破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

164 / 164
EX10 理想を目指すよりカスになるな

 

 

 

 

 オーブ都心部にある、高級すぎず。かといって安すぎない絶妙な塩梅の小料理屋の個室で、俺は人知れず胃のあたりを押さえていた。

 

 

 コンパスに所属するパイロットたちと定期的に飯を食いながら色々話し合う――このサシ飯、というか面談は、現場の生の声を聞くために俺自身が発案して始めたことだ。結構前から始めた事は後悔してるけどな!今更辞められねぇけど!

 

 

 因みに始めた理由は彼らと意外に直接的な接点がなかったりするからというのが一番だ。俺は副総裁としてミレニアムに乗る事もあるが、定期的に他国で外交官まがいの仕事をする事もあったりするし、オーブ国内でもモルゲンレーテでの新型機の視察や相談と忙しく、パイロットと顔を合わせる事は意外な事に少ない。精々食事と出撃時のブリーフィングくらいだろうか?

 

 

 まぁ、愚痴や悩みを聞き出すにはこれが一番手っ取り早いと思ったんだが、いざ席に着いて相手を待っていると、俺の脳内で激しいセルフツッコミが吹き荒れてしまう。

 

 

(いやこれ、現代日本の基準で言ったら完全にパワハラじゃねぇの……?)

 

 

 大して好きでもない、組織のNo.2の上司から突然サシ飯に呼び出されて、プライベートな個室で「何か悩みはないか?」なんて聞かれるんだぞ。部下側からすれば面倒だったり、恐怖以外の何物でもないし、それが査定に響くかもと怯えて愛想笑いで胃を壊すサラリーマンの構図そのものだ。

 

 

 相手にそんな多大なプレッシャーを与えている自覚はありつつも、俺がこの面談を止めないのには切実な理由がある。ぶっちゃけ半分は爆弾処理だ。下手に悩みを溜め込まれて、ある日突然「俺は自分の正義に従う」とか言って出奔される!なんて展開を割と恐れているからだ。

 

 

 いや、アスランが今更カガリを置いて唐突に出奔するなんて事はないと思うよ?ただ、組織内の人間関係やらプライベートの悩みやらで黙って大爆発されるくらいなら、事前に愚痴を吐き出させてガス抜きをさせつつ、状況を把握しておきたいなんて思っているのが一番だ。

 

 

 

 ……と、もっともらしい言い訳を並べてはみるものの、俺の本音のもう半分は、もっと俗っぽい物だったりするけどな。なんだかんだで、あいつらのことを友人や可愛い後輩だと思ってるんだよな。シンやキラをはじめ、戦場を駆け抜ける連中の悩みが、俺の権力や財力で解決できるならいくらでも力になってやりたい。それくらいの情は、今の俺にもある。

 

 

「失礼します。ユウナ様、本日のお客様がお見えになりました」

 

 

 仲居の静かな声と共に襖が開き、やってきたのはシン。今やルナマリアと結婚して苗字が変わり、シン・ホークとなった男だ。

 

 

 可愛くてスタイル抜群の年上奥さんがいて子宝にも恵まれて、リア充度で言えば間違いなくコンパストップクラスに君臨する、ご立派な主人公サマである。まぁ俺も嫁さんに恵まれてるから羨ましくなんてないがな!

 

 

 緊張してるのかと思えばシンは思いのほかリラックスした様子で部屋に入ってきた。ただ、格式高そうな和室の雰囲気に気圧されたのか、そわそわと部屋の中をキョロキョロ見回している。

 

「うわぁ……副総裁、いいんですか? こんな高そうな店、俺みたいなのが来ちゃって……」

 

 

 そう言いながら頭をかくシンに対し、俺はフッと笑って、対面の座布団をパタパタと叩いて座るよう促した。

 

 

「気にするな。ここだけの話、今日の飯代は俺のポケットマネーじゃなくて、コンパスの予算から出てる接待用の金だからな。お前も一応は公務員なんだ。国民の税金を湯水の如く使って贅沢三昧してやるぜグヘヘ、くらいの不埒な気持ちで、今日は遠慮なく美味いもんを食ってくれ。」

 

 

 あえて冗談めかしてそう言うと、シンは「何ですかそれ!」と緊張を完全に解いて、犬っぽく嬉しそうに白い歯を見せて笑った。まずは第一関門突破といったところか。なお高そうなって意見半分不正解、半分正解だ。昼はランチでリーズナブルなんだが、夜は結構なお値段だからなこの店。

 

 

「それじゃ、お言葉に甘えて、普段は頼めないような高い肉とか食っちゃいますよ?」

 

 

「おう、好きなだけ食え。なんならルナマリアとトワちゃんの分まで土産を持たせてやってもいいぞ」

 

