破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》 作:kiakia
今日はここまで!ユウナは楯無さんに謝罪した方がいいと思うの。
「……ふぅ、落ち着け。訓練通りにやればいい。それだけだ」
オーブ防衛ラインの一角、特設の固定防衛ポイントに鎮座する『エタニティ・アストレイ』のコックピットで、パイロットは震える呼吸を整えている。
機体そのものは、かつてのオーブ解放作戦でも使われていた初期型のM1アストレイだ。倉庫から引っ張り出してきたそれは最新鋭のウィンダムやザクウォーリアと真っ正面から組み合えば、機動力でも出力でも確実に圧倒され、数秒でスクラップに変えられる。
だが、今の彼には背中に「命綱」がある。
機体後部から伸び、地中の電力グリッドへと直結された太いアンビリカルケーブル。そこから流れ込む膨大な電力は、本来なら戦艦クラスでなければ維持できない「陽電子リフレクター」をこの小さなアストレイの周囲に完璧な光の盾として展開させていた。
要所を紫色のカラーで染めた故にその姿は正に知る者が見ればエヴァンゲリオンそのもの。ユウナの発案でカラーリングを変えようとした際、エリカ・シモンズは発案者のユウナの髪を見て紫カラーを選択。
結果としてこの防衛用アストレイは初号機の様なカラーリングになったと言う。なおユウナは『いいのか!?本当にこれいいのか!?』と絶叫した様だがこの世界ではエヴァンゲリオンは放映されていないのだからさしたる問題はない。
「この装備がある限り……俺たちは負けない。ユウナ様が用意してくれた、最強の盾なんだ」
周囲を見渡せば、同様の防衛ユニットが二重、三重と幾重にも重なり、オーブの海岸線を鉄壁の防陣で固めている。リフレクターの檻に守られた砲撃台。それは、臆病なほどに慎重な、しかし確実な「死への拒絶」の形であり、どれ程までに上層部がパイロットの命を重要視しているのか。そしてユウナの恐怖を表していた。
モニターには、上空から拡散して迫る連合とザフトの混成部隊が映し出されている。グゥルに乗ったザク、そしてウィンダムの群れ。彼らはまだ、自分たちの目の前に「目に見えない壁」が張り巡らされていることに気づいていない。そう、マジノ線に匹敵する強固で攻撃的な壁が。
「……来た。訓練通りに……引きつけて……」
パイロットが操縦桿を握り直し、照準を空の影へと合わせた、その時だった。
「熱源接近! 上空、および水平線から多数!」
叫びと同時に、青い空の彼方から無数の白い軌跡が伸びた。防衛ラインを力ずくでこじ開けようとする、圧倒的な物量のミサイル群だ。視界を埋め尽くすほどの弾頭が、陽電子の盾に守られたアストレイの頭上へと降り注ぐ――。
「撃つ……撃ちますッ!」
パイロットは叫びと共に、トリガーを全力で引き絞った。
機体の右肩にマウントされた巨大な武装――ザフトの「スラッシュザクウォーリア」が装備するハイドラビームガトリング砲を参考に、オーブの技術力の粋を集めて再設計された超高出力ビームガトリングガンが、猛り狂う。
この武装を開発したのはオーブの天才技術者エリカ・シモンズだ。当初の「エタニティ」はランチャーストライクの武装であり、ブレイク・ザ・ワールドの破砕作戦にも使用されたアグニによって複数回の運用がなされていたが、「リヴァイアサン」の開発の結果全てが変わる。
そう、圧倒的な性能を誇る「リヴァイアサン」によって。現時点ではどのような状況に至ろうと、連合、ザフト両組織が同時に海洋方面での進出を行ったとしても。「リヴァイアサン」さえいれば全てを殲滅可能というまさに規格外の絶対無敵な殲滅兵装と化してしまったのだ。
