破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》 作:kiakia
ちなみにミネルバ隊の士気は最低です。そりゃそうです、シンに至ってはより一層ルナと過ごす日も増えてるそうですがレイはどうするのやら。
プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルは、喧騒に包まれる式典会場の袖で、静かに手元の端末を見つめていた。
彼はすでに理解していたのだ。ユウナ・ロマ・セイランという青年が、ある時期を境に劇的に変化したことを。具体的には「ブレイク・ザ・ワールド」……あの、ユニウスセブン落下の前後だ。かつての軽薄で凡庸な野心家だった面影は消え、代わりに驚くべき先見性と、冷徹なまでの決断力を備えた「別人」がそこに現れた。
人格を書き換えるほどの何らかの衝撃か、あるいは精神への干渉か。既にエクステンデッドという記憶を操作する前例がある以上、何らかのキッカケがあったのは事実なのだろう。だが、そんなことは今の彼にとってはどうでもいいことだ。
(人は変わる。だが過去は変えられない。人格が変わろうとも、君の肉体が積み上げた過去の事実は消えないのだよ、ユウナ君)
ロゴスが世界の憎悪を一手に引き受け、その頂点であるジブリールが処刑された今、世界は次の「獲物」を求めている。この熱狂の最中にあの写真を公開すれば、人々の目は必然的にオーブへ、そしてユウナ・ロマ・セイランへと向く。
「彼を差し出せ」という怒濤のうねりは、もはや一国の外交努力で抗えるものではない。
隠蔽を試みるか。あるいは証拠の捏造を主張して抗議するか。デュランダルにとっては交戦するのならヨシ。そのままユウナを差し出す、或いは始末するのであれば。先に月面の攻略を急げばいいだけの話だ。
どう動く、ユウナ君?とデュランダルは自身が認めた好敵手を相手に、その「次の一手」を愉しみに待とうとした……その時であった。
「――緊急放送です。オーブ連合首長国、ユウナ・ロマ・セイラン代表代行が、全世界に向けて声明を発表しました」
側近の言葉に、デュランダルはわずかに眉を動かした。あまりにも早い。モニターが切り替わり、そこには先ほどまで絶叫していたはずの男が、驚くほど冷静な――あるいは、すべてを投げ打ったような清々しい表情で映し出されていた。
『……先ほど公開された写真について、私からご説明いたします。……当時、私はジブリール氏がロゴスという闇の組織の首魁であるとは露ほども知らず、外交儀礼に則り、一国の貴賓として彼をもてなしました。しかし、結果として彼のような男と親交を結んでしまったことは、私の不徳の致すところです』
ユウナは一度深く頭を下げた。とはいえジブリールがブルーコスモスである事は有名であり、苦し紛れの謝罪と言わざる得ない。だが、顔を上げると迷いのない口調で放った言葉は議長にとっても驚きの言葉であった。
『現在、ロゴスが世界的な批判の対象となり、それと繋がりがあった私に対して皆様が疑念を抱くのは、至極当然のことと理解しております。……よって、私はその責任を取り、本日付で政府のあらゆる要職から辞任いたします。さらに、私個人およびセイラン家が保有する全私財をオーブ国庫へ返却し、今後の身の振りについては、中立な第三者機関の調査に従う所存です』
少しだけ呆然とするデュランダル。彼の言葉を反芻し、やがて思わず、フッと短く笑いをもらした。
「……見事だ。実に見事だよ、ユウナ君」
冷水を浴びせるとは、まさにこのことだ。辞任と私財没収。自ら進んで「社会的死」を選ぶことで、世界が求める「報い」を先回りして差し出したのだ。これでは、これ以上の追及は「一人の反省した若者をなぶり殺しにする」という、醜悪なリンチにしか見えなくなる。
だが、デュランダルはその笑みを消し、再び氷のように冷たい瞳で画面を見つめた。
「だが……君という個人が消えても、一度火がついた大衆の狂気は、もはやそれでは止まらんよ。君が身を引いたところで、ロゴスの残党と繋がりがあったという『オーブ』という国への疑念は消えない。そして報復を求める声もね」
