破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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 オーブ軍の編成は最終的には

空 AGEのウェアを搭載したムラサメ改(ほぼクランシェ+F91)
陸 バイオメガラプトルを中心にした陸戦特化恐竜型MS部隊+プラントからライセンス生産した砲戦特化のコング
海 リヴァイアサン
本土防衛 ヤタノカガミを調整してリフレクタービットの様に操作するホーミングレーザーやディスラプターを内蔵した超巨大MAデススティンガー
宇宙 オウガ、グルドリン、ムラサメ改。その内オウガの後継機として金ピカのシドが生まれる可能性あり

 こんな感じになる予定。主にプラントがゴリラ型MSを開発+東アジアの流星の戦果によって「MSは人型に特化しなくてもいい」という風潮が広まった結果、各種グルドリンや獣型、恐竜型のMSやMAが多数開発される事に。だがその内シンプルな人型MS回帰論が芽生えて大西洋連邦辺りから鉄血製MSの様な機体が開発される可能性も高い。

 なおこの世界では各地でモルガ型自動車の普及率がどんどん跳ね上がってるなど民生品にも少なくない影響を与えている。




最終話 長き旅の始まり

 

 

 

「……そんで、オルフェとイングリットに関してだがな。この二人も本来は処刑の予定……ではあったが、ちょっと予定を変更した」

 

 

 

  実際、あの二人は色々な意味でさっさと処刑しちまいたかった。証拠隠滅の手間や将来的なリスクを考えれば、生かしておく理由なんて一つもない。

 

 

 

……そうやって、人の命を効率だけで天秤にかけて「さっさと殺した方がいい」なんて結論を出すあたり、俺の性格もだいぶ終わりつつあるなと自覚はしている。

 

 

 

 だが、本来なら問答無用で処刑台に送るはずだった一人――イングリットが持ちかけてきたあの取引の瞬間を、俺は今でも思い出せる。

 

 

「イングリットがな、取引を持ち出してきたんだよ。『オルフェを一日でも長く生かしてほしい。そのためなら自分は何でもする』……とな」

 

 

「なるほど。……そして君の愛人に、というわけかな?」

 

 

「ぶっ殺すぞテメェ!?」

 

 

 

 

 俺が少し苦い顔で語ると、デュランダルは待ってましたとばかりに、面白そうに目を細めるが。俺は立ち上がり、机を叩いてこの種無し浮気チンポ野郎を怒鳴りつけた。マジふざけんなよ…!

 

 

 

「洒落にならねえんだよ! こっちはトダカの余計な一言のせいで、ミーアの中で死んだことになって、あいつを泣かせた直後なんだぞ! 噂レベルでもそんな話が漏れてみろ、バッドエンド確定だわ!!」

 

 

 

 もう二度とこっちはミーアに泣かれたくねぇんだよ!一応今まで以上にハニトラに引っかからないように気を使ってるし、どんなに忙しくてもミーアに通信は欠かさない程度には気を使ってるんだぞこちとら!?

 

 

 次にミーアを泣かせてみろ。ラクスが包丁どころかキラを連れてマイフリで踏み潰そうとしてくるわ。いやその前に俺が耐えきれなくて罪悪感で死ぬかもしれんが。

 

 

 鼻息荒くまくし立てる俺を見て、デュランダルはクスクスと肩を揺らして笑っている。その目は完全に、獲物を弄ぶ猫のそれだ。

 

 

 

「おや、余裕がないね。だが、それだけ大切に思っているという証左かな。……では、その献身的な彼女に何をさせたんだい? 君のことだ、まさか無償で命を助けるような慈悲深い真似はしないだろう?」

 

 

「……当たり前だ。あいつには『アコード』としての力を、影でオーブと国際社会のために使い潰してもらうことにしたよ」

 

 

 

 正直、最初は「なんでもする」なんて泣き言はどうせ今更命乞いか?と自己犠牲だろうとガン無視するつもりだったんだ。そりゃそうだろ、どれだけ多くの人が犠牲になってどれだけ多くの人が犠牲になりかけたと思ってるんだ。

 

 

 

 だが、いざ尋問すらしていないと言うのにイングリットの口からはオルフェのためと言わんばかりに出るわ出るわ……ファウンデーションの国務秘書として握っていた、ありとあらゆる国家機密や闇の情報を自分から暴露し始めたんだ。流石の俺もモニター越しからじゃなくて、慌てて直接会う羽目になったよ。

 

 