 

 

 運ばれてきた霜降りの特選肉を網で焼き、口に放り込んだシンは、文字通り目を輝かせて咀嚼していた。焼肉店じゃないんだが、一切の遠慮を捨ててバクバクと白米をかき込み、美味い美味いと次々に箸を伸ばしていく。

 

 

 

 その、見ていて惚れ惚れするほどの見事な食べっぷりは、高級小料理屋の静かな個室に妙な活気をもたらしていた。

 

 

 まぁ、若い男が美味そうに飯を食う姿というのは、見ているこちらとしても悪い気はしない。そんなシンの姿を眺めながら、俺はふと自分のこれまでの食生活を思い出していた。

 

 

 思えば一時期の俺は、いつどこで誰に命を狙われるか分かったもんじゃないという強迫観念から、暗殺を恐れて自分で作った弁当ばかりをひたすら貪るような日々を送っていた。あの頃の精神状態は、今考えても相当に擦り切れていたと思う。

 

 

 それが最近では、ミーアが忙しい合間に作ってくれる愛妻弁当をのんびり食べるようになり、彼女のケアによって、こうして少しずつではあるが外食もできるようになってきたのだから、人間変われば変わるもんだ。

 

 

 

 とはいえ、前世の感覚のまま「ちょっとそこらのファミレスやファーストフードで小腹を満たすか」なんて気楽な真似は、今の俺の立場では逆立ちしても無理だったりする。どこに暗殺の罠が仕掛けられているか分かったもんじゃないから、怖くて絶対に立ち入れない。

 

 

 結局のところ、俺が外で飯を食べられる場所といえば、こうして二重三重のセキュリティを敷き、事前に徹底した毒味まで含めてちゃんとした手続きを踏んでいる専用の店か、あるいは身内しかいないコンパスの食堂くらいなものだ。いくら値段はそこそことは言えそれが毎食に近いのなら安全を金と権力で買い叩いた結果の高級三昧と言える。

 

 

 

 一般市民から見れば、我ながら相当な贅沢を極めている状況なのだが、こればかりは命がかかっているのだから妥協するわけにはいかない。とはいえバレたら猛反対され辞任の危機になりそうだが……その時はその時でミーアのヒモとして生きるか。多分カガリは仕事を辞めさせてくれねぇが。

 

 

 

 一通り食事が進み、大皿の肉が綺麗にシンの胃袋へと消え去って、温かいお茶で一息ついた頃。俺は少し背もたれに体を預け、本題を切り出すことにした。

 

 

 

「そんでシン、何か悩みとかあるか? 上司に根掘り葉掘りプライベートまで詮索されるのはうざったいとは思うが、職場の不満でも、私生活のことでも何でもいいぞ」

 

 

 

 

 努めてフランクなトーンで問いかけながらも、俺の内心は(まぁ、何もなければこれで『美味かったなー』って解散でもいいし、むしろそっちの方がありがたいけどな)という祈りにも似た気持ちでいっぱいだった。何事もないのが一番の平和だからな。

 

 

 

 というか、あまりに突飛で面倒な爆弾は本当に勘弁してほしいのだ。

 

 

 

 この前、アスランと二人で飲んだ時の悪夢が脳裏をよぎる。あの野郎、さぁ解散とするかぁ!となる直前に急に神妙な面持ちになったかと思えば。

 

 

 

「定期的に最近、報連相のアレで脳が支配されそうになるんだ。具体的には……」

 

 

 

 なんて不穏なことをブツブツと口にした瞬間、俺は本能的な危機感を察知して、それ以上具体的な中身を喋らせる前に即座に緊急で専門のメンタルカウンセラー送りにする羽目になった。

 

 

 

 本人は今でこそ落ち着いたらしいが、やっぱりストレスが溜まると、色々と奇行のバグがぶり返すんだろうか……? と、思い出すだけでも変な冷や汗が出てくる。あの悪夢の報連相モードを再発する前に対処できて良かった……。

 

 

 カガリはそれに気づけなかった自分に、軽くショックを受けたりして大変だったが、まぁそれはともかくだ。どうか目の前の若きエースからは、そんなバグみたいな相談が飛び出してきませんように。俺は祈るような視線で、お茶をすするシンを見つめると彼は悩むように口を開いた。

 

 

 

「あの、副総裁……。実は、そろそろ俺にも部下がつきそうなんですけど、正直、隊長になれる自信が全然ないんですよね」

 

 

 

 シンは湯呑みを見つめたまま、困ったように眉を下げて頭をかいた。シンはあまり酒が飲めないらしく、俺もこういう時は酒を控えてる。

 

 

 

