破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》 作:kiakia
少し早いですが今日はここまで!
急ピッチで機体の整備と、イズモ級はじめとする艦艇の打ち上げ準備が進められていく。
オーブの地上防衛に関しては、ひとまず最悪の波は越えたと見ていいだろう。ミネルバ隊はすでに宇宙へ上がり、対ロゴス連合もオーブでの戦いとゴンドワナの喪失でてんやわんやの大騒ぎ。今のオーブの防衛力なら、余程のことがない限り持ち堪えられるはずだ。
だが、俺の脳裏には一つ、消えない懸念があった。
(……ドッズライフルだ。あの陽電子リフレクターをぶち抜く異世界技術と言えるそれを、万が一にもザフトにパクられてなきゃいいんだが……)
もしも議長がドッズライフルの機構を解析し、それを量産機やレジェンドにでも搭載してきたら、こちらの機体が紙屑のように撃墜されていくだろう。だが、そこは俺も抜かりはない。
(……ドッズライフルの機密は死守している。だが、それでも嫌な予感は消えないな)
俺は司令部の巨大なドックで、最終調整を受ける盾艦『オオヤマツミ』を見上げていた。
この艦は、俺の「絶対に死にたくない」という執念の結晶の一つだ。船体の全面を陽電子リフレクターで覆い尽くし、あらゆる射撃兵装を無力化する。まさに鉄壁の盾。こいつを戦列に並べて、その影にアークエンジェルやエターナルを隠せば、戦場の生存率は飛躍的に上がるはずだった。
だが、その「無敵」に唯一風穴を開けかねないのが、俺がAGEの世界の概念として持ち込んでしまったドッズライフルだ。
ドッズライフルは、ビームを高速回転させることで陽電子リフレクターの斥力を物理的に「掘り進む」ように貫通する。あの理不尽なまでの貫通力は、もしザフトがレジェンドのドラグーンや、量産機どもに搭載でもしてみろ。オオヤマツミの盾も、豆腐のように簡単に抜かれてしまうだろう。
「ユウナ様、ドッズライフルの機密保持プロトコルは正常に作動しています。万が一鹵獲されたとしても、調査をした瞬間コアブロックの自壊回路がデータを物理的に消去する手はずです」
技術担当の言葉は心強いが、俺は知っている。かつてAGEの世界で、あのフリット・アスノがドッズライフルを開発した際、その「回転」の概念は、既存のMS技術を根底から覆す革命だった。このSEEDの世界にそんな「特異点」を持ち込んだのは俺だ。
もし、自壊回路が作動するコンマ数秒の間に、議長やコーディネイターの天才達が「回転」という一点の事実に気づいてしまったら? データを復元できずとも、その「理論」さえ理解されてしまえば、ザフトの技術力なら数日で模造品を作りかねない。
「オオヤマツミのリフレクター出力は最大に設定してある。だが、ドッズの直撃に耐えられる保証はない……と言うかまず間違いなく無理だ。だからこそ、相手に『撃たせない』立ち回りが必要になるな」
俺はコンソールのオオヤマツミの構造図を指でなぞる。全面リフレクターという「防御の極致」を持つこの艦が、ドッズライフルという「攻撃の極端」に敗北する。そんな、どこぞのロボット大戦みたいな最悪の展開は御免だ。
「いいか、ドッズライフルを搭載した機体……あるいはその疑いがある敵機は、優先排除対象だ。キラやカナードには、真っ先にそいつらを潰してもらう。盾が破られる前に、矛を折る。それしかない」
俺は自分に言い聞かせるように呟いた。どんなに盤石な盾を用意しても、不安は尽きない。この世界の戦いは、俺が思っている以上に「理不尽」に満ちているのだから。
一方、プラント、最高評議会の一室。
現在激戦中の月面ダイダロス基地では、グラディス艦長率いるミネルバ隊がレクイエムを奪取すべく、ミケール大佐の防衛線を苛烈に叩いていた。
だが、ギルバート・デュランダル議長の意識は、手元の端末に映し出された別の報告書に向けられていた。
「……解析は難航している、か」
「はい。オーブから鹵獲した、あの高出力長距離ライフル……ですが、調査は完全に停滞しております」
技術官が苦渋に満ちた表情で頭を下げる。技術者達は探究心の塊であり未知の技術への興奮はだれしも存在しているのだが、敵軍が当たり前のように使用している技術を解析出来ないのはプライドが傷つけられるのだろうか?