 もちろん会話は精神干渉対策を完璧に施した上でのことだったが、彼女は一度も俺たちに読心や洗脳を仕掛けてはこなかった。ただ、地を這うような平伏の姿勢で、オルフェを一日でも長く生かしてほしいと……見ていて痛ましいくらい必死だったんだ。

 

 

 

 リスクはある。カナードたち『X』の面々からは「爆弾は早めに処理しろ」と何度も忠告された。だが、結果的に言えば、俺は、各国の首脳陣は一種の裏取引に応じることに決めたんだ。

 

 

 

「世界各国の未解決事件……テロ組織の潜伏、闇の資金源の特定、迷宮入りした凶悪犯罪の真相。法や正義の手が届かない場所を、彼女の能力で暴かせ、解決させる。アコードの読心能力を使えば、口を割らない容疑者や心が壊れた被害者からでも真実を引き出せるからな。サイコメトリー紛いに真実はいつも一つ、ってやつをやらせたんだよ」

 

 

 同時に、ザフト反乱軍やファウンデーション側の残党、さらにはブルーコスモスの生き残りといったテロリスト撲滅のために、彼女の力は徹底的にこき使わせてもらっている。勿論各国には指向性蛋白の製法と使用は彼女以外には分からないからと説明しつつ、毎回イングリットにはそれっぽい粉をばら撒かせてるけどな。意味ねぇけど撹乱のために。

 

 

 今頃各地で潜伏しているテロリストの隠れ家や資金源は焼き払われているはずだ。なお、イングリットの口からはアウラの命乞いは一度たりともなかった。それは嫌われているというよりは、何処までも彼女はオルフェだけの為に尽くしているからなんだろうな。

 

 

 

 ……なんて思ってたが、今から思えばイングリットは断腸の想いで母を切り捨てたんだろうな。最早アウラはどう足掻いても助からない。だからせめてオルフェの為にと。

 

 

 

 

「一件解決すれば、オルフェの命が伸びていく。もっとも、オルフェ自身は目覚めれば自殺する恐れがあるからな、今はコールドスリープ状態で眠らせてるけどな。イングリットはそれでも構わない、生きていてくれるなら、と言って必死にサイコメトリーな仕事をしているさ」

 

 

 

 なんというか……あの女がカナードたちの部下を手にかけ、核による自作自演に関わった救いようのない罪人であることを差し引いても、オルフェへのあの献身は、同じく「一人の女を愛する男」として、見ていて少しばかり胸が焼けるほど痛々しい。

 

 

 絶対に報われる事のない日々。24時間いかなる時でも監視カメラで晒され続け、首に電撃用の首輪をつけ。身体には爆弾まで埋め込まれている。最早人権もへったくれもない状態で各国の凶悪犯罪やテロを抑止する為に奔走するその姿は、贖罪というよりは何処までも『愛』に殉じている。

 

 

 コールドスリープなのだからオルフェはずっと眠り続けている。それでも生かし続けているイングリットの行動を愛と呼ぶかエゴと呼ぶのかは人次第。少なくとも俺は内心後悔してるよ。あんな状態で必死に働き続けてる彼女を見てるといっそ処刑されたほうがマシだったと。

 

 

 

 なんでオルフェは、あんなに近くにいた彼女の気持ちに気づいてやれなかったんだろうな。……いや、なんで彼女も、あんなに尽くしても、報われない道を選んだのか。

 

 

 

 結局のところ、あいつらの根底にあるのはデスティニープランによる統治を行う『アコード』としての役目なんだ。そもそも、誰かに想いを告げるなんていう人間らしい発想自体、あの設計図の中には存在しなかったんだろう。

 

 

 

「……やっぱりアウラは、反吐が出るほどのカスだな。」

 

 

 

 毒親ダービーとしてならギリギリ、フランクリン・ビダンを超えられるんじゃないか?と吐き捨てると、デュランダルは「そう、か……」と短く呟いて沈黙した。

 

 

 

 実際には俺もそんなイングリットの恋心を利用して働かせている同じ穴の狢だ。それが彼女自身が選んだ道とはいえ果たして今の状況が正しかったのかどうかなんて、最低かもしれないが俺は分からない。

 

 

 

「……お前は後悔しているのか?」

 

 

 ワイングラスを傾ける手は止まり、その視線は虚空を見つめている。やっぱり彼なりに思う所はあるんだろうか?

