破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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EX5 未来へとナビを取れ! 後編

 

 

 

  ほんの少しの歴史の歯車の掛け違い――それだけで、技術の進歩の行方はここまでガラリと変わってしまうものなのかと、俺は妙な感銘を覚えていた。同時に、先ほど思い至ったファウンデーションの無人機運用の謎についても、これで綺麗に説明がつく。

 

 

 あそこは兵員不足を補うために効率や役割を極限まで突き詰めた、ある種の合理主義が凝り固まった連中だった。選ばれたアコードが前線で指揮を執り、それを補佐する形で無人モビルスーツを大量に随伴させて戦力を水増しする。

 

 

 そこまで割り切った戦術を構築しておきながら、なぜ彼らはモビルドールのような、人間の脳を完全に置き換えて自己判断で敵を殲滅する完全自律型の戦闘AIを作り出さなかったのか。その答えが、まさにこれだ。

 

 

 

 彼らほどの偏った思想と技術力を持ってしても、人工知能を軍事利用することへの根源的な恐怖――すなわち「機械の反乱」という人類共通のトラウマの呪縛からは、決して自由になれなかったのだろう。

 

 

 

 だからこそ、どれほど多くの無人機を戦場に並べようとも、その制御システムは有人機及び戦艦側が絶対に手綱を握り続けるラジコン方式であり、本質的には従来のドラグーンとさほど変わらない枠組みの中に意図的に留められていたのだ。

 

 

 

 どれほど優れた兵器であっても、戦場で自ら思考し、戦況を自律判断する『魂』を与えてしまえば、いつかその銃口が創造主である自分たちに向けられるかもしれない。そんなターミネーターの悪夢が、あの傲慢なアコードたちの無意識のブレーキにもなっていたのだとしたら……。

 

 

 

「改めてそう考えると、やべぇなアスランは……」

 

 

 

 思わず口をついて出たその呟きに、エリカさんは否定するどころか、深く、心底から同意するように大きく頷いた。

 

 

「ええ。その観点から見れば、あのハロやトリィを個人的な趣味で、それも驚くほど気軽に作り出しているアスランは規格外の存在としか言いようがないわ」

 

 

 

 そう、ラクスやミーアが保有するハロや、キラが所有するトリィ。前世の感覚からすれば、アレはただの可愛らしいマスコットロボットやペットメカだと思って油断してしまいがちだが、この世界の現実を知れば知るほど、アスランが手製で量産しているあのメカたちの狂気っぷりが浮き彫りになる。

 

 

 

 あれらも立派な、それも既存の軍用システムを遥かに凌駕する一種の高度な人工知能の塊なのだ。何しろ、ラクスの手元にあるピンクのハロをはじめとする個体は、かつて地球連合軍の最新鋭戦艦の強固なセキュリティすら平然と突破可能なハッキング機能を内蔵してるんだ。

 

 

 いややべぇよ。冷静に考えればあの時は婚約者へのプレゼントになんてもん装備してるんだと指摘したが、冷静に考えればラクスが指示したわけでもないのに自己判断してハッキングまで行いセキュリティを突破してるAIなんぞ搭載してるってなんなんだよアイツ。

 

 

 

 それどころか、先日のファウンデーションとの戦いにおけるアルテミス攻略戦では、モルガだけではなく。大量のハロが催眠ガスを散布することで、厳重な警備を敷いてい兵士たちをバタバタと昏睡させ、要塞陥落への決定打にまでなったんだよ。

 

 

 

 

「世界中の国々が機械の暴走を恐れて自律型AIの開発に目に見えないブレーキをかけている中で、彼はただ『役に立つから』『喜んでほしいから』という純粋なプライベートの動機だけで、その境界線を何食わぬ顔で踏み越えている。モルゲンレーテの技術者から見れば、ため息しか出ないわよ」

 

 

「本当にさぁ……アイツさぁ……俺たちが今、喉から手が出るほど欲しい、人間と機械が融和するための対話型AIの基礎が詰まってるんだよなぁ」

 

 

 

 実は、この対話型AI開発のための布石として、俺はすでにプラントの側にも本格的な根回しを開始していたんだよ。プラントの中でも特に人工知能工学や計算機科学の研究を司っているコロニー、セプテンベル市である程度の技術レベルなんかを確認していたんだ。

 

 

 

 ……結果だけ言おう。確かにセプテンベル市では過去に、コーディネイターの貴重な人的資源の損失を抑える目的で、無人の機械兵士や自律型の戦闘端末を開発する研究をしていた時期もあったらしい。

