破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》 作:kiakia
かつて地球連合とプラントの間で巻き起こった前大戦――それは単なる国家間の利権争いを超え、ナチュラルとコーディネイターという人種そのものの存在を懸けた憎悪の応酬であった。互いに国際条約など端から反故にし、容赦のない殺戮と破壊を繰り広げた、血で血を洗う凄惨極まりない地獄絵図。
その最悪の狂気が吹き荒れていた時代こそが、この地下要塞の起源である。
事の始まりは、ザフトの手によって地球全土へ散布されたNJだ。核エネルギーという文明の命綱を一瞬にして奪われた地球圏は大混乱に陥り、世界各地でエネルギー危機と通信インフラの消滅が発生。それに伴う飢餓と暴動、寒冷化によって、地球上では実に十億人以上の人間が命を落とすという惨劇が巻き起こる。
そして、その未曾有の混乱と弱体化に乗じ、ザフト軍は満を持して地球降下作戦を開始。上空から容赦なく降り注ぐコーディネイターの機甲戦力に対し、死に物狂いの地球連合軍が打ち出した対抗策の一つこそが、これらの地下要塞の建設と拡張である。
そもそも、この極厚のコンクリートで覆われた要塞空間にはC.E.以前に遡る人類の血塗られた歴史が色濃く影を落としていた。
C.E.が開幕する以前に勃発した再構築戦争――世界規模で繰り広げられたその大戦において、核兵器が容赦なく応酬された記憶は、人々に消えぬトラウマとして刻み込まれていたのだ。だからこそ、実の所大戦初期において地球連合各国の指導層が何よりも心底恐れたのは、ザフトの繰り出す未知の機甲兵器……即ちモビルスーツの脅威などではなかったのだ。
彼らが夜も眠れぬほど怯えていたのは、かつて自分たちが血のバレンタインで犯した惨劇に対する、コーディネイターたちによる報復核。いつ頭上から超高熱の太陽が降り注ぎ、地上のすべてが灰燼に帰すか分からないという事実と恐怖。
その核恐怖から身を護るために選ばれた回答こそが、地熱や水資源の豊富な鬱蒼とした樹海の奥深く、その山体を丸ごと穿って建設されたこの地下バンカー群であったのだ。
再構築戦争の時代に作られたそれは地表から数十メートルという深さに設置されており、直撃した核爆風の衝撃波をも拡散・減衰させる特殊構造を備えていた。
さらに幾重にも張り巡らされた高密度重装甲コンクリートの隔壁は、放射線や熱線を完全に遮断する防壁として機能する。
NJの影響下であっても長期間の篭城を可能にする独立した排熱・換気システムと自家発電設備を備え、地上から完全に姿を眩ませながら核の冬すら生き延びる地下のシェルター。当初は核攻撃への恐怖から生み出されたこれらの要塞は、その後のザフトによる地球降下作戦において、上空からの容赦ない空爆やMS部隊の猛攻に耐えうる堅牢なゲリラ戦拠点へと拡張・転用されていったのである。
結果論から見れば、これらの地下要塞群は当時地球上で猛威を振るったバクゥやジンといったザフト製MSの圧倒的な機動性を削ぎ落とし、狭隘な暗闇の中での迎撃を可能とした。最終的にはその多くが力押しで陥落させられたものの、ザフト側に無視できないほどの甚大な損害と出血を強いたのである。
一説によれば、後にプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルが開発を命じたデスティニーガンダムの追加装備でゼウスシルエットは、ザフトがこうした堅牢極まりない地下基地攻略で舐めた辛酸と苦戦に対する、確固たる対抗策として生み出されたものだとも囁かれていた。
だが、時は流れ、時代は変わる。
地球連合軍が自前のMS開発に成功したこと、そして何より血のバレンタインの悲劇を経たプラント側において核兵器への激しい忌避感が定着したこと。これらの情勢変化が、地下要塞の存在意義を急速に失わせていった。