 

 

 

 俺の問いに、デュランダルは自嘲気味な笑みを浮かべて、ゆっくりと首を横に振った。

 

 

「……全くないと言えば、嘘になるというのが本音かな? 彼らは幼い頃から、アウラの歪んだ教育によってその魂を歪められていた。そして私は……既にアウラと手を組むことを諦め、彼女を切り捨てていた。だから、彼女の手元にいたあの子たちを無理矢理にでも引き取って、レイのように育てるという選択肢を、あえて選ばなかったんだ」

 

「レイのように、か……」

 

 

「当時の私は、タリアのことを引きずっていたのもあるからね……。自分の心の穴を埋めるのに必死で、アウラに染まり、侵されていく彼らにまで手を差し伸べる余裕がなかったというのが、情けないかな真実だ」

 

 

 

 デュランダルはそう言って、手元のワインを飲み干した。その姿には、かつて議長として世界を導こうとした威厳はなく、ただ過去の選択を悔いる一人の男の陰りがあった。

 

 

「だが、ふと思うよ。もし私がアウラからオルフェたちを引き取って、レイと同じように彼らの後継人となる道を選んでいたなら……彼らは、あんな悲しい結末を迎えずに済んだのではないかとね。イングリットも、もっと違う形で、その想いを昇華できたのかもしれない」

 

 

 

 俺は何も言えなかった。デスティニープランという完璧な世界を夢見た男が、その足元で零れ落ちていた子供たちの心を見落としていたという告白。

 

 

 

 手を差し伸べるチャンスは何度かあった。だが、デュランダルはそれを拒絶し、あるいは見過ごし、結局は行き着くところまで行ってしまった。こんな時、一体どんな言葉をかければいいのか俺には分からなかった。

 

 

 

 恐らく、今後の裁判の結果がどうなろうと、デュランダルはアコードの連中や、Bデバイスの素材にされた死刑囚たちのことを死ぬまで引きずり続けるんだろう。

 

 

 たとえ俺がこの先ミーアと幸せになり、子供を育て、悠々自適な引退ライフを送って戦いの記憶が薄れたとしても。この男は、自分が犯した過ちと後悔を一時も忘れずに、墓場まで持っていくに違いない。

 

 

 

 どんよりとした重い空気が部屋に満ちる。それに気づいたのか、デュランダルは力無く、だがどこか穏やかに微笑んで口を開いた。

 

 

「……だが、悪い話ばかりではないよ。嬉しい話題もあるんだ。アウラが遺したデータの中に、少なからずレイのテロメア……その延命に対する研究への、新しいアプローチが見つかりそうでね」

 

 

 

 その言葉に、俺は少しだけ目を見開いた。この男は議長になる前も、なった後も、そしてこの獄中に繋がれてからも、常にレイの短すぎる寿命をどうにかできないかと足掻き続けていた。

 

 

 そこに、蜘蛛の糸並みに細くはあるが、確かな光明が見えたというのか?

 

 

 

「可能性は決して高くはないだろう。だが、私は諦めないよ。それが私に残された最後の『責任』かもしれないからね。……だが、ユウナ君」

 

 

 

 デュランダルは手元のワイングラスを見つめたまま、声を少しだけ落とした。

 

 

 

「もし、私が死刑になった場合は、その研究データのすべてを君に託したい。どうかレイを……私の息子を、頼めるかな」

 

 

 「息子」という言葉が、妙に重く、湿り気を帯びて部屋に響いた。

 

 

 

 一国の議長としてではなく、ただ一人、死にゆく子供を救いたいと願う父親の顔がそこにはあった。

 

 

 

「……勝手なことばっかり言ってんじゃねえよ。託された俺の身にもなれ。死刑になって面倒事を押し付けて逃げるな。レイを救いたいなら、お前の手で完成させろ。……もっとも、どうしてもって言うなら、俺がオーブの総力を挙げてバックアップしてやるよ。その代わり、研究が成功したら俺の老後の面倒くらいは見てもらうからな」

 

 

「ふふ、手厳しいね。だが、心強いよ。ありがとう、ユウナ君」

 

 

 

 デュランダルは再びワインを一口含み、満足そうに目を細めた。

 

 

 

 

「飲み過ぎだぞこの隠居ヤロー……肝臓壊しても知らねえぞ」

 

 

 

 俺が呆れたようにグラスを指すと、デュランダルは「飲まずにはいられないという言葉もあるが、今はめでたい事も多いからね」と、紅色の液体を揺らして微笑んだ。

 

 

 

「アスハ代表とアスランの婚約発表に、ハイネ君のメジャーデビュー。そして……」

 

 

「……ラクスの妊娠、だな」

 

