破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》 作:kiakia
上海の港湾部に設置された、オーブ国際救援隊(ODR)の臨時整備ドック。
そこには、かつて「死を撒き散らす兵器」だった機体たちが、異様な姿となって整列していた。
カナードらによって無傷で捕縛されたストライクダガーやジンの数々。それらは火器をすべて撤廃され、代わりにオーブから持ち込まれた作業用MS『リビルド』の予備パーツを半ば強引に移植されていた。
急造の大型クレーンアームを背負った「リビルド・ダガー」。
重機並みの超高出力パワーシリンダーを脚部にねじ込んだ「リビルド・ジン」。
装甲の継ぎ目は荒く、塗装も剥げたままの「現地改修機」たち。だが、その無骨な姿こそが、今この街で最も求められている「力」だった。
これらの機体を操るのは、オーブの人間ではない。身分を隠してこの街で生活していた、現地人のコーディネイターの志願兵。いや、ボランティアスタッフたちだ。
『ブレイク・ザ・ワールド』以降、地上でコーディネイターだと名乗るのは文字通り命懸けだった。「遺伝子を弄った化け物のせいで世界はめちゃくちゃだ」と後ろ指を指され、ブルーコスモスに命を狙われる恐怖。
そんな絶望の中でも、彼らは自らの正体を明かし、ODRの門を叩いた。自分たちを救ってくれたODRの姿に、そして泥にまみれて戦うオーブの軍人たちの背中に、自分たちの「存在意義」を見出したからだ。
「……コーディネイターの連中……あいつら、俺たちより必死にこの街を直してやがる」
瓦礫を撤去し、送電線を繋ぎ直す「元・兵器」たちの献身的な動き。
コーディネイター特有の高い適応能力を、誰かを殺すためではなく、街を蘇らせるために注ぎ込む彼らの姿は、現地の人間たちの心を少しずつ解かしていった。
「コーディネイターだから」憎むのではない。「目の前で助けてくれるから」信じる。
かつての戦場で命を奪い合った憎しみは、今、同じボルトを締め、同じ瓦礫を担ぐ「仲間」としての連帯感へと書き換えられていく。
「隊長、またリビルドのパーツを無理やりダガーに溶接してますよ。規格が合わねえって泣き言言ってた癖に」
空から哨戒を終えて戻ってきたムラサメの隊員が、カナードに通信を入れる。
カナードは、現地人から感謝の言葉をかけられ、戸惑いながらも作業を続けるリビルド・ジンのパイロットを見下ろし、鼻で笑った。
「……勝手にやらせておけ。あのアホなボンボンが望んだのは、こういう『泥臭い平和』なんだろ」
かつては殺し合うための牙だった鋼鉄の巨人が、今は復興の槌を振るっている。
それは洗練された物語でも、華やかな進化でもない。だが、これこそがこの歪んだ世界を、足元から作り直していくための、最も確かな一歩だったのだ。
上海から始まった「鹵獲機を復興重機へ変える」という試みは、瞬く間にユーラシア大陸各地、そして東アジア共和国の被災都市へと波及していった。
大西洋連邦では今なおブルーコスモスの影響力が強く、コーディネイターへの憎悪が根深いため、この動きは困難を極めている。しかし、それ以外の地域では、劇的な変化が起きていた。
各地でボランティアスタッフとして名乗りを上げたのは、その土地に潜伏していた現地のコーディネイターたちだった。
彼らはかつて、隣人から石を投げられ、いつ暗殺されるか分からない恐怖に怯えていた者たちだ。だが、オーブ国際救援隊(ODR)が示した「力」と、カナードたちが『蛇』で獲ってきた「機体」という素材が、彼らに立ち上がるきっかけを与えた。
「パーツが足りないなら、このダガーの腕を支えにすればいい! 瓦礫が崩れる前に、早く!」
ドックでは、オーブが鹵獲した機体や、長らく倉庫で埃を被っていたオンボロの初期型ダガーが、次々と「リビルド仕様」へと姿を変えていく。
外装は剥げ、センサーもガタついている。まともな予備パーツさえない状況で、彼らは現地の廃材やリビルドの部品を「継ぎ接ぎ」して、必死に機体を動かし続けた。
ある者はリビルド・ダガーの怪力で倒壊しかけたビルを支え、ある者はリビルド・ジンのバッテリーを調整して臨時の大型発電機として運用する。
現地のコーディネイターたちは必死だった。