莫大な維持コストと過酷な管理問題も相まって、大戦終結後は一部の重要施設を除いた大多数の地下基地が次々と廃止・放棄された。あるいは、災害時に備えた民間人用の地下避難バンカーへと改修され、戦火の記憶とともに打ち捨てられていったのである。
また、乾坤一擲とも言えるザフトのアラスカ基地攻略作戦――『オペレーション・スピットブレイク』から始まる一連の怒濤の交戦は、両軍の戦力配置を激変させ、各地に凄まじい混乱をもたらしている。
電撃的な攻勢と、それに続く急速な戦線縮小や撤退。目まぐるしく変化する戦況の渦中で、部隊の再編や兵力の集中が最優先とされた結果、現在テロリストの立て籠もる地下バンカーは打ち捨てられ、このような末路を辿っていたのだ。
施設自体の規模は決して小さなものではなかった。しかし、その後に勃発した第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦における決戦兵器『ジェネシス』の照射――それにより、地球連合軍の主力艦隊が一瞬にして蒸発した壊滅的打撃も相まって、当時の連邦上層部にとって、一地方の樹海に隠されたこの基地の優先順位は最低まで暴落し、放棄されるのは当然なのだろう。
無論ユウナは後に「廃棄するならするで、テロリストに再利用されるって何考えてんだ!?」とブチ切れたのは言うまでもない。
なお、このような経緯で放棄された基地は、この大西洋連邦の領土内だけに留まらず、ユーラシア連邦の僻地にて、現在、過激な武力行使ではなく「自然保護への回帰」を標榜し、環境保全を目標として活動するブルーコスモスの穏健派組織『コミット・ブルーコスモス』。彼らが本拠地である拠点もまた、当時の混乱の中で記録から抹消され、放棄されたものである。
この作戦の終了後、コンパスは正式に地球連合加盟の理事国およびプラントに対し、『第一次大戦時に廃棄、あるいは忘れ去られた軍事基地・拠点の全面的な再査察と封印』を要請することになる。
その調査過程で歴史の闇に埋もれていた、数多くのトラブルやドラマが掘り起こされることになるのだが……それはまた、別の話だ。
話を現在へと戻そう。
圧倒的な強固さを誇る地下要塞に身を潜め、通信を断たれながらも迎撃の構えを取ろうとしていたテロリストたち。だが彼らは、決定的な着眼点を見落とし、致命的な油断を犯していた。
確かにこの地下バンカーは、核攻撃の惨禍にすら耐えうる驚異的な防護能力を備え、C.E.71年当時に猛威を振るったザフトのMS部隊を退けるべく設計された絶対の城塞である。それは歴史的な事実であった。
――しかし、そこまでだ。
彼らが頼みにしていたその完璧な防衛理論は、あくまで「C.E.71年時点におけるザフト軍の兵器体系」を仮想敵として構築された過去の遺物に過ぎない。
戦火は、兵器技術を常軌を逸したスピードで進化させる。
より遠く、より正確に、より凄惨に――眼前の敵を確実に殺戮し、打ち砕くための殺傷技術を、人類はこの数年間で更なる高みへと研ぎ澄ませ続けてきたのだ。
C.E.71年の常識で作られた頑強なコンクリートの城壁など、最新の戦場においてはもはやただの、脆い鳥籠でしかないという事実に、狂信者たちは気づく事はなく。その事実を自身の命を対価に知る事になるのであった。
「……まったく、何たる事を」
アイアンコングのコックピット内にてモニターに映し出される敵地下基地の崩壊映像を眺めながら、ババは呆れたように短く吐き捨てた。
モニターの隅には、送られてきた着弾データと照合結果が淡々と緑色の数値を刻み続けている。寸分の狂いもないピンポイント砲撃。事前のデータ提示通りの結果とはいえ、あまりに呆気ない破壊劇である。
「元が大西洋連邦の基地だというのなら、内部構造や詳細な配線ルートなどを、大西洋連邦上層部が把握していないはずがないだろうに……」
直後、微かな作動音とともに、アイアンコングの背部に聳え立つ重火砲の砲身覆いがスライドし、焼き切られた薬莢状の排熱ユニットが湿った地表へと落下した。ジュッ、と湿地を蒸発させる鈍い音と熱気を残しながらも、作動系全体の静音性は極めて高いもの。