彼はゆっくりと立ち上がり、次の指示を出すべく歩き始めた。ユウナ・ロマ・セイランの機転は認めよう。だが、彼が自らの権威を捨てたことは、同時にオーブという国の守りを薄くしたことでもあるのだから。それは議長にとってどこまでも都合の良い事であり『神官』としての責務を全うする上に必要な処置であったのだ。
世界中を駆け巡ったユウナ・ロマ・セイランの「辞任と全財産の返却」という声明。それは、たった数日でデュランダルが作り上げた狂騒の舞台に、冷え切った氷水を一気に流し込むような衝撃を与えた。
世間の反応は、真っ二つに分かれていた。まず、彼の決断に一定の理解を示し、これ以上の追及に消極的な姿勢を見せたのは、ユーラシア連邦と東アジア共和国の民衆であった。
彼らにとって、ユウナは「ロゴスの友」である前に、ブレイク・ザ・ワールド以降の地獄において、どこよりも早く、かつ大規模な物資と医療支援を送り届けてくれた「オーブ国際救援隊」の責任者であったからだ。
確かにザフトは全世界に支援を送り届けた。しかし、どこよりも早く駆けつけ、どこよりも深く被災地の復興に関わったのはリビルドを保有するオーブ以外の何物でもない。
「彼はジブリールを捕らえ、ザフトに引き渡した。その上で責任を取って地位も財産も捨てたんだぞ?これ以上、何を望むというんだ?」
特に支援を直接受けた被災地では、ユウナを擁護する声すら上がっていた。彼らにとっての「正義」は、遠いプラントの理想論よりも、目の前に届いたリビルドに宿っていたのである。
だが、その一方で、剥き出しの敵意を隠さない勢力も存在した。
筆頭は大西洋連邦。彼らはロゴスとの癒着が最も深く、それゆえに国内の混乱も激しい。自国の腐敗を棚に上げ、オーブの救援活動を「内政干渉」として拒絶していた彼らにとって、ユウナの迅速な幕引きは、自分たちの正義を邪魔する「狡猾な逃げ」にしか映らなかった。
そして、議長が絶対的な影響力を持つプラントも同様だった。新興国ゆえにロゴスの毒に侵されていなかった彼らにとって、ロゴスに関連する者は等しく「世界の敵」であり、絶滅させるべき悪でしかない。
「辞任など単なるトカゲの尻尾切りだ! 第三者機関がオーブ国内の組織である以上、公正な調査など望めるはずがない!」
「セイラン一族を国際法廷へ引きずり出せ!」
プラントの各都市では、議長の演説に呼応するように大規模なデモが発生していた。彼らにとってのユウナは、自分たちが酔いしれる「正義の処刑」というエンターテインメントに水を差した、不快な異分子でしかなかったのである。
果たして国際法廷に彼を招待した所でまともな裁判が行われるのであろうか?その答えは、たった数日で処刑されることになったジブリールを見れば火を見るより明らかだ。
熱狂するプラントと大西洋連邦。そして、世論が揺れるユーラシアと東アジア。皮肉にも、ユウナが『善意』……いや、『打算』によって、行われてきた戦後復興支援が、皮一枚で史実のようなオーブを完全な孤立から救う事になったのだ。
だが、この状況はデュランダルにとっても計算外ではなかった。世論が二分されるということは、そこに「争いの火種」が生まれたことを意味する。
「……意見が分かれるのは良いことだ。それこそが、人類に『統一された管理』が必要であるという、何よりの証明になるのだから」
議長は、オーブという国を物理的に、あるいは政治的に完全に圧殺するための「次の一手」を、熱狂する民衆の向こう側に見定めていた。
ギルバート・デュランダルは、この瞬間を待っていたのだ。プラント、そしてかつての宿敵であった大西洋連邦。この二大勢力が「ロゴスの残滓を許さない」という一点において、歴史上かつてない共闘体制を敷いたのだ。世界の大勢は、この巨大なうねりに飲み込まれていた。
プラント・大西洋連邦。及び離脱する事なく参加し続けざる得ないユーラシア連邦や東アジア共和国の面々は、共同声明として、オーブへ最終通告を叩きつける。
「前代表代行ユウナ・ロマ・セイランの即時身柄引き渡し」および「プラント主導の国際査察団によるオーブ全域の軍事査察受け入れ」。
これを拒否すれば、オーブは世界共通の敵として、武力をもってその喉元を断たれることになる。受け入れてしまえば理事国及びプラントの舌先三寸で生殺与奪の権利を託す羽目になるのだ。
全世界が、オーブの絶望的な回答を待っていた。
ユウナ・ロマ・セイランを差し出すのか。それとも、彼は民衆や政府の怒りを浴びてジブリールの様な末路を辿る事になるのか?