 

 

 俺は大きくため息を吐きながら、その名を口にした。内心では「いや、予想はしてた。絶対そうなると思ってたんだよ」という諦念に近い確信があった。俺だって人のことは言えない。

 

 

 

 あのアコード関連の凄惨な事後処理が終わった瞬間、無理やり三日の休暇をもぎ取ってミーアの下へ駆け込んだからな。溜まりに溜まった孤独とストレスをぶつけるように、文字通り三日三晩、ミーアと愛し合った。

 

 

 

 いや、正確には甘ったるい声を出すミーアにこれでもかと甘えまくって、彼女の愛に溺れきったと言ったほうが正しいかもしれない。愛というか乳にだが。

 

 

 だが、どうやらキラとラクスも似たようなことをやっていたらしい。若さゆえの性欲に身を任せたのか、避妊もせずヤりまくった結果、見事に彼女に白いハイマットフルバーストを叩き込んで命中。ラクスはその事実を隠すどころか、次代を担う命の象徴として大々的に公表しやがった。

 

 

 おかげでプラントは今、お祭り騒ぎと葬式が同時に来たような混沌とした状況だ。長年彼女を「永遠の歌姫」として崇めていた熱狂的なファンたちは、色々な意味で咽び泣き、あるいは「キラ・ヤマト、お前だけは許さん」と血涙を流しているが……イザーク辺りはマジで殴ろうとしてディアッカに止められてたらしい。

 

 

 

 ちなみにディアッカは籍を入れたが三日で離婚したそうな。まぁ本気でミリアリアと絶縁したわけじゃないからその内また結婚するんじゃないか?多分な。

 

 

 

 それはさておき。だが、同時に凄惨な内乱やNJダズラーによるインフラ破壊で暗い影が落ちていたプラントにとって、歌姫に宿った新しい命は、数少ない、そして何よりも力強い希望の象徴として受け入れられていた。

 

 

 

「……これも若さか。羨ましいものだよ」

 

 

 

 デュランダルがどこぞの赤い彗星みたいなセリフを吐くもんだから、俺は内心で「お前がそれを言うか」とツッコミを入れずにはいられなかった。

 

 

「ま、そんな訳でだ。俺もそろそろ、ミーアとの婚約を正式に発表する予定だよ。ラクスが妊娠を発表して、カガリもアスランとの婚約を公表した。世間の耳目がそっちに向いてる今、俺も乗るしかないからな。このビッグウェーブにな」

 

 

 

 実際、タイミングとしては今がベストなんだ。ミーアが歌手として本格的に再デビューした後に俺との婚約がバレてみろ。間違いなく「枕営業だ」なんて心ない罵りを浴びせられる。

 

 

 バッシングの火力が分散される今のうちに、お祝いムードのどさくさに紛れて情報を吐き出しておいた方が、彼女へのダメージは最小限で済むからな。

 

 

 

「だから、まぁ……なんだ。式は身内だけの小さなものにするつもりだが、お前もリモートで参加してくれ。それまでに死刑が執行されてなきゃの話だがな」

 

 

 

「ふふ……。友人の結婚式に招待されるのは初めての経験だな。光栄だよ、ユウナ君。君たちの未来が明るいものになる事を、檻の中から楽しみにさせてもらうよ」

 

 

 

  俺が少し照れ隠しに呟くと、デュランダルは今日一番の、心の底から嬉しそうな笑みを浮かべた。

 

 

 

 ワイングラスを掲げ、独房の主は優雅に祝杯を挙げる。ドロドロとした政治と、血生臭い隠蔽工作。そんなものの果てに、ようやく辿り着いた俺のささやかな平穏の始まりを、かつて世界を壊そうとした男が祝福している。

 

 

 

 

 皮肉なもんだが、悪くない気分だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふと、まどろみの中から意識が浮上する。

 

 

 

 視界が開けるより先に、甘い香りと、頬に伝わる抗いようのない柔らかさが俺の脳を支配した。

 

 

 

「あ、起きました? ユウナさん」

 

 

 

 耳元で響いたのは、少し気怠げで、それでいて艶かしいミーアの声。

 

 

「あー……悪い、寝てた。」

 

 

 

 俺は、彼女の豊かな胸を枕代わりにして、事後の余韻に浸ったまま眠りこけていたらしい。ダイレクトに伝わってくる体温と、包み込まれるような感触に、荒波で擦り切れた精神が溶けていく。

 

 

 