周囲の樹海に打撃音すら響かせないその隠密性の高さに、ババは胸中で胸をなでおろすのであった。
この異常なまでの精度と貫通力を誇る特殊兵装は、決して今回のテロリスト掃討作戦のためだけに急造された代物ではなかった。そのルーツは、かつてザフトがデスティニーの追加装備として開発を進めていた対オーブ戦を見据えた強化装備、『ゼウスシルエット』にまで遡る。
ゼウスシルエットの主武装である超大型リニアキャノン。それは、発射時に爆薬として超高密度の陽電子反応を併用することで、単機で保持する実体砲としては限界値に等しい破壊力と貫通エネルギーを叩き出す規格外の兵器であったのだ。
その威力は、史実においては絶対に破壊不能とまで称されたレクイエムの砲身構造体すらも、単体で粉砕し得るほどの絶大なものであり、そもそもこの規格外の威力を誇るゼウスシルエットは、かつてデュランダル議長がオーブ国防本部へ立て篭もるカガリたちに対し、逃げ場を完全に塞いで引導を渡すための決戦兵器として開発を命じた代物である。
しかし、この世界における歴史の潮流は、わずかに異なる軌道を描いていた。かのファウンデーション事変において執り行われたレクイエム破壊作戦――その決戦の場において本命として投入されたのは、核ミサイルを積載したマルチランチャーパック装備のウィンダム群であるのは周知の事実だ。
アカツキが偏光リングの撃破にゼウスシルエットを使用したものの、最終的にデスティニーがゼウスシルエットを背負い、その圧倒的な火線を戦場に解き放つ機会は永遠に失われたのである。
だが、その不発に終わった大火力の概念と、アカツキが持ち帰った膨大な戦闘運用データに、オーブ軍上層部が着目しないはずがなかった。
非核兵器の枠組みでありながら、単機で要塞設備や防衛施設を完全穿孔し得る火力―。
オーブの技術陣は、実戦投入されなかったゼウスシルエットの設計思想と照射データを徹底的に再解析。そこに自国独自のエネルギー伝達ノウハウを融合させ、新たな研究開発へと着手したのは当然の結果なのだろう。
専守防衛を国義として掲げるオーブにとって、それはあまりにも過剰で、暴力的すぎる兵器だ。
だが、現実は容易く理想を踏みにじる。
ファウンデーション事変において皮肉にも核の威力が絶望を打ち砕き、世界中で「新たな核抑止理論」が再定義されつつある混沌の時代。ただ攻め込まれるのを待つだけの盾など、もはや何の意味もなさない。
たとえその時が来ないことを望もうとも、敵拠点そのものを根こそぎ叩き潰せる攻勢兵器の保有は、国家が生き残るための避けて通れない選択であった。
……かつて、エクリプスを秘密裏に開発・運用していた事実を知る数少ない関係者、ミヤビがその決定になんとも言えない複雑な表情を浮かべていたのは、ここだけの内緒だ。
ともあれ、そうして極秘裏に進められた研究開発がスムーズに行くはずもなかった。幾重ものシミュレーションを重ねた技術陣が突きつけられたのは、あまりに厳しい現実である。
まず第一に、目も当てられないほどの「燃費の悪さ」だ。陽電子を爆薬代わりに組み込んだ超高出力のリニアキャノンは、とにかくエネルギーの大食いすぎた。オーブが誇るフラッグシップであり、ヤタノカガミの使用の為に余裕を持ったパワー供給能力を持つアカツキ』 ですら、フルパワーで一発放てばバッテリーの八割が雲散霧消するという有様。
これでは核動力搭載機体以外はまとも扱えず、それならばNJC搭載機体を運用する事を計画するが、それすらも上手くはいかない。
そう、第二の問題点は絶望的なまでの「取り回しの悪さ」である。巨大すぎる砲身と莫大な自重は、機体の運動性を著しく殺してしまう。大気も重力もない宇宙空間であれば、スラスターの力任せに強引に機首を振ることもできたが、重力が足引っ張る地上において、こんな長尺の鉄塊を引っさげて動き回るなど正気の沙汰ではない。