だが、モニターに映し出されたのは、そのどちらでもなかったのだ。
オーブ連合首長国代表、カガリ・ユラ・アスハ。彼女は「獅子の娘」の名に相応しい、凛烈な輝きを宿した瞳で世界を見据えていた。
『……前代表代行ユウナ・ロマ・セイランと、ロード・ジブリールの間に過去、繋がりがあったのは紛れもない事実です。オーブはこれを認め、隠しはしません』
カガリの声は、震えることなく世界中に響き渡る。
『ですが、彼は知ってしまったのです。父が遺した負の遺産と、ロゴスという存在が世界にもたらす暗部を。……そして彼は足掻きました。自らの過ちを、自らの代で清算するために。それまで破壊と侵略の象徴であったMSからリビルドシリーズを作り出し、彼は私財を投じて救済の翼へと変え、全世界の被災地で多くの人々を救う道を選びました。彼は、彼なりの方法で、世界への償いを行おうとしていたのです』
カガリの言葉に、ユーラシアや東アジアの民衆が息を呑む。彼らが目にした「救いの光」は、ユウナという男の悔恨の形だったのかと。
『オーブは、ユウナ・ロマ・セイランの身柄引き渡し、および査察の受け入れを断固拒否します。彼はオーブの国民であり、オーブの法によって裁かれるべき存在です。他国の不当な内政干渉を許すことは、我が国の主権の放棄に他ならない!』
カガリは一歩前に踏み出した。その背後には、黄金の獅子が残した最後の繋がりが――史実とは違い、全世界に見せつけるように黄金に輝くアカツキがカガリの覚悟として控えており、そしてオーブ国防軍の精鋭たちが、揺るぎない覚悟を持って整列している。
『オーブの理念は変わりません。他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない! だが、それが我々の誇りを踏みにじり、一人の国民を不当な生贄に捧げることを強いるというのなら……』
カガリは、偉大なる獅子が残した黄金の遺産に視線を向け、そしてカメラ越しにデュランダルを、世界を、真っ向から睨みつけながらこう言い放つのであった。
『――かかってこい! 相手になってやる!!』
ここに、対ロゴス連合による第二次オーブ解放作戦の実施が決定されるのであった。
第二次オーブ解放戦争──プラントの要求───
プラントのデュランダル議長はロゴスとの繋がりを根拠とし、オーブ連合首長国、前代表代行ユウナ・ロマ・セイランの即時身柄引き渡し。及びプラント主導の国際査察団によるオーブ全域の軍事査察受け入れを求めている。国境付近に次々と集結する対ロゴス連合軍の勢力はこちらの数倍以上であり、兵力の増強から判断するに外交的な解決でもなく、有無を言わせず要求を受け入れるようにこちらに迫るだろう。前大戦の占領時代の悪夢の様な日々が首脳部に過ぎるなか、果たして我々はどう応じるべきなのであろうか?
① 『彼らの要求を受け入れよう』
② 『――かかってこい! 相手になってやる!!』
情報部より報告
内容
オーブ連合首長国の動向
同国政府の連絡によると
『第二次オーブ解放戦争──プラントの要求───』
において
『――かかってこい! 相手になってやる!!』
を選択したとの事です。
オーブ連合首長国の反応
『オーブに死の刃を向けた者を決して許すな!」
プラントの反応
『全軍進撃せよ!!』
大西洋連邦の反応
『オーブもロゴスの一員だ!』
ユーラシア連邦、東アジア共和国の反応
『果たしてこの戦いに正義はあるのだろうか…?』
かかってこい!相手になってやる!は名作歴史ゲームハーツオブアイアンでお馴染みの選択肢。冬戦争にて大国ソ連相手に屈しない小国フィンランドが立ち向かう。ある意味まさに大西洋連邦やプラントを敵に回したオーブも同じ状況と言えるでしょう。
憑依転生かどうかは別として明らかにユウナは別人のようだと気づくデュランダル。改心した、心を入れ替えた、元々あの軽薄な憑依転生前の姿はペルソナだったなどとオーブの皆が受け入れるなかある意味デュランダルが最もユウナを理解しているのは皮肉でしょう。もっとも憑依転生なんてオカルトな事情は流石の議長も理解不能でしょうが。
オーブを潰すと流通が死ぬのでは?という意見もありますが、オーブは自国の為に資材や物資を全世界からかき集めて、唯一ロゴス崩壊のダメージを最小限に抑えようとしており、少なからず大西洋連邦では嫉妬されている側面も。とはいえ人道支援と復興は相変わらず行なっており、貴重な医薬品などの再生産や国外への放出も行っているのも事実ではある為、親オーブと反オーブで分かれるのも仕方ないでしょう。
ちなみにあの写真だけでは絶対にプラント単独で進まざる得ない上に、プラント側にも議長への不信感が爆発せざる得ない状況にまでなっていたので、ジブリールのユウナの受け渡しはある意味悪手であって最高のフォローとなってしまいました…
外交的にはロゴスを潰した影響でプラントの支援を受けざる得ない(公式設定でプラントのGDPは地球圏に匹敵する)が為に東アジア共和国とユーラシア連邦も今回に関しては参戦せざる得ない状況。とはいえ今回の戦いでやる気なのは大西洋連邦とプラント限定となっており、実質オーブは史実のような大侵攻を受ける羽目になりました。果たして何故カガリがユウナの為に全世界と戦う覚悟を決めたのか?そして、無職になったユウナの行く末は?続きは15時をお待ちくださいませ。
どっちのアスランが見てみたいでしょうか?
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