 

「ミネルバの時はアスランやハイネに任せっきりでしたし、コンパスに入ってからも、ハイネが隊長になってずっと引っ張ってくれましたから。自分が人の上に立って指示を出すなんて、どうしても想像できなくて……」

 

 

 

 

「あー……そうきたかぁ」

 

 

 

 

 俺は湯呑みをテーブルに置きながら、深く頷いた。確かに、前世の原作知識を思い返してみても、シンは誰かを指揮する経験なんてこれっぽっちもなかったはずだ。

 

 

 

 原作の歴史だと、ハイネは物語の途中で戦死しちまうし、その後にアスランが出奔した後だって、シンは基本的に目の前の敵を作戦に従って撃破するか、タリア艦長の指示を受けてどうにか動いていただけで、自分が主体となって部隊を率いたことなんて一度もなかったはず。

 

 

 

 

 人員不足やブラック戦場に加え、FAITH入りして独立戦力として認められた影響も大きく。仮に小隊長として誰かが働けとなった時でもシンやルナマリアはレイを推薦しただろう。レイは色々な意味でシンを推薦しそうだが。

 

 

 

 おまけにこの世界では、ハイネが生きていてコンパスでも隊長としてシンの上に立ってくれていたから、なおさら、自分が隊長になるという実感が湧かないんだろう。

 

 

 

 だが、そんなシンも子持ちになって、そろそろ20歳を越える年齢だ。それに今、コンパスは全体的な人員を増やす動きを見せている。組織が拡大すれば、当然ながら実績十分のエースであるシンに部下がつき、隊長ポストが回ってくるのは当然の流れだった。逃れられないキャリアアップの壁というやつだな。

 

 

 

 

「シン、お前、指揮官や士官としての教育は一応受けてるんだよな?」

 

 

 

 俺がそう尋ねると、シンは少し意外そうな顔をしながらも、記憶を掘り起こすようにコクコクと頷いた。

 

 

 

「え? ああ、はい。士官学校のカリキュラムで、戦術論とか部隊指揮論なんかは一応一通りやりましたけど……」

 

 

 

 そう答えるシンの様子を見ながら、俺は心の中で(やっぱりな)と小さく頷いていた。全体的に平均スペックの高さが凄まじい、コーディネイターばかりが揃うザフトの士官学校で、最終的にエリートの証である『ザフトレッド』を勝ち取って卒業しているんだ。

 

 

 

 それに前世の原作知識を思い返してみても、ヘブンズベースでの戦いではルナマリアとレイに対し、格闘戦がデストロイには有効的だと素早く呼びかけて的確な連携の起点を作っていた。

 

 

 

 更に、俺の知る限り実際の戦いでも、ガイアティターンズで敵を切り裂きまくりながら、無線での状況報告や戦況の共有は驚くほどちゃんとしていたのを俺自身が確認している。

 

 

 

 前世も含めれば、シンは世間的には感情に任せて突っ走る猪突猛進の馬鹿だと思われがちだが、実際には戦場をきっちり俯瞰的に見ることができ、小隊長としての素質は決して低くないはずの男なんだ。少なくとも、基本的にコノエ艦長に丸投げしてる俺と比べたら遥かにな。

 

 

 

 ただ、今の俺の立場はコンパスの副総裁だ現場の兵士に対して「お前なら絶対にできる」とか、逆に「できないから無理しなくていい」なんて気安く太鼓判を押すわけにはいかない。不用意な一言は、時に軍の組織人事や本人のキャリアを狂わせるからな。

 

 

 

 これもあるから、毎回顔を使わせて食事すると緊張が走るんだよ。だれだ!こんな企画考えたやつ!?いや、俺だったわ。

 

 

 

「……そりゃあ、俺が副総裁としての権限を使って、お前が隊長ポストに就かないように裏で人事を取り計らうことくらいは簡単にできるが……どうする?」

 

 

 

 俺がわざと試すようにそう問いかけると、シンは慌てたように両手を大きく振って、即座に首を横に振った。

 

 

 

「いや、そんなの望んでないですよ! 俺だってそれくらい分かってます。もし仮にコンパスが解散したら、俺はザフトに戻ることになる。そうなったら、ザフトではどっちにしろ絶対に隊長をやることになるんですから、今からワガママ言って逃げ回ってるわけにはいかないってことくらい……」

 

 

 

 

 シンの口から出た言葉に、俺は少し目を見張った。シンも結婚して人の親になっただけあって、自分の将来や組織での立場というものを嫌でも随分とシビアに見据えるようになったそうな。

 

 

 実際、シンの言う通りなのだ。実のところ、世界平和監視機構コンパスという組織は、恒久的に未来永劫存在し続けなければならない組織というわけじゃない。

 