さらに反動で照準がずれてしまえば市街地を吹き飛ばす可能性も浮上しており、その後、これらのデータを確認したユウナが「お前マジ…」とデュランダル元議長に愚痴りまくったのも当然の流れなのだろう。
だが、技術陣を何より頭を抱えさせたのは「地上での排熱問題」だ。
真空の宇宙空間であれば、排熱パネルによる放射冷却や冷媒の気化噴射でそれなりに効率よく熱を逃がすことができる。しかし、まとわりつく大気が存在する地上ではそうもいかない。一度射撃を行えば発生した凄まじい高熱が砲身内部に滞留し、冷えるどころか砲身そのものが熱で自壊しかねないほどの高熱を溜め込んでしまうのだ。
結果として、一発撃つたびに長い冷却時間を挟まねばならず、その間は強烈な熱量を周囲に撒き散らしながら棒立ちするしかない。圧倒的な破壊力を手に入れた代償はあまりに大きく、燃費最悪、取り回し最悪、一度撃てばアツアツの置物と化す――まさに欠陥兵器の役満状態。
だからこそ、オーブの技術陣は早々に白旗を上げたのだ。
そもそも、この兵器は前提条件からして頭がおかしかったのである。
元となったゼウスシルエットは、あのデスティニーへの装着を前提として設計されていた。つまり――ニュートロンジャマーキャンセラー(NJC)とデュートリオンビーム送電システムを掛け合わせた、当時の最新技術とコストを惜しみなく注ぎ込んだ、『ハイパーデュートリオンエンジン』という超高出力ジェネレーターが存在して、初めて成立する代物だったのである。
さらに言えば、それを動かすパイロットはデスティニープランによって遺伝子レベルで選抜された、ザフトの中でも一握りの最優秀なコーディネイター兵士だ。要するに、開発元のザフトが出した運用方針を要約するとこうなる。
Q:地上では燃費も取り回しも最悪なこの欠陥兵器を、一体どうやって実戦で扱うのでしょうか?
A:最新鋭の規格外エンジンで無理やり燃費問題を解決した上で、プランで選んだ最優秀の兵士に気合と腕で頑張ってもらう。
――あまりにも潔いまでの脳筋仕様である。
技術的な課題や取り回しの悪さを、過剰なエンジンスペックとパイロットの超人的な腕力で強引に押さえ込む。そんなザフトの「プラン前提の贅沢すぎる力技」を、バッテリー駆動機が主流のオーブの地上部隊でそのまま再現しようとしたこと自体が、最初から間違いだったのだ。
「こんなもん、うちの技術と地上の環境で扱えるわけがないだろ!」
現場の技術者たちから上がった悲痛な叫びとともに、この超大型リニアキャノンの開発計画は一度、完全に暗礁へと乗り上げることとなったのである。
だが、一度は暗礁に乗り上げた開発計画に、突如として二つの大きな「転機」が訪れる。第一に、ファウンデーション事変においてアカツキが宇宙空間でゼウスシルエットを限定運用した際に得られた、あまりにも貴重な生の実射データだ。エネルギー伝達の収束効率や制御の限界値など、それらがすべてのデータへと持ち帰られたのである。
そして第二に、ガイアティターンズが運用していた技術――そこからドッズ技術を応用し、貫通力に特化させつつ静音性を極限まで高めた新型レールガン『ライコウ』の技術体系であった。この二つの最新技術が融合したとき、オーブの技術陣はついに一つのコロンブスの卵的な解答へと辿り着く。
「……そもそも、地上運用で山ごと吹き飛ばすような過剰火力なんて本当に要るか?」
ある意味では、まさに目から鱗が落ちる発想の転換であった。元となったゼウスシルエットのリニアキャノンは、巨大構造体を直接ねじ伏せる事を想定した兵器。それを、そのまま通常運用にて地上戦に持ち込もうとしたからこそ、燃費も排熱も取り回しも壊滅的なことになっていたのである。
ならば、オーブの主戦場である地上で求められる役割だけに絞ればいい。敢えて出力を適正値まで削ぎ落とし、余った分のリソースを「貫通力」と「エネルギー収束度」、そして「静音性」へとすべて極振りする。
