破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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第六十七話 傭兵の流儀

 

 

 

「ストフリにジャスティス……それにドレッドノートイータ…カナード達か!?」

 

 

 

 

 

 俺は激しく揺れるコクピットの中で、必死にメインモニターに齧り付いていた。

 

 

 

 戦場の中心では、文字通り「次元の違う連中」が暴れまわっている。

 

 

 

 俺はまずはモニター越しに映る「二人の英雄」の動きを食い入るように見た。恐怖で心臓がバクバク言ってるってのに、あいつらの戦い方はあまりに異次元すぎて、一瞬だけ恐怖を忘れるほどだった。

 

 

 

 まずはキラのストライクフリーダムだ。

 

 

 

あいつの戦い方は、一言で言えば「静かなる虐殺」……いや、不殺だから「静かなる解体」か。マルチロックオンの警告音が、俺の機体でも拾えるんじゃないかってくらいの密度で、四方八方から迫るザフトのジンやゲイツRを、瞬きする間にダルマにしていやがる。

 

 

 

 ドラグーンが星の瞬きみたいに宇宙を舞い、放たれる光条が寸分の狂いもなく敵のカメラや肢体を焼き切っていく。あいつ、あの弾幕の中で一度も機体を擦ってすらいないんじゃないか?どんな腕前してるんだよ。

 

 

 アニメだと不自然だの、補正だの、チーターだの言われてたが、いざ間近で見ると規格外だと言う事が嫌でもわかる。まさに精密機械、それも戦場を支配する怪物だ。あんな光の網の中に放り込まれたら、俺なら思考する間もなく蒸発して終わりだろう。

 

 

 

 

 

 

 一方で、アスランのインフィニットジャスティス。こっちはキラとは正反対の「動の暴力」だ。

 

 

 正直報連相の化身となってそのリハビリをしてたのもあって戦場に出すのは反対していたが……そんな考えがバカらしくなるくらいには凄まじい。迷いが消えた瞬間にこれかよ!

 

 

 

 動けばまさに鬼神。グフや専用カラーのザクといったエース級のモビルスーツが、まるで紙細工みたいにバラバラにされていく。最短距離を突き進むその軌跡は、敵軍という名の壁を強引にこじ開ける巨大な破城槌だ。

 

 

 

 ブーメランを投げては斬り、背中のリフターをぶつけては蹴り飛ばす。優雅さの欠片もねぇ、ただ「敵を排除する」という意志だけが具現化し、最適化したような動きだ。レクイエムに向かって一直線に突き進むその後ろ姿を見て、俺は確信する。迷いが消えたときのアスラン・ザラだけは、絶対に敵に回しちゃいけないって。

 

 

(アニメだと興奮したが、いざ実際に見ると興奮よりドン引きするわ……なんであんなに武器を同時に両手で使用しつつ回避とかしてんの?えっこっわ…)

 

 

 

 

 

 そして、ひときわ異彩を放っているのが、カナードの駆るドレッドノートイータだ。

 

 

 

 

 

 

 あいつは今、自身の部下である傭兵たちが駆る、真っ黒なムラサメ隊6機をまるで手足のように使い、敵の陣形を鮮やかに粉砕している。

 

 

「カナードの野郎、傭兵上がりなだけあって部下の扱いがえげつねぇな……」

 

 

 扱いが悪いのではなく、的確過ぎる。俺の知るカナードは、どちらかと言えば単独で動くイメージが強かった。旗艦ネタニヤフへの奇襲や、ステラのデストロイを狙撃して即座に離脱するといった、ピンポイントで壊滅的な打撃を与える任務を多くこなしていた。

 

 

 

 あいつのあの荒々しい性格からしても、一匹狼で暴れまわるのが一番の得意分野だと思ってたんだが、それは奴の一つの側面に過ぎなかったってわけだ。

 

 

 

 モニターの中では、漆黒のムラサメ隊が三機一組の編隊を組み、ザフトの防衛線を撹乱している。その連携の隙間を縫うように、ドレッドノートイータが突撃し、ビームランスやビーム砲で敵艦の心臓部やブリッジを正確にブチ抜いていく。荒っぽいだけじゃない、極めて合理的で冷徹な集団戦術。指揮官としての適性すら見せつけられて、俺は背筋が寒くなる。

 

 

 どこがスーパーコーディネイターの失敗作だよ!!脳みそ詰まってんのかユーラシアのガルシア達は!?単独のエースのキラやアスランよりよっぽどヤベェぞアイツの指揮官適性!?

