破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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 ミネルバ隊やジュール隊の活躍とやり取りはカットでダイジェスト。そしてサトーさんはナレ死です。ごめんねサトー、これも全部ユウナが悪いんだ。


第八話 ナレ死するサトー

 

 

 

 強奪された新型MSを追撃するため、発進したばかりのザフト新造艦ミネルバのブリッジは、想定外の事態に揺れていた。

 

 

 

「後方より高速で接近する艦影あり! この識別信号は……オーブ国防宇宙軍です!」

 

 

 

 副長アーサー・トラインの叫び声が響く。艦長のタリア・グラディスは鋭く眉を寄せた。

 

 

 

「オーブ軍? こんなところで……」

 

 

 

「通信が入っています! 『本艦に座乗されている我が国のカガリ・ユラ・アスハ代表の身の安全を確認したい。代表の意志を尊重し、穏便な帰還を打診する』……との事ですが。……ええっ!? 何ですか、あのモビルスーツの装備は!」

 

 

 

 メインモニターに映し出されたのは、数機のM1アストレイ。だが、その姿はタリアの知るオーブの量産機とは大きく異なっていた。機体には不釣り合いなほど巨大なバッテリーパックが急造で増設され、その手には、かつての連合機が使用していた超高出力ビーム砲『アグニ』が、重々しく握られている。

 

 

 

「アグニだと……!? これから要塞攻略でも始めるつもり!?」

 

 

 

 タリアが絶句する。言葉こそ穏便だが、その実、一撃でミネルバを沈めかねない「過剰な武力」を誇示しての登場。ミネルバに同乗していたカガリ・ユラ・アスハもまた、ブリッジの隅でモニターを仰ぎ見て呆然としていた。

 

 

 

「どういうことだ……なぜ宇宙軍がこんな物騒なものまで持ち出して!」

 

 

 

 

 一方、発進待機状態のMSデッキでも、モニターを見ていたシン・アスカが忌々しげに吐き捨てた。

 

 

 

 

「……何が理念だ!何が中立だ!結局都合が悪くなると銃を持ってプラントを脅す!これがオーブのやり方かよ!!」

 

 

 

 

 家族を奪った「オーブの無力」を憎むシンにとって、その無力さを棚に上げて、他国で巨大な火力を振りかざす故郷の姿は、欺瞞の塊にしか見えなかった。

 

 原作よりも早く、更に多くのズラリと並んだ火砲(アグニ)がミネルバに向けられている。これは交渉ではなく恫喝だ。アスハへの怒りや失望に加え、元祖国の振る舞いを見てその瞳が怒りに揺れるのは当然と言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、その一触即発の睨み合いを、さらに巨大な絶望が塗り替えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――っ! 艦長! 監視衛星およびオーブのアメノミハシラから、緊急の広域警戒データを受信! 解析急ぎます!」

 

 

 

 

 

 オペレーターの声が上ずった。モニターの一部が切り替わり、漆黒の宇宙に浮かぶ「それ」を映し出す。かつての惨劇の象徴――血に染まったバレンタインの地、ユニウスセブン。

 

 

 

 

 

「ユニウスセブンの移動速度が急上昇……!? 軌道が……地球に向かっています! このままでは落ちます!」

 

 

 

 

 

「何ですって!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 タリアの叫びと同時に、ブリッジに戦慄が走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして。オーブ本国で、ロンド・ミナ・サハクから転送された「確定データ」を確認した俺――ユウナ・ロマ・セイランは、静かに椅子から立ち上がった。

 

 

 

 

 

「……始まったな。フリット・アスノがかつて見た地獄とは違うが、これもまた、世界がひっくり返る合図だ」

 

 

 

 

 

 俺は端末を手に取り、宇宙軍司令官へ、事前に用意していた「救世のシナリオ」を送信する。

 

 

 

 

「代表の確保は一旦横に置け。ミネルバと協力体制を構築しろ。アグニ部隊の全火力を、ユニウスセブンの破砕へ向けろ。――派手にやれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数刻の時を得て現場は鉄火場と化していた。

 

 

 

「艦長、前方に熱源を確認! メテオブレイカー設置作業中のジュール隊、テロリストと交戦状態に入りました!」

 

 

 

 ミネルバのブリッジに緊張が走る。ユニウスセブンの表面では、破砕作業を急ぐザフト軍と、それを阻まんとするテロリストのMS部隊が激しい火花を散らしていた。

 