 

 

 元々は戦後に急増した宇宙海賊やテロリストの暴走に対処するため、利害を一致させて設立した枠組みだ。激変する世界情勢の中で、いつかは役割を終えて解散する可能性も、組織の形態や内容が大きく変わる可能性も十分に高い。

 

 

 というか今でも、テロリストの活動も全盛期より減ったせいで技術試験部隊的な側面までデカくなってるからな。おかげでコングやグルドリンが一時的に配属されてそのテストを行ったこともある。ちなみにテストパイロットとしてはアグネスはかなり優秀な子だ。性格的に問題があるのは確かだが、とにかく、報告が分かりやすいんだよなぁ。

 

 

 それでなくても、シンは現在のコンパスにおいて誰もが認めるトップクラスのエースパイロットの一人として大活躍している。

 

 

 慢性的な人材不足に喘いでいるザフト本国側としては、こんな最高峰のパイロットをいつまでも他所に貸し出しておく余裕なんてないはずだ。彼らにとっては、いつかは必ず本国に復帰してもらい、次世代を担う部隊の指揮官や教官に据え置きたい、というのが本音だろう。

 

 

 コンパスにいる今だけが全てじゃない。シンはその先の、自分を待っている未来の責任から目を背けずに、ちゃんと悩んでいるんだ。

 

 

 

 だからこそ、だからこそ思ってしまう。

 

 

 

 あっこれ、俺が口出しした所で、どうしようもねぇなと。

 

 

「……悪い、こればっかりは俺からも何とも言えねぇや」

 

 

 

「えぇー……。最近の悩みは何でも俺に聞かせてくれないかい、って自分から言い出したのは副総裁の方じゃないですか」

 

 

 俺はそうぶっちゃけながら、手元の烏龍茶をぐっと喉に流し込めば、シンは持っていた箸を止め、あからさまに「梯子を外された」と言いたげな顔でジト目を向けてくる。

 

 

「お前なぁ、悩みを聞くとは言ったが、聞いた悩み全てをこの俺がズバッと解決できるかどうかはまた別問題だからな?」

 

 

 

 俺は湯呑みを置いて、開き直るように人差し指を立てた。開き直るのと詭弁をぶつけるのも大人の特権だ。

 

 

 

「いいか、よく聞け。例えばだ、『予算が足りなくて機体の予備パーツが回ってこない』とか、『上層部のバカに理不尽な命令を押し付けられた』とか、俺の持つ権力や権威、動かせる範囲の金で解決できる範囲の不満なら、組織の利害に響かない程度には裏で動いてやるつもりはある。だがな、今回のお前のみたいな『将来自分が良い指揮官になれるかどうか不安だ』なんて、最終的に自分で判断せにゃならん悩みに関しては、俺が代わりに隊長をやってやるわけにもいかない以上、こうして飯を奢りながら愚痴を聞いてやる事くらいしか無理なんだよ」

 

 

「それは……まぁ、そうですけど」

 

 

「だけどさ、そうやって一人で抱え込んで限界まで溜め込むよりは、こうして誰かにベラベラと吐き出した方が、いくらか頭が整理されてマシだろ?」

 

 

 

 俺が少しトーンを落としてそう言うと、シンは一瞬きょとんとした後、何かを納得したように小さく息を吐いた。

 

 

 

「……まぁ、確かに。誰にも言えずにずっとモヤモヤしてたんで、副総裁に聞いてもらえただけでも、なんかちょっとスッキリしたっていうか、気持ちは軽くなった、かな?」

 

 

 

「だろ? だから、今日の俺の役目はこれで終わり。あとはお前は美味い飯を食って、家に帰ってモニター越しから、奥さんと子供の顔を見て、明日からの糧にすればいいんだ……なーんて、いい感じに終われる訳もないから。まぁ、副総裁の戯言として聞いてくれ」

 

 

 

 内心、ここで何の解決も提示せず、ただの聞き役に徹して終わらせても良かった。その方が俺としても気楽だし、今更アドバイザー気取りをする必要もない。

 

 

 

 だが、せっかくこうしてシンが素直に俺を頼って、悩みや本音の相談をしてくれたのだ。さすがにそれだけで切り上げるのは、可愛い後輩に対してあまりにも冷たすぎるし、なんだかんだで力になってやりたいと思ってしまう。

 

 

 

 よし、ここは一つ、俺なりの答えとして幾つか助言でも授けてやるか。ダブスタだのどの面とかたまに言われそうだが無視だよ無視!