 

 

 

 だが、それも結局は、さっき話に出た機械の反乱や暴走に対するリスク、そして何より敵からの電子ハッキングに対する脆弱性をどうしても克服できず、危険性が高すぎるとして最終的には廃案されていたんだ。

 

 

 

 プラントの最先端の頭脳が集まる専門機関が、国を挙げて挑んでも「リスクが高すぎる」と匙を投げた領域。そう考えると、アスランはほぼ独学であのレベルのハロを作り上げて、しかも一切暴走させずに実用化しているんだから、やっぱりあいつの頭の構造は何なんだろうねぇ…。

 

 

 

「……もうさ、今回の対話型AI開発の人工知能部門は、アスランに丸ごと担当してもらうか……」

 

 

 

 俺が半ば遠い目をしながらそう呟くと、エリカさんはフッと苦笑いを漏らした。

 

 

「悔しいけれど、それが一番の近道でしょうね。カガリ様に色々と事情を話して、彼女の口からアスランに話をねじ込んでもらいましょう。彼なら、カガリ様に頼まれれば二つ返事で開発チームに参加してくれるはずだわ」

 

 

 

 カガリという最強の切り札を使えば、アスランをこちら側の開発体制に引き込むのは容易い。だが、モルゲンレーテの技術力と、ジャンク屋組合の柔軟な発想、そしてアスランの電子工学の才能がガッチリ噛み合って共同開発された対話型AIなんて、絶対に何かしら想定外の挙動をするやばいもんが生まれそうで、今から妙な冷や汗が出てくる。

 

 

 戦場でピンチになった瞬間、勝手に敵の量子コンピューターをクラッキングして無力化するような、マスコットの皮を被った怪物が完成しそうだ。なんなら核ミサイルの直撃を相手に「一人でやってみます」とバリアを貼り続けてるなんて事もあり得るかもしれない。

 

 

 

(……待て待て、落ち着け俺。対話型! あくまで『対話型AI』だからな!?)

 

 

 

 危うい未来を一瞬想像してしまい、俺は内心で猛烈にセルフツッコミを入れていた。心を持つAIを否定はしないが、いきなりお出しされればどうなる事やら。

 

 

 

 

 システムが自己判断して戦場を勝手に支配するモビルドール路線なんて、ミリタリーの美学としても全くエレガントじゃない。

 

 

 

 というかGジェネDSでアズラエルが嬉々としてデビルガンダムやモビルドールを使ってたりしたように、そんな劇薬は今の混沌としたC.E.の世界には早すぎる。いや本当やばかったからな、あのゲーム。アズラエルがデビルガンダムと同化ってなんだよ。

 

 

 

 目指すべきは、どこまでもパイロットの意志を尊重し、その手足を補うためのサポートに特化した存在だ。目標はフルメタのアル。軍事的な最終目標はチェインバー。民生も含めるとネットナビ。

 

 

 

 技術的な手綱を握らせたら何をしでかすか分からないハチと、常識の枠組みを平気で飛び越えるアスランの二人には、「絶対に一線を越えるなよ」と後で口酸っぱく、それこそ耳にタコができるくらい釘を刺しておかなきゃな、と俺は固く心に誓う。

 

 

 

「まぁ、何はともあれ! これで人間の脳味噌なんていじくり回して、モビルスーツのパワーアップアイテムにしちまおうなんて考える、頭の狂ったバカはいなくなるだろうからいいかぁ!」

 

 

 

 俺が少しおどけた調子でそう言うと、エリカさんは手元のペンを握ったまま、一瞬だけ動きを止めた。彼女は眼鏡の奥の瞳を僅かに揺らし、「あなた……」と、何かを躊躇うように、あるいは確かめるように小さく唇を動かす。

 

 

 

 恐らく、無理をしているだとか同情的な言葉を彼女であれば掛けてくれるに違いない。だが、俺は彼女が言葉を紡ぎ出す前に、わざとらしく明るい声を被せて席を立った。

 

 

 

「あ、そうだ、カガリへの予算の根回しも進めなきゃいけないんだった! という訳でエリカさん、大体の方向性は決まったし、細かい仕様の策定はあとはよろしく!」

 

 

 

 それだけ言い残すと、俺はひらひらと手を振りながら、逃げるように会議室を後にした。重厚な自動扉が背後で閉まり、静まり返ったモルゲンレーテの長い廊下に出る。

 