 

 

 

 

「……ユウナ様! 他の者に見惚れている暇はございません! 我らも負けてはいられませんぞッ!!」

 

 

 

「いや、負けていい! むしろ負けたふりして撤退しろババ!?」

 

 

 

 

 俺の願いも虚しく、ババ一尉は「キラ様達にも、オーブの 意地を見せてやりましょう!」と、さらに鼻息を荒くしてスロットルを押し込んだ。

 

 

 

 

「ひっ…!開けろ! 道を開けろぉぉ!!」

 

 

 俺が絶望で叫ぶ中、薄紫の金ピカは、カナードの黒いムラサメ隊がこじ開けた戦域の穴に、猛烈な勢いで割り込んでいく。一瞬だけカナードも動きを止めたが、その間も近づいてきたザクのコックピットをぶち抜いてるあたりアイツやべぇよ!

 

 

 

 

「ユウナ様! 敵、ナスカ級を捕捉しました! 速やかに黙らせますッ!!」

 

 

 

「やめろババァ!!艦に喧嘩を売るな!!」

 

 

 トダカ、てめぇ……! 俺はアークエンジェルで優雅にコーヒーでも飲みながら「戦局は我にあり!」とか言いたかったんだぞ! なんでこんな、狂犬と紫金の棺桶に乗って最前線で艦隊戦を演じなきゃいけないんだ!!

 

 

 

 

「ひぎぃぃぃ!! 揺れる、揺れるってぇぇぇ!!!」

 

 

 

 思わずエロゲヒロインみたいな台詞を言い出す俺と違い、薄紫の金ピカは、まさに「変態」としか形容できない機動を見せ始めた。迫りくるザクの弾幕を、スラスターの細かな吹かしだけで紙一重で回避し、すれ違いざまに『雷蛇』を叩き込む。

 

 

 ビームを反射し、それ以外の兵器は嘲笑うように踊るその姿は、敵からすれば悪夢以外の何物でもないだろう。

 

 

 

「ユウナ様! 見てください、あのザクの無様な姿を! 貴方様の輝きの前では、ザフトの精鋭もただの案山子だッ!!」

 

 

 

「いいから前を見ろ! 避けるな、もっと距離を取れ! 怖いんだよバカ野郎!!」

 

 

 

 

 ババは俺の絶叫を「もっとやれ」という景気づけだと解釈したのか、あろうことか敵のグフが振り回すヒートロッドの隙間に機体をねじ込み、零距離からビームサーベルで両腕を一刀両断。そのままの勢いで、目の前に立ち塞がるナスカ級へと肉薄する。

 

 

「逃がしませんぞ……。ユウナ様の行く手を阻む愚か者どもめ! 落ちろぉぉぉ!!」

 

 

 

「やめろぉぉぉ!! ぶつかる!!ぶつかるってえぇぇ!!」

 

 

 

 

 

 ナスカ級の周囲の護衛MSのビームライフルはアカツキの『ヤタノカガミ』に弾かれ、宇宙に無数の火花を散らす。そのままババは『雷蛇』をナスカ級のブリッジの底付近に向けて強引に射出した。

 

 

 

 超高圧の電流がブリッジを直撃し、内部の電子機器を瞬時に焼き切る。制御を失ったナスカ級は、火を吹きながら戦列を離脱していった。

 

 

 

「……沈黙。ハッハッハ! 見ましたかユウナ様! 我らの勝利です!!」

 

 

 

「……あ、あ……。……死ぬかと思った……。っていうか、本当に沈めやがった……」

 

 

 

 俺はガクガクと震える膝を押さえながら、もはや怒る気力も失せて呟いた。エースなのは分かった。腕が確かなのも認める。だがな、トダカ。

 

 

「……トダカ、てめぇ……。帰ったら絶対に一発じゃ済まさねえぞ……。一分間に百発叩き込む連打を見舞ってやるからな……!!」

 

 

 

 俺の呪詛を余所に、ババ一尉は「さあ、次はメサイアの心臓部ですッ!」と、さらなる地獄へと舵を切った。だからメサイアに行こうとしてんじゃねぇよクソッタレがよぉ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦域を切り裂く異形の集団――カナード・パルスが駆る傭兵部隊Xはまさに効率的な殺戮機械の一団の如く戦場で猛威を振るっていた。

 

 

 

