破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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第六十九話 電子レンジに!ダイナマイトを!打ち込め!

 

 

 

 

「うぉぉぉ!! オーブ軍に告げる!! 絶対にメサイアを潰せ!! 何があっても潰せ!! あれが撃たれたら(やっと破滅フラグを乗り越えた俺の人生が)全てが終わりだ!各員奮戦せよ!!」

 

 

 

 

 俺はもはやなりふり構わず、ユウナ専用アカツキ……なんてクソみたいな名前をつけてんだよ!!モニター越しにユウナって書かれてドン引きしたわ!!!

 

 

 ともかく!!アカツキ五号機のコックピット内で全周囲通信で叫び散らしていた。

 

 

 モニター越しに見えるのは、死の光線レクイエムを携えるダイダロス基地の不気味なシルエット。あんなもん、一発でも艦隊やオーブに撃たれてみろ。俺のこれまでの苦労も、積み上げた成果も、ついでに俺の命も全部パーだ!

 

 

 

 

 

「おおおぉぉ!! ユウナ様、その不退転の覚悟! 確かにお聞きいたしましたッ!!」

 

 

 

 

「ヒィィィ!? 揺らすな、ババ!! 前を見ろ前を!!」

 

 

 

 

 

 ババ一尉は俺のヤケクソな絶叫を「最高位の突撃命令」とでも脳内変換したのか、涙と鼻水を流しながらレバーをさらに押し込んだ。

 

 

 

 アカツキ五号機が閃光となって戦場を舞うたびに、ザフトの防衛線に強引な穴が空いていく。ビームがヤタノカガミに弾かれ、雷蛇がグフを絡め取り、その衝撃で俺の視界はぐるんぐるんと回る。

 

 

 

「死ぬ、死ぬ! 今の回避は絶対に死ぬって言っただろ!! 止まれババ!! 止まって俺を降ろせぇぇ!!」

 

 

 

 

 俺が死の恐怖を抑えるために言い放った演説未満の鼓舞。それは広域通信を通じてオーブ軍全軍へと響き渡っていたらしく、盾艦の裏に隠れている多くのアストレイや遊撃しているムラサメなどはオープン回線で絶叫している様だ。

 

 

 

 

『うぉぉぉぉ!!! ユウナ様! どこまでもついていきますッ!!』

 

 

 

 

『代表代行自ら最前線で咆哮しておられるぞ! 我らも続けぇ!!』

 

 

 

 

 今の俺もう代表代行じゃねぇよ!?というかオーブ軍の連中盛り上がりすぎてない!?

 

 

 

 後で知ったことだが、この時、共に戦っていた大西洋連邦や義勇兵たちは、この異様なテンションの「金ピカの叫び」にドン引きしていたらしい。だが、そんなことは今の俺にはどうでもいい!!!そんな余裕もねぇもん!!というかもうやだおうち帰るぅ…!!!

 

 

 

 

「だが…これでもし……士気が上がって……勝てるんなら……安い……もんだ……う、うぷっ」

 

 

 

 横Gで脳がシェイクされ、胃からせり上がってくる熱いものを必死に飲み込む。一応このパイロットスーツは俺専用にカスタマイズされてるらしく対G装備の特注品。さらにトダカの野郎は俺が寝てる間に何らかの投薬処置までしてたらしくレッドアウト対策はバッチリだ。

 

 

 

 

 インフォームド!!!インフォームドコンセント!!テメェら最低限それくらいはしろや!!!!

 

 

 

 もう心の中でババとトダカに何回呪詛を吐いていると思ってるんだ畜生! 帰ったら絶対に「代表権限」をフル活用して、あいつらを事務デスクに縛り付けてやるからな!

 

 

 

 だが、涙目でモニター(何故か試作型らしい全天周囲タイプらしく余計怖いわ!!)を凝視していると、この狂乱の戦場が「ある計画」通りに動き出していることに気がついた。

 

 

 

「おい……あれは……!」

 

 

 

 

 

 俺たちの後方、盾艦の影から一気に加速して飛び出す艦影があった。トダカの馬鹿野郎が乗っているイズモ級だ。そのカタパルトから、まばゆい黄金の輝きが四条、宇宙へと解き放たれる。

 

 

 

「四機のアカツキ……! 出撃したか!」

 

 

 