「別に構いませんよ、ええ、構いません。……まあ、女の子としては、もう少しこう、最後までリードしてほしいなーって気持ちはありますけど。でも、普段はあんなに格好いいユウナさんが、ベッドの上では基本的にこうして私にずっっっと甘えて、溺れてくれるのは……私、嫌いじゃありませんから」

 

 

「いや、ごめんて……」

 

 

 

 そう言ってクスクスと笑うミーアの顔を覗き込むと、そこには勝ち誇ったような、それでいて深い慈愛に満ちたニッコニコの笑顔があるが、俺は思わず謝罪の言葉を口にする。

 

 

 

 いや、俺だって分かってるんだ。年下の女の子に対して、大人の男としてビシッとリードしなきゃいけないってことは。だが、いざこうして二人きりになると、ミーアの圧倒的な包容力……というか、その柔らかすぎる乳の誘惑に、俺の理性が秒で白旗を掲げちまうんだよ。

 

 

 

 

 最後までリードした事なんて、最初も含めて一回もねぇよ!

 

 

 

 というかな、なんなら初夜が一番マシだったくらいで、最近じゃ7〜8割はミーアに逆にリードしてもらって、俺の方が全力で甘えまくってるからな! ?

 

 

 

 何をやってもニコニコと褒めてくれて、トドメに「いい子、いい子〜」なんて言われながらあの乳に包まれる魔力は……マジでヤバい。そのうち本格的に赤ちゃんプレイとかやらかしかねないから、本当に注意が必要だ。

 

 

 

 流石に引かれ……いや、ミーアならむしろノリノリで受け入れてくれそうなのが余計に怖い。だが、そんなことをしたら男としての尊厳が完全に死ぬ。いや、もう死んでるようなもんだが、これ以上は墓穴を掘るどころかマントルまで沈んでいく。

 

 

 

 

「それにしても、なんだか今日のユウナさん、とっても嬉しそうですね?」

 

 

 ミーアが俺の顔を覗き込みながら、不思議そうに問いかけてくる。

 

 

 そりゃまぁ、な。俺は彼女の柔らかい乳に顔を寄せたまま、短く答えた。

 

 

 

「……戸籍的にも、ユウナ・キャンベルになれたのが嬉しいんだよ」

 

 

「えっ、そうですか? 私の方がセイランの姓に入る選択肢もありましたけど……そんなに嬉しいものなんですね」

 

 

 

 ミーアはパチパチと瞬きをして、どこかピンとこないような顔をしている。何というか、この感覚的な嬉しさを彼女に理解してもらうのは難しいだろうな。

 

 

 

 ユウナ・ロマ・セイランという男は、ある意味で今日、この瞬間に死んだんだ。

 

 

 

 内心で、俺は静かに、だが確かな勝利を噛み締めていた。

 

 

 ずっと、俺は「ヴィランとしてのユウナ」に怯えていた。どこからか歴史の修正力なんていう、ふざけたカスのごとき見えない力が働いて、結局は原作通りにグフに踏み潰されて終わるんじゃないか……そんな悪夢を何度見たか分からない。

 

 

 

 だからこそ、これは生存戦略としての対策半分、そして自分なりのケジメ半分だ。

 

 

 

 俺は今日、公的な手続きをすべて終え、姓をミーアと同じ「キャンベル」に変更した。もちろん、外交の場や政治的なやり取りでは、これからも「セイラン」の名で呼ばれることは多いだろう。

 

 

 

 だが、それでも戸籍という魂の台帳からあの忌まわしいフルネームが消えたことは、俺にとって何物にも代えがたい救いだった。

 

 

 

 結局の所俺は、尊敬するフリットとは真逆の道を歩んだ訳だ。家名をドブに投げ捨て、自身の子供にも継がせない。清廉潔白であり続けた彼とは違い、Bデバイスといいイングリットの処遇といい腐れ外道な事に賛同する。

 

 

 

 結局俺は本当の意味で、彼のような救世主にはなれなかった。だが、ずっと背中に張り付いていた呪縛から、ふっと解放されたかのような、驚くほどすっきりとした感覚。呪縛から解き放たれたような開放感すら今は感じている。気休めかもしれないけどな。

 

 

 

「……ユウナ・ロマ・セイランじゃなくて、これからは『俺』として生きていく。そのための、第一歩なんだよ」

 

 

 

 

 そう呟いて、俺はもう一度、ミーアの柔らかい温もりに顔を沈めた。気休めかもしれないが、「キャンベル」を名乗るということは、彼女と共に歩むということであり、あらかじめ決められた「破滅フラグしかないボンボン」というレールを叩き壊し、全力で回避したという証明だ。