それは単なる作業ではない。自分たちが「化け物」ではなく、この世界に必要な「隣人」であることを証明するための、魂を削るような献身だった。
「……信じられんな。前大戦で殺し合っていたMSが、今はワシたちの家を建てるのを手伝っている……」
ユーラシアの復興現場で、現地の老人がポツリと漏らした。
かつて死を象徴していた鋼鉄の巨人が、今はコーディネイターたちの手によって「希望」を運ぶ槌となっている。
その光景は、ブルーコスモスが、ロゴスがどれだけ差別を煽ろうとも、人々の心に深く、抗いようのない信頼を植え付けていった。その数は少数派であり吹けば飛ぶような儚い種子だ。
しかし、かつての戦場で奪い合った兵器が、泥にまみれた復興の象徴へと変わる。この「オーブの流儀」とも言える広がりは、もはや一つの国家の支援を超え、歪んだ世界を足元から浄化していく「静かな革命」となりつつあった。
ロゴスの首魁、ロード・ジブリールは、手元のモニターを叩き割らんばかりの勢いで凝視していた。
映し出されているのは、上海や北京、そしてユーラシア各地のニュース映像だ。そこには、かつて連合が供給したダガーがオーブのパーツで継ぎ接ぎされ、ジンやシグーといった同じくザフトの機体と共にコーディネイターの手によって民衆を助けるという、彼にとって屈辱以外の何物でもない光景が広がっていた。
「……何が『リビルド』だ。何が『平和の槌』だ! 我が軍の誇り高き兵器を、あろうことか土木作業の道具に貶めるとは……! それも、あのアスハの小娘とセイランの出来損ないに踊らされて!」
ジブリールにとって、オーブのやり口は「商売」と「イデオロギー」の両面における最悪の冒涜だった。
ロゴスが武器を売り、ヘイトを煽ることで維持してきた秩序が、オーブの「泥臭い善意」によって足元から崩されようとしている。特に、東アジアやユーラシアの民衆がオーブを支持し始めたことは、連合の支配力の根幹を揺るがす事態だった。
「もはや、小細工など不要だ。オーブの連中が幅を利かせているあの地を、丸ごと地図から消し去ってくれるわ」
ジブリールの視線は、開発が最終段階に入っていた「ある巨大な影」へと向けられた。
原作では、この兵器は親ザフトに傾きつつあったベルリンなどの都市を恐怖で支配するために投入された。だが、この世界において、ジブリールが定めた最終目標は――上海、そして北京。オーブ国際救援隊(ODR)が最大の拠点とし、復興の象徴となっている中華大陸の要衝だ。
「ユーラシアから陸路で横断させろ。逆らう者も、道中にある『オーブの毒』に侵された都市もろとも、塵に帰してやる」
こうして、理不尽なまでの巨躯が目覚めた。
黒い巨体、無数の砲門。そして、あらゆる攻撃を無効化する陽電子リフレクターを備えた、文字通りの殲滅兵器。
デストロイ。殺戮の名を与えられた忌まわしいロゴスの切り札。
それは、オーブが積み上げてきた「泥臭い平和」を、その巨大な足で踏みつぶすために放たれたロゴスの執念だった。
ユーラシアの平原を、巨大な影がゆっくりと、だが確実に東へと進み始める。その進撃路にあるのは、現地コーディネイターたちが必死に守り、リビルド・ダガーたちが懸命に直してきた、ささやかな日常の数々を蹂躙する為に。
リビルド仕様のダガーやジンはテロリストから鹵獲したものだけではなく、前大戦の後予備機として埃をかぶっていたものなども中心に。その全てがあくまで現地回収仕様であり、オーブ軍とちがって同じものは一つも存在しません(というかダガーにジンの腕やまともに被災して扱えなくなった105ダガーなどをキメラのように組み込んだりするパッチワーク的な機体も少なくはありません)
パイロット……いえ、ボランティアには隠れ住んでいた勇気ある現地のコーディネイター達が志願する事で、原作と比べると反コーディネイター思想は薄まる事に。とはいえジブリールにとってはイラついていたようで、原作ではベルリンを焼いていましたがユーラシアを横断して最終的に東アジア共和国の上海、北京をも攻撃対象となる事に。
どっちのアスランが見てみたいでしょうか?
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通常の優柔不断アスラン
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報連相の化身と化したアスラン