 先頭を切るのはネオ・ロアノークこと、ムウ・ラ・フラガ。そして彼に続く三機は、確かムラサメ隊の生き残り三人組だったはずだ。名前は……ええい、思い出せんが、腕の立つ連中だ。

 

 

 

 本来なら、このメサイアは鉄壁の陽電子リフレクターで覆われている。生半可な砲撃では傷一つ付かない難攻不落の要塞だ。だが、あいつらなら――対陽電子リフレクターのメタ的な能力を待つ「ヤタノカガミ」装備の機体なら、その牙城を突き崩すことができる。

 

 

「……頼むぞ、おっさん! それと、名前は忘れたがムラサメ三人組!」

 

 

 

 俺は吐き気に耐えながら、宇宙を駆ける黄金の四星に、この地獄を終わらせるためのすべてを託した。あいつらがメサイアに風穴を開けてくれれば一気に戦いを終える事ができる…!

 

 

 

「いいかババ! あの四機を援護するぞ! 俺の命は二の次でいいから、あいつらの道を作れぇぇ!」

 

 

 

「おおお! ユウナ様! 己を顧みぬその献身、感服いたしましたぁぁ!!」

 

 

 

「だから言葉通りに受け取るんじゃねぇっての!!」

 

 

 

 

 俺の悲鳴を推進力に変えて、薄紫のアカツキは黄金の僚機たちを先導するように、巨大な要塞メサイアへと肉薄していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦域に、さらなる黄金の閃光が奔る。流星のように飛来するそれはザフト兵のMS達を完全に無視し、メサイアに突撃して行く。

 

 

 

 

「さーて始めるとするか……不可能を可能にする男の、第二幕だ!」

 

 

 

 

 ネオ・ロアノークことムウ・ラ・フラガが駆るシラヌイ装備のアカツキを筆頭に、三機の黄金が要塞メサイアの巨大な「障壁」へと肉薄する。そこには、あらゆる攻撃を遮断する絶対の防衛線、光波防御帯が展開されていた。だが、この作戦は戦術の常識を捨てた狂気の産物である。

 

 

 

「よし、とりついた!!!野郎ども! 牙を剥けッ!!」

 

 

「了解した!全艦砲撃準備!ゴットフリート照準合わせ!撃ち方始め!」

 

 

 

 ムウの合図と共にトダカ一佐の凄まじい号令が響く。後方に陣取っていた三隻のイズモ級が、その主砲「ゴットフリート」の照準を、あろうことか敵ではなく、味方であるムウたちのアカツキへと固定し、巨大な熱線が友軍に向かって牙を向く。

 

 

 

 

「無茶をさせやがる……だが、それこそがオーブのやり方か!」

 

 

 

 

 ムウが笑い、アカツキを光波防御帯に接触させる。ヤタノカガミと光波防御帯が触れ合った瞬間、物理法則が歪むような不快な摩擦音が宇宙に響き、防御帯のエネルギーが中和・無効化され始めた。

 

 

 

 そこへ、イズモ級三隻による計六門の主砲斉射が叩き込まれたのだ。本来ならば味方を蒸発させる狂行。しかし、ヤタノカガミは主砲のエネルギーを散らさず、その鏡面装甲で「受け止め」、さらに増幅させて内側へと屈折させる。

 

 

 

 

 ヤタノカガミの正体はナノスケールのビーム回折格子層と超微細プラズマ臨界制御層から構成される特殊なコーティング鏡面装甲だ。すなわち『ビームを層内部の格子構造で屈折させる』機能と『吸収したビームを的確な位置に放出して目標に『反射』させるためのプラズマ制御』を併せ持つ能力である。

 

 

 

 そう、つまりその気になれば味方のビームを吸収し、それらを敵に放出することさえも可能である。更に陽電子リフレクターの本質とはビームシールドである事から、MSが陽電子リフレクターを触れる事で『すり抜ける』事が可能なのである。

 

 

 

 

 

 ムウたち四機のアカツキは、巨大な熱線のエネルギーを自らの機体で中継し、無防備な要塞内部へと指向させる「反射板」となったのだ。もしもユウナがこの光景を見ていれば「電子レンジに入れられたダイナマイト」もしくは「ハイペリオンのアレ!ハイペリオンのアレじゃないか!」とコメントしてカナードにキレられていただろう。

 

 

 

 大量のビームが自身に降り注ぐ。その瞬間、ムウの脳裏を強烈な閃光が駆け抜けた。

 

 

 

 

(……俺は、知っている)

 

 

 

 

 

 かつて、愛する者を守るために巨大な陽電子砲の前に立ち塞がった、あの熱。自分を焼き尽くそうとした、圧倒的な光の奔流。

 

 

 

 

 記憶の断片が、目の前のアカツキを焼くエネルギーの激流と重なり、一つに溶け合う。

 

 

 

 

(ああ、そうだ。俺は……俺はあの日、こうして守りたかったんだ!)