 

 

 

「とりあえず、俺の場合はさ、周囲から臆病だの神経質だのと言われがちなのはお前も知ってるだろ?」

 

 

 

 

 俺がそう向けると、シンは一瞬目を瞬かせたものの、否定はせずに「……まぁ、はい。なんとなく」と正直に小さく頷いた。実際、俺の過剰防衛っぷりや暗殺を恐れる姿勢、石橋を叩いて壊して、また新しく橋建ててやっと渡るような立ち回りは、コンパスの身内にもそれなりに知れ渡っているからな。

 

 

 

 

「他人がどう笑おうが、俺が常に頭に置いているのはな、常に『最悪』やら『どん底』のシチュエーションを想定してそれに備えることだ。そして、その最悪の未来を呼び込むためのフラグや、引き金になりそうな鍵となる行動は、絶対にしないと心に決めてるんだよ」

 

 

 

「フラグ、ですか?」

 

 

 

 

 シンは箸を持ったまま、不思議そうに首を傾げているが、俺は人指し指をチッチッと振ってみせる。同時に一瞬黒歴史がフラッシュバックして発狂しそうになったが、我慢して彼に向き直る。

 

 

 

 酷かった、アレは本当に……酷かった。

 

 

 

 

「あぁ。まぁ例えば、一番身近で分かりやすいところで言えば報連相の徹底だな。報告、連絡、相談だ。これを怠ったり忘れたりしたせいで、のちに国家規模の大惨事や手遅れになるケースなんて、この世界じゃ掃いて捨てるほどあるんだよ」

 

 

 

 俺がそう言うと、シンはどこか身に覚えがあるのか、少しだけ耳が痛そうな顔をした。

 

 

 

「実際、シンはおそらく当時の詳しい内情までは知らないだろうが、前大戦の時にな。俺もキラもマリュー艦長もトダカも、なんならカガリも含めてだ。全員が揃いも揃ってとんでもないポカを戦時にやらかしたせいで、事後処理に関わった関係者のほとんどが精神的ダメージがクリティカルヒットして、マジで寝込んだことだってあるんだぞ」

 

 

 

 そう、あのアークエンジェル脱走騒ぎの顛末は、今思い出しても本当に酷かった。誰もがタラレバと「○○ヨシ!」と好き放題した挙句のあまりにも酷すぎる多重衝突事故だったからこそ、俺達は嫌でも報連相の重要性を理解した。

 

 

 

 その大反省を活かして、以後オーブ軍や政府内では部隊単位での緊密な連携だけでなく、徹底的な報告義務が法制化に近いレベルで義務付けられるようになったくらいだ。なおこれに関しては報連相に染まりきってたアスランの提案が積極的に採用されてたりする。やっぱスゲェよアスランは。

 

 

 

(……まぁ、そんな偉そうなことを言いつつも、たまに俺のあずかり知らぬところで、カガリが周囲を勝手に巻き込んで俺をハメてくるような真似をしてくることもあるし、何より俺自身、前世から転生云々や、Bデバイスのことなんかを含めて、絶対に他人に口に出せない秘密を山ほど抱えまくってる側なんだけどなぁ!)

 

 

 

 

 心の中でそんな盛大な自己矛盾にツッコミを入れつつも、俺はそれを一切顔に出さず、いかにも頼れる上司面を維持したまま話を続けた。

 

 

 

「それ以外にもいろいろあるが、例えばそうだな。お前たちエースパイロットにありがちなフラグを挙げるなら……『俺が撃破した方が早いから』と言って、自分一人ばかりが活躍してしまうケースだ」

 

 

 

「えっ……。でも、戦場じゃ確実に敵を仕留めるのが一番正しいんじゃ?部下の負担も減りますし」

 

 

 

 シンが不思議そうに瞬きをする。いかにも現場叩き上げの天才らしい疑問だが、組織を動かす立場からすれば、それは明確な悪手になり得る。

 

 

 

「戦術的には正しくても、組織の育成や人間関係としてはフラグになりかねないんだよ。隊長が全部おいしいところを持っていっちまったら、部下は委縮して育たないだろ? それだけならまだ可愛い方でな。もしもお前の部下に、アグ……無駄に向上心やプライドが高いやつがついた場合を想像してみろ。『あの隊長は俺の手柄を奪いやがった』とか『俺を信用してないから戦わせないんだ』なんて逆恨みされて、最悪の裏切りや離反の引き金になる。これだって立派な阻止すべきフラグだ」

 

 

 

(実際、前世で見たロボットアニメなんかだと、マジで多かったんだよな、こういうケース……)

 

 

 

 俺は澄ました顔を維持しながら、内心で激しく戦慄していた。アニメや漫画と一緒にするなと言われればそれでおしまいだが、こんなケースでのトラブルは珍しくもない。

 

 