「……目障りなザコどもめ。俺の射線を塞ぐなと言ったはずだ」

 

 

 カナードは冷徹に呟き、ドッズライフルの高出力の光軸が、螺旋を描きつつ回避運動すら許さずにザク二機を串刺しにする。同時撃墜という神技を披露し、爆発の光がバイザーに反射する中、奴の視界の端で、嫌でも目につく「異物」がのたうち回っていた。

 

 

 

 

 薄紫の光沢を煌めかせつつ、戦場をわざとやってんのか?と言わんばかりの強引な機動でグフを叩き伏せているあの金ピカ――アカツキ五号機だ。

 

 

 

 

「……あのクソボンボンが。臆病風に吹かれて後ろで震えてると思ってたが、とんだ目立ちたがり屋だったようだな」

 

 

 

 吐き捨てるようにカナードが毒づく。あのアホ面の性格上、後ろに下がりたいと口では言いそうなものだが、やっていることは戦場の一番槍だ。一体何を考えているんだあのボンボンめと頭を抱えたくなるカナードに、部下は冷静に敵機体を解体しながら通信を流す。

 

 

 

 

『隊長どうします? 雇い主様が随分と無茶してますけど、援護に回りますか?』

 

 

 

 

 黒いムラサメに乗る部下の傭兵から、茶化すような通信が入る。カナードは不機嫌そうに、アカツキが鮮やかな『雷蛇』の取り回しでグフを瞬時に無力化し、そのままの勢いでローラシア級のブリッジにグフを叩きつけ、沈黙させる様を睨みつけた。

 

 

 

「……ふん。複座式だと聞いていたが、あのアホの下についているパイロットは相当な腕だな。ユウナを乗せたまま、あれだけの機動をこなすとは、よほどの狂人か、あるいは……」

 

 

 

 

 そこまで言いかけて、カナードは思考を断ち切った。

 

 

 

 

「放っておけ。死にたがっている奴に貸す肩はない。俺たちは俺たちの仕事を完遂するぞ!続け!」

 

 

 

 

 冷たく突き放す言葉を投げた、その時だった。

 

 

 

 

『へぇー。でも隊長、本当はユウナさんをこのイータに乗せてもいいって思ってた癖に――』

 

 

 

 

 茶化した部下の言葉が終わるより早く、ドレッドノートイータのドッズライフルが火を吹いた。部下に向かって放たれる。

 

 

 

 直撃かと思われた光条は、部下の黒いムラサメの装甲を紙一重で掠め、その背後に肉薄していたザクのコクピットを寸分の狂いもなく貫いた。

 

 

 

 

 

「クソが…余計な口出しはすんな。余計な口を開くな。次は外さないぞ…!」

 

 

 

 

 

 

 殺気すらこもったカナードの低音に、通信回線が一瞬で静まり返る。だが、撃墜を免れた部下たちは、モニター越しに互いの顔を見合わせ、声に出さずに確信していた。

 

 

 

 

 

((……あっ、否定はしてないんだ隊長……))

 

 

 

 

 

「おい、何を突っ立ってる! 次の獲物のローラシア級だ、散れ!」

 

 

 

 

 照れ隠しを塗り潰すようなカナードの鋭い号令と共に、ドレッドノートイータは再び戦火の深淵へと加速した。その後ろ姿は、どこか忌々しそうに、それでも「薄紫の金ピカ」の進路を確保するように立ち回っていたのは偶然ではないだろう。

 

 





 個人的にはカナードの強さはMS戦ではドラグーンの適正の無さ(最新作で克服しましたが)や機体の武装なども含めてアスランやキラに敗北するも、複数人の部下を指揮するチーム戦やターゲットが敵の母艦の撃破のような戦闘に於いては二人以上の強さかな?と想定しています。どちらかといえばキラやアスランのような無双タイプというよりはムウの様な現場指揮をしながらの戦闘で輝くパターンでしょうか?


 現在は
ユウナ・ババコンビ
→メサイアに向かって突撃して次々と撃墜してる

キラ
→後から出てくるであろうムウ達のために、メサイアに向かって戦場で穴を作り出そうとしている

アスラン
→レクイエムに向かいつつシンを探している

カナード
→遊撃隊としてアークエンジェルやエターナルに向かってる敵軍を撃破している

ムウ
→密命を浴びている様だが…?


どっちのアスランが見てみたいでしょうか?

  • 通常の優柔不断アスラン
  • 報連相の化身と化したアスラン
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