 

 

「MS隊発艦準備!インパルス、ルナマリア機、レイ機、発進!」

 

 

 

 

 ミネルバからMSが飛び出していく。カガリの身を案じ、ミネルバに同行していたオーブ宇宙軍のM1アストレイ部隊もまた、即座に推力全開でそれへと続いた。

 

 

 

 

「オーブ軍より通信! 『アメノミハシラからの高精度観測データを共有する。テロリストの伏兵は後方のデブリ帯に二機、さらにクレーターの影に三機……奇襲を警戒せよ!』」

 

 

 

 

「なっ……!?」

 

 

 

 

 タリア艦長は目を見開いた。ミネルバのセンサーすら捉えきれていなかった死角の敵を、オーブ側は正確に指摘してきたのだ。

 

 

 

 本来の歴史であれば、ジュール隊もミネルバ隊も、この周到な「伏兵」によって防戦一方に追い込まれ、メテオブレイカーの設置を何度も中断させられるはずだった。

 

 

 

 

「……本当だ、いたぞ! 墜ちろッ!!」

 

 

 

 

 シンのインパルスが、オーブから送られた座標へ向けてビームライフルを連射する。奇襲を仕掛ける前に位置を露呈させられたジンの集団は、狼狽えながら爆散していった。

 

 

 

 

「……オーブの連中、何でこんなにはっきり敵の位置がわかるんだ…?」

 

 

 

 

 シンの驚愕をよそに、アグニを懸架したM1アストレイの小隊が、メテオブレイカーを設置する作業班の前に「壁」となって立ち塞がった。

 

 

 

 

 

 

『我々がテロリストを抑える! ミネルバ隊、および作業班は一刻も早くドリルを打ち込め! ――時間は一秒たりとも無駄にはできないんだ!』

 

 

 

 

 

 オーブ軍パイロットの怒号。彼らは総司令部により「この作戦の成否がオーブの、ひいては地球の数億人の命を左右する」と叩き込まれている。その必死さは、ザフト兵の目にも異常なほどに映った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何がオーブの理念だ! 何が中立だ!」

 

 

 

 

 

 

 シンが、自身の過去を重ね合わせるように叫ぶ。

 

 

 

 

 

「結局、いつもそうやって自分たちの正しさを周りに押し付けやがって!!」

 

 

 

 

 

 

 憎悪と困惑。だが、そのシンの背中を、アストレイの放つアグニの光軸が掠めるように通り過ぎ、背後に迫っていたテロリストを消し飛ばした。

 

 

 

 

 

 

「……っ!? ……チッ、助けられたっていうのかよ!俺が!」

 

 

 

 

 悔しさを滲ませながらも、シンは目の前の破片へと向き直る。

 

 

 

 

 オーブ宇宙軍の正確無比な援護と、死守に近い防衛ライン。それによって、メテオブレイカーの設置は史実よりも遥かにスムーズに、そして「深く」完了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――熱源接近! 敵、テロリストだけではありません。強奪されたカオス、アビス、ガイアが来ます!」

 

 

 

 

 

 

 

  オペレーターのメイリンの悲鳴のような報告が響く。

 

 

 

 

 

 ユニウスセブンの破砕という極限作業の最中、アビス、カオス、ガイアの三機が、獲物を狙う獣のように躍り出る。

 

 

 

 

「クソッ、こんな時に……! ルナ、レイ、あいつらを近づけさせるなよ!」

 

 

 

 

 シンのインパルスがガイアの猛攻を紙一重で回避する。だが、その背後ではザフトの脱走兵たちが、かつての同胞であるザフトMS隊を無慈悲に撃ち抜いていた。

 

 

 

 

「……っ、ふざけんなよ! なんであんなことが……!」

 

 

 

 

 シンは、目の前の光景に激しい怒りと動揺を覚えた。プラントを愛し、守るために戦っていたはずの兵士たちが、今は地球を滅ぼそうと狂気に染まり、自分たちと同じザフトの機体を沈めている。

 

 

 その一方で、自分が「口先だけの綺麗事」と憎んでいたはずのオーブ軍のM1アストレイが、死に物狂いでメテオブレイカーを守り、ザフト兵の盾となっている。

 

 

 

「何なんだよ、これ! あいつらもザフトだろ!? なんで仲間同士で殺し合ってんだよ……! なんでオーブの連中が守ってんだよ!!」

 

