俺が介入したせいでさらにドロドロとした陰謀の闇に沈もうとしている。

 

 

 

 

「悪いな、閣下。君の犠牲のおかげで、オーブは『何も知らない無垢な被災国』の皮を被り続けることができるよ。……データは有効活用させてもらう」

 

 

 

 

 俺は執務室の窓から、皮肉なほどに青いオーブの空を見上げた。

 

 

 

 

 連合の最新データを入手し、脅迫によって時間を稼ぎ、結果として一つの拠点を灰にした。三下代表代行、ユウナ・ロマ・セイラン。その手はすでに、泥どころか拭い去れない血と機密にまみれている。

 

 

 

 

 






Qユウナ君なんでこんな事したの?

Aなんかもう面白くなってつい調子に乗っちゃいいました。後悔はしてない。


 次回二次創作特有の開発パート回!お楽しみに!

どっちのアスランが見てみたいでしょうか?

  • 通常の優柔不断アスラン
  • 報連相の化身と化したアスラン
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