広範囲を爆砕するのではなく、高密度の針で突くように、地下要塞の要衝や動脈だけをピンポイントで穿ち抜く――。火力を敢えて抑えたことで、莫大だったエネルギー消費と激しい排熱問題は劇的に改善。バッテリー駆動のMSでも十分に運用可能な、実戦的な地中貫通兵器へと、ようやく最適化されてその牙を研ぎ直されたのだった。
「――ユウナ様!主目的である敵拠点のメインアンテナ、通信管理室、ならびに広域データ中継ブロックの沈黙を確認いたしました」
アイアンコングのコックピット内。ババはサブモニターに表示された暗号化通信のウィンドウに向かって、背筋を正して報告を入れる。画面の向こうに映るユウナは、どこか気だるそうに短く息を吐いていた。
「そうか。……ご苦労さん」
その一言を聞いた瞬間、ババの胸中に熱い感動の波が押し寄せた。忠義である。忠義パワー注入である。
(おお……! なんという温かい労いのお言葉! 偉大なるユウナ様から直接のご苦労の一言を賜るとは……っ!)
思わず瞳を潤ませ、感涙のあまり画面越しに敬愛する上官への賛辞と忠誠の詞を狂信者のごとき熱量で捲し立てそうになったババだったが、間一髪で踏みとどまった。モニターに映るユウナの眉間には深い皺が刻まれており、その雰囲気が隠しきれないほど不機嫌極まりないことに気づいたからだ。
ここで余計な感動を口にすれば、主君の不興を買いかねない。ババは必死に溢れ出る感情を必死に喉の奥へと押し戻し、脳内では褒めちぎりながらも報告を継続する。
「……はっ! 恐縮に存じます! 報告ですが、まだリニアキャノンには、まだ最後の発射用予備ユニットが2パック残されております。続いて敵MSの地下格納庫を直接穿ち、戦力を根こそぎ潰しましょうか?」
「いや、格納庫は狙わなくていい」
ユウナは苛立ちを紛らわせるようににべもなく却下する。作戦では全てババに任せると口にしていたものの、わざわざこうしてユウナに報告をするババもマメなものだがある意味ではオーブにホウレンソウの系譜が根付いている証拠なのかもしれない。
「出来ればあの中に眠っているウィンダムⅡは、シンたちにほぼ無傷のまま鹵獲させたいからな……それより、最後のひと砲はここを狙え」
ユウナの手元から転送されてきた座標データが、アイアンコングのメインモニターへと割り込み、赤く点滅した。そこは、要塞の主構造から遠く離れた、鬱蒼とした岩山の崖下――一見すればただの岩肌にしか見えない、基地の「隠し出口(裏口)」として用意された非常脱出路の位置を示していた。
「既にアグネス達が内部に侵入して、今頃派手に暴れ回っているはずだ。今回の任務はパイロット以外のテロリストを残らず撲滅することだからな。……まあ、あのアグネスのことだ。放っておいても全員ヤっちまうだろうが、ウィンダムⅡの存在は外部に秘匿する必要がある。MS戦は全部シンに任せて、お前は奴らが逃げ出さないようその穴を塞げ」
ユウナの指示を受け、ババの頭脳は即座にその意図を理解した。主君の狙いを完璧に把握したババは、手際よくサブコンソールを操作し、最後の発射シークエンスへと移行していく。
「了解いたしました! 発射を完了次第、ミラージュコロイドを展開し、指定ポイントにて隠密待機に移ります!」
「……ふぅ、お前にも悪いな。せっかくの休日に、こんなカスみたいな奴らの尻拭いに付き合わせちまって」
ユウナは苛立ちを隠さずにどこか呆れたように小さく付け加えた。ただでさえ今回は動けるものだけを無理やり連れてきた様な任務だ。ユウナと同様ババも結果的には休日返上になってしまい、後始末なども含めればオーブの布団で眠るのは後数日は必要となるだろう。
「一応、これが終わったらまとまった休暇申請を通してやるからな。撃ち終わったらミラコロ貼りつつ万が一に備えて、通常弾頭に切り替えて待機してろ」
その言葉が、ババの胸に痛烈な感動となって雷撃の突き刺さる。基本的にユウナの皮肉や罵倒は脳内で解釈する男ではあるが、純粋な心配や期待の言葉に関しては10倍近くに増幅した上で独自解釈を山盛りにして受け入れるのだからさもあらん。どうして、こんな遠い所まで来てしまったんだろうか?