「少しでも外部から中核ブロックに干渉しようとすれば、即座に内部回路が物理的に焼損・破砕する仕組みになっています。それも単なる自爆ではなく、記録媒体の分子構造を熱融解させるという、執念すら感じる異常なレベルのデータ除去対策です。しかもこれが量産機の一般武装だとは……これほどのセキュリティを組み込むなど、常軌を逸していますよ……」
議長は静かに目を細めた。オーブ……いや、ユウナ・ロマ・セイランという男の顔が脳裏をよぎる。あの男ならやりかねない。強力な力が、自分に牙を剥く可能性を誰よりも恐れている証拠だ。
「では、あの武器がなぜ陽電子リフレクターを一方的に貫けるのか、その理論すら掴めていないということかな?」
「……恐らくは。推測の域を出ませんが、特定の位相に合わせたビームの干渉により、リフレクターのエネルギー波長を局所的に中和、無効化しているのではないかと。我々も中和システムの構築を急いでおりますが……」
「なるほど、中和か。確かにそれが最も効率的な理論だね」
議長は納得したように頷き、不敵な、それでいてどこか楽しげな笑みを浮かべた。
中和であれば、その波長さえ特定できればこちらでも再現は可能である。
そう。プラント最高評議会に選出された議長ですら、その結論に至っていたのだ。「ビームをドリルのように超高速回転させ、物理的に盾を削り抜く」という、ドッズライフルのあまりにも単純で、あまりにも野蛮な正解には、プラントの技術者達は誰もまだ辿り着けていない。
ドッズライフルの原理そのものは、仕組みさえ分かってしまえばこの世界の技術水準でも再現可能なものだ。だが、そこには高すぎる「発想の壁」が存在していた。
この世界のビーム兵器は、ミラージュコロイド技術の応用や電磁フィールドによって、高エネルギーの「臨界状態にあるプラズマ」を収束・加速して撃ち出すものだ。ザフトの技術者たちにとって、ビームを強化するとは、磁場による収束率を極限まで高めて「貫通力」を上げるか、あるいはプラズマの密度を上げて「破壊力」を高めるかの二択でしかない。
ビームそのものを回転させる。
それは、実弾兵器の「ライフリング」の概念を、殆ど質量を持たないプラズマの奔流に持ち込むという、技術者からすれば正気を疑うような発想だった。
「エネルギーを加速させる磁場レールが螺旋を描いている……? しかし、これでは射出されるプラズマの極性が乱れ、着弾前に霧散してしまいます。これではビーム兵器としての基本を放棄しているも同然だ」
技術官が困惑と共に報告する。彼らの常識では、ビームは「いかに真っ直ぐ、密度を保って飛ばすか」が命題だ。ドッズライフルのように、プラズマをあえて「旋回」させて磁気的な渦を作るなど、エネルギーの無駄遣い以外の何物でもない。
「……どうしたのかな?そんなに難しい顔をして」
議長が問いかけると、技術者は額の汗を拭いながら答えた。
「はっ……。ライフルのチャンバー内の磁場形成パターンが、どうにも不可解なのです。これでは発射の際、ビームが収束せずにエネルギーが逃げてしまう。欠陥品……と呼ぶにはオーブの戦果が鮮やかすぎます。おそらく、陽電子リフレクターの反発膜を局所的に減衰させる、未知の干渉波形を生成しているのではないかと」
「干渉波形、か。なるほど、知恵比べという事か…」
議長は満足げに目を細める。技術者たちが「より高密度なビーム」という正攻法の迷宮に入り込めば入り込むほど、ドッズライフルの真の正体——「磁気的なドリルで物理的に抉じ開ける」という野蛮な真実からは遠ざかっていく。
断片的に復元された磁場レールの配置から、彼らも「螺旋」の構造自体には気づいていた。だが、それが余計に混乱を加速させたのだ。
「馬鹿げている。非効率の極みだ。プラズマを磁気的に捻り、螺旋状に射出するなど……そんなことをすれば、標的に到達する前に拡散して威力が激減する。理論上、これほど無意味な設計があるものか!」
ザフトの主任技術者達はモニターを指して吐き捨てるように叫んだ。彼らにとって陽電子リフレクターという「最強の盾」は、物理法則の壁そのものだ。それを破るには、それ以上のエネルギーをぶつけるか、特殊な位相で中和するしかない。それがC.E.世界における「知性ある兵器開発」の常識だった。
だからこそ、「ドリルを生成して強引に抉じ開ける」というあまりに単純な、原始的ですらある発想には、どうしても至れない。
「……まるで、昔の古臭い2Dアニメのようだ」
技術者達が鹵獲したドッズライフルについて唸ってる最中、まだ若いであろう新任の技術者の一人が、ぼそりと呟いた。
「アニメ? 何のことだ」
「いえ……オーブでも放送されている古い復刻版の、確か『天元突破グレンラガン』とかいう……。ドリルで天を突くとか何とか。ですが、現実のビーム理論でドリルなんて、笑い話にもなりませんよ」