 

 

 周囲に誰もいないことを確認した途端、俺はそれまでの軽薄な態度を脱ぎ捨て、壁に背を預けて「……ふぅ」と深く重いため息を吐き出した。

 

 

 

 どっと押し寄せてきた精神的な疲労感の中で、俺の脳裏をよぎっていたのは、あのBデバイスだ。

 

 

 

 死刑囚の脳味噌を扱いアコードの読心能力を無効化するための忌まわし技術。だが、デュランダル発案のそれ以外にもこの世界では人間の脳味噌を弄って兵器に適合させる技術が存在していたんだ。

 

 

 連合・プラント間で行われた戦争末期。ブルーコスモスが主導で開発したMAの中に『ペルグランデ』と呼ばれる機体が存在している。NJCが搭載されてるだとかドラグーンユニットがと性能的な説明は省くとして最大の特徴は、この機体はドラグーンを運用する為にパイロット3名を外科手術により共通化処理で脳を繋げ、各パイロットがX軸、Y軸、Z軸を担当する事、で疑似的に空間認識能力を獲得していたという事だ。

 

 

 

 

 ん?もっと簡単に言ってやろうか。「3人の脳を直接外科手術で繋いで戦闘兵器にしてる」って訳だ。

 

 

 

 

 ……いや、本当に正気の沙汰じゃない。

 

 

 

 

 二次大戦の終了後に実はオーブはプラントだけではなく、連合。というか、オーブ侵攻戦で主軸となって国土を蹂躙しようとした、大西洋連邦からかなりの賠償(前大戦の後に毟り取られた不当な金銭や補償も含めて分割払いで)を得る事に成功していたのだが、同時にNダガーNのようなロゴスの遺産といえる機体や技術もある程度接収する事に成功している。

 

 

 

 そんな訳で現物として持ってこられたこの機体の存在を知った時も相当ドン引きしたが、実際にそんな馬鹿みてぇな技術が存在している世界に生きているとなると、背筋に冷たいものが走る。

 

 

 

 機体に乗せられた3人の人格や、その後の人生なんてものは最初から完全に無視。彼らは人間として扱われたのではなく、ただのドラグーンを動かすための高性能な生態CPUとして消費されたに過ぎない。

 

 

 

 つまりだ。このC.E.という世界には、すでに人間の脳味噌を生体デバイスとして運用する技術や、それを良しとする悪魔の思想の芽が、とっくの昔に深く根を張っちまっているってことだ。ロドニアのラボに大量の脳みそが浮かんでいるのもその証拠だ。

 

 

 

 そして、何よりも笑えないのは……他ならぬこの俺自身も、かつてその禁忌の果実に手を伸ばし、デュランダルと共にあの『Bデバイス』を運用していたという事実だ。

 

 

 いくら「俺たちが使ったのは社会的に抹殺された死刑囚の脳だからギリギリセーフ!!」なんて都合のいい言い訳を並べ立てたところで、そんなカス同然の欺瞞や偽善なんぞ口が裂けても言えないし、世界の誰に対しても言えるはずがない。ミーアにさえ絶対に知らせない俺とデュランダル、そしてエリカさんが墓まで持っていかなければならない知識なんだ。

 

 

 

 やってる根底の思想は、連合のペルグランデや生体CPUの技術となんら変わりゃしない、人間の尊厳をドブに捨てた外道そのものなんだからな。

 

 

 

 だが、過去の俺がそこに手を染めてしまったということは、裏を返せば、同じように切羽詰まった状況になれば、似たようなロクでもないショートカットを思いつく馬鹿が、いつどこで再び現れてもおかしくないということでもある。

 

 

 

 しかし、仮にだ。

 

 

 

 これから先、各国がまたかつてのような一触即発の緊張状態に陥ったとしよう。お互いが疑心暗鬼になり、軍拡競争が再び狂ったように加速したその瞬間、人間の脳みそを弄ってモビルスーツを無理やりパワーアップさせるような歪んだ技術が、より洗練された形で再び産まれてしまえばどうなる?

 

 

 

 想像しただけで、胃の底からせり上がってくるような強烈な吐き気が湧き起こり、俺は思わず口元を強く手で抑えた。壁に激しく背中を打ち付けたまま、ドクドクと不快な高鳴りをあげる心臓がバクバクと暴れ狂うのを、必死になって堪える。

 

 

 

 もしも、そんな最悪のショートカットが「洗練された技術」として確立されてしまえば、次に犠牲になるのは誰だ?自国の犯罪者か? スラムの身寄りのない子供たちか? それとも戦場で捕らえた敵国の捕虜か?