 隊長本人は「部下の生存率を上げるため」「危険な目に遭わせないため」という、100%の善意や優しさから先回りして敵を全滅させているんだ。だが、受け取る部下のメンタルが未熟だと、それは容易に歪んだ思想に変わってしまう。

 

 

「俺はそんなに信用されてないのか」

 

「いつまで経っても半人前扱いか」

 

 

 

 そうやって鬱屈した劣等感やコンプレックスを勝手に拗らせていった結果、敵の怪しい指揮官やスパイあたりに『君の本質をあの隊長は理解していない。我が軍に来ればもっと輝けるぞ』などと甘言を囁かれ、最新鋭機を手土産にあっさり敵陣営へと寝返るパターン。

 

 

 

 あるいは、自分の力を証明しようと焦るあまり、実力に見合わないスタンドプレーに走って戦線を崩壊させ、最終的に自滅するパターン。

 

 

 

 最悪なのは、戦場のドサクサに紛れて味方であるはずの隊長の背中を後ろから撃ち抜き、ドヤ顔で闇堕ちライバルキャラへと変貌を遂げるパターンだ。いやー、流石にそういうことする奴は滅多な事ではないし、マジでいないと思うが……。

 

 

 

「だからな、隊長ってのはただ強ければいいわけじゃない。時には部下に華を持たせたり、あえて一歩引いてサポートに回ったりして、相手のプライドや承認欲求』 をコントロールしてやる必要があるんだ。自分が戦うより何倍も頭を使うし面倒だが、部下を信頼してよく扱いつつ、事前に不満の芽を摘んでおくことが大切ってわけだ」

 

 

 

(そういう意味じゃ、今隊長をやってるハイネは、指揮官としてマジで優秀なんだよなぁ……)

 

 

 

 俺はしみじみと今は歌手とパイロットの二足の草鞋で各地で歌いまくってる彼を想い出す。ちょっと軍人としては気軽すぎというか、フランクすぎて軽薄に成りかねないのが玉にキズではあるが、あいつの視野の広さと気配り能力は本物だ。

 

 

 

 自分の部下達どころか、作戦海域にいる現地の防衛部隊なんかのことまでしっかり頭に入れつつ、全体をコントロールして指揮していて、戦場では即座に自分の部隊への指示を出しながら、同時に現地の防衛部隊にまで通信を繋いで適切な助言を行いつつ、自分はしっかり部下のフォローに回りながらエースとして最前線で暴れ回る。

 

 

 

 それを本人は計算じゃなく、無意識レベルの直感で行っている辺り、まさに人の上に立つための才能なんだろうとつくづく感心してしまう。

 

 

 

(それにしても、マジでなんで、原作の歴史だとあんなあっさり死んじまったんだよ……)

 

 

 

 西川アニキのスケジュールの都合とかいうメタ的な大人の事情はさておき。どう考えてもハイネの早期退場の損失がデカすぎるんだ。

 

 

 

 原作のデュランダルはハイネの死亡には相当焦ったんじゃないかと俺は勝手に予想している。あいつが生きていれば、ミネルバ隊の人間関係があそこまで泥沼化することはなかっただろうし、パイロットとしての技量だけではなくシンやアスランのメンタルケア担当としても、欠かせない存在なのだから。

 

 

 

「だからさ、シン」

 

 

 

 俺は湯呑みをそっとテーブルに置き、改めて目の前の若きエースを見つめた。

 

 

 

「お前に最初から、あのハイネみたいに理想のMS部隊の隊長として完璧に振る舞えなんて言っても、それは正直難しいし酷な話だ。あんなのは一種の天才の領域だからな。だからお前は、その逆をやればいい」

 

 

 

「逆、ですか?」

 

 

「あぁ。良い隊長になろうとするんじゃなくて、あらかじめ『これだけは絶対にやってはいけない』っていうカスの行動をいくつか自分の中で決めておいて、それを徹底的に厳守するのをお勧めするよ」

 

 

 

 理想を追求するのでは無く、一線を超えない事を重視する。それが大切なんだと俺は指を一本ずつ折りながら、具体例を挙げていく。

 

 

 

「例えばだ。部下が何かやらかした時、問答無用でまず殴る。……で、殴った後にいくらもっともらしい正論を説明したところで、殴られた側の脳内は『痛い』と『理不尽への怒り』で埋め尽くされてるから、反発されるだけだし心なんて絶対に離れる。そんなのは指導でもなんでもない、ただの暴力による支配だ」

 

 

 

 心の中でどこぞの生真面目すぎる友人の顔を思い浮かべながら、俺は言葉を続ける。とはいえこの世界でのからは色々あって寧ろ、シンには相当気をかけており、殴る所か全面的にシンとレイのやらかしと言えるステラの脱走騒ぎでさえ彼は悩みながらシンと向き合った。