故にエタニティは対地・対空を両立する「アグニ」をベースにするのではなく、対空迎撃を重視するビームガトリング砲が主武装として採用される事となる。
なおユウナは『なんでこれだけ撃って銃身が焼きつかないんだよ、シローもドン引きするわ』と引き攣った笑みでドヤ顔のエリカを労ったそうな。
本家ハイドラとは比較にならないほどの大口径から放たれるのは、もはや「弾丸」という概念を超えた、極太の光の奔流だ。海底及び地中からアンビリカルケーブルを通じて供給される無限の電力は、本来なら数秒でバッテリーを焼き切るはずの弾幕を、文字通り「永遠」へと変えていた。
「この力……これさえあれば、あんな連中なんて!」
ガトリングの砲口から溢れ出す光の鎖が、空を縦横無尽に薙ぎ払う。上空から降り注ぐ連合軍のミサイル群――その多くは、防衛拠点を狙ったものではない。オーブの街並みや、市民が逃げ込んだ避難施設を無慈悲に破壊しようとする、非人道的な無差別攻撃だ。
「街には……行かせない! ユウナ様が守ると決めた場所なんだ!」
パイロットは、自分に向かって飛来する弾頭をあえて無視した。彼には自信があった。機体の周囲に展開された陽電子リフレクターが、迫りくるミサイルを無機質な光の火花へと変えて弾き飛ばしていく。物理的な爆風も、熱波も、その光の檻を突破することは叶わない。
自分は死なない。この盾がある限り。ならば、すべきことは唯一つ。彼はガトリングの銃身を天へと向け、街へ向かうミサイルの軌跡を一つずつ、狂ったような正確さで撃ち抜いていった。
旧世紀の戦場を支配した機関銃のように、ただひたすらに、圧倒的な火力の壁を作り上げていく。
空を埋め尽くしていたミサイルが、オーブの土を踏む前に次々と爆発し、無害な黒煙へと変わる。無限の弾倉を持つ固定砲台と化したアストレイの姿は、侵略者たちにとって、理解不能な絶望そのものだった。
だが、その時。爆発の煙を強引に引き裂いて、大気圏外から真っ赤な熱を帯びた「本命」が姿を現した。
「落ち着け……司令部の報告通りだ。焦る必要なんてない」
耳元で鳴り響く『高度3万から急降下する熱源多数! 軌道降下部隊です!』という悲鳴のような通信を、彼は冷徹に聞き流した。空を真っ赤に染めて降りてくる降下カプセルの群れ。そこから展開されるであろうMS部隊は、まさに死の雨だ。だが、彼はガトリングの銃身を天へと向けたまま、一切の動揺を見せなかった。
もし背後から回り込まれ、零距離まで肉薄されれば、いくら陽電子リフレクターがあろうと、この旧型機は一瞬で鉄屑に変えられるだろう。だが、彼は知っている。自分の背後には、同じようにリフレクターに守られ、互いの死角を補い合う二重、三重の友軍ユニットが控えていることを。
「後ろは任せたぞ。僕は……目の前の敵を仕留めるだけだ!」
その時、爆煙を切り裂いて一機の機影が猛スピードで接近してきた。ザフトの誇る空戦機。バビだ。
その動きは、これまでの連合のウィンダムとは一線を画していた。ビームガトリングの弾幕を、流れるようなマニューバで紙一重に回避し、最短距離でこちらを斬り裂こうと突っ込んでくる。操縦しているのは、間違いなく腕の立つコーディネイターだ。
「速い……! だが、逃がさない……!」
パイロットは歯を食いしばり、アンビリカルケーブルから供給される限界ギリギリの電力をガトリングに叩き込んだ。
ハイドラを凌駕する超高出力の光弾が、逃げ場を奪うように空間を埋め尽くす。一発一発がMSを容易に破壊する威力を秘めた光の礫が、バビの進行方向を執拗に、執念深く追い詰めていく。
「どれだけ動けたって、動ける場所がなくなれば終わりだ!」