 

 

 

 いや、それだけじゃない。国家や組織が血眼になれば、なんなら前世の記憶にある『ゾイドジェネシス』のバイオゾイドに搭載された機械兵『ナンバー』のように、占領地から一般市民を家畜のごとく大量に攫ってきては、生きたまま脳や肉体を改造し、ただの機体に組み込む――そんな、人間の尊厳を完膚なきまでに破壊した生き地獄が、この世界のあちこちで平然と産まれるだろう。

 

 ただでさえコーディネイターとナチュラルの間で、血で血を洗う殺し合いを続けてきた世界だ。そんな外道極まりない兵器が戦場に溢れかえれば、そこから生まれる悲劇と憎悪はさらに何倍、何十倍にも増すだろう。

 

 

 その狂気の歯車の中で、一体どれだけ多くの人間が、声すら奪われて使い捨ての部品として犠牲になるだろうか。

 

 

 どれだけ多くの反吐が出るような絶望が、このコズミック・イラを埋め尽くすことになるか、想像するだけで――。

 

 

「だからこそ、止めないといけないんだ」

 

 

 深く、強く、自分に言い聞かせるように強く壁を叩く。人間の脳味噌をすり潰して兵器の部品にするような、あの非人道的な技術の系譜がこれ以上のさばる未来なんて、何が何でも先回りして潰してやる!!!

 

 

 

 

 確かに、これをいつか民間に普及させて、『ロックマンエグゼ』や『流星のロックマン』に出てくるネットナビやウィザードのような、一人一台の相棒が当たり前に日常生活を支える世の中を作る、というのは前世のオタクとしての純粋なロマンでもある。

 

 

 だが、俺がコンパス副総裁という権力を使ってまでこのプロジェクトを急ぐ真の理由は、そんな綺麗事や趣味の領域の先にある。今から研究を完了させ、実戦に投入し、実績を作ることで「世界の軍事技術の流れ」を俺たちの手である程度コントロールしたいからだ。

 

 

 なぜ過去の連中やデュランダルが脳味噌を弄るなんて狂気に走ったのか。理由は極めてシンプル、システムをゼロから組むよりも「人間の脳という完成した演算器をぶち込む方が、手っ取り早くて効率が良いから」に他ならない。

 

 

 

 だったら、その前提条件を根底からひっくり返してやればいい。

 

 

 

 わざわざ人間の脳を弄るなんていう倫理的にもリスク的にも大問題な悪魔のショートカットに頼るよりも、俺たちが作るAIを組み込んだ方が、遥かに手っ取り早く、かつ着実にモビルスーツの性能を引き上げられる。

 

 

 パイロットの生存率を上げ、オペレーターの負担を劇的に軽くし、何よりどれだけ公に表沙汰になっても一切の問題がないどころか、民間からも支持される。そんな、クリーンな土壌を、あらかじめ俺たちの手で完成させる。それが俺の裏の目標だ。

 

 

 もしかすると、俺は歴史における最悪のターニングポイントの引き金を引いちまったのかもしれない。エリカさんが言っていた、フィクションでありがちな機械の反乱なんていう最悪な災厄の芽を、俺自身の手でこの世界に植え付けてしまった可能性だって、決してゼロではないのだから。

 

 

 

 だが、そんな遥か先の、さらにまた先であろう未来のことなんて今の俺が知るか。もし文句あるなら未来から刺客を送り込んで俺を殺してみろよクソがっ!

 

 

「二度と、人間の脳味噌を兵器として運用させない世界を作る、それが、かつて禁忌に手を伸ばしちまった俺の、最低限の贖罪だろうがよ…!」

 

 

 自嘲気味につぶやいた言葉は、誰もいない静かな廊下に虚しく消える。過去に犯した罪が消えるわけじゃない。デュランダルと共にBデバイスを作り上げ、システムの一部として人間の脳を消費した事実は、どれほど綺麗事を並べても俺の魂に刻まれた消えない汚泥だ。

 

 

 だからこそ、その歪んだ技術の系譜を、俺たちの代で完全に断ち切る。AIが暴走するかもしれないという不確かな未来の恐怖よりも、今まさに目の前にある、人間が人間を文字通りの使い捨ての部品に変えていく地獄を終わらせることの方が、今の俺にとっては遥かに優先すべきことだ。