 

 

 

 もう、グフに怯えて眠る夜はいらない。

 

 

 

 これからは「ユウナ・キャンベル」として、この愛おしい女を泣かせないための、新しい人生を積み上げていく。

 

 

 

「ふふ、よく分からないけど……ユウナさんが幸せなら、私も幸せです。これからよろしくお願いしますね?旦那様。」

 

 

 

 ミーアが優しく俺の頭を撫でる。

 

 

 

 その手のひらの熱が、俺が「ユウナ・ロマ・セイラン」という空虚な名前を脱ぎ捨てて、ようやく「自分」という存在に辿り着いたことを肯定してくれているようで……。

 

 

 

 

「その、なんだ。……これからも、よろしく頼む」

 

 

 

 

 柄にもなく照れくさくて、少しぶっきらぼうにそう言うと、ミーアは「はいっ!」と嬉しそうに声を弾ませて、俺を力いっぱい抱きしめてくれた。彼女の体温が胸に伝わり、逃れようのない幸福感が全身を包み込む。

 

 

 

 

 これからも、クソみたいな戦いは続くだろう。

 

 

 

 ファウンデーションが遺した火種、各国の政治的な駆け引き、そしてハイエナどもの欲望や新たなテロリストや憎悪にヘイト。世界は相変わらず、少しの油断で燃え上がるような危うさを孕んでいる。

 

 

 

 それに、俺自身の恐怖だって消えたわけじゃない。いつかこの意識が「元の人格」に飲み込まれて消えてしまうんじゃないかという不安や、誰かに命を狙われるリスク。ヴィランとして生まれた俺の頭上には、今も鋭い剣が吊り下げられたままだ。

 

 

 

 だが……今は、それでいい。

 

 

 

 

 「……今は、嫁に癒されて、この短い休暇を全力で楽しませてもらうさ」

 

 

 

 

 俺はミーアの腰に手を回し、彼女の香りを深く吸い込んだ。明日になればまた、オーブのため、そして彼女との未来を守るために、副総裁や政治家としての仮面を被って泥沼の中に飛び込んでいかなきゃならない。

 

 

 

 

 けれど、この温もりがある限り、俺は俺でいられる。「ユウナ・ロマ・セイラン」という台本通りの死を回避し、俺たちは自らの足で、この不確実な明日へと踏み出したんだ。

 

 

 

 

 未来は、「それでも」続いていく。

 

 

 

 

 俺たちの長き旅は、ここで終わったわけじゃない。 「ユウナ・キャンベル」としての新しい物語は、今、この温かな部屋から、再び動き始めたばかりなのだから。

 

 






 原作ではラクスと共にしばらく表舞台から退場するキラ。今作では最終決戦が終わった後、しばらくラクスにハイマットなフルバーストを連発してたせいで妊娠してしまい。カガリやユウナの勧めもあって育休を取る事に。この辺りはシンの事もあってコンパスではその辺りの福利厚生がちゃんとしてるので問題なし。これからもリモートでラクスは偶に会議に参加しつつ、キラはヤマト夫妻から父になる為に色々と教え込まれる事でしょうね。

 イングリットが選んだ道は死よりも過酷なもの。報われない。死以外の選択肢しかない道だとしても彼女は最後の最後まで歩み続けるでしょう。それを愛と呼ぶかエゴと呼ぶか、狂気と呼ぶかは人次第です。


 ユウナは最後の最後に自身の姓を捨て去る事でセイランの、ヴィランとしての役目に区切りをつける事に。ある意味ではこの瞬間ユウナという男は死に。本当の意味で彼が妻と共に歩み出す事ができたのでした。今後の彼は叫びながらもコンパス副総裁として戦い続けるでしょうが、彼には帰るべき場所がやっとできたのでした。


 これにて「破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜」は終了となります。また不定期にIFのユウナを縛り上げた上でお見合いのセッティングを行う話や戦後の開発パートなども描いていきたいですね。Wikipedia風にまとめるのはやろうと思いましたが断念。とはいえ流石に毎日投稿は疲れましたので、今度こそしばらくお休みさせて頂き。連載中のアズレンの方の投稿を優先させて頂きます!

 ほぼ毎日投稿という無茶や無謀と言える投稿を続けられたのはひとえに応援してくださった読者の皆様方のお陰であり、感謝しても仕切れません。本当に、本当にありがとうございました!


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