破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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 ドレッドノート・イータが空中戦をするのは難しいとの指摘を受け、改めて資料を確認させて頂きましたが、滑空や短期間での浮遊であれば可能とは言え厳しいですね……修正させて頂きます、ご迷惑をお掛けして申し訳ございません。


第五十九話 もうやめて!ユウナの財布はゼロよ!

 

 

 

「逃がすかよ……!」

 

 

 

 カナードの空を駆けるドレッドノートイータが、猛烈な加速でデスティニーの懐へと潜り込む。

 

 

 本来のドレッドノートイータは空中適性はない。故にイータユニットに加えシュライクを装備している過剰装備と言える状況でありながら、ムラサメで完熟訓練を受けたカナードはまるで手足の様にドレッドノートイータを操りデスティニーに食いついていた。

 

 その手には、不格好なまでに武骨なビームマシンガン「ザスタバ・スティグマト」。ハイペリオン時代から愛用しているそれをカナードは文字通り叩きつけるように連射しながら、銃身にマウントされたビームナイフの切っ先をシンのコックピットへと突き出す。

 

 

「デスティニーに接近戦を挑もうってのかよ!!」

 

 

 

 シンは吠えながら迎え撃つ。常人なら回避すら不可能な超至近距離での刺突、だが、SEEDを発動させたシンの反射速度がそれを許さない。デスティニーは背部の巨大な対艦刀「アロンダイト」を抜き放ち、強引にその斬撃でカナードの銃剣を撥ね上げた。

 

 

 

「……ふん、その程度か! 俺とプレアの力は、お前みたいな迷い犬に負けるほど安くはない!!」

 

 

 

 カナードは機体を翻し、イータユニットを大胆に駆動させてシンの死角へと回り込む。ザスタバ・スティグマトからのビームの雨が、デスティニーの装甲を執拗に叩く。

 

 

 

 

「俺は……俺は負けられないんだ! ルナの為に!レイの為に!オーブは…俺が止めるんだぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

 シンもまた、アロンダイトを両手で構え直し、紅い光の翼を最大出力で噴射する。

 

 

 一方は、かつて憎悪を乗り越え「自分」を確立した最強の失敗作。

 

 

 一方は、愛する者たちのために「迷い」を抱えたまま修羅へと堕ちる神官の最高傑作。

 

 

 

 空中で火花が散る。二人の攻防が激突するたびに、大気が悲鳴を上げるような衝撃波が広がり、眼下の海面を白く泡立たせる。

 

 

 

「いいぞ……その意気だ。だったら、その重圧ごと、俺が叩き斬ってやる!」

 

 

 

  カナードの荒々しい笑声が通信を揺らす。もはや言葉は不要だった。二機の怪物が描く死の舞踏に、オーブの空が激しく震えだす。

 

 

 

 ドレッドノートイータの背部、イータユニットの砲身がガチリと音を立てて上方に展開されデスティニーに致命の一撃と与えんと吠えている。

 

 

「墜ちろォ!」

 

 

 

 カナードの咆哮と共に、大口径の砲口から緑色のビームが乱射された。一撃一撃が戦艦の主砲クラスの威力を持ち、空域を極太の光条が埋め尽くす。

 

 

「あの火力……NJCを搭載してんのかよ!!」

 

 

 シンは戦慄しながらも、紅い光の翼を最大出力で噴射。デスティニー特有の赤い残像を引き連れ、光の網を紙一重の機動で回避していく。だが、カナードの攻勢は止まらない。

 

 

「避けるだけなら誰にでもできる!」

 

 

 

 カナードは間髪入れずにグレネードを3発乱射。シンは本能的にそれを回避するが、そのうちの一発は直撃を狙ったものではなく、妨害用の特殊煙幕弾だ。

 

 

 デスティニーのモニターが一瞬にして黒一色に染まり、次いでセンサーがジャミングを受け画面が暗転する。視界が死んだその刹那。カナードは機体各所に隠し持っていた特殊兵装、ヒートロッド「雷蛇」を射出する。

 

 

 蛇のようにのたうつ電磁の鞭がデスティニーに絡みつき、強力な電流を流し込んでシステムを内側から焼き切らんとばかりに迫り来る。だが、シンの「SEED」による直感は、完全な暗闇の中でも敵の殺気を捉えていた。

 

 

 

 

「舐めるなぁぁぁッ!」

 

 

 