 

 

 

 それこそ、メンタルをやられて報連相の化身となってしまう程に……アスランはシン達の隊長としてハイネと並んで頑張ってきたんだ。だからシンも悩んでるんだろう。ハイネだけではなく、アスランという手本がいるからこそ。どうしても自分はそうなれないのでは?と。

 

 

 

「他にも、部下の言い分や失敗した理由を一切聞かずに、自分の過去の栄光や価値観だけを頭ごなしに押し付けるとか、な。そういう『自分がされて嫌だったこと』や『客観的に見てカスな上司の行動』をリストアップして、それだけは絶対にやらないと心に誓うんだ。理想の隊長なんていう高すぎるハードルを目指すんじゃない。まずは『カスの隊長にならないこと』。これを目的にするんだよ」

 

 

「カスの、隊長にならないこと……」

 

 

 シンは俺の言葉をなぞるように呟き、じっと自分の手元を見つめた。これまでの人生で色々な思惑に振り回されてきた彼だからこそ、この引き算の思考は妙に腑に落ちたらしい。

 

 

「そうだ。それさえ守ってりゃ、少なくとも部隊が内側から大爆発して崩壊するなんていう最悪の事態だけは大体確実に回避できる。最低限のラインさえ死守していれば、あとはお前には実力があるんだ。周りは自然とついてくるさ」

 

 

「……なんか、色々楽になりました。完璧な隊長になろうとしなくていいんですね。まずはカスな上司にならないように、それだけは絶対守るようにします!」

 

 

 本当いい奴だし素直だよなぁシンは。シンはすっきりと憑き物が落ちたような顔で笑い、再び箸を動かし始めた。どうやら俺なりの引き算のアドバイスは、心をいくらか軽くしてやれたらしい。

 

 

 プラスを稼ぐよりマイナスを稼がない。マイナスさえ稼がなければ最悪プラマイゼロだからどうにかなる。まぁその結果何もしなくなる官僚主義というか、やる気のない隊長になるリスクはあるがシンならきっと上手くやれるだろう。

 

 

 

 

「おう、その意気だ。……あ、それとついでに、戦場で俺を後ろから撃たないでくれよ?」

 

 

「えっ!? 撃つわけないじゃないですか、味方ですよ!?」

 

 

 

 冗談めかして言った俺の言葉に、シンは目を丸くして思いきり首を横に振った。

 

 

「いや、一応今だから言うけどな? お前が前大戦の時に模擬戦で、最新鋭のムラサメ9機のカメラをぶち抜いて不殺で完封した時はマジで怖くてな! 『あっ、ミネルバ隊を敵に回したら俺確実に死ぬわ』って、全力で媚び売っておくか!ってなるくらいには怯えてたんだぞ?」

 

 

 今でも思い出すわ、トダカからきいた時の恐怖を。その後シンはオーブ軍人を殺せなくなってるし、これは使える!と邪悪な表情を浮かべてたりしたのは内緒だが。

 

 

 ちなみにあの時シンと交戦した模擬戦のパイロット達は、今もムラサメ改乗りとして活躍しており、偶にシンは彼らの飲み会に誘われるそうだ。

 

 

 

「あれそういう意図があったんですか……でも、あのときミネルバに大気圏内用の飛行装備とかを色々譲ってくれたのって副総裁でしたよね? レイも『何が望みなんだ?』って警戒してましたけどね」

 

 

「まぁ元々はオーブ生まれのお前に死んでほしくないって気持ちもあったし、ユニウスセブンを一緒に砕いたお仲間って感情もあったが、そういう打算的な側面や意味も少なからずあったって訳だ。……結果的にお前らに恩を売っておいて大正解だったけどな。他に今だから言えることは……」

 

 

 

 そんな風に、今だからこそ笑って話せる過去のドタバタ劇や、当時の舞台裏の生々しい事情に花を咲かせているうちに、夜は賑やかに更けていった。

 

 

 最終的に、シンは運ばれてきた料理を米の一粒まで残さず綺麗に平らげ、すっかりリフレッシュされた満面の笑みを浮かべていた。危惧していたパワハラ面談になることもなく、爆弾処理どころか、良い感じのガス抜きができたんじゃないだろうか?俺もシンと改めて会話をして楽しかったからな。

 

 

 プラントに送るためのルナマリアとトワちゃんへのお土産用の高級折詰をシンの両手に持たせ、今日の面談はこれにて無事に終了。

 

 