その場にいた全員が、乾いた笑いを漏らした。
そうだ。現実はアニメではない。プラズマは実体を持つ刃にはなり得ない。磁場による「螺旋」はあくまで干渉波形を作るための副産物であり、まさかその「回転力」そのものでMSの装甲を削っているなど、高度な教育を受けた彼らにとっては、思考の外側に放り出されるべき「バカの発想」だったのだ。
議長もまた、技術者たちのその「常識」を疑わなかった。
「ふむ。螺旋状の磁場によって、リフレクターのエネルギー膜に特殊な共振を引き起こしている……といったところかな。ユウナ君も、なかなか風変わりな演出を好むようだ」
議長は優雅に椅子に背を預け、目の前の「正解」を、あまりにも馬鹿げた選択肢として切り捨てた。
余談だが、この戦争が終結し、ドッズライフルの詳細な設計図が正式に公開された際、プラントの設計局はちょっとした地獄絵図と化したらしい。
「ドリル……だと……?」
「磁気中和でも位相干渉でもなく、ただプラズマを物理的に回転させて……削った……だけ……?」
最先端の量子計算機を駆使し、複雑怪奇な数式を並べて「未知の干渉波」を証明しようとしていたエリート技術者たちは、そのあまりにも単純で、あまりにも「バカげた」真実を突きつけられ、文字通り茫然自失となった。
中には「我々が積み上げてきたビーム物理学は何だったんだ!」と叫びながら、自らの論文をシュレッダーに叩き込む者や、あまりのショックに数週間寝込む者まで現れたという。
彼らが絶望したのは、単なる技術力の差ではない。
かつて解析の最中、部下の一人が指摘した「古いアニメのドリル」という正解。コーディネイターという「優秀な種」であり、高度な専門教育を受けてきたという自負とプライドが、その子供じみた、だが真実を突いていた発想を「非合理的」として自らの手でゴミ箱に捨てさせたのだ。その硬直した思考の敗北こそが、何よりも彼らの心を折ったのだ。
「なぜ……なぜこんな、誰にでもわかることに気づけなかったんだ……!」
「ドリルを回せば貫通力が上がる」という、子供でも思いつくような飛躍した発想を、自分たちが「合理的ではない」と一蹴し、検討の土台にすら上げなかった、その硬直した思考の敗北だった。
また、この衝撃はプラントだけに留まらなかった。
当時、秘密裏に「次世代型の絶対無敵の装甲」を研究していた、とある新興王国の女王は、このドッズライフルの詳細を知るや否や、豪華絢爛な玉座の間で絶叫したという。
「ふざけるでない!! いったい何を考えておるのだ!!」
「はっ、母上!落ち着いてください!」
彼女がキレたのも無理はない。自分たちの誇る親衛隊の最新鋭機が、この「回るだけのビーム」によって、その辺の量産機にすらあっさり貫かれ、敗北しかねないという残酷な事実。
絶対的な優位を揺るがす、物理的な「理不尽」。
ユウナが持ち込んだその「ドリル」は、支配や秩序を語る傲慢な天才たちの喉元に、最も鋭く、最も馬鹿げた切っ先として突き刺さったのである。
「……ま、生き延びるためなら手段は選ばないってことさ」
開発に口出しした当の本人が、ベッドでそう呟いたことも知らずに、最適化された遺伝子によって日夜研究に勤しむプラントの天才達は今日もまた四苦八苦して解析に勤しむのであった。
SEED世界におけるビームの歴史や設定を見てみると圧縮するか、より早く撃つか、増大させるかの三択でAGE世界のようなドリルのようにビームを回転させる事で貫通力を付与させるという土壌は実は存在しなかったりします。さらにプラント側は高度な最先端技術である、陽電子リフレクターの技術を原作でも今作でも解析済みであり、ドッズスナイパーライフルによってゲルスゲーやザムザザーがあっという間に打ち貫かれていたのは何らかの方法で中和するしかない、もしくは陽電子リフレクターに影響を与える何かがビーム内に存在しているに違いないと混乱中。
この辺りはエリカさんも陽電子リフレクターのデータを引き渡された時に中和方面で最初は以降としていたり、原作の作中でも中和するシーンもあるがため。まさかビームをドリルのようにして貫通力を上げるだなんて余りにも原始的な理論や正解になかなか辿り着けません。だからこそ、コロンブスの卵状態になっており、正解を知った時はそれはもうプラントの技術者や設計局や軍事会社は阿鼻叫喚の地獄絵図になるでしょう。まさかグレンラガンが正解だったとか分かるわけねぇもん……
どっちのアスランが見てみたいでしょうか?
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通常の優柔不断アスラン
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報連相の化身と化したアスラン