どれほど機体性能に差があろうと、どれほどパイロットの技量に差があろうと、この圧倒的な「弾の暴力」の前では、回避という選択肢そのものが消滅していく。回避を強要され、高度を落とし、徐々に追い詰められていく紫の機体。
それはまさに、蜘蛛の巣に捉われた蝶を、一歩ずつ確実に、冷酷に、じわじわと圧殺していくような光景だった。
ビームの激流がバビの翼を武器ごと、中のパイロットごと容赦なく飲み込んだ。モニターの端で青い火花が散り、熱源反応が完全に消失する。
「……一人、殺した」
一瞬だけ指先が震えた。だが、命を奪った感覚に浸るようなセンチメンタルな時間は、この戦場には一秒たりとも存在しない。次の一射を遅らせれば、代わりに自分が、あるいは後ろにいる仲間が、守るべきオーブの街が焼かれるのだ。
「次……っ、次はどこだ!」
パイロットは溢れそうになる感情を無理やり奥底へ押し込み、再びガトリングの銃口を空へと向けた。ガガガガッ! と再び唸りを上げる砲身。迎撃の網を潜り抜けようとするミサイルや敵MSを一つずつ、無機質な作業のように光の塵へと変えていく。
その時、前方の波飛沫を割って巨大な影が躍り出る。地球連合軍のMAザムザザーだ。その巨躯から放たれる 複列位相エネルギー砲「ガムザートフ」の光が、網膜を焼く。
だが、彼は操縦桿を動かさなかった。逃げようとも、回避しようともしない。ただ、リフレクターの光を信じ、眼前の標的だけに意識を研ぎ澄ませて「待って」いた。
その直後だった。
『ズゥンッ!』という、空気を直接震わせるような独特の重低音が、彼の背後から響き渡った。
一筋の、極太で鋭利な光の線がアストレイの横をかすめ、一直線にザムザザーの正面へと突き刺さる。陽電子リフレクターすら強引に貫通したその光弾は、巨大な多脚機を芯から焼き抜き、一瞬で巨大な火球へと変貌させていく。
「……助かったよ…狙撃班」
背後に配備されているのは、自分と同じくアンビリカルケーブルに繋がれた別のアストレイだ。だが、その手にあるのはガトリングではない。超長距離からの精密射撃に特化した、新型狙撃銃ドッズスナイパーライフル。かつてカナードがデストロイを撃墜したものと同じモデルの装備を手に次々と敵機体を火球へと変えていく。
それは正にザムザザーやゲルスゲーといった、単機で防衛線を突破し得る大型機だけを確実に仕留めるために用意された、オーブの「毒針」だ。
前方は自分が。大型機は彼らが。降下部隊はムラサメ隊が、敵を撃ち貫く。背後を振り返る必要はない。背中を預ける仲間を信じているからではない。そうしなければ、この極限の恐怖の中で正気を保てないからだ。ただ前だけを見続け、モニターに映る赤い点を消していく。
「死にたくない……。だから、俺はお前達を殺し尽くしてやる…!」
その瞳に、もはや戦士の昂揚感はない。ただひたすらに、迫りくる死を拒み続ける一人の人間の、執念に満ちた光が宿っていた。
だが、その鉄壁の均衡を、一筋の「紅い残像」が切り裂いた。
「な……っ!? 速すぎる!」
モニターに映し出されたのは、これまでのMSとは一線を画す異形の機体だった。背中から血のように鮮やかな光の翼を広げ、戦場を蹂躙する、悪魔のような機体。
自分たちの、そして背後の味方を含めた濃密なビームガトリングの弾幕を。本来なら空気の入り込む隙間さえないはずの光の檻を、その紅い羽の機体――デスティニーは、物理法則を嘲笑うような機動で、ただの一発も掠めることなく突き抜けてくる。
「当たれ!当たれよぉぉぉッ!」
恐怖に顔を歪ませ、ガトリングを乱射する。だが、紅い死神は瞬く間に距離を詰め、その背負った威圧感を放つ巨大な対艦刀を引き抜いてこちらに一気に迫り来る!