 

 

 もし未来の人間が、俺の遺したAI技術のせいで危機に陥るのだとしたら、その時はその時代の主人公たちに全力で尻拭いをしてもらうさ。今の俺にできるのは、この歪みきったC.E.の世界をこれ以上狂わせないために、今動かせる最善の駒を全力で進めることだけ。

 

 

「よし……!」

 

 

 両手で自分の頬を強めに叩き、冷めかけた血を再び滾らせる。いつまでも暗い廊下で過去の亡霊に怯えている暇はない。背筋を伸ばし、いつもの不敵で、どこか軽薄な副総裁としての仮面を完璧に張り直す。

 

 

 目指すはオーブ代表首長、カガリの執務室。

 

 

 ただでさえ仕事で忙しく、後継者教育まで行ってるカガリから婚約者を取り上げるのは気が引けるが、こればかりはいい感じに誤魔化そう。今度また鰻重でも奢るかと考えつつも俺は一歩一歩、確かな足取りで廊下を歩き始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談だが――。

 

 

 数十年後の未来。世界各地で、人々が手のひらサイズの小型端末を片手に、まるで唯一無二の相棒と接するように、対話式AIと楽しげに言葉を交わすのが当たり前となった世の中でのことだ。

 

 

 プラントのみならず、オーブ、そして地球のあらゆる場所において、ある一人の男の名がこれ以上ないほどの敬意と共に知れ渡ることになる。

 

 

 だがそれは、かつて世界を破滅の危機に陥れた狂気の指導者、パトリック・ザラの息子としてではない。戦場を縦横無尽に駆け抜けた、あの恐るべき伝説のエースパイロットとしてでもない。

 

 

 過酷な戦場から始まり、やがて一般市民の日常生活までをも劇的に変えることになる、AI開発の基礎を創り上げた偉大なパイオニアとして、だ。

 

 

 世界のどこかにある学術都市か、あるいは彼が愛したオーブの豊かな緑に囲まれた広場には、彼の功績を称える立派な銅像が建てられている。

 

 

 それはかつての鋭い軍人の眼光ではなく、どこか優しく穏やかな笑みを浮かべた晩年の姿であり、その傍らには、彼が生涯を通じて数多く作り出したという、あの愛らしい球体のマスコットロボットが寄り添うように刻まれている。

 

 

 無数の人々がデジタルな相棒とともに歩み、その恩恵を謳歌する未来において、機械に心を吹き込んだ彼の名は、歴史の教科書に最大級の称賛を込めた、ある一つの称号と共に永く語り継がれることになる。

 

 

 

 ――人とAIの絆を繋いだ、 『融和者(ハーモナイザー)』。アスラン博士として。

 





・融和者アスラン
 最終的にこの世界ではAI開発部門において大きな功績を出す事になるアスラン。実際には8とアスランの功績が大きいものの、ハチは自身の存在が表沙汰になるのはと有名になることを拒否してその功績をジャンク屋組合という組織そのものになるようにと誘導していたが為に、リーアムやロウに功績を譲り渡しています。

 アスランが果たしてアスハ姓なのかザラ性なのかは皆様の想像にお任せしますが、最早アスランがパイロットだった事などトリビアの泉で取り上げられそうな程にはマイナーな知識として片隅に置かれる事になるでしょう。なおユウナは「テメぇらだけカッコいい異名ばっかずるいんだよ!!!」と理不尽にアスランにキレたのは内緒です。

 なお当たり前ですがアスランも存命中に勝手に女体化され、すげぇデカパイ美女(パイオニア→おっぱい→AIの母的な存在だから母性属性付与)として、白衣とメガネをかけたビキニ姿のどこか影のあるママ属性な爆乳美女にされ、晩年の本人は宇宙猫のような顔になりつつ、メイリンが爆笑したのは内緒です。


・対話式AI開発
 実際にはユウナにとって一番の目標は既にC.E.世界は人間の脳味噌の軍事利用についての研究がある程度進んでおり、今後の悲惨な未来。ゾイドジェネシスやユウナは知りませんが、溶鉄のマルフーシャのような敵国の人間や民間人を素材に軍事兵器を製造するような地獄を生み出す可能性を費やす為に、人間の脳をつかうよりもAIのほうがはるかにマシだという未来を作る事。それが、デュランダルと共に多くの人間を解体し非人道的な研究を行ってしまった彼の目標であり、贖罪なのでした。

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