(おお……! なんというお優しさ! このババめのような一兵卒にまで、これほどのお心遣いを賜るとは……っ!)
目頭が猛烈に熱くなり、今度こそ大粒の涙を零して男泣きしそうになるババ。だが、プロの軍人としての操作パネルを叩く手つきには一切の狂いも迷いもない。片手で必死に溢れる涙を堪えながら、もう片方の手で弾着計算と捜査を猛スピードで行いつつ、彼は通信機に向かって全力で叫ぶ。
「かしこまりました! ユウナ様ァ!!」
画面越しに炸裂した、胸焼けするほどの凄まじい熱量の忠誠心。それはある意味神託に匹敵するものであり、今の彼ならば命令さえあれば単騎で敵基地を殲滅する事すら可能だろう。だが、ユウナ本人はと言えば思わず眉間を固まらせた。
(……あっ、これ完全に台詞選びミスったな?)
労いの言葉をかけたせいで、余計に狂信者の燃料を投下してしまったことを察したユウナは、頭を抱えると同時に、一切の躊躇なく通信切断ボタンを叩きつけ。その後、テロリスト達の最後の脱出経路が準備していたトレーラーごと吹き飛んだのは言うまでもないだろう。
・リニアキャノン
ゼウスシルエットのリニアキャノンに関しては少し独自設定も混ざっていますが、取り回しが相当難しかったのは事実らしく。やはり、議長はコンクルーダーズでの運用を想定した上でこの兵器を開発したのでしょう。今作ではそんな、ザフトが開発したゼウスシルエットのリニアキャノンをデータや現物ごと改修したオーブが運用を模索しますがやはり難しい。
しかし、実戦での宇宙戦闘における使用に加えてガイアティターンズが集めた『ライコウ』の技術により、あえて過剰な破壊力を抑えた上で空中からではなく、地上から砲撃し。目標全てを破壊し尽くすのではなく、ピンポイントで破壊する地下貫通弾として再生する事に。アイアンコングはナックルウォークの移動を想定しており、かなり安定感もよく。まさに今回の任務にはぴったりの素体となるのでした。とはいえ静穏性と貫通力に特化しているとは言え砲身はかなり大型化しており、たとえコストが掛かろうがパイロットの保護のためにはミラージュコロイドが必須だったのは内緒。
実はこれらの兵装は全て『オウガ』開発に関わったダブルブイ(ヴァレリオ・ヴァレリ)による新形パワーエクステンダーによってかなりのエネルギーの消費量とは言えバッテリー機での運用の諸問題が解決した部分も多く、ある意味では『オウガ』の系譜と言えるのがこのコングと言えるでしょうね。
大西洋連邦の選挙結果は?展開によって今後のお話に影響が出ますが、あくまで大西洋連邦国民の一人として投票して頂けると幸いです。
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【フォスター政権+親オーブ派】
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【モンロー主義派】
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【反オーブ+反プラント派】