「ひ……っ、あああああああ!」
死の恐怖が脳髄を灼く。足掻こうとトリガーを引く指に力を込めた瞬間、衝撃が走った。
ガトリングの銃身が、その一閃によって根本から叩き斬られたのだ。間髪入れず、眩い閃光がコックピットを包む。デスティニーの対艦刀がアストレイの両腕、両脚、そして頭部を、外科手術のような正確さで次々と斬り裂いていく。
「オーブに……オーブに栄光あれぇッ!!」
彼は死を覚悟し、最期の叫びを上げた。目を閉じ、全身を硬直させ、大切な家族の記憶を脳髄に反響させながら爆発の衝撃を待つ。
だが。
一秒。二秒。
いつまで経っても、爆発の衝撃も、肉体が焼かれる熱さもやってこない。
「……え?」
恐る恐る目を開けた彼が見たのは、モニターが死に、四肢を失って沈黙した己の機体。そして、その視界の先で、同じように別の味方機を瞬時に解体し、武装だけを奪って次へと飛び去っていく「紅い翼」の後ろ姿だった。
殺されなかった。
コクピットだけを絶妙に外され、戦う手段だけを完璧に奪われたのだ。
「見逃された……のか? 俺が……あいつに?」
呆然と呟く彼の耳に届くのは、もはや自機の駆動音ではない。遠くで爆ぜる火花と、次々と無力化されていく仲間たちの沈黙。
圧倒的な蹂躙のあとに残されたのは死よりも残酷な、戦うことさえ許されない虚無の静寂だった。
・宇宙軍
今回は彼らの出番はなし。これに関してはユウナ達も相当迷ったそうですが、議長は地上と宇宙を両立可能なザクやグフを温存しており(それでも結構な規模ですが)レクイエムやザフトの宇宙軍がある以上。ユウナの「原作知識」などもあって下手に手を見せたり、宇宙軍のか拠点を狙われるよりもと今回は温存してエタニティなどによる迎撃に切り替えました(史実でもイズモ級は大量に最終決戦で動員されており宇宙軍が出撃しなかった?)
エタニティやムラサメ、対空ケイオス爆雷など専用装備で防備を固める中、前大戦の悪夢が蘇る中彼らは来たるべき日に備えて臥薪嘗胆しています。
・ミーアやデスティニープラン
何故ユウナ達はミーアやデスティニープランについて放送しないのか?と言えば実の所理由もあり。ミーアに関してはその内に。デスティニープランに関しては実は周囲も発表すべきだと進言しましたがユウナは却下しています。社会の混乱やヘイト云々ではない理由により。今はあかせませんが果たしてこのユウナの選択は果たして成功するのでしょうか?
・ビームガトリングガン
本来はアグニのデータを元に上陸してきた敵MSを薙ぎ払う事を目的に開発されていたエタニティの装備ですが、リヴァイアサンの圧倒的なまでの性能を目の当たりにしてエリカも、ユウナも、モルゲンレーテのスタッフやトダカ達軍人もこう思ってしまいました。
「「「これリヴァイアサンさえあればよくね?」」」
戦争の気配がどんどん近づく中、リヴァイアサンは圧倒的な才能を発揮。例え現状連合のザフトが全ての上陸艇や潜水艦、水中用MSを動員し、タッグを組んで攻め込んだとしても。それがヴォーテクスだとしても殲滅する事は可能だと判明してしまいました(流石にコロニー落としの様な戦略兵器やガンダムOOのようなパイロットを24時間休ませない連続戦闘はまた話が別ですが)
その結果仮想敵として空母から発艦する空中戦向けのMSと上空から降下してくるMSを詰め込んだ起動ポッドなどの迎撃に集中する為に新たな兵装の開発が必要となり、その結果。機関銃のように相手を近づかせず味方との連携なども鑑みた結果ザフトのビームガトリングを丸パクリして、陽電子リフレクターで拠点を守りつつ、巨大なビームガトリングガンを装備した拠点防衛兵器となるのでした。なおドッズ武器では無いため後方には対陽電子リフレクターなドッズスナイパーライフル装備の機体も少数ですが生産されています。仮にアグニのままでしたら降下部隊の対応が難しくなる為宇宙軍は派遣されていましたが、これらの装備の充実が思い切った防衛に繋がるのでした。
・赤い残像
まぁそんな防衛網だろうがエースクラスは普通にこじ開けてくるんですけどね!!なおこの際書いておきますがシンはかなりメンタルガタガタとなっていますが、レイが(自分なりの気遣いと議長への責任を感じて)ルナマリアを巻き込んで「オーブのパイロットの命は奪わない」とシンと同じ縛りを受け入れる事を告げて、二人をそこまで言ってくれた死なせない為にシンは責任をとって突撃するのでした。議長には報告済みですが実際にある程度の覚悟は決まっておりアロンダイトやフラッシュエッジで的確にMSを解体しています。
今の所は、ですが。
どっちのアスランが見てみたいでしょうか?
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通常の優柔不断アスラン
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報連相の化身と化したアスラン