 「ごちそうさまでした!」と元気に頭を下げて帰っていく若きエースの後ろ姿を見送りながら、俺はパンパンになった自分の胃のあたりをさすり、ようやく深く息を吐き出して和やかな余韻に浸るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それで副総裁。今度広報から、風の強い海の上で黒いガムテープみたいな服を着て、ダンスを踊りながらノリノリで歌えって言われてるんだが」

 

 

 

「がんばれ」

 

 

 

 






・食事について

 一時期は食事全てを自作するほど病的に暗殺を恐れていたユウナ。しかし、ミーアのケア?とファウンデーションとの戦いがひと段落した結果、こうして安全だと比較的納得できる場所では外食も可能に。とはいえ、基本的にはミーアか自分で作ったら料理ばかりを食べてる方も多く、休暇の時は互いに料理する事も珍しくないとか。

・ユウナのアドバイス
 ちなみにユウナ本人は MSに乗ってるときはひたすらババの操縦のせいで叫んでますし、ミレニアムでもブリーフィングに顔を出してますが戦術指揮などは全てコノエ艦長やハイネにぶん投げていたり。ですのでユウナ本人は演説したり歌を流すことはあっても、指揮能力は実はかなり低め。最低限は学んでますが餅は餅屋と割り切ってます。

・指揮能力
 ユウナとしては指揮能力はカナードとハイネが MS部隊の隊長として優秀だと思っていますが、アスランは勿論、実はババもめちゃくちゃ優秀。ユウナさえ絡まなければ 今作のババはオーブ軍で最もMAを上手く乗りこなせるエースであり、隊長としても普通に優秀なのですが。基本的にユウナは「あの」ババしか見てないのでその辺りは知りません。忠義さえ絡まなければSSR人材なんです……忠義ってなんだよ。

大西洋連邦の選挙結果は?展開によって今後のお話に影響が出ますが、あくまで大西洋連邦国民の一人として投票して頂けると幸いです。

  • 【フォスター政権+親オーブ派】
  • 【モンロー主義派】
  • 【反オーブ+反プラント派】
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜(作者:台風200号)(原作:ガンダム)

気がつけば、そこは『機動戦士ガンダムSEED』の世界だった。▼だが――転生したのはコーディネーターでも、英雄でも、パイロットでもない。▼よりによって「オーブのアスハ家三男」という、政治と陰謀の渦中に放り込まれる地雷原のド真ん中の最悪のポジションだった。▼未来を知る者として、タイガ・ウラ・アスハは決意する。▼――オーブを守る。▼――プラントの滅びを見届ける。▼…


総合評価:2144/評価:6.92/連載:190話/更新日時:2026年06月20日(土) 07:08 小説情報

人の心(の光)とかないんか?(作者:頑張っても駄無)(原作:ガンダム)

▼ あるけどない。それがガンダム世界である。▼ コレは2連続でガンダム世界に転生したチート転生者のダイジェストである。▼


総合評価:4087/評価:7.94/短編:7話/更新日時:2026年02月27日(金) 19:30 小説情報

逆襲のギュネイ(作者:黄金鉄塊騎士)(原作:ガンダム)

転生したらあっけなく天パにやられたギュネイ・ガス君だった件。▼原作とは違い、イキるのはやめて、▼スペックは結構高いこの体を使って宇宙世紀を謙虚に、命大事にの精神で生き延びます。▼逃げ回れば、死にはしないってシーブックニキも言ってたしね。▼ただ、宇宙世紀に転生したからには救える人は救っていきます。▼


総合評価:4820/評価:8.15/連載:9話/更新日時:2026年02月07日(土) 01:06 小説情報

やめ、僕 プラント√(作者:星乃 望夢)(原作:機動戦士ガンダムSEED)

『やめてよね、僕が准将みたいに出来るわけないじゃないか』のIf√。▼もしもあの日、アスランと一緒にプラントへと引っ越す路があったのなら、世界はどんな風に変わっていたのか?▼ユーラシア連邦がティエレン教になったり、アズラエルが腹黒ヤクザビジネスマンになったり、オーブが世界最強武装中立国家になったり、イングリットがNTRされたり、カナードがどけ!俺はお兄ちゃんだ…


総合評価:4454/評価:8.39/連載:5話/更新日時:2026年06月10日(水) 09:15 小説情報

旧型サラミスで生きる1年戦争(作者:カズkaz)(原作:機動戦士ガンダム)

ありきたりな転生ものです。機動戦士ガンダムをそこそこに知っている主人公が旧型のサラミスに乗り込み、なんとか1年戦争を生き抜こうと奮闘する物語。▼思い付きで投稿していますので続かないかもしれません。▼箸休めにご覧ください


総合評価:3076/評価:8.28/短編:21話/更新日時:2026年06月20日(土) 20:55 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>