 シンは絡みつく寸前の雷蛇を最小限の動きで回避した上で、それどころか、引き戻される前のロッドを左手で鷲掴みにしたのだ。紙一重、それは正に彼がどの様な精神状態であろうともトップエースに等しい力を保有している事を表していると言えるだろう。

 

 

 掌のビーム砲が至近距離で炸裂する。雷蛇は高出力のエネルギーを叩き込まれ、カナードの手元に戻る前に跡形もなく粉砕された。

 

 

「……はっ、面白い!この俺をここまで翻弄するとはな!」

 

 

 

「あんたこそ!オーブにこんな奴がいたなんて聞いてないぞ!」

 

 

 

 空中で激突し、火花を散らす二機。ユウナが「死神」と評したシンのデスティニーに対し、カナードのドレッドノートイータもまた、傭兵として学んだ技術をフル活用し互角以上に渡り合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空を埋め尽くす、大気圏突入の火球は、そのままオーブ防衛線への暴力となって降り注ぐ。降下ポッドのいくつかは、エタニティ隊の凄まじい弾幕やタケミカヅチから指揮を取るトダカ一佐の指揮の元にムラサメ隊の迎撃を開始。

 

 

 さらには専用のケイオス爆雷により空中で巨大な火柱へと変わったが、それでも数に勝るザフト軍は、発電施設や政府機関を狙って着実に進撃を開始。

 

 

 それらを水際で食い止めているのが、遊撃部隊として縦横無尽に空を駆けるムラサメ隊だった。射速の優れたドッズライフルで敵を穿ち、接近戦ではサーベルや雷蛇で敵を無力化していく。本来であれば水平線上の多数の空母から発艦したMS達と合流する手筈であったが、エタニティや狙撃部隊による決死の抵抗が辛うじてザフト軍の合流を防いでいた。

 

 

 そして、その乱戦の最中に、ひときわ眩い黄金の輝きを放つ機体が戦場で空を駆けていく。その名はアカツキ。ウズミの遺産と言えるそのコックピットに搭乗するのは元ファントムペインのネオ・ロアノーク元大佐だ。

 

 

 

 この世界でも彼は一度オーブの捕虜となり、記憶を失った「ムウ・ラ・フラガ」である可能性を突きつけられていた。

 

 

 

 史実であればアークエンジェルがオーブに寄港し、マリュー・ラミアスとの再会を経て、迷いの中で戦場を去ろうとするも、最終的にはアークエンジェルを守るために帰還する……という道筋を辿るはずだった。

 

 

 

 

 だが、この世界の彼の境遇も少し異なっていた。

 

 

 彼はまだ、自分がムウであるという確固たる記憶を取り戻してはいない。ただ、アークエンジェルという船や、自分を見つめるマリューの瞳に、言いようのない煮え切らない感情、胸を締め付けるような歯痒さを抱え始めていのだ。

 

 

 そんな中、彼はこの防衛戦が始まる前に独房に訪れたユウナから「ある依頼」を半ば強制的に、半ば「自分自身の答えを見つけるため」に引き受ける事になったのだ。

 

 

「ったく……最高責任者自ら『お前の居場所はここにある。記憶がなくても関係ない、オーブの盾になれ』なんて、調子のいいこと言ってくれちゃって……!」

 

 

 

 ネオは苦笑しながら、黄金の機体を翻す。かつての自分を知っている連中が、必死にこの国を守ろうとしている。その姿を見せつけられ、さらに「記憶がないなら、新しい功績で自分を定義しろ」と、あのユウナという男に煽られたのだ。

 

 断る選択肢もあった。しかし、ユウナはステラを殺す様に指示した黒幕だと明かした上で彼に頭を下げて懇願した。そんな男の覚悟を無碍に出来るほどネオは腐り切ってはいない。否、腐り切った所業の数々を繰り広げてきた自身への贖罪として彼の依頼を受け入れたのである。

 

 

「ま、依頼されちまったもんは仕方ねえ。死ぬのは御免だが、この国を焼かせるのも寝覚めが悪ぃからな!」

 

 

 

 アカツキのヤタノカガミが、ザフトのビームを無造作に反射し、放たれたビーム砲が政府機関へ肉薄していたザクウォーリアを次々と撃ち抜いていく。

 

 

 

 記憶を失った仮面の男。だが、その操縦技術と「不可能を可能にする」直感は、黄金の翼を得て再びオーブの空に軌跡を描き始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それも、僚機として随伴する3機のアカツキと共に。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……我ながらバカなことをしてるよなぁ」