 

 

 

 

「――思い出したぜ、守るための力ってやつをなああッ!!」

 

 

 

 

 咆哮と共に、ネオは……ムウ・ラ・フラガはレバーを叩きつける。そんな彼らの蛮行に気がついた近隣の部隊は慌てて攻撃を開始するも、突如として飛来した薄紫のアカツキによって迎撃されて行く。

 

 四機のアカツキが受け止めた莫大な主砲のエネルギーは、光波防御帯という皮膜を透過し、その「裏側」にあるメサイアの装甲へと一気に流し込まれた。

 

 内側から膨れ上がる、暴力的なまでの白光。要塞を包んでいた鉄壁の光が、耐えきれずにガラス細工のように砕け散り、巨大な外壁が内側から捲れ上がるようにして無惨に崩壊していく。

 

 

 その凄まじいエネルギーの奔流の渦中で、ネオ――いや、ムウ・ラ・フラガの意識は、白濁した記憶の深淵へとダイブしていた。

 

 

(……思い、出した……)

 

 

 脳裏に浮かぶのは、かつて自分を焼き尽くそうとしたあの陽電子砲の熱、そして、その先にいた一人の女性の姿。

 

 

 再び再会した自分を「ムウ」と呼び、泣き崩れていたマリュー・ラミアスの姿を。

 

 

(俺はあの日、死ぬためにあいつの前に立ったんじゃない。……あいつを、あいつのいる場所を守るために、俺は……!)

 

 

 その強烈な情動が、欠け落ちていた記憶のピースを強引に繋ぎ合わせた。失われた時間は、熱となって全身の血を駆け巡る。今の自分は、仮面を被らされた操り人形などではない。

 

 

 

 愛した女が、そして守るべき仲間たちが待つ家――「オーブ」という国を守るために、再び立ち上がった一人の男だ。

 

 

 

「――待たせたな、マリュー。……不可能を可能にする男、ただいま参上だッ!!」

 

 

 

 咆哮と共に、ムウはレバーを限界まで叩きつける。アカツキの鏡面装甲を中継した光条が、要塞の防御の心臓部を抉るように貫いた。

 

 

 

 

 

「光波防御帯、完全消失!! メサイア、外郭第一層大破ッ!!」

 

 

 

 

 オペレーターの絶叫が響く中、穴の空いた要塞の深淵を睨み、ムウはかつての不敵な笑みを取り戻した。今ここにエンデュミオンの鷹は舞い戻り、再びこの戦場を席巻する。迷いもなく宇宙を駆ける四筋の黄金の流星は敵に恐怖を与え、味方に希望を与えたのは言うべきもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 だが、そのドラマティックな覚醒のすぐ傍らでは、あまりの衝撃と光の渦に翻弄され、「ひ、ひぎぃぃぃ! お迎えが……三途の川の向こうでウズミ代表が手ぇ振ってるぅぅ!」と半狂乱で白目を剥いている元代表代行の姿があったというが。然したる問題ではない。

 

 

 





・電子レンジに入れられたダイナマイト
 漫画版Vガンダムに登場する有名なシーン。SEEDであればハイペリオンが大破するシーンだろうか?メサイアは陽電子リフレクターによる鉄壁のシールドが貼られており、原作ではミーティアを装備したフリーダムが攻略したものの、今作では量産されたアカツキ四機を突っ込ませた状態で攻撃に極振りしたゴットフリートを連続で照射。それらに指向性を持たせた上でメサイアの内部に放出させ続ける事で強引に発生装置を破壊する事に成功したのでした。これに関しては最後の最後までミーティアを温存しておきたいというユウナの希望などもあり、実は今作ではのストフリと隠者はミーティアを装備していません。

どっちのアスランが見てみたいでしょうか?

  • 通常の優柔不断アスラン
  • 報連相の化身と化したアスラン
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