 

 

 

 シンの叫びが通信圏内に響く。困惑で操作が乱れたその瞬間、カオスの機動力がインパルスの死角を捉えた。

 

 

 

 

「……動揺が激しいな、シン。集中しろ」

 

 

 

 

 

 冷徹な、しかし、有無を言わせぬ響きを持ったレイ・ザ・バレルの声が割り込む。レイのブレイズ・ザクファントムがインパルスの前に滑り込み、カオスの攻撃をビームトマホークで叩き伏せた。

 

 

 

 

「レイ……!」

 

 

 

「目の前の状況に感情を割くのは、後にしろ。今のお前の任務は、敵の殲滅とメテオブレイカーの護衛。それ以外に考えるべきことはないはずだ」

 

 

 

 

 

 レイの言葉は、冷たい水のようにシンの頭を冷やしていく。そうだ。今、ここで俺が迷えば、地球が…オーブが…!

 

 

 

 

 

「……分かってるよ! やってやるよ!」

 

 

 

 

 

 シンが吠え、インパルスを加速させる。その光景を、オーブ軍の指揮官機――ユウナ及びトダカから直命を受けたパイロットは、バイザーの奥で冷徹に見据えていた。

 

 

 

 

 

「ザフトの新型もいい動きだ……。各機、援護しろ! アグニ隊、第3から第6、分散射撃! 地球軍の新型を追い散らせ!」

 

 

 

 

 

 謎のテロリストだけではなく、推定連合軍に強奪されたザフトの新型機体は彼らにも牙を剥く。だが、ユウナが叩き込んだ「救世のシナリオ」において、ミネルバ隊を生存させ、最短時間で破砕を成功させることは絶対条件だ。

 

 

 

 

 

 アグニの咆哮が、テロリストのジンを、そして連邦の新型たちを戦場から力ずくで押し返していく。

 

 

 

 

 

 

「全メテオブレイカー、最終固定完了! 起動!!」

 

 

 

 

 

 

 その日、ユニウスセブンにて光が弾けた。

 

 

 

 

 






・アメノミハシラ
 史実ではミナも裏で出撃してユニウスセブンの落着を防ごうと奮戦しますが、今回は比較的時間に余裕があったが為にオーブ及びザフトのサポートとしてデータの転送によるサポートが中心に。NJの影響で遠距離通信が難しくなってるとは言え、宇宙ではそうではないが為にリアルタイム通信が比較的可能。天から見守る影の軍神のサポートにより史実以上に素早くザフト脱走兵の迎撃に成功するのでした(地上でリアルタイム通信が可能なのか?に関しては劇場版SEEDにてキラがアウラ達を思いっきり挑発していたりしたので多分、きっと恐らくアメノミハシラやオーブ総本部や機材であればいけるかと…大丈夫だよね?)

 ちなみにユウナはテロリストの捜索及びミネルバとオーブ国防宇宙艦隊の合流へのサポートをお願いしており、戦闘面でのデータリンクに関してはミナ様の独断です。ここまでオーブに尽くす女性にクソアマとか言い出したやつがいるってマジ?



 ・オーブ艦隊

 想定としてはイズモ級×5隻程に30丁アグニを持った艦載機のM1アストレイ部隊。オーブ国防宇宙軍が即応で出せる全力といえる戦力ですが、これら全てがミネルバとの「お話し」の為に出撃。全てはカガリ様の為とはいえ、ミネルバからすると機体を強奪されて奪還しようと動いてる最中にオーブ軍に取り囲まれてアグニに囲まれているのですからキレてもいいでしょう(この時期にイズモ級以外のオーブ所属の宇宙艦艇を知っている方がいれば教えて頂きたい……)


・ネームドキャラ
 シンの心はぐっちゃぐちゃ。これに関しては実はユウナの策略でもありますがそれはまた後日。議長目線ではオーブの本来ではあり得ない手際の良さに驚いているでしょうし、アグニに囲まれて恫喝スレスレな「話し合い」に巻き込まれたグラディス艦長は胃薬案件です。アスランは……この世界ではザクに乗って出撃するかどうかは不明ですが読者の皆様の想像にお任せしましょう。

どっちのアスランが見てみたいでしょうか?

  • 通常の優柔不断アスラン
  • 報連相の化身と化したアスラン
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