 

 

 

 司令部のモニターでその黄金の輝きを眺めながら、俺は、自嘲気味に呟く。本来の歴史、つまり俺が知る「原作」の知識に照らせば、こんな光景はあり得ない。

 

 

 アカツキに使用されているナノメートル単位の積層鏡面装甲『ヤタノカガミ』は、あまりにもコストが高すぎる。史実では、その装甲塗装一回分だけでM1アストレイが数十機買えると言われるほどの超高額兵器だ。カガリが乗ったあの一機を作るのが精一杯だったはずであった。

 

 

 

(……だが、そのコストに見合うだけの仕事はしてもらわないとな。あれを資材注ぎ込んで作ったせいでもう俺の預金はほとんどねぇんだもん…というか直前にネオのことを思い出してスカウトしておいて本当に良かった…!)

 

 

 俺はモニターに映る戦況を凝視する。ネオたちのアカツキ隊は、単に敵を叩き落としているだけではなかった。機体に搭載させたヒートロッド「雷蛇」を器用に操り、対ロゴス連合のMSを爆散させることなく、駆動系を焼き切って次々と無力化している。

 

 

 できる限りとはいえ爆散せず、無力化されるおかげで街への被害は史実と比べると遥かにマシであると信じたい。MSが爆散した時の被害は多くのガンダムシリーズで描かれているが誘爆による周囲の損傷を抑える意味での彼らの雷蛇を中心とした戦闘は防衛に相応しいと言えるだろう。

 

 

「いいぞ……。ネオ!それにムラサメ隊も…!爆発させずに済めば、それだけオーブが汚れなくて済むし、後で機体を丸ごと手に入れられる!まぁできる限りだから必要なら遠慮なくビームで貫いてる様だが…!」

 

 

 俺は内心で彼らの手際の良さに深く感謝する。敵を殺さず、扱いづらい雷蛇を手に機体も壊しすぎない。そんな職人芸のような戦い方は、一歩間違えれば自分が撃墜されるリスクを伴う。それを「依頼されたから」なんて軽口を叩きながら完遂してみせるネオとアカツキの三人組(アニメでも登場するイケヤ、ゴウ、ニシザワとかいう奴らだ)はやはり精鋭パイロット達だ。

 

 

「よし、鹵獲した機体は後で全部スクラップにするなり、部品取りにするなりして、アカツキの維持費の足しにしてやるからな……!」

 

 

 

 俺はメインコンソールを操作し、ネオたちの背後を固める防衛砲台の火線を調整した。彼らがより安全に「無力化」に専念できるよう、敵の増援ルートを潰しておく。というか一応今回はオブザーバーとして認められたが、無職の前科持ち予定の人間がこんなもん触っていいのか?と思ってしまうがもう口にするだけ「何言ってんだこいつ?」と白い目を向けられるので黙っておこう。うん。

 

 

 

「ネオ君!お前のその『不可能を可能にする』腕前でこのオーブの国民と平和(と俺の平穏)を、守り抜いてくれよ!クソ高いんだからそれ!!」

 

 

 

 

 俺がマイク越しに飛ばした直接通信でつけたハッパに、ネオは鼻で笑うような気配を見せて応じた。

 

 

「お高い機体を傷つけないのは俺のポリシーでね。……それに、この『雷蛇』ってのは面白い。殺さずに済むってのは、寝覚めが良くて助かるからなぁ!」

 

 

 

 

 黄金のアカツキが踊るように空を舞い、放たれたヒートロッドがザクウォーリアの四肢を絡め取っていく。血気盛んな連中はシン達によって無力化された機体に火砲をむけるが最優先で三機のアカツキが無力化、ないし破壊していく。

 

 

 

 同時に、モニターの別区画では、史実でも凄まじい連携を見せたドムトルーパー隊がいつのまにか現れて戦場を蹂躙していた。驚いたことに、彼らの機体にも俺がねじ込んだ『雷蛇』が搭載されており、スクリーミングニンバスで突撃しながら敵を次々と無力化している。

 

 

 

(リーダーのヒルダは確か、ガチレ……ガチガチのラクス信者だったはずだが……ラクスが『不殺』を望むから、あんなに嬉々として雷蛇を使いこなしてるのか? だとしたら、女の執念ってのは恐ろしいな)

 

 

 

 一時はズタズタにされた防衛網だったが、ミネルバ隊のトップエース……シンとレイの二人は、キラのストフリとカナードのイータが完璧に押さえ込んでいる。

 

 

 ルナマリアのインパルスや他の残存勢力も、気合で踏み止まっているエタニティ部隊と対空ケイオス爆雷の弾幕で削り、降下部隊との連携を徹底的に遮断してやった。

 

 

 

 だが、それでもミネルバ隊の地力は圧倒的だ。

 

 

 

 

 チェス盤の上で言えば、まだ決定的なチェックメイトには至っていない。あと一押し、最後の1ピースが足りない。

 

 

 

 そう歯噛みした瞬間、コンソールに緊急通信が割り込んだ。

 

 

「……ユウナ。俺も出る」

 

 

 

「アスラン!? お前、まだメンタルがボロボロだろうが! 病人が出てきて脚を引っ張るのが一番困るんだよ!」

 

 

 

 

 

 俺が怒鳴りつけるように問い詰めると、画面越しのアスラン・ザラは、どこか吹っ切れたような、だが相変わらず不器用で真面目すぎる瞳で俺を見返してきた。

 

 

 

 

 

「こんな状況で……何もできずに見ている方が辛いんだ。オーブを、カガリの守りたかったものを、今度は俺の手で守らせてくれ。頼む、ユウナ!」

 

 

 

 

「……クソが……カガリから怒られるのはこっちなんだぞ…!勝手にしろヅラ!その代わりその機体を壊したら給料から天引きだからな!」

 

 

 

 

 格納庫のハッチが開き、正義の翼を広げたインフィニットジャスティスがカタパルトにセットされる。本来であればラクスが乗って空から落ちてくるなんてイベントがあったが勿論そんなもんはキャンセルだキャンセル!

 

 

「カガリには既に言ってあるから安心しろユウナ……後俺はヅラじゃ……もういい!!!アスラン・ザラ! インフィニット・ジャスティス、出る!」

 

 

 

 

 閃光と共に、紅い正義がオーブの空へと解き放たれた。もはや俺の脳内では常にいい感じの舞い降りる剣のテーマが流れ続けてるよ畜生がよぉ!!!

 

 

 

 

(よっしゃぁぁぁぁ!!!! アスランきたぁぁぁあ!!!!!!!! 反撃開始じゃボケェ!!!!)

 

 

 

 思う所はある。だが、ようやく勝利を確信した俺は内心でガッツポーズを決め、ようやくこの戦いでの勝利を確信した。キラ、カナード、そしてアスラン。この三枚の「最強のカード」が揃って、負けるはずがないんだよ浮気チ◯ポ野郎!!!!

 

 





 カナードのグレネードは捏造技。ですがMSの火器はある程度自由に改修できるそうなので…

 ルナマリアは描写は薄いですがレジェンドとデスティニーがエース対決をする中エタニティをどうにか突破して地道に解体しています。とはいえシンやレイ程のスピードではありませんが、撃墜されていないだけ彼女も紛れもなくエースの一角でしょう。

 余談ですが流石の議長もドレッドノートの参戦には驚きを隠せないようです。そりゃカナードの情報をある程度知っていた(と言うかカナードにキラについて教えたのはクルーゼかデュランダル説がある)のならキラと肩を並べてオーブで戦う失敗作なんて想像すらできないでしょうし、カナードはそれまでムラサメに乗ってるテスト以外は常に隠密でイータを隠し通してましたのでデュランダルにとってはある意味キラやアスラン以上のジョーカーと言えるでしょう。


 アカツキに関してはもう少し早く伏線を入れておくべきだったと猛反省。おかげでユウナは資産をオーブに返還すると言ってたりしますが、土地や屋敷の様なもの以外の現金などの資産は大体MS開発や量産に注ぎ込まれているのですっからかんになっていたり。

 とはいえこれだけの数のアカツキを集中運用できたのは復興支援によって支援国がある程度資材を融通してくれることや、あまりにもリビルド、ホスピタルを国外に派遣しているが為パイロットに大してMSの数が足りず。それならと質を重視しようとアカツキの増産を開始したのでした(とはいえ作れても精々4〜5機程度なのでやはりこの機体は相当な金食い虫です)

どっちのアスランが見てみたいでしょうか?

  • 通常の優柔不断アスラン
  • 報連相の化身と化したアスラン
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